乗りつぶし 紀州鉄道編 [鉄道の旅]
全線2.7キロを制覇
18きっぷを使って紀勢本線を南下、御坊駅までやって来ました。目指すはもちろん紀州鉄道であります。
▲JR御坊駅の掲示 変な日本語
この紀州鉄道については今さら説明の要もないかと思いますが、私なりにまとめておきますと・・・・
・「日本で2番目に小さな鉄道会社である」。
営業キロ数2.7キロは千葉県の芝山鉄道(2.2キロ)に次いで2番目のミニ鉄道である。
・「鉄道は仮の姿である」。
紀州鉄道とは名乗りながら、その正体は本社を東京に置く不動産デベロッパーである。鉄道会社のブランドに価値を見出して副業として鉄道を経営。
▲御坊駅ホームの時刻表
この紀州鉄道、御坊の駅はJRの1番のりばの反対側0番線から発着しています。ところが駅待合室には紀州鉄道の窓口等は一切なく写真のような張り紙が掲示されているだけ。要は切符は売ってませんよってこと。従って紀州鉄道の利用者はJRの改札口で一言断ってホームに入場するのであります。
ホームに入ってやっと時刻表を見ることができました。
▲今や唯一のレールバス
ホームで待つことしばし、西御坊からのレールバスが小さな車体を揺さぶりながらやって来ました。
この車両こそ今や国内唯一となったレールバス「キテツ1型」であります。レールバスは国鉄の赤字ローカル線が次々と第3セクターに転換される中、その手軽さが受けて各地の事業者に導入されていきました。キテツ1型も元は兵庫県の北条鉄道で使用されていました。
▲キテツ1型
レールバスとはよく言ったもんで正面、側面ともにバスのイメージが色濃く漂っています。それも道理でメーカーは富士重工。今は撤退しましたが、かつてはバスの車体も手がけていました。
▲運転席は一人前?
ところが元々寿命が短かったこともあり次々に引退していき今や営業運転に就いているのは紀州鉄道の2両だけとなったようです。
▲コンパクトな車内
これまたバスっぽいドアから車内に入ります。座席はオールロングシート。冷房完備ではありますが、折からの猛暑のせいか、冷房能力が非力なのか暑い暑い!
14:01、御坊駅を後にします。車輪が前後に1対ずつしかないのでジョイントを刻む音はタタン~タタン~と単調なリズムが響きます。
▲紀伊御坊にはキハ600形が
この鉄道の中枢である紀伊御坊に着きます。紀州鉄道の鉄道事業部の事務所が置かれるとともに“車両基地”も設けられています。
そこには昨年まで現役だったキハ600形の姿が! 今はバス専業となっている大分交通から移籍してきた車両です。現役時代はそのクラシックな姿が人気を集めていたと聞きます。でも、打ち捨てられたかのように佇む姿はなにやら寂しそうでした。物悲しい顔に見えませんか?
▲終点西御坊の駅名標
14:09、終着駅西御坊着。わずか8分で紀州鉄道全線踏破です。感覚的には倍くらいの時間がかかったように感じます。運賃箱が故障しているのか180円を直接運転士に手渡します。つまり、運転士の手のひらで受け取れる程度の乗客しかいないわけです。
▲待合室?には映画RAILWAYSのポスターが
折り返し時間はわずかに6分ですが、駅の様子を見てみましょう。ホームに接して一応駅舎がありますが、天井が低く頭を打ちそうです。
▲自販機が玄関を塞ぐ西御坊駅舎
▲午前中のみ駅員さんが勤務するらしい
ここにもやはり人影がありません。夏休みでもあり鉄ちゃんが訪れているのではと思いましたが・・・・。
駅の周辺はいちおう商店街ということになっています。駅の隣は魚屋さんでした。
▲ここが御坊市中心部
地元有志の出資で御坊臨港鉄道として開業した紀州鉄道の使命は町外れに設けられた御坊駅と市の中心部を結ぶことにあったといいます。この付近がその中心部だったのでしょうか。
残念ながら今やその役目は終えたと言っても良いでしょう。紀州鉄道という不動産会社のブランドを維持するために残されている鉄道というのが実態でしょう。
▲かつてはこの先に線路が続いていました
1989年までは一駅先の日高川まで線路が通じていました。
思えばその頃の紀勢本線からは紀州鉄道の他、野上電鉄、有田鉄道が分岐していました。いずれも乗客の減少により廃止となりましたが、最も規模の小さな紀州鉄道が生き残っているのも皮肉なものです。もっとも規模が小さいが故に不動産業者の副業として存続しえたのかもしれません。
なにはともあれ紀州鉄道全線制覇です。
紀州鉄道制覇、おめでとうございます。
自分が乗りに行った時は、毎回キハ600系でしたが、
いつの間にか、レールバスに変わっているのですね。
頑張ってほしいものです。
by まるたろう (2010-09-18 05:55)
結構本数がありますね。
時間によってはお客さんがたくさん乗ることもあるのでしょうか。
終点のうらぶれた雰囲気に、この線の先行きが心配になります。
by manamana (2010-09-18 06:15)
なんとも趣のある運転席ですね、
車輪一対ずつのジョイント音もいいなあ うら寂しい雰囲気がなんともいえないです.
