神姫バス 恵比須快速線体験乗車 [バスの旅]
粟生線のライバルの実力は・・・・
神鉄乗り歩きを締めくくったのは粟生線の恵比須駅。単式ホーム1面、1日の乗降客数約1500人の小さな駅ですが、ここから粟生線を脅かす路線バスが出ているとのこと。その名も神姫バス「恵比須快速線」(三木営業所・恵比須駅前―三ノ宮・神戸空港)です。
▲恵比須快速 三ノ宮行きはピカピカの新車
このバスは、三木市内から神戸市西区にかけての住宅地を一般路線バス同様にコマメに回った後、高速道路経由で一気に神戸の中心三ノ宮にワープするという一般路線と高速路線の両面の性格を備えたバスであります。神姫バスでは高速バスとは別枠の「快速バス」と案内しています。京阪バスの「直Q京都」と似た存在かなと想像できます。この快速バスに粟生線の利用者が相当数喰われているといいます。これは乗ってみなければいけません!
▲駅舎も真新しい
恵比須駅は無人駅ながら改築後間がないのかナマコ壁風の小奇麗な駅舎が好印象です。改札を出て、バス停はと探す間もなく目の前にはお馴染みのオレンジ色をまとった神姫の高速仕様車が停まっています。16:00発の快速三ノ宮行です。綺麗に整備された駅前ロータリーに面したバス停には先客が3名。ややあってドアが開き客扱い開始、結局私を含め4名を乗せ発車します。
▲恵比須駅前発は日中でも1時間当たり2・3本を確保
ここで、なぜ恵比須なんていう小駅を始発に設定しているのかという疑問がわいて来ます。この付近の主要駅というと一つ神戸寄りの志染駅になりますが、道路が狭く駅前に大型バスが入れないらしく、その代替になっているようです。三木市のコミュニティバス「みっきぃバス」も複数の路線が乗り入れ、この地域の交通結節点として整備されているように窺えます。
▲三木市内の住宅地でコマメに集客
恵比須駅前を発車すると、住宅地の中の一般道を進みます。自由が丘○丁目、緑が丘×丁目というバス停が連続するのは完全に一般路線バスです。途中の乗降制限もなく、直Q京都とも一味違う印象を受けます。そんな住宅地で1人、2人と乗客を拾い、ここも綺麗に整備された緑が丘駅前に到着、早くも降車があります。短距離利用はこの後も何人か見かけ、少ないながら粟生線の媒体という性格もあるようです。
▲緑が丘駅前からは粟生線に沿って
緑が丘駅前を実乗7名で発車、この後はほぼ粟生線に沿い、押部谷駅前、栄駅前、木幡と粟生線の駅をなぞるように進み乗客は10名に。休日の夕方とあって本来の人の流れからすると逆コースになるんでしょうが、座席定員49名(補助席除く)にしては寂しい乗車率です。
▲今年の新車から導入されたニューデザイン
さて、今回乗った車両ですが、神姫の高速バスでは定番の三菱エアロエース。ところが車内はちょっと違います。青地にオレンジの水玉というシート生地は今までになかったデザインです。帰宅後神姫バスのHPを見ると、なんと今年7月に就役したばかりのピッカピカの新車とのこと。ラッキーであります! 各席にコンセントも装備しているそうですが、うっかり見落としてしまいました。
▲彼岸花や粟生線の電車を車窓に見ながら
緑が丘駅前発車後の車窓は一転して農村風景に。沿道には彼岸花が咲き誇り、思い出したように粟生線の電車が行き違います。バスは藍那ランプから阪神高速7号北神戸線に入りますが、その手前で粟生線をオーバークロス。見下ろした線路は複線分の路盤が整備されていました、藍那―川池信号所間の単線で取り残されている区間も複線化の準備が進められていたようです。果たして完成する日は来るのでしょうか。
▲阪神高速北神戸線を滑るように走る
車内にシートベルト着用の放送が流れ阪神高速に入り、30分弱のワープ区間に突入です。この後は箕谷までの一区間を7号北神戸線、箕谷からは32号新神戸トンネルで六甲山の下を一気に貫きます。トンネルを出ると新神戸駅の南側、三ノ宮はもうすぐです。新神戸トンネルは北神急行にぴったり沿っていると言えばイメージし易いでしょう。
