SSブログ

京阪びわこ号復活に向けての若干の課題と展望 [鉄道の旅]

サポーターイベントご報告

去る1月28日に開催された「びわこ号サポーター倶楽部Vol.1トーク&ライブイベント」については前記事で速報させていただいたとおりですが、当日トークショーの席上出された意見についてこの場でまとめておきたいと思います。いささか遅まきながらの感なきにしもあらずですが、びわこ号復活に向けて避けては通れない課題も何点か提示されましたのでびわこ号の復活を願う皆さんにも共有していただきたく自分の備忘録を兼ねて報告させていただきます。

RIMG1305 (500x375).jpg
▲会場のARUKAS(逆から読んでみて)ホール周辺にはびわこ号の幟が

当日は京阪ステーションスタッフの制服姿の斉藤雪乃さんの司会の下、寝屋川市長による開会挨拶に続き、杉ちゃん&鉄平のお二人、向谷実さんのライブで会場は大いに盛り上がります。(都合によりライブとトークの順序が入れ替わる)

客席が温まったところでいよいよトークショーに移ります。出席者は向谷さんに加えて、橋爪紳也さん(大阪府立大学教授)、京阪電鉄鉄道企画部部長岡さん、寝屋川市ブランド戦略室長市川さんです。・・・・みんな熱烈な鉄道ファンでした♪

まず、このプロジェクトの責任者である市川さんからびわこ号復活の意義が語られます。大阪のベッドタウンとして発展してきた寝屋川市にはこれといった顔がありません。わが町を説明するのにも「菊人形でお馴染みの枚方市の隣町」というのが定番だそうで、復活したびわこ号を寝屋川市のシンボルに!と熱く語られます。

実はもぬけの殻のびわこ号・・・・
びわこ号を一番よく知る岡さんから衝撃の事実が語られます。見たところちょっと手を入れれば動きそうなびわこ号ですが、実は主要機器のほとんどは取り外されているとのこと。モーター、制御器をはじめ大部分の機器を新たに調達しなければ動態化できないそうです。特に吊り掛け式のモーターは入手が難しく、制御器も1500V対応にバージョンアップして装備しなければならない。・・・・びわこ号は元々600Vで設計されている。

車体塗装もいろいろ・・・・
車体のカラーも様々に変遷しているそうです。現在のクリーム色の濃淡の他に、黄色の濃淡、青系濃淡、茶色の一色塗装、いわゆる旧特急色の5パターンが記録に残っているそうです。どのデザインをまとって復元するのかが大きな問題になってきます。会場では各デザインを合成した画像が公開され挙手による人気投票が行われ圧倒的に現在のクリーム色が支持を受けていました。

意外と少ない資料・・・・
また、実際に営業運転に就いていたときの詳細な資料も残っていないそうです。客室床面の様子や運転台の色など。実際に乗車経験のある人も少なく忠実に再現するには困難が予想されるそうです。
乗車経験がある方、往時の写真をお持ちの方がいらっしゃれば是非寝屋川市役所にご連絡を! 連絡先はサイドバーのバナーをクリックして下さい。

夢は本線走行だが・・・・
このプロジェクトの目標は平成26年を目途に寝屋川車庫内での自力走行を可能にするというものです。しかし、走行可能な状態になれば本線上を乗客を乗せて走らせたい、と思うのは誰しも同じ。もちろんハードルはぐっと高くなります。まずは車体の難燃化。客室に木材を多用しているびわこ号は不燃処理を施した木材に換装する必要がある他、非常時の脱出路を確保するため前面に貫通路を設置する必要があるなど安全基準のクリアが課題となります。・・・・貫通路設置は地下線走行を想定してのことだと思われます。


作業服にヘルメット姿の岡さんから復活に向けての数々の課題が提起されますが、それを克服するための意見も百出します。

デアゴスティーニ大作戦!?
まずは復活に要する寄付金8000万円をどう集めるのかについて向谷さんから提案がなされます。
多くの人を巻き込み、感動を共有するため資金が貯まるごとに部品を購入しその様子をネットで公開してはどうかと。ちょうど(デアゴスティーニの)「週刊○×をつくる」で毎号買うたびにパーツが付いてくるように。絶えず参加者意識と感動を発信し続けないと目標達成はままなりません。
こんなことも。「8000万なんて寝屋川市、京阪で半額ずつ出せば済む話。そうじゃなくって多くの人々の気持ちが一つになり、その結果びわこ号が復活するところに意義があるんです!」。