by cookie (2010-09-18 07:06)
昭和の大落語家、古今亭志ん生の言葉に「落語家なんて有っても無くってもいい、んじゃあなくて、無くっても無くってもいいもの」という言葉が有ります。何故かその言葉を思い出しました・・・・。
by Cedar (2010-09-18 08:41)
ローカルな町でのミニ鉄道、人情あふれた温かい雰囲気を思い浮かべてたのですが・・・電車もホームも周辺も寂しい感じがしますね。
もう少し涼しくなったら、鉄ちゃん達が来てくれるかな?
いずれ、私も是非行って見ようと思います!
by いそしぎ (2010-09-18 13:50)
一時はやったレールバスも過去のものとなろうとしているんですね。
先日明知鉄道に初トライしてまいりましたが、レールバス時代のアケチ6号が団臨に使用されていたのには、驚かされました。
by ファジー (2010-09-19 07:40)
・「日本で2番目に小さな鉄道会社である」。と言う事は、因みに一番は何処でヤンス?
by 勇者超特急 (2010-09-19 17:24)
オールドファンには、「御坊臨港鉄道」の方が通りがよいかも知れませんね。中小私鉄のストライキの際に、必ず登場した名前です。
レールバス、ここだけになってしまったのですね。
by のり (2010-09-19 22:08)
まるたろうさん
ようやく長年の課題が一つクリアとなりました。とはいえ2.7キロですから踏破率はほとんど変動ありませんが。
キハ600。惹かれるものはありますが、レールバスも初めての経験でした。
by サットン (2010-09-19 22:24)
manamanaさん
朝夕は日中よりも混むのでしょうが、御坊市の人口は既に3万を切っており市の中心部といっても閑散としているのが実情のようです。
本数は予想以上に多かったですよ。20分か40分間隔です。
生き残り如何は不動産業にかかっているというところでしょうか。
by サットン (2010-09-19 22:32)
cookieさん
運転台は一般的な鉄道車両と大差ないかなって感じです。
一軸車独特のジョイント音、良く言えば小田急ロマンスカーに似ています。1両で走るので実に単調でした。
by サットン (2010-09-19 22:37)
Cedarさん
紀州鉄道を訪れてみて鉄道でなければならない理由を見つけるのに苦労しました。ここは特殊な事情で生き残ってはいるのですが。
理由はともかく存続しているのはファンとしては嬉しいことですが。
by サットン (2010-09-19 22:42)
いそしぎさん
人情というか・・・・人がいませんでした!失礼かもしれませんが、映画のセットを見ているようでした。
鉄ちゃんは寒暖気にせず活動するんですが・・・・18きっぷのシーズンに姿を見せないというのは痛いですね。昭和の香りを訪ねる日帰り旅行、いかがですか?
by サットン (2010-09-19 22:48)
ファジーさん
アケチ6号はボギー車ですからキテツ1に比べるとずいぶん貫禄がありますね。正調レールバス、まさに絶滅危惧種ではないかと。
by サットン (2010-09-19 22:52)
勇者超特急さん
ちなみに日本で一番小さな鉄道は芝山鉄道です。←記事の中で書いてますが!
京成と繋がっているので小さいという実感はありませんが。
by サットン (2010-09-19 22:59)
のりさん
私鉄のスト情報、最近見ませんね。子供の頃一喜一憂しながら見てました。なにぶん学校の休みがかかっていましたから。
一軸の正統派レールバスはここだけになったようです。一回り大きなボディのボギー車も残りわずかかと。
by サットン (2010-09-19 23:05)
紀州鉄道が健在で良かったです。
by ZOO (2010-09-20 12:24)
ホントに"レールバス"というのがぴったりの車両ですね(^ ^)
小さな鉄道。ゆきはレールバスで、帰りは歩いて…なんて感じでぶらぶらしてみたいです。
by うたに (2010-09-20 16:49)
ZOOさん
安心して下さい。紀州鉄道は今日も元気に?走ってます。
by サットン (2010-09-20 17:15)
うたにさん
私もレールバスは初めて乗車しましたが、ホントにバスでした。なにぶん富士重がメーカーですので窓の処理など同社のバスそのものでした。
他の方のブログをいろいろと拝見しましたが、実際に片道徒歩組がかなりいらっしゃるようです。
by サットン (2010-09-20 17:23)