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「ホテル金沢」でランチ [ホテル(その他)]

期待の新ホテルでしたが

先日の北陸の旅の帰途、金沢で一旦下車しランチをとることにした。場所は駅前に昨年の5月にオープンしたばかりの「ホテル金沢」である。このホテルについてはオープン前の昨年2月に書いた「古都金沢のホテル事情」で金沢ホテル戦争の先鞭をつける地元資本の代表格として取り上げている。記事にした手前オープン後の様子を確認すべく立ち寄ったのだが・・・・・

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▲駅前広場に面して建つ「ホテル金沢」

ここでホテル金沢に関しておさらいをしておこう。前身は駅前の「ホリデイイン金沢」でホリデイインとのFC契約解除後「ホテルイン金沢」として営業していた。駅前の一等地に立地していたのでご存じの方も多いことと思う。その後いったん営業を休止し全面的に改築し、名称も「ホテル金沢」に改め宿泊、料飲、宴会部門を揃えた都市型ホテルとして昨年5月にオープンしている。
駅前広場を挟み「ANAクラウンプラザホテル金沢」と対峙して建つ16階建の茶色の建物は貫録も十分で地元資本代表に相応しい佇まいを見せている。

京都行の高速バスが出るまでの間ランチをとりながら様子を見ようとホテルに向かった。駅前広場に面してレストランが配置されておりサブエントランスも設けられている。私もそこから館内に入るが、人影がない。時間は14時過ぎとアイドルタイムではあるが、喫茶利用のゲストがもう少しいても不思議ではないはずだ。実際、金沢駅や隣接するイオン系ファッションビル「フォーラス」は結構な人出で賑わいを見せている。
レストランの入り口に近づくと私の気配に気づいた女性スタッフが慌てて迎えてくれた。

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▲コーヒーショップ「ピコ」

「軽く食事をとりたいんですが」。
「はい、洋食でしたらご用意できますよ」。

どうやら一つの料飲店舗がコーナー別にコーヒーハウス、和食、寿司に分けられているようだ。ということでコーヒーショップ「ピコ」のテーブルに案内される。他にゲストの気配は感じられない。

そこへ女性スタッフがメニューを差し出す。なんとラミネートパックしただけの下敷きのような仕様である。街場の喫茶店でももう少ししっかりしたメニューを用意していると思うが。
中身を見てまたびっくり!安い!!ライスもので概ね800円。昨夜利用した「ANAクラウンプラザホテル富山」の一件があるだけに驚きも一層。シーフードピラフをオーダーする。
加えて食後のコーヒーも頼んでおこうと値段を見ると高い!!450円とある。ピラフの半分以上という値段設定はいかがなものか。メニュー全体の値段設定のバランスが取れていないと感じる。

ややあって男性スタッフがピラフをサーブしてくれたが、なにか変だ!
器はシーフードをイメージしたのか貝殻を模した深皿だが、それがテーブルクロスもかかっていないテーブルにドンと置かれる。非常に安っぽい状態ではないか!
ちなみにテーブルは木目調の樹脂?が張られた高級感のかけらもないもの。クロスを掛けないならせめてペーパーマットでも敷けばどうか。それもだめなら下皿をセットするとか。間抜けなテーブル上の光景である。

料理の方はボリュームもあり、シーフードもホタテ、アサリ、イカ、タコ、小エビなどが豊富に入っている。味も悪くないが、食べているうちに違和感を覚え始めた。「これはピラフなのか?」。「ひょっとしてチャーハンではないのか?」。まさかシーフードピラフ=海鮮炒飯と誤解してはいないと思うが、答えは確認していない。

食べ終わると待つほどもなくスタッフが現れ皿を下げ「コーヒーをお持ちいたします」。
今回のようなゲストが無人に近いレストランではスタッフの気が緩んでしまい放置されてしまうことがよくあるが、ここは杞憂に終わった。すぐに小ぶりなカップのコーヒーが用意され「どうぞごゆっくりお召し上がり下さい」と慇懃に一礼する。