国道2号から右折し、高速バスがひしめくミント神戸裏側の降り場に17:00頃、ほぼ定刻に到着です。乗り慣れない路線バスでは何時もあたふたする運賃精算もICOCAでストレスフリーでした。ここまで670円也。
▲六甲の長いトンネルを抜けるとそこは・・・・
恵比須快速の1時間の乗車は思った以上に短く感じました。コマメに停車する緑が丘駅前までの区間は多少イライラさせられましたが、さすがに高速に乗ってからの速達感が大きく挽回したという感じです。それになんと言っても三ノ宮まで乗り換えなしというのが大きなアドバンテージになっています。ただし、渋滞に嵌って遅延などということになると印象も変わるかと思いますが。
神鉄利用との条件の違いを今回一番乗客が多かった緑が丘と三ノ宮との間で見てみましょう。NAVITIMEの検索結果の一例です・・・・
・神鉄+神戸高速 46分/¥710 乗り換え1回
・恵比須快速線 44分/¥650 乗り換え不要
運賃、所要時間ともに恵比須快速有利と出ました。所要時間は僅差ですが、新開地での乗り換えを勘案すると実感としてはもっと大きな差になりそうです。
実際、恵比須快速は沿線住民の強い支持を得ているようで、2001年の運行開始当時1日往復30便(休日26便)だったものが、現在では95便(土休88便)と3倍に成長しています。
一方の神鉄も急行・準急の割合を増やし速達性の向上に努めますが、高速運転に適さない山岳路線ゆえ効果は限定的で急激な乗客減少に歯止めがききません。スピードで敵わないなら快適性で勝負とはいかないものでしょうか。幸か不幸か2ドア車が多数残っています。これをクロスシートに改造という手もあるかも知れません。乗客減少という現実を逆手に取るわけです。
人口減少と快速バスの台頭という2つの敵に直面する神鉄の厳しい現実を見せ付けられた今回の路線バスの旅でした。
神姫がこれだけ三ノ宮まで幅を利かしていると、神鉄の出番は無いと
いう感じですね。
自分も神鉄、2ドア車だけでもクロスシートへの改造はするべきと
考えます。そうでもしないと、粟生線に未来は無いと思いますので。
by まるたろう (2014-10-04 00:51)
神姫バスでは、三田や明石の大久保北部から三宮への高速バスが、山陽バスでは、名谷・舞子北部からの三宮までの高速バスがあり、鉄道との競争が激しくなってきています。
by モボ (2014-10-04 12:02)
まるたろうさん
この路線、こんなに高頻度で走っているとは知りませんでした。ホント神鉄の存在が霞んでしまいますね。
クロスシート車投入が特効薬になるとも限らないでしょうが、スピード面以外にも目を向けないとこのままではじり貧傾向に歯止めがかかりそうにないですね。
by サットン (2014-10-04 15:39)
モボさん
この路線以外にも神姫バスは神鉄沿線に高速バスを貼り付けているので神鉄には驚異でしょうね。
山陽バスも近距離高速バスを展開しているんですね! 是非試してみたいもんです。
by サットン (2014-10-04 15:51)
このバス、三木でも志染でもなく、
恵比須始発ってところが面白いですね~。
新たに改築した恵比須駅は、
バスのハブターミナルのような役割を
果たしているのでしょうか?
かつては三木鉄道も走っていたこの地域、
せめて神鉄粟生線くらいは残してほしいものですね。。。
by あおたけ (2014-10-05 15:41)
あおたけさん
恵比須駅の存在、実はこのバスを調べていて初めて知った次第でして…。駅自体はじっくり見る時間がなかったんですが、無人で小さな待合室があっただけかと。でもきれいに整備された駅前は意外でした。神鉄の古い車両がよけいに目立つわけで…。
三木鉄道もすっかり忘れ去られてしまったようで。車両はひたちなか海浜鉄道で活躍してるんでしたっけ。粟生線もそうならないように頑張ってもらわないと。
by サットン (2014-10-05 17:56)
社の法務局に出向くのにも難儀しましたが、こんなルートがあるとは・・・バス路線は侮れませんね。(TVの直江津行きバス旅とても面白く、番組的には成功しましたね。構成員もよかった!)
