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パレスホテル東京間もなく開業 [ホテル(その他)]

名門ホテル復活なるか

東京・丸の内の皇居お濠端に23階建ての瀟洒な建物が全容を現した。パレスホテル東京である。パレスホテル東京は1961年開業の旧パレスホテルを2009年1月で閉館し、全面的に建て替えたもの。5月17日に開業すると3年ぶりの名門ホテル復活となり関係者の注目を浴びている。

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▲皇居和田倉濠に面して姿を現したパレスホテル東京、左後方はパレスビル

旧パレスホテルは東京都心に位置し、皇居を臨むロケーションがセールスポイントの一つだった。また、丸の内という立地から財界関係の利用も多く、大手町の経団連会館のケータリング業務も受託するなど企業関係者からは絶大な支持を受けていた。しかし、築後50年近くを経過し老朽化が進んだことから全面改築に踏み切った。3年間営業を休止するというリスクの他、休業中の従業員の処遇など難題を抱えながらの英断である。

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▲取材時には偶然竣工式が挙行されていた

3月8日に竣工式を迎えた新生パレスホテルは先代同様ホテル棟とオフィス棟(パレスビル)からなりホテル棟は地上23階、地下4階建て、延床面積は約62,000平米。客室数は290室と先代の389室から大幅に少なくなるが、1室当りの面積は45平米以上とゆったりしたものとなる。収益の柱になると思われる宴会部門は1,160平米の大宴会場の他7箇所の中小宴会場を備える。各会場とも採光可能なレイアウトになっているのが特徴。婚礼施設はキリスト教式、神式会場をそれぞれ1箇所備える。料飲施設は先代から引き継ぐフランス料理「クラウン」をはじめ和・洋・中、ラウンジ、バーなど計10店舗を揃えて周辺企業の法人需要などの取り込みを狙う。他にもプールを備えたフィットネス施設、ペストリーショップ、地下アーケードなどを備える。

名門復活を賭けた新生オープンだがそのタイミングは決して恵まれたものとは言えないようだ。リーマンショックの痛手も癒えないうちに襲った東日本大震災は東京のホテルマーケットにかつてない打撃を与え都内の高級ホテルは部分休業に追い込まれる施設が相次いだ。さらに今回の欧州経済危機は欧米からのビジネスマンへの依存度が高い東京の宿泊需要に追い討ちをかけている。荒波の中の船出といってもよい。だが、ホテルの名声を勝ち取るチャンスもある。10月に予定されるIMF東京総会である。加盟187ヶ国から2万人が出席するといわれ新生パレスもデレゲーション受け入れを担うことになるだろう。国際的なデビューを飾る千載一遇の好機である。

2ヵ月後のオープンに向け既に各部門とも予約の受付が始まっている。果たして名実ともに名門の復活なるか注目していきたい。

                                            (写真取材:本誌東京特派員)

パレスホテル東京公式WEBサイト http://www.palacehoteltokyo.com/main.php


ヤジウマ目線でパレスホテル東京を見てみると・・・・

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▲重厚な印象の外観

さてさて、新聞調の文章はこれくらいにして、ここからはパレスホテルのニュースリリースを見ながら新しいホテルの様子を覗いて見ましょう。ここからは私の個人的な印象です。

まずはホテル外観から。
先代に比べかなり高層化され、壁面も独特だった黄土色系から白に変わりました。凹凸のはっきりしたファサードはかなり重厚な印象を与えます。周囲が比較的のっぺりしたオフィスビルなので威圧的にすら感じます。

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▲玄関付近 ポールに旗が靡くのが待ち遠しい

続いて各部門ごとに・・・・

宿泊部門
室数290と先代からは100室減少し、その分1室当たりが広くなっています。これは宿泊の営業をかなり頑張らないと。高稼働、高単価両方を維持しないと利益が出ないと思います。その点はホテル側も意識しているのか世界的な高級ホテル予約チェーンLeading Hotels of the World(LHW)に新たに加盟したようです。外国人比率60%を想定しているとのこと。LHWが上手く機能してくれれば良いんですが・・・・・。
主力客室が45平米で正規室料が52,500から。平米単価は約1,167円以上となります。参考までに本誌試算によると帝国ホテル東京は1,443円(本館スーペリア)です。まあ、ホテル屋が言うのもなんですけど今の世の中ホテルの正規料金ほど当てにならないものはありませんが。
それでは実勢価格はどうか。ホテル予約サイト「一休.com」によると正価52,500円(2名利用時室料、消費税込・サ別)のデラックスキングが開業記念プランとして40,000円(同、消費税・サ共)で呈示されております。開業前の強気の価格ですが、それでも約23%割引となっています。
最近の高級ホテルお約束のクラブフロアはもちろん完備。20階以上の74室(本誌推計)がこれに該当し、19階のラウンジでの諸々のサービスが利用できて63,000円から。

