SSブログ

乗りつぶし 六甲ライナー編 [鉄道の旅]

かくして神戸新交通全線完乗

5月の南海電車盲腸線群以来の乗りつぶしネタであります。

RIMG0927 (250x188).jpgRIMG0926 (250x188).jpg
▲スタートは住吉駅

12月にしては穏やかなこの日出掛けたのは通称「六甲ライナー」。正式には神戸新交通六甲アイランド線というそうです。タイヤで走るいわゆる新交通システムですが、同じ神戸新交通の「ポートライナー」に較べるとかなり地味な存在であります。新交通システムの第1号としてポートピア’81のアクセスとして華々しく開業したポートライナーに対し、六甲ライナーが開業したのは1990年。既に新交通システムも希少価値は薄らぎ、こいつがアクセスを担う六甲アイランドも人工島としてはポートアイランドの二番煎じ的な印象なので仕方がないのかも知れません。
かくして開業23年間も乗りつぶしから放置されていたのであります。ちなみにポートライナーは開業初日に乗っております。

RIMG0922 (500x375).jpg
▲JRと連絡する住吉駅(北口)

大阪駅からJR神戸線の快速で約20分。やって来たのは住吉駅。神戸市東灘区に所在する駅ですが、ここで降りるのは私は初めて。六甲ライナー開業に合わせるかのように快速停車駅に昇格したようです。道理で地味な駅だなと思うとさにあらず。乗降客は神戸市内で都心3駅に次ぐ第4位(JR)を数えるそうです。実際降りてみると駅ビルを構え、多くの人が行き交う活気ある駅でした。

RIMG0923 (300x225).jpgRIMG0944 (179x200).jpg
▲チケットショップ併設!?

橋上の改札を出ると山側に並ぶように六甲ライナーの改札口があります。驚いたことに、その手前には大手のチケットショップが! 阪神間ではJRの駅近くで回数券が当たり前のようにばら売りされており、その利用者も多いためICカードの普及が進まないという話しは聞いたことがありますが、まさか改札口のすぐ横にチケットショップがあるとは驚きです。
私は券売機で240円の乗車券を購入。普段はICOCAユーザーですが、初めて乗るときぐらいは乗車券を買おうではないかと。それに乗り鉄にカードを利用しているとコスト意識が麻痺してしまいカード破産してしまいそうですし。

◆展望席からパノラマを楽しむ

RIMG0941 (500x375).jpg
▲先頭車は独特のシート配置

それではホームに上がりましょう。新交通システムだけあってフル規格のホームドアに囲まれており車両の顔を拝むのも困難です。まあ、吹きさらしにならないので冬の乗り鉄には助かりますが。
ダイヤは日中でも6分間隔の高頻度運転。1本見送って14:24発の電車に乗り込みます。見送った理由はもちろん展望席を確保するため。無人運転で最前部までシートが配置されており、先頭車の前寄りはクロスシートという絶好のかぶり付きシートになっています。乗客は各車両に5・6人程度ですが、やはり展望席は人気があるようです。

RIMG0928 (500x375).jpg
▲JRの上り普通電車を追うように出発

住吉を発車するとしばらくはJRの海側に沿うように大阪方向に進みます。運が良ければJRの列車と一瞬並走を楽しめます。
乗り心地はというと新交通システム特有のガタガタとした振動が激しく、決して快適とはいえません。特にカーブや分岐器での揺れはかなり酷い。同じタイヤ走行でもモノレールはこんなことはないんですが。

RIMG0929 (500x375).jpg
▲住吉川沿いを南下(住吉ー魚崎)

住吉駅を出外れるとほぼ90度カーブして進路を南に取ります。一路海を目指すわけです。左手にはやはり大阪湾に向けて住吉川が流れます。堤防の松並木に沿って瀟洒なマンションが並ぶ車窓は阪神間らしい風景といえるでしょう。

