さよなら、クイーンエリザベス2 [船の旅]
QE2、日本最後の寄港
大阪港天保山客船ターミナルに接岸したQE2
豪華客船の代名詞ともいえるイギリス、キュナード社の「クイーンエリザベス2」が昨年に続き今年も大阪港にやって来た。残念なことに来年中の引退が決まっており今回が大阪のみならず、日本への最後の寄港となる。
生憎天候は雨風ともに強く荒天にたたられたが、その優美な姿を目に焼き付けるべく18時の出航に合わせ夕方の天保山客船ターミナルを訪れた。
天保山渡船は荒天のため欠航 格式を誇るキュナードの社旗
地下鉄大阪港駅を出ると目の前にQE2の特徴あるブリッジが見える。さあ、いつものように天保山渡船で対岸に渡り船上と桜島桟橋から彼女の素晴らしいフォルムを撮影しよう。ところが、渡船乗り場の手前に赤色の×印が点灯している。桟橋から戻って来る見物客が「渡船止まってるよ」と教えてくれる。猛烈な風の影響で欠航しているようだ。残念!対岸に渡れないとなると彼女の美しいサイドビューが見られないではないか。仕方ない、出航時に狙わざるを得ない。
ブリッジ周りの美しさは世界一だ 荒天の中多くの見物客が詰めかけた
昨年は素晴らしい青空が広がっていたのにと嘆いても仕方ない。そういえば本船が初めて日本に来航したとき神戸港まで小学校の授業が終わるや駆けつけたことを思い出す。その時も雨だった。彼女は雨女なのかも。
出航時刻が迫るとタグボートが接近してくる。船尾には伝統の英国商船旗が翻る
さあ、出航時刻が近づいてきた。全長約約300mという巨大船だけにタグボートが3隻つく。タグの甲板から「出航15分遅れ」との放送が聞こえる。乗船口を見ると観光に出かけていた船客を乗せたバスが到着したところで多くの船客がタラップを渡り船内へと戻っている。途中渋滞にでも巻き込まれたのだろうか。
18:15、定刻より少し遅れてゆっくりと岸壁を離れる
タグがQE2の巨体に取り付き、いよいよ出航である。長笛が何度も吹鳴される。毎年のように寄港していた大阪港にもう戻って来ることはない。ターミナルを埋めた人々から「さよなら」の声が沸き起こる。
後進で安治川河口を抜け出し左舷に回頭する
雨はますます激しくなりスーツの上に着ていた薄手のコートにも雨がしみこんでくる。しかし、そんなことは気にしていられない。彼女はするすると後退していく。その姿を追いかけるように天保山岸壁の突端まで行き再び雨の中カメラを構える。雨雲のせいでいつもより早く日が暮れてしまい苦労した割にはご覧のようなピンボケばかりである。
ほぼ真横から 実に煌びやかである
やはり、この船は美しいと思う。最近の客船は船内設備を充実させるため船型は肥大化し上部構造もビルを載せたようなスタイルが主流である。実にメタボリックなフォルムである。
それに引き換え、もともと大西洋航路のオーシャンライナーとして建造された本船はスピードが要求されたため必然的にスマートな船型となった。それだけではなく煙突のデザインにいたるまで計算されつくした優美さを持っている。船らしい船なのだ。
さらに回頭を続け大阪港大関門を目指す
大阪港を後に次の寄港地ホノルルへと進路を取る さ・よ・な・ら・・・・
本船との初めての出会いは前述したように日本初来航となった1975年3月5日の神戸港である。そして今回最後の来航となった大阪港での姿を見届けることができた。最終寄港地に大阪を選んでくれてありがとう。
引退後はドバイに売却されホテルシップになるそうだ。
Bon Voyage!QE2
サットンさん。QE2速報ですね。さすがです。
私は、入港時に行きました。
スマートな船体に、今更ながら感動するとともに、おなかに響く長笛は、やはり素晴らしいものでした。
しかし、もう見ることも、聞くこともできないのか・・・と思うと悲しいです。
ブログは20日にアップしました。
by ファジー (2008-03-20 00:23)
ファジーさん
QE2、本当に最近の浮かぶマンションみたいな客船に比べると、その優美さは際立ってますね。この船よりもトン数で2倍もある巨船やさまざまなレクリエーション設備を備えた船は何隻もありますが、いまだに「海の女王」と呼ばれ続けているのが分かるような気がします。
ファジーさんの記事楽しみにしています。
by サットン (2008-03-20 12:34)
クイーンエリザベス2世、美しい船ですね。
豪華客船というと、この船を思い浮かべるのですが、引退なんですね。。
もう日本には来ないと思うと、寂しい限りです。
by うたに (2008-03-20 14:29)
優雅なデザインですね。
最後の寄港と思うと、とても残念です。
by manamana (2008-03-20 16:29)
うたにさん
この船の優美さは歳月を感じさせませんね。
本当に海の女王です。
日本寄港最後の航海を見届けることができて
ラッキーでした。
by サットン (2008-03-20 20:30)
manamanaさん
この船は元々熾烈なスピード競争が行われていた
大西洋航路の定期船として設計されました。
スピードを出すためにほっそりした船型になったん
だと思います。
見送った時は本当に寂しかったですよ。
by サットン (2008-03-20 20:37)