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神戸電鉄を初秋の六甲に訪ねて ② [鉄道の旅]

神鉄2つのジャンクションで電車見物

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▲神鉄の車両は皆神戸っこ・・・・川重生まれです

秋の気配が漂う9月下旬の飛び石連休、「おもてなしきっぷ」で神戸電鉄を乗り歩きしております。今回②では鈴蘭台駅の様子からご案内いたします。

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▲神鉄の要衝鈴蘭台駅

六甲山の南側、鵯越から幾つものトンネルを越え、営業休止中の秘境駅菊水山を車窓に見送り、やって来たのは神鉄のスーパーハブ鈴蘭台であります。神鉄の2大幹線有馬線と粟生線が分岐し、車両基地も抱える文字通り神鉄運転上の要となる駅であります。

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▲神鉄のシェルパ1070形

これは乗って来た普通三田行きの先頭車ですが、なかなかのクセモノであります。18mボディに両運転台、ドア間2つの窓(神鉄の標準は3つ窓)、巨大なパンタと、まるで電気機関車かクモニのような出で立ちです。いかめしい転落防止柵がいかつさを強調しています。登山電車の面目躍如、頼りになるシェルパって感じですね。
1000系の中でも1070形と呼ばれるこの車両は3両編成への増結用に製造されたそうですが、今では1100系と4連の固定編成を組んでいます。現役3両の希少種だそうです。

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▲縁起モノのピンゾロ

後に連なる3両は1100系。こちらは2ドア車でドア間には窓がずらりと並びます。縁起モノのゾロ目がいたので思わずカメラを向けました。

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▲有馬線の普通(左)と粟生線の急行(右)の並び

そうこうしている間にホームの反対側には急行粟生行きが追い付いて来ました。特に接続を取る必要はなさそうですが、有馬線の普通が、粟生線の優等列車を待つ、或いはその逆というシーンは何度も見られました。

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▲迫力の両面同時発車

そして、面白いのがホームに並んだ2本の列車が同時に発車して行く光景が見られること。特に有馬線の列車はポイントを幾つも渡りウネウネと出発して行く姿が見ていて楽しいです。神鉄の時刻表によるとデイタイムには概ね毎時10分と40分に両面同時発車が見られるようです。さすがは3線同時発車で有名な阪急の子会社だけのことはありますね。

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▲1350形2連×2編成

こちらは1350形。1000系グループの2連3ドア車。比較的新しい車両のようで運転台後部にはKマークが光ります。いかつい転落防止柵はこのアングルでも目立ちますなあ。

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▲鈴蘭台終着列車(左)と鈴蘭台始発列車(右)

車庫があるためか当駅止まり、当駅始発の列車も頻繁に見られます。これは上り方面の両者が接続を取っている様子。多くの乗客が面倒くさそうにホームを横切って行きます。

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▲賑わう構内

そこに粟生線志染(しじみ)行きの普通も加わり、駅構内はジャンクションらしい賑わいを見せます。

後方に見えるのはダイエー鈴蘭台店です。話は脱線しますが、ここの看板はかなり遅い時期まで初代ダイエーマーク(黄色地にDを赤い筆記体で)を掲げていた記憶があります。
・・・・こんな思い出を語っていると「ダイエーの屋号が消える」とのニュースが聞こえて来ました。ダイエー全盛期を知る世代としてはなんとも寂しい。ダイエーがジャスコに呑まれるなんて。

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▲これぞ電車と思う今日この頃 

3連2ドア車の1100系です。昭和の匂い漂うマスクに、巨大な前パン振りかざす姿は決してスマートとはいえません。しかし、新車好きを自認する私も最近は、こういう車両も電車らしくていいなあ、と思うようになりました。齢のせいでしょうかねえ・・・・。急行表示がまたええのう♪


◆山間のジャンクション 谷上駅

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▲谷上駅駅名標 神鉄ホーム(左)と北神急行ホーム(右)

鈴蘭台から有馬線の電車でやって来たのは谷上駅です。元々は六甲山中の鄙びた駅でしたが、1988年、神戸市中心部へのバイパス路線となる北神急行電鉄が開業、神鉄も線路を付け替え両社の共同使用駅となりました。ここでは気になる人の流れを見てみようと思います。

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▲広いホームは神鉄(3番線)と北神急行(4番線)が共用

北神急行開業当初はせっかくのバイパス路線にも拘らず神鉄からの乗客の転移は予想を下回っていました。原因は高額な運賃と、この谷上駅での煩雑な乗り換えにありました。開業時両社は別々にホームを構え、乗り換え客は中間改札を通りホームを移動するという不便を強いられていたのです。解決策として神鉄上り副本線をつぶしてホームを拡幅、同一ホーム両面で相互に乗り換えができるよう改良工事が行なわれました。