RIMG0930 (500x375).jpg
▲魚崎で阪神電車と連絡

次の駅魚崎では阪神電車に連絡します。ホームは阪神を見下ろすような位置にありますが、双方の駅は屋根付の陸橋で結ばれていてスムースに乗り換えができるようです。
数人の乗車がありましたが、車内は閑散としたままです。

RIMG0931 (500x375).jpg
▲阪神高速湾岸線を臨む(魚崎ー南魚崎)

阪神電車を乗り越え、阪神高速神戸線をくぐると今度は前方に阪神高速湾岸線の巨大な橋桁が見えてきます。どうやら重層構造になっている様子。この辺りは他にもバラエティに富んだ橋梁が現れるのでその道のマニアには堪らないかもしれません。

◆海を渡る絶景区間

RIMG0935 (500x375).jpg
▲六甲大橋を渡る(南魚崎ーアイランド北口)

南魚崎を出るといよいよこの路線の車窓のクライマックスが始まります。前方から六甲大橋の主塔がぐんぐん迫って来ます。この橋で人工島である六甲アイランドに渡るんですな。上下線の間隔が開き、その間に道路が割り込み橋に取り付きます。左前方にはコンテナ埠頭やフェリーターミナルが展開して、いかにも臨港路線らしい眺めが目を楽しませてくれます。

RIMG0937 (250x188).jpgRIMG0938 (250x188).jpg
▲アイランドセンター付近のビル群と「ホテルプラザ神戸」

しかし、列車はあっという間に六甲アイランドに上陸、今度はシンボリックなビル群が迫ります。アイランドセンター駅周辺の六甲アイランドの中心部です。タワーマンションにホテル、P&Gジャパンの本社もここにあります。その中には「ホテルプラザ神戸」も。大阪の名門といわれながら1999年に突然閉館したホテルプラザの流れを汲むといわれています。元ホテル屋としては是非訪れてみたい。

RIMG0940 (500x375).jpg
▲終点マリンパーク駅に到着

アイランドセンターを出るとすぐに終着駅です。マリンパーク駅というらしい。恥ずかしながら今回の乗りつぶしの下調べをするまでこんな駅名は知りませんでした。ナントカ中央、或いはナントカセンターという駅名を想像していたんですが。
激しく分岐器を渡ってマリンパーク駅到着です。

RIMG0942 (250x188).jpgRIMG0948 (250x188).jpg
▲終点マリンパーク駅に人影はなく

ここまで乗って来たのは10人に満たないでしょう。駅務室にも人影はありませんでした。終着駅なのに。

RIMG0945 (500x375).jpg
▲終着駅のシンボルは?

終着駅恒例の車止めを撮ろうとしますが、線路はカーブしながら先へと繋がっており、途中には留置中の車両の姿が見えます。どうやらこの先に車両基地が置かれているようです。
なんとも締まりのない形で六甲ライナー延長4.5kmの乗りつぶし完了です。

RIMG0943 (500x375).jpg
▲1000型車輌

ここで六甲ライナーの車輌を見てみましょう。4両編成の電車は1000型というそうです。新交通システムのスタンダードともいえる中央にドアが1ヶ所の側面。顔も特に個性はありません。ポートライナーの例に倣うとそろそろ取り替え時かも。

RIMG0949 (500x375).jpg
▲編成端部の展望席

車内はロングシートが基本ですが、“かぶり付き”の数席のみ固定式クロスシートです。お薦め席は左手の最前部。右側は一応運転台がありますので足許が窮屈です。

RIMG0946 (500x375).jpg
▲駅の南西には待機するトレーラーがズラリ

とりあえず改札口を出てみます。目立つのは西側にあるプールの巨大なタコ足のようなスライダーですが、冬季はもちろん休業中。侘しさが募ります。その南側には幹線通りを挟んでコンテナターミナルが。通りには待機するトレーラーがズラリと列を作っています。そして真南には神戸国際大学のキャンパスがありますが、学生の姿は見えず。東側の市立六甲アイランド高校(凄い名前!)の部活中の喚声だけが活気を感じさせてくれました。

