叡山電鉄で鞍馬山修行の旅~後編 [鉄道の旅]
■山を下りるもまた修行
さて、いささかの強行軍ながら、なんとか鞍馬寺本堂まで辿り着いたのでありますが・・・・・。
時間も気になり、すぐに下山を開始します。下りは楽だろうと高をくくっているととんでもない。登山家がよく言っているように腰と膝に負担がかかり、ただでさえ腰痛持ちの私の腰はガチガチ状態に。さすがに途中のベンチで休んでしまいました。
それでも時間的には登りよりも早く駅まで戻って来ることができました。
下山したときには駅は既に無人に
■少々不気味な夕暮れの鞍馬駅
鞍馬駅待合室に入ると電車が出た後とはいえ人影はなく、出札窓口も閉鎖され駅員さんも撤退した後。駅に残っているのは天狗だけでした。
天狗オンパレード 駅前に大天狗、待合室の天井には天狗と烏天狗が仲良く、さらにはホームの柱にもそれぞれ天狗が。乗客よりも多い!
誰もいないホームに入ると旧型車両のカットモデルが保存されています。デナ21型という1929年から’94年まで活躍していた車両だそうで叡山電鉄社長による趣意書のパネルと車輪も展示されています。しかし、薄暗い中に置かれた先頭部はなんとなく晒し首を思わせます。
デナ21型の生首モデル
平成7年にここに展示されたそうです
■宝ヶ池へと
数人の乗客が現れたところへ出町柳からの電車がやって来ました。残念ながら今度も「きらら」ではありませんでした。通常なら20分間隔のうち、交互に「きらら」が入るはずですが、2編成のどちらかが検査に入っているのでしょうか。
帰りの電車は「こもれび号」(左) 優先座席の表示は京阪と同じ(右)
私も含め5人の乗客を乗せた「こもれび号」は、日も暮れた鞍馬駅から下りにかかります。「こもれび」とはいえ車両は来た時のものと同じタイプ。ただ、樹林の絵がラッピングされているだけです。
次の貴船口から7・8人の観光客が乗って来たのには驚きました。プラットホーム以外なにもない駅です。鞍馬寺からのハイキングコースを下って来たのでしょうか。ただし、うち1名は、鞍馬行きと間違えたらしく途中駅で降りて行きましたが。私のようなオッチョコチョイがいるものです。
車窓の灯りも増えた宝ヶ池で下車します。
新しい駅名標 鞍馬線(左)と叡山本線(右) 中国語・ハングルも併記
■叡山本線完乗
宝ヶ池で下車したのは未乗だった叡山本線宝ヶ池ー八瀬比叡山口間を乗りつぶすためです。ちょっと説明しますが、叡山電鉄は出町柳ー八瀬比叡山口間が叡山本線、宝ヶ池ー鞍馬間が鞍馬線に分類されています。輸送実態は出町柳ー鞍馬間がメインに思えますが、歴史上そういうことになったのでしょう。
宝ヶ池駅は分岐駅らしく3面のホームに4本の線路を持つ貫禄ある駅です。でも、無人駅なのは経営の厳しさを示しているのでしょう。出町柳からの電車も帰宅ラッシュにもかかわらず、座席が埋まる程度です。駅名標がラインカラーとピクトグラムを採り入れたニューデザインに取り換えられているのがせめてもの救いです。
八瀬比叡山口駅 屋根が立派です
やって来た電車は単行(1両)に乗客2・3名。途中一駅だけで終点八瀬比叡山口に到着。元八瀬遊園を名乗った駅です。由来となった八瀬遊園が、ご多分に漏れず閉園したため改称したようです。しばらく目を離しているうちにいろいろ変わるものです。それでも、めでたく叡電完乗です。
この駅は、さすがに”本線”の終着駅だけあって立派な造りになっています。鉄骨に支えられたドーム屋根など貫禄十分です。
駅名標はいろいろなデザインが
しかし、折り返しの電車に乗ったのは私の他一人だけ。その一人も途中で降りてしまい出町柳で下車したのは私だけでした。
出町柳で見かけた「きらら」
■叡電の未来は
今回、久し振りに叡電に乗ってみて驚いたのは乗客の少なさです。特に鞍馬線の二軒茶屋から先は寂しい限り。GWの谷間とはいえ、あまりに寂しい状況でした。
京阪電車が出町柳まで延伸され孤立状態から脱出し、車両も刷新して息を吹き返したかと思われましたが、なかなか現状は厳しいようです。GWや鞍馬の火祭の時は駅の入場制限が行われるほど混雑するそうですが、日常的に如何に乗客を確保するかが生き残りの条件でしょう。沿線には複数の大学も立地しておりなんとか利用促進につながらないものかと思います。バスに比べその定時性は抜群なのですから。
叡電の修行はまだまだ続きそうです。
天狗よりも、薄暗い中に置かれた電車のカットモデルが・・・ちょっと不気味にさえ感じる(^^;)
"きらら"は、子供の電車の本に乗っていました! 窓がたくさんあって、とても開放的ですね~。
by うたに (2008-05-01 13:01)
うたにさん
アップ直後のコメント驚きました。ありがとうございます。
「きらら」は叡電が放った超破格の車両です。屋根まで張り上げられた窓。窓側を向いたシートなど運賃だけで乗れるのが申し訳ないほどです。
是非、お試し下さい!
