SSブログ

北陸本線鈍行の旅 [鉄道の旅]

金沢ー大阪6時間の旅 


9月のとある日曜日。北陸鉄道乗りつぶしも終え金沢を後に大阪に帰ることに。一般人であれば「サンダーバード」ですんなりといくところでしょうが、このところ「サンダーバード」も少々食傷気味であります。高速バスという案も頭をよぎりますが、まあ落ち着いて考えるかと金沢駅構内の喫茶店(カフェというべきか)で時刻表を開きます。

画像 012.jpg
▲金沢駅 もてなしドーム

「サンダーバード」を否定すると「雷鳥」が風前の灯となった今、JR利用では鈍行しか選択肢がありません。その鈍行も最近は細切れダイヤだし・・・・と時刻表を紐解くと12:17発鈍行の敦賀行が目に入りました。イマドキのJRにしては長距離と言ってもよい鈍行です。521系電車の金沢地区への投入後の様子が気になっていたこともありこの列車に決定。急いで土産物を調達し発車5分ほど前に5番線に上がります。

344M(金沢ー敦賀)

画像 028.jpg画像 027.jpg
▲金沢駅5番線から

ホームにいたのは幸か不幸かその521系。内心国鉄型を期待してもいましたが。心配していたとおり2両編成の車内は立ち客の姿も見られます。終点まで乗り通すので立たされてはかなわないと空席を探し辛うじて着席します。それにしてもこの電車、立つ場所がありません。ドアサイドには補助席があるため立ち難い。結果、運転席後方とロングシートの車端部に立ち客が集中するようです。12:17、金沢駅名物琴の音に送られて一路敦賀に向けて発車します。鈍行の場合始発駅では混雑していても徐々に空いて行くのが常なので時刻表を睨みながらどの辺りで空いてくるか予想を立ててみます。まずは10分後の松任、その後、美川、小松とヤマを張ります。のんびり、ゆったりと鈍行の旅を楽しむためできればお隣さんには早めに降りてほしいところですが・・・・。
この列車には特改さん(特別改札要員)が乗り込んでおり検札が始まります。その際隣人の切符をチラリと見ると金沢から四百数十円区間。微妙な距離でありますね。結局、私の予想は例によってことごとく外れます。松任、美川とも動きはあったものの大勢は変わらず小松でようやくまとまった下車があり、隣人も席を立ちます。窓側に移動しますが、小松からの乗車もそこそこあり、隣席は再び埋まります。それでもローカル列車の場合県境を越えて乗車する乗客は少ないはずで加賀温泉か大聖寺で空くであろうと楽観します。
さてさて、この521系、座ってしまえば快適で走りっぷりもスムースなのですが、2両編成というのはあまりに危険です。国鉄型が基本3両編成、しかも座席定員は521よりも多かったはずで、新車と引き換えに着席チャンスは大幅に減少することになりました。この点はかねがね気になっていたので昨夜の宴席で沿線住民数人にヒアリングを行ったところ、さすがに混雑が激しくなったとの声が強く、JR西日本も適宜増結を実施しているとのこと。そういえば先程西金沢で見かけた金沢行は2組連結の4両編成でした。多くの不採算路線を押し付けられたJR西日本に余裕を持った車両投入をなどと甘いことを言うつもりはありませんが、新車を投入した結果、座れないからと列車離れを起こされては元も子もありません。北陸新幹線の絡みもあるのでしょうが、デイリーの利用者にしわ寄せがいかないよう願いたいものです。
小松に次ぐ第二の波を期待した加賀温泉では大きな動きはなく、次の大聖寺も同様。隣人もコミックを読みふけっており下車する動きは見られません。どうやらほぼ満席のまま福井県に突入することになりそうです。またまた予想を外してしまいました。通常県境の前後で輸送量が大きく落ち込むのは私のイカサマ予想に関係なく統計上も明確なはずですが、日曜日の特殊な状況なのでしょうか。福井県に入り13:22、芦原温泉着。隣人はここでも動かず。実はこの駅で米原行「しらさぎ60号」、大阪行「サンダーバード24号」の2本の特急に追い越されるはずです。“特急街道で袋叩きにあう哀れな鈍行”というシーンをじっくり眺めたかったものの座席に軟禁されたままになりました。この隣人氏、なぜか福井を目前に春江で降りて行きました。小松―春江、希少な流動ではないでしょうか。

echitetsu.jpg
▲えちぜん鉄道の車両基地を横目に(前日サンダーバード19号より)

左手に巨大な福井県立病院とえちぜん鉄道の車庫を見やりつつ高架に上がり13:51、福井着。

画像 030.jpg
▲福井に到着

ここ福井でもお楽しみが待っています。14:14の発車まで23分の長時間停車です。昔の長距離鈍行にはこの程度の停車時間はざらでしたが、最近では珍しくなりました。幸い多くの乗客が下車しようやく車内にも余裕が生まれました。

