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乗りつぶし 北近畿タンゴ鉄道宮福線編 [鉄道の旅]

観光列車で優雅につぶす

前日に福知山入りを果たし1泊して英気を養った後北近畿タンゴ鉄道(KTR)乗りつぶしに着手します。
3セク鉄道の大物KTRは旧国鉄から継承した宮津線とKTR(当時は宮福鉄道)発足後に開業した宮福線からなりますが、まずは宮福線からやっつけます。

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▲福知山駅北口

福知山アークホテルをチェックアウトし福知山駅へ向かいます。今日も朝からカンカン照りであります。
駅の高架化に合わせて駅前もきれいに整備されていますが、なんとなく活気に欠けるのが気になります。地上駅時代にはもっと人通りが多かったように思うんですが。

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▲旧福知山鉄道管理局に入るKTR本社

駅前にはこんな建物が。いかにもお役所、ミニ霞が関っていう感じの建物は現在JR西日本福知山支社のビルですが、かつては国鉄福知山鉄道管理局庁舎でした。KTRの本社もここに入っているようです。

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▲KTR福知山駅コンコース

高架の福知山駅北側の一画がKTRの縄張りです。JRのブルーに対してグリーンでアピールしています。先程、人通りが少ないと書きましたが、18きっぷのシーズンとあってコンコースには多くの鉄ちゃんの姿が。今も昔も福知山駅は鉄ちゃんの集散地であります。構内には「但馬みえふたたび」のポスターがあちこちに。但馬みえって鉄道娘のキャラのようですが、名前のルーツはどこにあるんでしょう? この疑問は乗りつぶしの途中で解決します。

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▲今回のトクトク切符

KTRの窓口へ行き今日の切符について相談します。KTRは様々なフリー乗車券を発売していますのでね。
窓口氏からは「今日のご予定は?」と乗り鉄殺しの質問が。一瞬たじろいで「と・とにかく全線乗ります」と返す私を「そうですか、決まってないってことですね」と一蹴する窓口氏。結局、KTR全線フリーに加え、特急列車に1回だけ乗れる「ローカルフリー1回だけ特急」切符を1500円で購入。特急2回目からは別途乗車券も必要なので要注意。

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▲KTR改札口付近と駅名標

乗車券を購入、昨日の轍を踏まぬようお茶を購入し準備も万端整います。
列車が着いたのか乗客がパラパラと改札口に現れますが、意外に少ない・・・・。初っ端から赤字額3セクワースト1の厳しさを実感させられます。

◆快速「大江山浪漫」・・・アルプスの牧場を聞きながら

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▲ホームには2本の列車が

目指す列車は9:57発の快速「大江山浪漫号」。快速の名に惹かれての選択です。どんな車両に当るかなと、わくわくしながらホームに上がります。1面2線のホームには2本の列車が。レトロなデザインのMF200とKTRのクイーン「タンゴエクスプローラー」ことKTR001。

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▲大江山浪漫はKTR001

わが大江山浪漫号はこちら! KTR001でした。ラッキーであります。KTRに来たからには是非乗りたかった車両です。オールハイデッカーの3両編成、3セクきっての豪華車両です。ゴールド調のエクステリアにバブルの香りが漂います。3両編成のうち宮津寄り増号車と中間1号車が自由席、最後尾の2号車は指定席の表示が出ていますが、時刻表に指定席の表示はなく実際に指定席として運用されているのかは定かではありません。いずれにしてもこの列車に特別料金なしで乗れるんですから贅沢な話です。

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▲こちらはMF200

宮福鉄道開業当初から活躍しているMF200も載せておきましょう。レトロな顔に16m級ボディー、250馬力エンジン搭載の軽快気動車です。標準形式のMF100に対し、MF200はイベント対応車。カラーもMF100の緑に対し、MF200は赤。青鬼、赤鬼をイメージしているそうです。かなり汚れているのが気になるところでありますが。

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▲ハイデッカー構造の客室

それでは早速乗車しましょう。10名ほどの乗客はなぜか中間2号車に集中しています。私はもちろん先頭車を狙います。デッキから数段の階段を上がり客席を覗くと誰もいません。しめた!展望席がゲットできそうと、最前部に進むと助士席後には短パン、ビーサン姿のオヤジが寝そべっておりました。ということで私は運転席後に腰を下ろします。
新人アテンダントと思われるたどたどしい放送で「この列車は観光列車のため車窓の案内放送を行い」、さらに「観光ポイントでは徐行、停車する」と告げます。しかし、私は放送時に流れるチャイムに惹かれました。「アルプスの牧場」です! かつて、国鉄の特急・急行形気動車で使われていたメロディー、懐かしい!