by サットン (2008-05-01 13:17)
叡電ですね。
あの辺は涼しいだろうな~
by 清澄白河 (2008-05-01 15:14)
貴船口から川を遡ったところに貴船神社がありますが、その界隈の料理旅館で川床料理やってますので、暑い夏に訪れるといいですね。
川の上の座敷で会席料理をいただくのは結構なものです。
貴船口からの乗客はその流れかもしれませんね。
by ファジー (2008-05-01 15:25)
デナ21型の生首モデル
シュールです。
by 飛騨の忍者 ぼぼ影 (2008-05-01 16:42)
サットン様
元気で何よりです。よもや「鞍馬天狗」になっておろうとは!
素晴らしい!
私もGW前半はみくとこんぴらんさんの785段だったかを
駆け上ってきました。
メインはUDONめぐりですがね(笑)
その勢いで後半戦は敦賀ででも落ちあいまするか(笑)
叡電はええでん!
by こんすけ&みく (2008-05-01 20:02)
デナは首だけになってしまっていたんですね。
味のある車両で好きだったんです。
でも、首だけでも残っていればラッキーかもしれません。
by schnitzer (2008-05-02 01:18)
清澄白河さん
おっしゃるとおり、鞍馬は下界に比べかなり涼しかったですよ。
冬場は堪らないでしょうけど。京都市内とは思えません。
by サットン (2008-05-02 09:22)
ファジーさん
前後編合わせてのコメントありがとうございます。
貴船の川床には母がオバハン仲間と出かけ随分と満足して帰ってきました。夏になると市内のホテルが軒並み川床宿泊プランを実施しますので、それを利用したようです。
貴船口からの乗客は京都観光ついでにハイキングっていう感じでした。「なかなか、きれいな電車じゃん」って。
by サットン (2008-05-02 09:29)
飛騨の忍者 ぼぼ影さん
デナ21、妙に人の顔に似ている点が怖いんでしょうか?
by サットン (2008-05-02 09:32)
こんすけ&みくさん
元気じゃないのでパワーを授かろうと老体に鞭打って登って来ました。なかなかきつかったです。
GW後半は娘が「ちりとてちん」のロケ地を見たいというので小浜にでも行こうかと思案しています。大阪市内でもいいか(笑)
昨日、ホテル金沢がオープンしましたね。また、特派員レポ願います。
by サットン (2008-05-02 09:39)
schnitzerさん
デナは、正確には首と“足”(台車)が保存されていました。
となると胴体はどこになるんでしょう?
私が学生時代、叡電(京福)なんて皆こんな顔でしたけどね。
by サットン (2008-05-02 09:46)
鞍馬寺、大学の頃京阪の牧野あたりに住んでいましたので
よい機会と終点の鞍馬まで足を伸ばしました。
確か2月の終わりの頃で日が暮れるのが早く、ワタクシも
本堂で断念して、日が暮れる前に駅に戻ろうと焦ったことを
思い出しました。人気がなく、本当に天狗がでそうな雰囲気
ですよね。
暗くなってから駅について、寒くて鼻水が止まらなかったので
和服を着た女性にティッシュをもらおうとお願いしたら
これで宜しかったら、と茶道で使う懐紙をもらったことを思い出し
ました。
有難く鼻をかませてもらいましたが、とても京都らしさを感じました。
by OCEANBREEZE (2008-05-03 13:49)
紅葉の帰りは"きらら"を狙い、鞍馬駅で並びました。懐かしいなぁ。横向きの席に座れ夕暮れ時だったので紅葉はライトアップされ、徐行運転までするサービスぶりでした。
オフシーズンのオフの時間には無人駅になってしまうなんて、特需とはいえ駅前に行列を作るまでの駅と同じ駅とは想像もつきませんでした。
by undo (2008-05-03 23:38)
OCEANBREEZEさん
懐紙ですか、京都らしい雅やかな経験をなさったんですね。
私は、朝が苦手なのでどうしても時間がずれ込み、帰りは本当に焦りました。でも、病身の自分でもまだまだ動けるもんだと自己満足した”修行”でした。
by サットン (2008-05-04 02:09)
undoさん
「きらら」は本当に凄い車両ですね。あの車両の開発を決断を下した当時の経営陣には頭が下がります。
鞍馬駅もオンシーズンや火祭りの時は入場制限まで実施するそうですが、私が訪れた時は人より天狗の方が多かったですよ。
by サットン (2008-05-04 02:14)