画像 029.jpg
▲23分間の停車時間を楽しみます

このチャンスに遅めのランチタイムといきましょう。朝食用にと賜ったおにぎり弁当をかきこみます。白山周辺の食材を使ったウマウマなお弁当でした。
福井からの乗客で混雑する前にホームを散歩しながら521系を眺めてみます。平成21年の製造、金沢運転所の所属でした。
席に戻ると下りの「サンダーバード19号」が到着、そそくさと発車して行きます。実はこのシーンを24時間前に見ていたことを思い出します。そう、昨日の「サンダーバード19号」に乗っていたのでした。

画像 031.jpgコピー ~ 画像 010.jpg
▲サンダーバード19号(左)と 24時間前にサンダーバードから見た344M

福井からはそれほど混雑するでもなく敦賀へと再びスタートを切ります。高架を降りた南福井でEF66との予期せぬ対面に驚きつつ稲刈りの済んだ穀倉地帯を快調に走ります。
このEF66については >>>コチラ
画像 032.jpg画像 033.jpg
▲武生で福井鉄道と対面(左)私的には北陸の玄関口今庄(右)

武生を過ぎ北陸道と絡まるように谷間に入って行くと北陸トンネルに突入します。約10分で通り抜けデッドセクションを苦もなく通過、15:05、終着敦賀に到着です。

画像 035.jpg
▲敦賀に到着

130.7キロ、2時間48分を長距離というのは少々大げさかもしれませんが、特急も含めて列車の細分化が進む中、貴重な列車といえるかもわかりません。

3189M (敦賀ー近江塩津)

敦賀からはおきまりの新快速に乗り継ぎます。15:23発の湖西線経由姫路行。18きっぷのシーズンであれば先程の344Mからの乗り継ぎ客を受けて賑わうことでしょうが、今日は4両編成の各車に10人程度の乗客を乗せての発車です。

画像 037.jpg
▲新快速 湖西線経由姫路行

車内放送によると今日は湖西線志賀に臨時停車するとのこと。びわこバレイの行楽客対応でしょうか。さらに放送ではループ線についての説明が。上り線に存在するループ線は有名ですが、案内放送を聞くのは初めてです。それも新快速で。説明どおり2つ目のトンネルを抜けると左側車窓から一瞬敦賀の町を望むことができました。
画像 039.jpg
▲ループ線からの眺望 手前には小浜線の線路

湖西線へと進路をとる近江塩津で下車します。大阪へ向かうならこのまま乗っていれば連れて行ってくれますが、湖西線の風景にも少々飽きがきていますので今日は米原経由で帰るとします。

3495M(近江塩津ー大阪)

近江塩津始発の16:05、新快速播州赤穂行に乗り継ぎますが、少々時間があるので改札口を出てみます。民芸調の待合室には私と同じ乗り継ぎ客も含めてハイカーなど十数人の利用者がいて賑やかです。新快速乗り入れ前には想像もできなかった光景ですね。発車時刻が迫ったのでホームに上がると面白い光景が。播州赤穂を表示した電車を見た初老の男性が乗務員に「播州赤穂って駅があるんですか?」と尋ねています。なるほど、ここは滋賀県の北端の駅。一方、播州赤穂は兵庫県の西の端に位置します。その距離は300キロ近くに及びます。馴染みがないのでしょうね。ところでこの列車、播州赤穂行を謳いながら姫路までしか行きません。

画像 040.jpg
▲播州赤穂に行かない播州赤穂行

米原で前寄りに8両を増結し12両で西へと向かい近江塩津からの4両は姫路で切り離されるというややこしい車両運用となっています。
増結作業のため一進一退を繰り返し16:42米原着。新快速もここまでは各駅停車。金沢―米原間を各駅に停車しながら辿ったことになります。結局、大阪に着いたのは18:13。金沢からおよそ6時間の旅でした。

nice!(35)  コメント(20)  トラックバック(1) 
共通テーマ:旅行

nice! 35

コメント 20

ホタルの館

確かこの521系とかいう車両、滋賀県と福井県が負担しているんですよね?
by ホタルの館 (2010-10-31 05:03) 

manamana

えちぜん鉄道懐かしい。
人情味あふれるあの電車にまた乗りたくなりました。
こうしてみるとJRは新しい電車ばかりですね。
旧型はもう、いなくなってしまったのでしょうか。

by manamana (2010-10-31 07:31) 

サットン

ホタルの館さん
おっしゃるとおり当初の521系は滋賀、福井両県が費用負担しており基本的に両県での運転に限定されるそうです。
しかし最近製造されたものはヒモ付きではなく今回のように石川県も走ることができます。
by サットン (2010-10-31 17:31) 

サットン

manamanaさん
えちぜん鉄道は今回も車窓からの見学のみに終わりました。早く退治せねば。
国鉄型は影が薄くなりましたね。新車の守備範囲外の金沢以北で頑張っているようですが福井周辺では新車が幅を利かせているようです。
by サットン (2010-10-31 17:46) 