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▲神鉄は上下列車ともに3番線に発着

さらに神鉄側ではもう一工夫。乗り換えホーム(③番線)は本来上り列車用で下り列車は北隣のホーム(①②番線)に発着していたものを、デイタイムには上下ともに③番線発着として利便性を向上させました。割高だった北神急行の運賃値下げなども相まって乗客の転移が進んでいるそうです。

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▲谷上コレクション

実際、列車到着時の人の流れを見ていると、神鉄上り列車の約半数の乗客が北神急行に乗り換えているようでした。

ちなみに、谷上―三宮間の所要時間と運賃を比較すると(NAVITIME検索結果の一例)
・・・・
・北神急行経由 10分/¥540
・新開地経由   39分/¥600

と、北神急行経由が所要時間で圧倒、運賃でも有利であることがわかります。しか~し、谷上から乗車する人は少ないはずで、試しに岡場(三田線)―三宮間で検索すると・・・・
・北神急行経由 26分/¥930         
・新開地経由   56分/¥740

今度は運賃面で新開地経由の方が圧倒的に有利になります。 
まだまだ改善の余地がありそうですが、乗客減少に悩む神鉄としては、これ以上は勘弁ってところかもわかりません。


◆岐路に立つ粟生線で向かった先は

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▲粟生線小野行きは2000系(鈴蘭台)

鈴蘭台に戻り、今度は粟生線に乗ってみます。実は今回神鉄を訪ねたのは、この粟生線が気になっていたからでもあります。粟生線は急激な乗客減少に陥っていて、神鉄と沿線自治体で「粟生線活性化協議会」を結成、存続を目指して活性化に取り組んでいる最中です。今回利用した「
おもてなしきっぷ」も活性化策の一環なのです。私の神鉄に対するイメージは、沿線の急速な開発で乗客が急増、輸送力増強に躍起になっている民鉄界の成長株というものでした。そんな神鉄が「乗って残そう」の対象になっているなんて。

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▲阪急テイストのインテリア

鈴蘭台を発車するとすぐに50‰の急勾配を単線で駆け上がり、2駅目の西鈴蘭台から次の藍那までは複線になります。藍那を出て再び単線を進んでいると思ったら何時の間にか複線になっています。藍那ー木津間の川池信号所から押部谷までの約6kmが複線化されているとのこと。この区間には新設された見津車庫もあり輸送力増強のあとが窺えます。

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▲単線に木製の架線柱が並ぶ鄙びた風景

肝心の利用状況は、複線が終る押部谷辺りまでは3両編成の新開地寄り2両はほぼ座席が埋まり、私が乗っていた先頭車は座席の3分の1が埋まるという程度で、利用者低迷もそれほど深刻な印象はありません。が、そこから先は目に見えて寂しくなり、先頭車の乗客は片手でも足りるほどに。これでは粟生寄りの末端区間の状況は明らかです。
そろそろ降りる駅に到着するようです。

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▲目指した先はここ“えびす”

下車したのは、ここ恵比須駅です。兵庫県三木市に所在する駅です。
エビスって、路線バスにでも乗るのか?って言われそうですが、実はそのとおりです。
神鉄の乗客減少の要因は、沿線人口の都心回帰による減少ともう一つ、沿線各地と三ノ宮と直結する路線バスの存在があると言われています。その典型的な例が、ここ恵比須駅前で見られるようなんです。

というわけで、次回は恵比須駅前から路線バスの旅に出てみます。


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コメント 20

のり

神鉄、経営はなかなかつらそうですね。
連続脱線事故で、お上から厳しいお達しを受けたのも耳に新しいところです。
なかなか訪問できずにいる路線、続レポ楽しみにしています。
by のり (2014-09-29 23:22) 

まるたろう

恵比須の駅は最近、神鉄で乗ってより、車で立ち寄る事の方が
多いのですが、やはりここから三ノ宮に出ているバスの存在は、
神鉄にとって脅威だと思いますね。
いつだったか、神鉄の新開地方面と、駅前ではバスの三ノ宮行きが
同時に発車していたのですが、客数では圧倒的にバスの勝ちでした。
by まるたろう (2014-09-29 23:35) 

硬券屋

ほほ〜私と同じで秘境ですなぁ〜 これから、神戸の陸の孤島に行きます。久しぶりにポートライナー取材は如何? お昼はIKEAがオススメです。
by 硬券屋 (2014-09-30 07:45) 

サットン

のりさん

神鉄はかなりきびしい状況にあるようです。沿線人口は減っていく、ライバルは増える、おまけに事故に天災と踏んだり蹴ったりですね。粟生線にいたっては上下分離の話まで出ているとか。
次回はそんな神鉄を脅かすバスの話を予定しております。電車は出て来ませんがお付き合い頂ければうれしいです。
by サットン (2014-09-30 09:36) 

サットン

まるたろうさん

準地元民としてのコメントありがとうございます。一見の私の見聞録よりも説得力がありますね。
昔ながらの勾配路線でえっちらおっちら山を越える神鉄と高速道路で一気に三ノ宮へ抜けるバスとでは全く勝負になりません。粟生線の生き残る途はあるのかなと考えさせられました。
by サットン (2014-09-30 09:52) 