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▲コーヒー 450円也

コーヒーを飲みながらあらためて店内を見渡す。
視界にゲストの姿は見えないが、声だけはひそひそと聞こえてくる。かなり入り組んだレイアウトなのか。
やはり、ホテルのレストランに期待する高級感も洒落たムードもない。テーブルが整然と並び、照明も特に工夫は見られず。サッシで仕切られた個室もあるがアルミむき出しの桟が武骨である。
要は華やぎを演出しようという意図が全く感じられない。ホテルで飲食しようという利用者のニーズをくみ取れていないのではないか。駅構内でもファッションビル内でもなく敢えてホテルで食事をという場合なんらかのハレの場を求めるはずだが、ここにはハレが用意されていない。

などなど考えながらコーヒーを飲み終わりキャッシャーで支払いを済ませる。

ぐるりとロビー周りを見てまわる。サブエントランス付近にもちょっとしたシッティングスペースがあり正面にはずらりと国旗が並んでいる。なんとも奇異な眺めである。なぜロビーの壁面に国旗が並んでいるのか?国旗を飾り物と勘違いしていないか。ホテルが国旗を掲揚しているのはプロトコールに則った意味を持つのだが。
その隣にフロントカウンターがあり女性スタッフが一人。ここにもゲストの姿はない。液晶ディスプレイの宴会一覧には多くの席名が並んでいるのだが。

メインエントランスを出ると目の前は「金沢都ホテル」だった。

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▲左から 金沢都ホテル、ホテル日航金沢、ANAクラウンプラザホテル金沢

実は今回出かける前にこのホテルのHPを見て若干の不安を感じていた。コンテンツが実にシンプルなのだ。メニューなど必要な情報すら得ることができない。画像も小さく見難い。アピールするものが感じられない。その不安が的中してしまった。

ハードにソフトが付いて行けていない、とは最近よく聞くホテル屋にとっても耳の痛い話であるが、ホテル金沢はその逆、ハードがソフトに負けているのだ。スタッフに対してはなんら不満は感じなかった。出会った全てのスタッフは例外なく「いらっしゃいませ」、「ありがとうございました」ときちんと声掛けをしてくれた。せっかくのスタッフが演じるステージがお粗末としか言いようがない。
ゲストのためのステージ、スタッフのためのステージを用意して欲しい。それほど費用をかけることなく、ちょっとした工夫で実現できると思うのだが。
かつての駅前ホテルから金沢トップクラスのホテルを目指してほしい。

ホテル金沢 http://www.hotelkanazawa.co.jp/index.html
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しんりゅう

金沢といえば北陸の中でも最も大きな都市。観光客も多く、ホテルにはそれなりの期待をしちゃいますよね~
確かに、これではまるでホテルのハコの中に別のものが入っているような、そんな感じですね。
経費節減なのか、スタンスがそうなのかはわからないけど、サットンさんのおっしゃるとおり、「ホテルとしての誇り」みたいなものを感じさせて欲しいですね。
by しんりゅう (2009-03-15 01:45) 

サットン

しんりゅうさん

わざわざ金沢で時間をとり覗いてみましたが、結果はお読みいただいたとおりでした。ハコは新しくしたものの中身が古ーいビジネスホテルを引きずっている感じでした。スタッフのホスピタリティは高く工夫次第で十分レベルアップは可能だと思うんですが。
by サットン (2009-03-15 12:35) 

袋田の住職

私が泊まったのは金沢都ホテルでした。
老舗ならではのサービスとお得プランでなんとスイート三名で利用しました。
部屋が三つとキッチンもある豪華な部屋でした。
by 袋田の住職 (2009-03-15 20:05) 

りゅう

確かに建家も大事ですがそれ以上にスタッフで印象も
変わってしまいますよね。
サービス業は本当に難しいなぁ…と感じます。
by りゅう (2009-03-15 23:34) 

サットン

袋田の住職さん

金沢都ホテルは今回ご紹介したホテル金沢の筋向いですね。
スイートですか!豪華ですね。
今、金沢は新幹線開業を控えホテルラッシュの感があります。
今後の展開が楽しみであります。
by サットン (2009-03-16 11:18) 

サットン

りゅうさん

ご指摘のとおりです。
文中でもふれましたとおり「ハードがソフトに追いついていない」と
指摘されるのが我々にとってもっとも辛いところです。ハードはお金
さえかければなんとでもなりますが、ソフトは簡単には手に入りませんから。ハリボテホテルと言われないよう自戒する日々であります。
by サットン (2009-03-16 11:26) 

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