電車特区で本線走行!
やはり話題は本線上での運転に向かって行きます。前述のようにハードルが立ちはだかりますが、そこで橋爪さんから国の特区指定を申請して規制を緩和してもらってはどうかとの提案。名付けて「電車特区」。
ちょうど大阪府市統合本部の会議で堺屋太一センセーから「大阪10大名物で集客を」なんて構想が提案されましたしね。センセーご提案の「道頓堀をプールに」なんかよりはるかに地に足着いた意見だと思います。

こんな感じで会場は談論風発、司会の斉藤女史も最後は大阪弁でまくし立てはじめる始末。みんな本気です!
そして、向谷さんに「びわこ号のテーマ」を創ってもらおうという話になり、なんと向谷さんはその場でサラッとメロディーを披露してしまいました。さすがであります。追ってネット上で公開するとのことでした。

まあ、こんな風に2時間半終始ヒートアップした状態の第1回イベントでしたが、寝屋川市、京阪電鉄ともにかなり本気であるということが伝わってきました。今後、第2、第3の仕掛けを波状的に打ち出すことが目標達成のためには必要でしょう。でも、成功の暁には寝屋川市のキャッチフレーズも「枚方市の隣町」から「びわこ号が走る町」に刷新できることでしょう。
そしてこのプロジェクトは鉄道事業者、自治体、市民が三位一体となって鉄道車両を動態保存するという画期的な意味を持っています。成功すれば各地に波及することも考えられます。成功するかどうかは一人でも多くの市民に参加してもらう点にあります。このプロジェクトに興味を持たれた方は是非寝屋川市のサイトをご覧下さい。サイドバーのバナーから乗り換えなしです。

さあ、みんなで知恵とお金を出し合いましょう!

RIMG1306 (500x375).jpg
▲記念品の数々

今回のお土産です。寝屋川市特製「ワガヤネヤガワ」ロゴ入りファイル、京阪3000系デザインのファイル、京阪電鉄ロゴ入りボールペン、びわこ号トレカ、プロジェクトロゴステッカー、冊子「出発進行びわこ号」創刊号。
入場整理券はJRの座席指定券のパロディー風の楽しいデザインでした。


ブルトレ向谷号のお知らせ
最後に向谷さんが今春ブルートレインを貸切運転するとのこと。4月27日夕方大阪発の上野行。牽引はEF81、向谷デザインの特製ヘッドマーク付だそうです。旅行商品として一般販売されるそうですから目を離せませんね。

※この列車は4月28・29日の両日、幕張メッセで行われるイベント「ニコニコ超会議」のアクセスツアーの一環として運転されます。(3月4日加筆)
「ニコニコ超会議」については http://www.chokaigi.jp/index.html  

 


nice!(13)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:旅行

nice! 13

コメント 6

UZ

サポーターイベントお疲れ様でした。

本線走行は確かに夢のある話ではありますが、実現には色々な課題がありますね。安全基準については地下区間がある事から致し方ない面もあります。特に最近は厳しくなっていますから。

でも夢のある話ですので実現してほしい気もあります。今後の動向に目が離せません。

by UZ (2012-02-09 02:45) 

ドラもん

動態保存へ向けての活動。参考になります。何にしても、自治体が動いているのが心強いと思います。
向谷実氏のブルトレ企画、とても気になります。
by ドラもん (2012-02-09 09:37) 

サットン

UZさん

本線走行を実現するには地下線乗り入れは事実上無理でしょうね。交野線など地上線限定でもという意見も聞かれました。それでも安全基準のハードルは高いのでやはり電車特区申請という荒業しかないかも知れませんね。プロジェクトリーダーの橋爪さんは府市統合本部のメンバーでもあったかと思いますし。
このイベント、お役所主催とは思えない盛り上がりを見せてくれました。次回が楽しみです!
by サットン (2012-02-09 10:48) 

サットン

ドラもんさん

地元の自治体がこんなプロジェクトを立ち上げてくれたのは頼もしい限りです。なにぶんにも個性に欠ける寝屋川市、鉄道の町としてアイデンティティを見出そうとしているようです。寝屋川車庫をテーマパークに、という意見も出てましたよ。
by サットン (2012-02-09 10:54) 

うたに

なるほど。簡単にはいかない問題があれこれあるのですね。
昨年、事業用車として使われていた伊豆急のクモハ103が"復活"しましたが、それよりも遥かに困難を伴いそうですね。。模型のように簡単にできたらいいのに・・・。
by うたに (2012-02-09 13:01) 

サットン

うたにさん

正直なところどうして動態化するのに8千万もの費用が掛かるのかと思っていましたが、機器がそっくり取り外されていると聞いて納得しました。吊り掛けモーターがなければVVVF制御っていうのも面白いかなと。
伊豆急のクモハ103も復活しましたね♪ 公園で展示されていたSLすら復活するんですから不可能はないのでは。
by サットン (2012-02-09 18:08) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0