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鉄道と旅と文学と at 姫路文学館 [タウンウオッチ]

宮脇俊三ファン垂涎の特別展

「はまかぜ」に乗って出かけた姫路での催事というのが姫路文学館で開催されている特別展「鉄道と旅と文学と」であります。レイルマガジン編集長のブログ「編集長敬白」で紹介されているのを見かけて「これは行かねば!」と思ったのです。お目当ては私が鉄道趣味の師と仰ぐ宮脇俊三さんの自筆原稿です。これは何をさておいても見ておきたい。

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姫路駅前から案内表示が不徹底な神姫バスに悩まされながら乗ること約5分。平成の大改修中の姫路城近くの市之橋・文学館で下車。城下町らしい屋敷町を少し歩いた所に姫路文学館はあります。安藤忠雄氏設計のコンクリート打ちっぱなしの建物。特別展のみの場合入館料は500円ですが、ICOCAを提示すると2割引になりました。

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展示内容はタイトルどおり鉄道をモチーフにした文学作品に関するものですが、作品ごとにその舞台となった情景を鉄道模型のジオラマで再現しているのが特徴。文学のみならず兵庫の鉄道の懐かしい光景の写真や絵画も展示されています。

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出展者のご好意で写真撮影も可(ストロボ使用は不可)。ついては「HPやブログで紹介していただけると幸いです」とのこと。私もブロガーの端くれです。喜んで紹介させていただきましょう!

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さて、お目当ての宮脇俊三関係の展示ですが、これはもう宮脇ファン=ミヤワキストとしては堪らない内容です! まずは私が初めて出会った氏の作品であり、氏の最高傑作であると信じて疑わない「最長片道切符の旅」の原稿に目が釘付になります。なんと几帳面な文字でしょうか。編集者として多くの作家と関わってきた氏はきっと個性的な文字に悩まされてきたに違いありません。そんな思いを自分の担当編集者にはさせまいと丁寧に書き上げられたのかなと想像します。
さらにはその最長切符の現物も展示されています。券面が無数の下車印で埋まった広尾―枕崎の乗車券は大迫力! 
そして氏が国鉄全線完乗を目指して塗りつぶしていった白地図も。余白に書かれた乗車記録はこれまた細かな文字が並び何やら鬼気迫るものがあります。
意外だったのはスケジュール表です。愛読書は時刻表というだけに24時制の表記かと思いきや12時制で書かれていました。

宮脇コーナーの隣には内田百閒関連の展示もあります。自筆原稿の他東京駅名誉駅長委嘱状など阿房列車ファンにとっても興味深い内容ですね。
ただし、宮脇俊三、内田百閒関連の展示は撮影禁止とのことです。

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正直なところあまり期待せずに姫路まで出かけました。ところがその予想は見事に裏切られることに。何十回となく読み返した「最長片道切符の旅」の原稿に間近に接することができたうえ、その最長切符の実物を見ることができたのは至福の喜びであります。

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この企画、宮脇俊三ファンのみならず広く紀行文学を愛読する方には是非お勧めしたい展示であります。開催期間も余すところわずかとなりました。文学の秋もたけなわ。姫路文学館にお出かけになってはいかがでしょうか。

「鉄道と旅と文学と」 詳しくは >>>姫路観光コンベンションビューローHP

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飛んでモアイ

この企画に興味が有るのですが、出かける予定が・・・。
姫路城の企画と合わせて、行くといいかもしれませんね。
「お城の女王」が、23日まで姫路城のイベントにて、
お姫役をするそうです。
by 飛んでモアイ (2010-11-20 22:17) 

haru

好きな作家さんの自筆原稿を見るのって好きデス
昔志賀直哉の自筆原稿を見たとき、イメージ通りの文字で
なぜだかうれしかったことを思い出しました^^
by haru (2010-11-21 01:01) 

manamana

宮脇さんの企画(最長片道とか途中下車とか)もすごいですが、
何より文章が大好きです。
鉄道が好きなのに、その情熱が世間的にちょっとずれているのを、
よく自覚されており、
羞恥心と遠慮をよくわきまえていて、
今の鉄道ブームと対極にあると思います。
by manamana (2010-11-21 05:22) 

硬券屋

ご苦労様です。その切符とやら・・・UPお願いします。
by 硬券屋 (2010-11-21 21:57) 

