阪神ジェットカーは今 [鉄道の旅]
新旧ジェットカーを見る
前記事「阪神の赤胴車を訪ねて」では阪神電鉄の急行系車両である通称赤胴車の現状についてお伝えしましたが、今回はもう一方の主役、普通系のジェットカーの様子をご紹介いたしましょう。
今さら説明の必要はないと思いますが、ジェットカーとは普通列車を優等列車の邪魔にならないよう走らせるために開発されたずば抜けた加速・減速性能を有する普通系車両に名付けられたニックネームです。同時期に登場した関西私鉄の通勤車両には、京阪=スーパーカー、阪急=オートカー、近鉄=ラビットカーなどの愛称が与えられていましたが、今でも通用するのはジェットカーだけでしょう。青色系の車体塗装から赤胴車に対して青胴車とも呼ばれています。
赤胴車は既に数本を残すのみですが、果たしてジェットカーはどうなのでしょうか。
◆5001形
▲野田にて
ジェットカーの試作車として湘南スタイルで登場した初代に対して2代目に当ります。外観は旧来のジェットカーのスタイルを踏襲していますが、普通系としては最初の量産冷房車です。なお、行先・種別表示幕は新製後の改造により取り付けられました。阪神の普通は区間運転がほとんどなく、梅田ー元町(現在は高速神戸)の往復が定番だったため当初は表示幕の装備が予定されていなかったとか。
◆5131形
▲尼崎にて
5001形が抵抗制御であるのに対して電機子チョッパ制御で登場。ただし、モーター、台車は廃車発生品を流用しています。特にコイルバネ式の台車は古さが目立ちます。当初は2両固定編成でしたが、後に4両固定に改造され、表示幕の装備の他、中間運転台の撤去、前面幌の撤去などが行われ正面スタイルもすっきりしたものになりました。(5001、5331形も共通)
◆5331形
▲出屋敷にて
5131形の姉妹形式で主制御器が5131形の東芝製に対し、三菱電機製となっています。車体のブルーは光線によって微妙に変化する不思議な色です。
ちなみに阪神の両開き扉は1400ミリ幅を採用しており(一般的には1300ミリ)、元祖ワイドドア車といえるかも知れません。(9300系からは1300ミリ)
◆5500・5550系
▲野田にて
車内外ともに従来車から一新しており新ジェットカーとも言える車両。阪神淡路大震災後の登場のため復興を意識して外装デザインを刷新したといわれています。このデザインは後に急行系車両にも波及することになりました。当初から4両固定編成で登場し、従来の車両が「形」で呼称されているのに対し、「系」が用いられています。
最新バージョン5550系では、シングルアームパンタ、LED式種別・行先表示機を採用しています。
◆新旧勢力分布はほぼ互角
それでは新旧ジェットカーの勢力分布はどうなっているのか? 実感としてはほぼ互角かな、というところでした。wikipediaを参考にして現有勢力を見ると、旧型が5001形×8編成、5131形×3編成、5331形×2編成の計13編成。一方で新ジェットカーは、5500系×9編成、5550系×1編成、計10編成とほぼ拮抗しています。
急行系が8000系以降の車両に集約されているのと対照的ですが、理由としては ①5001形でも1977年登場と急行系に比べ車齢が比較的若いこと ②阪神大震災による廃車が少なかったことが挙げられると思います。
▲淀川鉄橋上で行き交うジェットカー
急行系が既に本線から阪神顔が姿を消し、赤胴車も塗装変更が進んでいるのに対し、普通系はまだまだ伝統のジェットカーが存在感を示しています。とはいえ所帯が小さな阪神のこと、一たび車両の置き換えが始まると短期間で状況が変化してしまうので目が離せないのも事実でしょう。
前記事「阪神の赤胴車を訪ねて」では阪神電鉄の急行系車両である通称赤胴車の現状についてお伝えしましたが、今回はもう一方の主役、普通系のジェットカーの様子をご紹介いたしましょう。
今さら説明の必要はないと思いますが、ジェットカーとは普通列車を優等列車の邪魔にならないよう走らせるために開発されたずば抜けた加速・減速性能を有する普通系車両に名付けられたニックネームです。同時期に登場した関西私鉄の通勤車両には、京阪=スーパーカー、阪急=オートカー、近鉄=ラビットカーなどの愛称が与えられていましたが、今でも通用するのはジェットカーだけでしょう。青色系の車体塗装から赤胴車に対して青胴車とも呼ばれています。
赤胴車は既に数本を残すのみですが、果たしてジェットカーはどうなのでしょうか。
◆5001形
▲野田にて
ジェットカーの試作車として湘南スタイルで登場した初代に対して2代目に当ります。外観は旧来のジェットカーのスタイルを踏襲していますが、普通系としては最初の量産冷房車です。なお、行先・種別表示幕は新製後の改造により取り付けられました。阪神の普通は区間運転がほとんどなく、梅田ー元町(現在は高速神戸)の往復が定番だったため当初は表示幕の装備が予定されていなかったとか。
◆5131形
▲尼崎にて
5001形が抵抗制御であるのに対して電機子チョッパ制御で登場。ただし、モーター、台車は廃車発生品を流用しています。特にコイルバネ式の台車は古さが目立ちます。当初は2両固定編成でしたが、後に4両固定に改造され、表示幕の装備の他、中間運転台の撤去、前面幌の撤去などが行われ正面スタイルもすっきりしたものになりました。(5001、5331形も共通)
