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岸和田 自泉会館探訪 [観光]

岸和田に残る渡辺節の作品

 
▲スパニッシュ様式の外観

この度、和歌山大学に国立大学初の観光学部が設立され、記念のシンポジウムが開かれると聞き一応観光業界に身を置いている私も早速聴講を希望し会場である岸和田市の自泉会館を訪ねた。
この自泉会館について予習をしたところ、なんと設計者は大阪の”綿業会館”や”ダイビル”を手掛けた渡辺節であるとのこと。渡辺節は大正から昭和にかけ大阪を拠点に多くの作品を残した建築家である。
シンポジウムの内容より会場の方が気になることとなった。




▲エントランス

場所は岸和田城近く、岸和田高校に隣接する閑静な地に建つ。南海岸和田駅からだと徒歩15分とのこと。私はタクシーを利用。ワンメーターの距離だった。
植え込みに囲まれた建物は決して大きなものではなく近隣の民家とそれほど違わない。だが、オーラを放つような主張を込めた建物はすぐにそれとわかった。
もう少し正面の敷地に余裕があれば良いのだが。


▲玄関ホール

さて、館内に入ろう。
臙脂のカーペットが敷き詰められた玄関ホールの右手に今回の会場となった「ホール」、反対側には展示室が配され、今日は両方が使用されていたので玄関は少々混乱気味。


▲ホール内部

内装は下半分を木材、上部はタイルという重厚な雰囲気。スペインあたりの教会建築を思わせる。
場内は椅子を100脚も並べれば一杯である。
休憩時間には地元出身のソプラノ歌手藤原美弥子さんのサロンコンサートも。
正面のスクリーンが邪魔だなあ・・・・・。(いったい何をしに来たんやら)

▲木組みの天井に特徴的な照明(左)バルコニー席への階段(右)


▲バルコニー席

バルコニー席は使われてない様子。
階段も閉鎖されていた。


▲マントルピース

元々、地元の繊維業者のサロンとして建設されたという。
サロン建築にマントルピースは必須アイテム。


▲マントルピースのタイル細工(左)と登録有形文化財の銘票(右)

こてこてに飾るのではなく要所要所に集中的に装飾を施す渡辺の合理的な作風を見せられる思い。
シンプルな外観からは想像できない細かい装飾が見られる。


▲正面から

敷地に十分なゆとりがないため、やむなく生垣の外、道路を挟み市役所の駐車場から見たところ。
この角度からだとスパニッシュ風のデザインが良くわかる。

建物には不思議な力がある。こんな見過ごしそうな小さな建物でもその町の印象を大きく変える作用を持つ。岸和田が決してだんじりだけの町ではないことを思い知らされた。大きなホールに巨額の費用を投じる箱もの行政に慣れ切った役人はそろそろ目を覚ますべきだ。
自泉会館を訪れて痛感した。

渡辺建築事務所 http://homepage3.nifty.com/twaa/link-9.htm

和歌山大学 http://www.wakayama-u.ac.jp/


タグ:岸和田
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コメント 4

京葉帝都

ホールの天井の高さが圧巻ですね。
玄関廻りや階段のディテールは濃いデザインを感じます。
今このような建物を建てるとなると、職人さんや材料が手配できないのではないでしょうか。
by 京葉帝都 (2008-01-28 02:39) 

サットン

京葉帝都さん

鋭いご推察ですね。
内部はシンプルな外観からは想像できないほどのスケールです。
装飾も要所要所に絞って重点的に施されています。

岸和田には今回はじめて出かけましたが、この建物を市民の皆さんが大切に使われていることに敬服しました。
by サットン (2008-01-28 13:43) 

Fuzzy

自泉会館・・・一度訪れてみたいと思っていながらなかなか実行できていません。
内部は、綿業会館をコンパクトにしたような意匠ですね。
いつまでも大切にしてもらいたい建築物です。
by Fuzzy (2008-02-04 14:32) 

サットン

ファジーさん

自泉会館、外観は決して周囲を威圧するようなものではありませんが、内部は、さすがに渡辺節の作品だけあります。華美というのではなくメリハリのきいた装飾がさすがです。
地元の人々も誇りに思っているらしく今回のイベントでも司会者から会場について誤った解説があるとブーイングが出ていました。
by サットン (2008-02-04 22:41) 

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