まるたろう

新型車も、2両では短すぎると思いますね。
おっしゃるように、利用者の列車離れにつながらなければ
いいのですが。
by まるたろう (2010-11-01 07:19) 

サットン

まるたろうさん
地方都市では電車は座れて当たり前ですからねぇ…。短時間なら我慢しろという大都市圏の理屈は通用しないと思います。快適性と効率のバランスを取ってほしいものです。
by サットン (2010-11-01 19:22) 

いそしぎ

長時間停車って、経験した事ないです。
23分もあれば、お土産屋さんへ寄ったり、駅弁物色もできますね。
金沢は、また訪れたい場所なのですが、6時間ですか・・・。
by いそしぎ (2010-11-01 22:52) 

UZ

遠征お疲れ様でした。
521系→521系→223系とJR-Wの誇る最新式の電車での移動で、どうも見慣れた車内と言う感じがします。
でも金沢からの6時間というとさすがに疲れますね。
by UZ (2010-11-02 23:16) 

ファジー

お疲れ様でした。しかし昔の福知山線の客レとは申しませんが、効率ばかり考えずに、もう少し編成を考え直して欲しいですね。
by ファジー (2010-11-03 09:29) 

サットン

いそしぎさん
鈍行に乗っていると長時間停車は良い気分転換になります。時刻表の数字を拾いながら長時間停車を見つけるとうれしくなります。昔は停車中に夕食なんてことも珍しくありませんでした。
今回は6時間かかりましたが、素直に湖西線経由なら5時間程度になると思います。でも日帰りはきびしいですね。
by サットン (2010-11-03 09:58) 

サットン

UZさん
そうですね…どこまで行っても新快速の延長という印象です。国鉄時代は全国どこへ行っても同じでしたけど。でも今となってはその頃が懐かしいんですよね。
by サットン (2010-11-03 10:12) 

サットン

ファジーさん
乗り鉄派の私でも満席状態での鈍行旅はさすがに疲れました。鈍行という表現もそぐわないですが。
福知山線の鈍行は私の乗り鉄の原点です。今ではお金を払っても味わえないムードですね。
by サットン (2010-11-03 10:29) 

haru

金沢から大阪、というとやはり「雷鳥」に乗りたいと
思ってしまうのですがっ のんびり乗りっぱなしの
サットンさんのように乗り継ぐのも楽しそうデス
でも混んでるのはイヤかなっ^^; のんびり動く電車は
がら~んとしててほしいものですっ 笑。
by haru (2010-11-05 20:06) 

あーちゃん&父

西日本はなんかなぁ…自治体が金出さないと新車作らない、作ったところで編成圧縮…
新快速はなんだか常に混んでいるイメージがありますが、米原より手前は空いてるんですかね?
by あーちゃん&父 (2010-11-06 10:39) 

サットン

haruさん
今や1往復に減ってしまった雷鳥は私のような思いつき人間の利用できる列車ではなくなりました…。
鈍行もずいぶん快適になりましたが、妙にドライになって。鈍行なんて言葉もぴったりこないですね。
by サットン (2010-11-06 11:52) 

サットン

あーちゃん&父さん
なにぶんにも地域とともに歩むJR西日本ですから。まあ今回乗ったのはいずれも自前のようですが。ロングシートじゃないのが幸いです。
新快速も末端区間では4両でもガラガラです。大阪駅基準では段階的にオール12連に増強するそうですが。
by サットン (2010-11-06 12:11) 

undo

金沢駅のドーム、いいですね。大なり小なり太陽光の降り注ぐ駅舎は気持ちいいですね。

それにしても金沢から大阪まで特急を使わなくても6時間で着くんですね。特急ではあっという間ですが、普通電車を使ってとなると感覚的にもっと遠い感じがしてました。
by undo (2010-11-07 19:09) 

サットン

undoさん
金沢駅、陽光燦々の玄関に対しホームは昼なお暗くって。この点同じ高架駅でも福井駅は採光を工夫しており明るいですね。
今回わざわざ米原を経由したので6時間かかりましたが、湖西線経由なら5時間程度で行けるようです。
by サットン (2010-11-08 10:26) 

Cedar

長時間停車といえば昔は当たり前でしたね。中央線の夜行鈍行なんて、1時間以上停まっていました。時間を金で換算していく現代には似合わないですね。でも乗ったら楽しそうですね。
by Cedar (2010-11-08 12:42) 

サットン

Cederさん
長時間停車は単線区間での列車行き違いや夜行列車の時間調整などが理由だったと思いますが、最近はどちらも減ってしまいましたね。
かつての山陰線824列車なんて主要駅ごとにのんびり停車していて食事に買い物にと重宝しました。地元のお客さんには迷惑だったでしょうが。
もう、あんなにのんびりした旅は楽しめませんね。
by サットン (2010-11-09 09:05) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1