◆5331形
▲出屋敷にて
5131形の姉妹形式で主制御器が5131形の東芝製に対し、三菱電機製となっています。車体のブルーは光線によって微妙に変化する不思議な色です。
ちなみに阪神の両開き扉は1400ミリ幅を採用しており(一般的には1300ミリ)、元祖ワイドドア車といえるかも知れません。(9300系からは1300ミリ)
◆5500・5550系
▲野田にて
車内外ともに従来車から一新しており新ジェットカーとも言える車両。阪神淡路大震災後の登場のため復興を意識して外装デザインを刷新したといわれています。このデザインは後に急行系車両にも波及することになりました。当初から4両固定編成で登場し、従来の車両が「形」で呼称されているのに対し、「系」が用いられています。
最新バージョン5550系では、シングルアームパンタ、LED式種別・行先表示機を採用しています。
◆新旧勢力分布はほぼ互角
それでは新旧ジェットカーの勢力分布はどうなっているのか? 実感としてはほぼ互角かな、というところでした。wikipediaを参考にして現有勢力を見ると、旧型が5001形×8編成、5131形×3編成、5331形×2編成の計13編成。一方で新ジェットカーは、5500系×9編成、5550系×1編成、計10編成とほぼ拮抗しています。
急行系が8000系以降の車両に集約されているのと対照的ですが、理由としては ①5001形でも1977年登場と急行系に比べ車齢が比較的若いこと ②阪神大震災による廃車が少なかったことが挙げられると思います。
▲淀川鉄橋上で行き交うジェットカー
急行系が既に本線から阪神顔が姿を消し、赤胴車も塗装変更が進んでいるのに対し、普通系はまだまだ伝統のジェットカーが存在感を示しています。とはいえ所帯が小さな阪神のこと、一たび車両の置き換えが始まると短期間で状況が変化してしまうので目が離せないのも事実でしょう。
ジェットカー、阪急とともに、こちらも目が離せないですね。
もちろん、乗車してあの加速度を体感するのも、今のうちですね。
加速の際のつり革の動きが、尋常でないです。
by モボ (2013-03-08 22:25)
「モボ様」のおっしゃるとおり、私もジェットカーに乗りますと、起動時の吊革の傾きの大きさが気になって仕方がありません。
あっという間に時速60キロに達するものすごい加速は、素晴らしいですね。
by のり (2013-03-09 21:05)
モボさん
ジェットカー、今すぐにどうこうという状態ではないと思いますが、
エネルギー効率の悪そうな5001形など、経営サイドとしてはそろそろ
取り替えたいんじゃ、と想像してしまいます。
斜め向いた吊革、なかなか見事ですね!
by サットン (2013-03-10 12:06)
のりさん
ジェットカーの加速性能は本気を出すと乗客がケガをする、なんていう話を聞いたことがありますが、実際のところはどうなんでしょうね。
最新の5550系はオールM編成を返上したとか。この加速力も昔語りになる日が来るのかも知れませんね。
by サットン (2013-03-10 12:11)
各停用の電車なのに、その加速力から、
「ジェットカー」というまるで特急の愛称のようなニックネーム、
これを思いついた方はすごい発想ですよね~。
ジェットカーといえば以前、某番組で、
TOKIOがリレーで対決を挑みましたよね~
たしかジェットカーが勝ったような。。。
by あおたけ (2013-03-10 15:09)
あおたけさん
ジェットカーは高性能車の黎明期の車両ですのでネーミングにも期待の高さが窺えますね。
ジェットカー VS TOKIO、wikiによるとジェットカーの2勝1敗だったそうです。白羽の矢が立てられたのは何れも5500系だっととも。
by サットン (2013-03-10 18:57)
阪神顔の活躍を見ると安心します。
最近の新車は加速を抑えているのですか?ヨーロッパなどでは路面電車でも相当な加速をしますので、要は慣れの問題なのだと思うのですが。
by やまびこ3 (2013-03-11 08:25)
やまびこ3さん
阪神顔、なんの飾りもなく決して格好よくはありませんが、見ていて飽きない顔ですよね。
ジェットカー最新バージョンの5550系はオールMを返上し、3M1T編成を組んでいるようです。ジェットカー登場当時とは違って輸送力に余裕が出て来た現状には十分なのかも知れませんね。
by サットン (2013-03-11 15:21)
関西私鉄の⭕⭕カー。ジェットカー以外は殆ど消えましたね。スーパーカー、オートカー、ラビットカーにズームカー、テレビカーもなくなったし。昭和は遠くなりにけり、って感じです。
by Cedar (2013-03-13 06:39)
Cedarさん
ニックネームを頂く関西私鉄車両には当時の技術陣の期待の高さを感じます。何れもエポックメーキングな車両ですよね。
最近この手のニックネームは流行らないんでしょうか。京阪のダブルデッ“カー”ぐらいですか・・・・。
by サットン (2013-03-13 10:46)