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▲宴会・料飲施設が集中する低層階の様子

宴会部門
都市型ホテルの稼ぎ頭である宴会部門。法人需要の多いパレスも宴会部門への依存度は高いのではと推察されます。
2・4階に展開する花の名を冠した8室の宴会場の主力は「葵」。広さは1,160平米と1,500平米以上も珍しくない都内のホテルの中ではおとなしいですね。冷え込んだままの大型宴会需要が回復の兆しを見せない今の状況では賢明な選択かと思います。葵は和田倉濠に面した壁面がガラス張りになっており(上の写真2・3階部分の大型ガラス部分と思われる)、皇居の緑を取り込んで良いムードになるのではないでしょうか。他の会場も全室採光可能です。
ただ、フロアプランを見て懸念を抱いたのが控室となる会場が少ないこと。大宴会場を稼動させるには多くの控室が必要になります。出席者用、VIP用、主催者用と最低3室は必要。全体で8室しかないのに3室を控室で取られては宴会部門は上がったりです。どう対応するのかな。 

婚礼対応としてはチャペル、神殿各1ヶ所。最大の武器は5階のチャペルでしょう。ここも皇居に面してガラス張りになっています。写真5階部分、緑のシートが掛かった部分でしょうね。披露宴会場としては特に人気の高い窓のある宴会場ともども婚礼セールスの強力なポイントになると思われます。従来婚礼には弱いイメージがあったパレスがどこまで巻き返すか楽しみです。

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▲新しいシンボルマークが掲げられた車寄せ

料飲部門
計10ヶ所と地下にも店舗があった先代に比べ集約された印象です。フレンチの「クラウン」など高価格店は周辺の法人需要の取り込みが、カジュアル店も休日の集客がポイントになるでしょう。オフィス街ゆえ先代も休日はかなり静かだったように思います。
あと、これはパレスに限らず最近のホテル全般に言えることですが、コーヒーハウスって呼称を使わなくなりましたね。オールデイダイニングですか・・・・わかったようなわからんような妙な呼称です。コーヒーハウスってそんなに安っぽいですか。コーヒーハウスこそホテル料飲部門の華!って思っているのは昭和のホテル屋だけなんでしょうか。まあ、呼称を弄ったからって集客に影響するとは思いませんが。

その他諸々
ヤジウマ的に好き勝手書きましたが、ホテル屋としては大いに期待し注目しております。パレスのブランドは重いですからね。そのパレスが3年間の眠りから甦るんですから。ダメなら撤退すりゃいいわで乗り込んでくるガイシ系ホテルとは違います。
それにしても閉館中従業員の皆さんはたいへんだったでしょうね。大規模なホテルチェーンなら少人数に分けて各ホテルに派遣できますが、パレスは決して大きなチェーンじゃない。グランドパレス、大宮、立川、箱根と館外レストラン程度。とても旗艦のスタッフを引き受けるだけのキャパはないでしょう。ほんとどうされてたんでしょうか? 今後、東京オリンピックが契機となった第1次ホテルブームに誕生した多くのホテルが改築を迫られるわけで今回のパレスのケースは良い試金石になるでしょう。そういう意味でも注目です。
しかし、そんな身内のことより3年間遠ざかっていた顧客を如何に呼び戻すのかが復活のキーですね。特に大型宴会は時間がかかることでしょう。
名門復活を祈ります。

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▲日々変化する都心のスカイライン



特派員とパレスホテルを語る

それでは今回現地に飛んでくれた東京特派員に話を聞いてみましょう。

編集部:精力的な取材お疲れ様。まず、パレスホテルというとその立地が強みだと思うが。

特派員:ま、場所がいいよな、パレス(宮城)前だから、皇居側からの写真を見てもらえば分かるだろうが。

編:財界関係者の絶大な支持を得てる。私も企業の周年記念、トップ就任披露など大型宴会の東京本番がパレスであり何度か見学させてもらった。

特:旧パレスは、決算説明会とかレセプションで何回か行ったことがある、やや天井低い感じだったけど、立食の飯が比較的いい、という評判だったかな。

編:新しい建物だが、写真で見る限りかなり重厚というか威圧的にも見えるが。

特:ま、ぱっと見、オフィス棟は普通だし、ホテル棟は曲線が入ってるのと和田倉堀・噴水の空間があるので、そんなに威圧感は感じなかったな。

編:最後に、丸の内、大手町界隈のスカイラインはどんどん変わっていく・・・・旧協和銀行本店ビルも取り壊しだとか。

特:新しいビル建設中ばっかりで、宮城より高い建物は作らんという不文律はかけらも残ってないな。

編:そういえば東京海上ビルの建設が持ち上がったときは騒ぎになった。皇居を見下ろす気か、不敬極まりないって。パレスホテルは今後も随時フォロー願いたい。東京ステーションホテルもセットで。

特:えっそれも?

編:よろしく。

ということで今後も鋭意取材していきますのでご期待下さい!
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コメント 2

ちんくろ2級

ホント、たまに仕事で丸の内近辺の会社に伺うことがありますが、高い場所に案内されて、景色をみるたびに、その見晴らしの良さと同時に宮城を上から拝してしまうのに、ためらいを感じるのは確かです。
といっても、戦後も戦後の生まれですけどね。
by ちんくろ2級 (2012-03-18 12:27) 

サットン

ちんくろ2級さん

私も二十年ほど前は大手町界隈をウロウロしておりましたが、街並みが一変しており驚くばかりです。
物議をかもした東京海上ビル…今は何と呼ぶのでしょう…も今では埋もれてしまってますよねぇ。
by サットン (2012-03-18 15:15) 

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