RIMG0950 (500x375).jpg
▲六甲大橋から六甲山系を望む

海に浮かぶ未来都市を訪ねたはずが、なんだか侘しい気分で折り返します。復路ももちろん展望席です。走り出すと六甲山系を背にして広がる神戸の街のパノラマに息を呑みます。往路とは全く違った景色を楽しめるのは海と山に挟まれた神戸ならではですね。残念なのは、この日の空が激しく霞んでいたこと。どうやらPM2.5とやらが押し寄せている様子。快晴の空の下この景色を楽しめたらさぞ素晴しいことでしょう。

RIMG0951 (500x375).jpg
▲PM2.5ではありません

“本土”に再上陸して南魚崎を出ると左手前方には多くの酒造工場が並んでおります。流石は酒処灘です。線路沿いの菊正宗の酒蔵にカメラを向けたその瞬間! 側面の窓ガラスが真っ白に曇ってご覧の状態に。これが噂に聞く六甲ライナー名物「瞬間曇りガラス」です。なんでも魚崎付近の西側には線路に近接してマンションが建っているため、その区間のみプライバシーに配慮して電気仕掛けで側面のガラスを雲らせるんだとか。心の準備ができていないとビックリたまげる仕掛けではあります。
さて、復路は魚崎で降りるとします。往路と同じじゃ芸がありませんのでね。


☆今回の収穫
六甲ライナー 住吉ーマリンパーク間 4.5km 踏破
神戸新交通 15.5km 全線踏破
民鉄踏破率 53.165%→53.225% (新交通システム 35.480%→40.948%) *乗りつぶしオンラインによる集計



nice!(23)  コメント(12)  トラックバック(0) 
共通テーマ:旅行

nice! 23

コメント 12

まるたろう

六甲ライナー乗りつぶし、お疲れ様でした。
なるほど、住吉駅が神戸市内の乗降客数が4位ですか、やはり快速が
停車するとしないでは、駅の賑わいも大違いの感じがしますね。
by まるたろう (2013-12-08 08:14) 

硬券屋

住吉駅!こんなにキレイになっていたとは驚きです。私の記憶は昭和時代で終わっていて木造のままの改札口1つ(海側)で停まってます。あの頃は改札バサミの時代でしたね。
by 硬券屋 (2013-12-08 13:28) 

nozzy

プライバシー保護の窓ガラスとはおもしろいですね。
短絡的に考えると防音壁みたいな壁を立ててしまいそうですが。

新交通システムはゆりかもめと埼玉のニューシャトルしか乗ったことがありませんが、札幌の地下鉄に比べるとガタガタとした横揺れが激しいですね。
by nozzy (2013-12-08 17:18) 

京葉帝都

海を渡る区間眺めの良い路線ですね。大阪湾の海風や「六甲おろし」など風の影響は受けるのでしょうか。『ゆりかもめ』に近いものがあります。私も六甲ライナーは1990年代に乗車したことがありました。タッチ&ゴーでしたのであまり記憶はありません。
六甲アイランドは高層住宅が中心でしょうが、もっと集客施設がいるのでは。ただ落ち着いた文教地区の雰囲気、ファッションの街並みは大切にしないといけませんが。
新交通システムで思い出されるのは、高蔵寺まで延伸されないまま廃止されてしまった『ピーチライナー』の悲劇です。六甲ライナーが陸側のみ鉄道2路線と接続していて島側は行き止まりなのに六甲アイランドの住民の重要な足となっているのは、島という特殊な地理的条件からなのでしょう。
窓ガラスが曇るのには驚きました。千葉都市モノレールも車窓には人の営みが飛び込んできます。
11月に幕張メッセで開催された『鉄道技術展』では、M重工のブースに「ゆりかもめ」の新車の実物が展示されていました。ロングシートでした。
by 京葉帝都 (2013-12-08 18:56) 