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▲発車後しばらくは山陰本線と併走(厚中問屋)

9:57、静かに福知山を発車。しばらくは山陰本線と併走しますが、KTRの線路の方が立派に見えます。
ここでKTR名物アテンダントさん登場。車内放送の主とは別人らしくしっかりした肉声でご挨拶。すかさずビーサンオヤジが「あなた良い声してるねえ。声優さんでもちょっといてないよ」と親しげに話しかけております。確かに張りのある良い声でした。

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▲大江山のビューポイントで観光停車

車内に大江山の鬼伝説について案内放送が流れ始めると列車はスピードを緩め視界の開けた所で停車します。車窓左側には大江山が望めます。山裾に見える鳥居は元伊勢皇大神宮のもので伊勢神宮は元々この地にあったそうです。
列車は高規格ながら一線スルーは見送られた線路をスピードを抑えて進みます。

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▲KTRの要衝宮津に到着

福知山から35分、10:32宮津に到着します。宮福線と宮津線の分岐駅でKTRの鉄道事業部も置かれる要の駅です。
終点の天橋立まで一駅ながら宮福線からの列車はここでスイッチバックします。そのせいか車内の座席は向かい合わせにセットされておりました。
私はここで下車することにします。

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▲シンプルなKTRの駅名標と、少々くたびれ気味のタンゴエクスプローラー

さあ、これでKTRの2線区のうち宮福線、30.4kmを踏破です。

わずかな下車客とともに改札を抜け待合室に入ると別の列車から降りた地元のお嬢さんと思われる二人連れのこんな会話が耳に入りました。
「さっきの電車、暑かったねえ!」
「うん、外より暑かった!」
「クーラー故障しとったらしいよ」
後にこれがわが身に降り掛かろうとは・・・・。

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▲宮津駅舎

宮津では次の列車まで50分あります。ブランチタイムとしましょう。照り付ける太陽を避け、売店でパンでも買ってエアコンの効いた待合室で済ませようかとも思いましたが、駅前に強烈なオーラを放つ建物を見つけ吸い寄せられるように足を向けたのでありました。

◆喫茶の名店で和む

鋭い三角屋根を頂くその建物には「喫茶サイホン」の看板が。玄関にはモーニングセットの案内もあります。「手動」と書かれた扉を開くと店内からは刺すような視線が集中し、盛り上がっていた会話も一瞬静まり返ります。まあ、地元の常連さん主体の店ではよくあることですが。
レザー張りのソファに腰を下ろし店内を見回すと重厚な調度品と骨董類に圧倒されます。天井には豪壮なシャンデリアが。これはもうカフェなんていう軽いノリではありません。昔懐かしい喫茶店、純喫茶であります。オーダーはもちろんモーニング。モーニングなんて何年振りでしょう? 営業で外回りをしていた頃以来とすると約15年振りかな。

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▲喫茶サイホンのモーニング 590円也

運ばれて来たモーニングがこれ。厚焼きトースト2切れ、ハムエッグ・マヨネーズ添え、バナナ、サラダにアイスコーヒーという圧倒的ボリュームであります。しかし、590円って・・・毎朝注文ってわけにはいきませんね。

地元のご常連でほぼ満席の店内に「お客様へのお願い」と書かれた告知が目に留まりました。箇条書きされた内容がなかなかユーモラスなので一部を紹介すると次のような内容です。

・座席より立ってうろうろ歩かないで下さい。
・大声で話さないようお願い致します。
・店内でのサングラス等は外して下さい。
・公序良俗に反する不良行為の方はお断り致します。
・預かり品は一品につき100円頂きます。

という他愛のないことから

・御一人様必ず一品注文を取って下さい。(座席及びウオーターの方はテーブルチャージ料を時間200円頂きます)

という喫茶店経営上深刻なものまで列挙されているのですが、失礼ながら私は飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになりました。「いったい、どんだけ客筋悪いんや!」と突っ込みたくもなります。ところが、そんな「お願い」をあざ笑うような不良行為が隣のテーブルで展開されているのでありました。一人で座っていたオヤジがなんと、鞄から市販のコーヒーボトルを取り出しドバドバとグラスに注いでいるではありませんか!
こんな「お願い」も必要やなあ、と妙に納得して店を後にしたのでありました。

この「お客様へのお願い」が壷に嵌った人は少なくないのか「食べログ」には写真も掲載されております。興味をお持ちの方は >>>こちら

最後は少々脱線してしまいましたが、KTR乗りつぶし、次は豊岡に向かいます。


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コメント 18

あるまーき

こんにちは。
KTRで「アルプスの牧場」が流れているのは、自分は聞いたことがありませんでした。あのKTR001で聞けるとは...、それだけでも自分は行ってみたくなりました。
福知山駅の変容ぶりにも驚きました。
by あるまーき (2012-08-18 17:42) 

やまびこ3

関東人の私は「ローカルフリー1回だけ特急」切符と聞いただけで笑いたくなってしまったのですが、喫茶サイホンのエピソードはすごいですね。
KTRともども行ってみたくなりました。
by やまびこ3 (2012-08-18 20:48) 

プント

KTR001かっこいいですね~
私なんかだと
「小田急のロマンスカーだよ~」と言われると
素直に信じてしまいそうですw
by プント (2012-08-18 22:14) 

UZ

並行している道路の整備が進み、経営的に苦しいのは列車等を拝見していて分かります。DCのみならずKTR001も相当くたびれていますね。
でも最低限の整備はしてほしいものです。
喫茶サイホンのモーニング、ボリュームありますね。告知文についてはビックリしましたが、モラルを考えたら止むを得ないのかも。
by UZ (2012-08-19 18:33) 