by ファジー (2014-10-07 00:02)
ファジーさん
社というと中国道のインターはすぐに思い浮かびますが、電車、バスでとなると悩みますね。神姫バスは西脇方面にも急行バスを運行しているそうです。
バス旅といえば第4弾京都ー宮島編に神姫バスの三ノ宮ー社線が登場していたのを思い出しました。
by サットン (2014-10-07 10:13)
バスは便利なんですが、時間が読めないのが難点なんですよね~。いつだったか新大阪から有馬温泉まで行こうとしてひどい目にあいました。もっとバスと鉄道の結節点がたくさんできるといいのですが。
by やまびこ3 (2014-10-09 21:36)
やまびこ3さん
今回の乗車はたまたま渋滞にもはまらず定時運行でしたので快適そのものでしたが、仮に渋滞に巻き込まれていれば印象はずいぶん違っていたと思います。その他の弱点というと座席定員制なので満員通過のリスクがあることぐらいでしょうか。
by サットン (2014-10-10 16:03)
高速道路に便乗した形のバス路線は各地で鉄道の脅威となっていますが、特にこの恵比須快速線は歯がゆいくらいに元々の鉄道線にダメージを与えていますね。このまま行き着くところで競争し続けるのか、どこかでコラボするのか。粟生線は地図を見ても長大で、沿線に遊園地のようなものもなく、ダイヤを見ると日中は1時間に1本にまで削減されてしまいました。粟生線単独の自立は困難でしょう。かつての名鉄のように「DC化して北条鉄道に乗入れては。」の案は単なる妄想なのでしょうか。
by 京葉帝都 (2014-10-12 00:14)
三田に住んでいたころは特急バスの世話になりっぱなしでした。
家の前のバス停から三ノ宮行きが出ていたので便利この上ない状態ですね。
北神戸線、新神戸TNともに大渋滞になることは少ないのである程度定時性があるので通勤客が大挙して使い、2号車が途中バス停で待ってる時間もあるようですよ。
by undo (2014-10-12 11:43)
京葉帝都さん
高速道路という借り物のインフラを縦横無尽に走るバスと、インフラも自前の鉄道じゃそもそも勝負にならないですよね。そんな鉄道会社の負担を軽減するべく各地で上下分離方式が採用されていますが、粟生線の存続もこの方式が軸になりそうです。
沿線人口が一転減少に転じた今、めぼしい集客施設がない地味な粟生線が再び賑わいを取り戻すことがあるのかな…複線化工事途中で放置された線路敷を見て考え込んでしまいました。
by サットン (2014-10-13 08:52)
undoさん
利用者が多い住宅街でごっそり集客して後は高速で三ノ宮へ。まるでトロール船を見る思いでした。家から駅に出る手間を考えると粟生線との所要時間の差は更に広がりますね。
続行便がスタンバイですか。その辺にも急成長の秘訣があるんでしょうね。
by サットン (2014-10-13 09:20)
以前より興味のあった神姫バスの路線について大変参考になりました・
この路線のほかに西脇行きもあり朝ラッシュには神戸方面にたくさん本数もあり、JR加古川線、粟生線を脅かしています。また山陽電鉄バスもJR三宮から垂水北部の路線を持ち阪神高速経由で神戸地下鉄とJRの狭間にある住宅を結び これは現金または回数券の利用ですが、着実に伸びているようです。http://ameblo.jp/talgotraveller/entry-11942639433.html 私のブログもご覧ください
by タルゴ (2014-10-27 18:28)
タルゴさん、いらっしゃいませ!
見たまんまのレポートですが、お役に立てたようで嬉しいです。
三木と三ノ宮を結ぶバスが神鉄にダメージを与えているとは聞いていましたが、まさかの恵比須発着ということで正体を掴みかねておりました。
山陽バスの短距離高速路線は他の方のコメントでも教えていただいたんですが、神戸市内で高速利用とは恐れ入ります。興味をそそられる路線ですね。
タルゴさんのブログ、拝見しました。地元ネタ主体の当方とは反対に世界を舞台にされているんですね。羨ましいです。
by サットン (2014-10-28 08:56)