サットン

硬劵屋さん

乗客減少に悩む神鉄とは裏腹に沿線に大学が押し寄せたポートライナーは混雑緩和に追われているとか。皮肉なもんですね。
by サットン (2014-09-30 10:12) 

nozzy

転落防止柵はがばっと開いて噛みつかれそうですね。
あ、もしかしてそういう視覚効果もねらってるのかも。
見た目がいかつくて怖い→ちょと遠巻きにホームを歩く→転落防止 とか。
by nozzy (2014-09-30 13:29) 

Cedar

以前とあるイベントで『幸せの村』というところに三宮からバスで行った事があります、トンネルで山を貫き快適そのもの、途中で見えた神鉄の線路がなんとも頼りなく見えました。
by Cedar (2014-09-30 22:30) 

UZ

神鉄粟生線は経営的に厳しいのは聞いていましたが、記事を拝見していてマイカーやバスとの競争に敗れてどうにもしようがない印象を受けました。
一部車両を阪神9300系のように転換クロスシート化すればいいのかもしれませんが、そこまでの資金もしんどいのでしょうね。
by UZ (2014-10-01 00:13) 

サットン

nozzyさん

この転落防止柵、ホント恐ろし気ですね。狙いどおり?一歩引いてしまいます。最近のJR西日本の新車では先頭車への設置もデフォルトになっていますが、こんなのが正面に付いていると怖いですわ。
by サットン (2014-10-01 07:57) 

サットン

Cedarさん

幸せの村は例のバス旅、高松ー伊勢編にも登場しましたね。はじめは新興宗教かなと思ってしまいました。
この後乗った路線バスも高速道路とトンネルでズバッと三ノ宮をめざします。沿道に幸せの村の看板を見ながら。
by サットン (2014-10-01 08:08) 

サットン

UZさん

粟生線沿線は都心回帰現象で人口がどんどん減っているそうです。普通は鉄道と一緒に路線バスも衰退するところですが、ここではバスは高速道路を味方に鉄道を喰うという皮肉な現象が展開しています。
おっしゃるとおりスピードで駄目なら快適性で勝負というのも必要でしょうね。
by サットン (2014-10-01 08:26) 

あおたけ

神鉄に初めて乗った時、神戸の市街地からものの数分で一気に山深い景色になったのが、強烈な印象でした。菊水山はいい雰囲気の駅でしたよね。。。
恵比須と言って、東京の恵比寿と引っ掛けるのかと思いきや、蛭子さんだったとは、さすがにあの番組を愛していますね〜(笑)
by あおたけ (2014-10-01 15:11) 

サットン

あおたけさん

菊水山駅には降りたことはないんですが、普通列車に乗っても「菊水山には停まりません」とアナウンスが流れていたのを思い出します。本格的な秘境駅でしたね。
恵比須駅で降りたのは決してウケ狙いではなく、粟生線の存廃問題を調べていたらキーワードとして出てきたんです。よりにもよってエビスなんて…。
by サットン (2014-10-01 18:16) 

ENCHI

神鉄、最後に乗ったのはいつだったかな。
北神は北総なみの運賃ですね。通学定期を持たされる身になって厳しさ実感します。
by ENCHI (2014-10-02 12:59) 

サットン

ENCHIさん

神鉄は有馬線にはたまに乗りますが、粟生線は数十年ぶりでした。
北総というと高い運賃に業を煮やした住民が自主運行を初めたバスはどうなったんでしょう?
通学定期からはようやく解放されました。
by サットン (2014-10-02 15:11) 

ENCHI

認知度が広がってきて乗客は増えており、運行本数も増やすようなことが新聞に載っていました。我家では使えないルートですが。
バスといえば単身赴任地の福岡、西鉄バスすごいですわ
by ENCHI (2014-10-03 08:37) 

サットン

ENCHIさん

回答コメントありがとうございます。
パワーアップする自主運行バスに北総沿線住民の怒りを感じますねえ。
西鉄バスにもすっかり慣れたのでは?西鉄バスというと私は旧塗装の車体を思い浮かべますが、最近は新塗装車が増えたようですね。
by サットン (2014-10-03 10:47) 

京葉帝都

1000系グループの正面は、阪急の旧1000系列のような一歩引いた表情ながらも力強さが伝わってきます。2ドア前パン車が残っていたのには驚きました。
粟生線乗った時は名門ゴルフ場の前の駅に停まった時の光景が記憶に残っています。
by 京葉帝都 (2014-10-03 15:17) 

サットン

京葉帝都さん

1000系のいわゆる神鉄顔って見れば見るほど阪急旧1000系に似ていますよね。部品の配置も同じですし。
この顔の2ドア車が今も主力として活躍している光景はある種衝撃的でした。
広野ゴルフ場前のことですね。名門とは知りませんでした。
by サットン (2014-10-04 08:36) 

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