のり

気動車の車内チャイム、懐かしいですね。是非聞いてみたいものです。
タンゴエクスプローラ、ずいぶん年季が入ってきましたね。
喫茶店の注意書き、明治村の旧京都市電の車内注意書きを想い出させます。
by のり (2012-08-19 21:32) 

まるたろう

そういえば自分、KTRは何度も乗りにいっていますが、
“但馬みえ”の由来の場所には、まだ降りた事がありません。
最近ずっと、アテンダントが乗車する区間しか乗っていませんので。
MF200は、自分はまだ一度も見た事がありませんね。
年末に、またKTR乗車を予定していますが、次は見てみたいです。
by まるたろう (2012-08-19 22:59) 

サットン

あるまーきさん

アルプスの牧場には私も驚くやら感激するやら。あの儚げに消え入りそうなメロディーをタンゴで耳にするとは意外でした。
ハイケンス、鉄道唱歌も導入すれば集客が期待できるかも知れないですね。
by サットン (2012-08-20 13:24) 

サットン

やまびこ3さん

このネーミングには関西人の私も笑ってしまいます。「そのまんまやないか!もっと捻れよ」って。
サイホンでの店主と客との攻防は衝撃的でしたが、昔懐かしいサ店のムードに和んだのでありました。
by サットン (2012-08-20 13:41) 

サットン

プントさん

そう言われれば小田急のEXEもゴールド系のカラーですね。でもタンゴでは乗車券だけでもこのゴージャスな車両に乗れるんです♪
by サットン (2012-08-20 13:58) 

サットン

UZさん

車両は一様に汚れていて経営の厳しさが滲んでいました。ご心配の最低限度の整備も怪しいんじゃというシーンにもこの後出くわしました。
喫茶サイホンでのひと時は今思い出しても笑ってしまいます。
by サットン (2012-08-20 14:15) 

サットン

のりさん

アルプスの牧場との出会い、感激しました!子供の頃夏休みの帰省で利用していたキハ58の記憶が蘇ってきました。
サイホンの告知、最初はジョークかと思いましたが、実は切実なもののようでした。
by サットン (2012-08-20 14:51) 

サットン

まるたろうさん

但馬みえの正体はわかりましたが、ちょっと残念な扱いになっていました。しかし、なぜ但馬なんでしょうね? タンゴを追求すればいいのにと疑問に感じた鉄道むすめでした。
by サットン (2012-08-20 15:23) 

あおたけ

「ローカルフリー1回だけ特急」、
スゴいネーミングのきっぷですが、たしかにおトクですよね〜。
しかもさっそくその1回の特急か・・・と思いきや、
かつての「タンゴエクスプローラー」が快速で使われているなんて、
乗り鉄に撮ってはこの上ないサービスですね! (^^)
by あおたけ (2012-08-21 19:43) 

サットン

あおたけさん

このネーミング、おそらく議論百出した結果の産物ではないかと。もっと簡潔な名前にしてくれ!とは思いますが。
タンゴエクスプローラはJR乗り入れがなくなって暇なのかこの後も大盤振る舞いでした…。
by サットン (2012-08-22 10:40) 

うたに

ご無沙汰しております。『ローカルフリー1回だけ特急』とは、分かりやすい名称ですね(^ ^ )
車窓から見える山と青空がとてもいいです!
アルプスの牧場、先日乗ってきたキハ183特急北斗でも鳴らしていました。電子音ですけれど、あのメロディーが大好きです。
by うたに (2012-09-01 11:16) 

サットン

うたにさん、お久しぶりです。夏バテでも患っておられるのかと。

この切符、特色をそのまんま商品名にしてしまっていますので分かり易いといえば確かにそうですね。1回だけ・・・私は宮津ー豊岡間でしっかり使わせていただきました。
まさかここでアルプスの牧場に再会しようとは!感激いたしましたよ。北海道でも健在なんですね。北海道は国鉄末期からシンセ調のものを導入してましたよね。珍しくてハイケンスを録音した覚えがあります。

by サットン (2012-09-01 17:42) 

undo

1回だけ特急・・・・どこで使うかついつい迷っちゃいそうです。
でも距離のあるローカル線にはありがたいサービスですね。

喫茶店のくだり、面白く読ませていただきました。そんな不良行為ってなかなか見かけないもんですけどね。お達しまであるくらいですから余程なんでしょうね。
by undo (2012-09-02 23:59) 

サットン

undoさん

特急カードをどこで切るか・・・往復乗車することになった宮津ー豊岡間の片道を特急利用にして変化を付けてみました。KTRの特急料金って意外に高いのでこの切符はお得感ありますよ。
喫茶サイホンの「お願い」、はじめは受け狙いかなと思っていましたが、まさか自分の隣でご法度破りが行われようとは。この人、新聞で隠すようにはしてましたが、どう見ても常連、店側も気付いてるんじゃないでしょうかね。謎は深まります。
by サットン (2012-09-03 10:54) 

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