あおたけ

宮脇ファン(ミヤワキストっていうんですね)としては
とても気になり、行ってみたい展覧会ですが、姫路は遠いなぁ・・・。
最長片道切符のホンモノ、見てみたいです。
ちなみに私はやっぱり処女作の「時刻表2万キロ」が好きですね。
アレを読んで私も実際に完乗を目指すようになりました。
by あおたけ (2010-11-22 09:00) 

サットン

飛んでモアイさん
なかなか見応えのある企画でしたよ!都合がつかないとは惜しいですね。
姫路城が工事中なので様々なイベントを展開しているようですね。駅前にも妙な着ぐるみがウロウロしていました。
by サットン (2010-11-22 11:55) 

サットン

haruさん
私は特に好きな作家ってあまりいませんが、宮脇さんの原稿だけは是非見ておきたかったです!細かくて几帳面な文字には正直面喰らいました。何事も大ざっぱな私とは大違いで…。
by サットン (2010-11-22 12:10) 

サットン

manamanaさん
私も宮脇さんの文章に魅入られた一人です。実に嫌みのない練られた文章に引き込まれます。
加えて近視眼的に鉄道を見るのではなく歴史や地理など様々な知識を織り交ぜての展開が楽しいです。
by サットン (2010-11-22 12:27) 

サットン

硬券屋さん
本文に書きましたとおり、宮脇さん関係の展示は撮影禁止でしたので写真はありません。「最長片道切符の旅」の表紙を飾っています。
by サットン (2010-11-22 12:37) 

サットン

あおたけさん
確かに東京からは遠いですね。でも宮脇さんの地元に世田谷文学館がありますのでそちらで展示の機会があるかも知れないですね。
宮脇さんというと「時刻表二万キロ」は外せませんね。私は最初の出会いである最長…に思い入れがあります。
by サットン (2010-11-22 13:00) 

ファジー

29日(月)姫路に行くのですが・・・だめですね(残念)
by ファジー (2010-11-28 16:15) 

サットン

ファジーさん
それは残念ですね!阿房列車関係の展示もあっただけに…。
姫路文学館、静かな環境でなかなかよかったですよ。
by サットン (2010-11-29 08:52) 

いそしぎ

あまり読書家ではありませんが(笑)
やっぱり自分の好きなもの(私の場合は絵)を現物で見れるというのは嬉しいものです。
展示品のプレートがいいですねぇ。あの細丸い字が好きです。
by いそしぎ (2010-11-30 23:19) 

サットン

いそしぎさん
ナマ原稿、ホント感動モノでした!あの作品はこんな文字で書かれていたのかっていう感じ。作品との距離が短くなりました。
プレート、好事家はサボ(サイドボードの略)と呼んでおります。最近では電動化されたりLEDになったりで見ることも少なくなりました。まあ人手を考えると仕方ないかなと。盗難被害も少なくないそうです。
by サットン (2010-12-01 09:30) 

Kyo-to

こんばんは。
仕事疲れでネットから離れまくりでご無沙汰してしまってましたが(汗)
久々に拝見できた記事が期待の姫路文学館レポで感激です!!
さすがサットンさん、確かな知識と経験に裏打ちされたレポートで
僕なんかと説得力が全然違います(笑)。

サットンさんも「最長~」に思い入れがおありなんですね。
僕にとってもデンシャ旅のバイブルみたいな存在ですし、
国鉄時代を知らない僕のような者にはあの頃を追体験させてもらえる
タイムマシーンみたいなとんでもない逸品です。
僕も今回の展示を見て、ナゼか躊躇していた「取材ノート」の購入に踏み切ったりしちゃいました(笑)。

by Kyo-to (2010-12-03 03:22) 

サットン

Kyo-toさん
やっぱり宮脇さんというと「最長片道切符の旅」ですよね♪ 何度も何度も読み返しておりますが、実際宮脇さんが旅した時期と重なる今はこの作品の旬ですね。
Kyo-toさんとの違いは私が国鉄世代であることでしょうか。私にとっては国鉄の回想録でもあります。
それから取材ノートですが、今も読むのを躊躇しております。なんか読むのが怖くって…。
年末でお忙しいとは思いますが、どうぞご無理のないようお過ごしください。
by サットン (2010-12-03 19:14) 

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