サットン

まるたろうさん

やっと退治しましたよ六甲ライナー!わずか4.5kmですが・・・・。
失礼ながら住吉駅を見くびっていたようです。利用者も多く、周辺はビルやマンションが密集していて活気を感じました。
新快速の陰に隠れがちな快速ですが、それなりに役割を果たしているようですね。
by サットン (2013-12-08 19:31) 

サットン

硬券屋さん

住吉駅には今回初めてお邪魔しましたが、硬券屋さんはご縁がおありだったんですね。
改札口でパンチ・・・関西では姿を消して四半世紀以上になるでしょうか。
by サットン (2013-12-08 19:37) 

サットン

nozzyさん

電機仕掛けの曇ガラスは初めて体験しました。同じような条件の区間は各地にあるはずですが、なぜ六甲ライナーだけがこんな手の込んだ対策を講じているのか謎ですね。
乗り心地の悪さは路面の凸凹が原因だそうです。対策としてはカンナのような機械で路面を削るんだとか。
by サットン (2013-12-08 19:46) 

サットン

京葉帝都さん

六甲ライナーの車窓は楽しいですよ。人工島内の近未来的な街並みはポートライナーでも見ることができますが、北側の古くからの住宅地とのコントラストは六甲ライナーならではかと。大掛かりな橋梁で海を渡るというのはニュートラム、ゆりかもめなどにも共通しますが、北行きの電車から見る背後に六甲を配したパノラマは一見の価値ありです。
六甲アイランドは正に一つの都市と呼べるほど何でもありの世界ですが、活気に欠けるのが気になりました。P&Gの本社も三ノ宮への移転が決まっているようです。先輩格のポートアイランドがコンテナターミナルを大学に転換したり、先端医療施設を集中的に誘致したりと再生に成果を挙げていますので神戸市には何か秘策があるのかも知れません。株式会社神戸市再来を期待しましょう。
曇りガラスは開業当初は話題になりましたが、すっかり失念しており突然真っ白になったのには正直驚きました。
by サットン (2013-12-08 20:09) 

やまびこ3

六甲ライナーの車両のお顔はJR西の221系に似た感じですね。
ちょうど時期的にはやりだったのかもしれません。
かぶりつき席は本当に全面窓の直後なのですね。
ここは競争率高そう。
by やまびこ3 (2013-12-08 20:34) 

あおたけ

ポートライナーは日本初の新交通システムで注目を浴び、
さらに神戸空港への延伸などがありましたが、
こちらの六甲ライナーって、たしかに地味ですよね〜。
東京に置ける「ゆりかもめ」と「舎人ライナー」の関係
みたいなものかな。。。(^^;)
六甲ライナー、乗り潰し目的で一度だけ乗ったっきりで、
ほとんど車窓風景の記憶がないのですが、
たしかに「自動曇りガラス」の作動は覚えています。。。
by あおたけ (2013-12-09 09:50) 

サットン

やまびこ3さん

電車の顔にも時々の流行って感じますよね。'90年前後の車両には確かに似た顔が多いですし、ポートライナー、ニュートラムなどの新交通第一世代はもっと角ばった顔でした。
展望席は人気のようですが、夏場は暑くて敬遠されるかも知れませんね。
by サットン (2013-12-09 09:52) 

サットン

あおたけさん

ポートライナーと比較されるのは運命ですね。その結果、地味な路線というレッテルを張られるのもまた運命かと。なにしろ起点が三ノ宮に対して住吉っていうのが決定的ですね。雰囲気も地元密着感が強いように感じました。でも変化に富む車窓は絶品です。その点は舎人ライナーより少しは華があるかも。
曇りガラスはその後普及しませんね。色々な区間を走る車両にはプログラムとか面倒なんでしょうか。
by サットン (2013-12-09 10:10) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0