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ヴァージョンアップした京阪「洛楽」体験乗車 [鉄道の旅]

京阪が本気を出すとこうなった

京阪電鉄では、秋の行楽客取り込みを図るべく、本年から10・11月の土曜・休日に「秋の特別ダイヤ」を導入しております。この特別ダイヤは京都へ向かう観光客の利便性向上を主眼に通常の土休日ダイヤを大幅に変更した内容になっております。なかでも目玉になっているのが京橋―七条間をノンストップで結ぶ「洛楽」の質、量両面に亘るヴァージョンアップです。

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▲ダブルヘッドマークも凛々しく京都へと(京橋)

洛楽とは京阪間直通旅客をターゲットにダブルデッカー連結の8000系を限定使用した臨時快速特急を指します。この洛楽の変遷を要約すると以下のようになります。
・2011年秋期 臨時快速特急「ノンストップ京阪特急」として上り(京都方面)2本、淀屋橋―出町柳間所要時間57分で運転。
・2012年春期 愛称を「洛楽」に決定。
・2014年春期 上り3本に増発。下り2本を新設。

ところが、通常の土休日ダイヤに無理矢理捻じ込んだ従来の洛楽のダイヤはノンストップを謳いながらも所要時間は特急(55分)よりも2分超過。しわ寄せを受けた定期特急の一部が8000系から3ドア車に格下げされるなど率直に言ってやっつけ仕事の感が強いものでした。
従来の洛楽の様子については2012年3月の体験乗車記をご覧下さい。 >>>こちら

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▲特別ダイヤをPRする パンフレットと中吊り広告

その洛楽が、この秋の特別ダイヤでは上下ともに5本に増発されるとともに、課題だった鈍足運転から脱却、淀屋橋―出町柳間を特急よりも5分短い50分運転を実現したというのが最大の注目点であります。前回の体験乗車記で「存在意義がないのでは?」とまで酷評した私としては本気を出した京阪の意気込みを確かめねばなりません。ということで、台風の接近が危ぶまれる10月の3連休初日である11日の土曜日、淀屋橋発10:00の洛楽に乗るべく「2200系50周年記念1日乗車券」を手に淀屋橋へと向かったのであります。

◆車内放送に滲む京阪の本気

台風接近で、外出するなら土曜日のうちに、といわれていただけに電車はラッシュ並みの混雑を見せ、守口市で乗り換えた準急はすし詰め状態。せっかく当った本線仕様の13000系も試乗どころではありません。途中すれ違った9:00発の洛楽の車内にはかなりの立客の姿も見えました。京橋で暫時電車見物の後、乗り込んだ特急が実は折り返し10:00発の洛楽になる列車でした。

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▲快速特急の表示 前回の発車標は「臨時快特」だった

9:52、淀屋橋4番線に到着。まずはこの点からして前回(’12年春)とは違います。従来の洛楽は10分ヘッドの特急の間に挟まるように設定されていたため、淀屋橋では急行・準急用の3番線の隙間を衝くように発着しておりました。しかし、今回の特別ダイヤでは潔く上り特急5本のスジを洛楽に立て替えたのであります。従って従来のように淀屋橋入線後すぐに折り返しということもなく、ゆっくり写真を撮る余裕もできました。

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▲淀屋橋で発車を待つ洛楽

それだけではありません。特急を洛楽に変更したために生じる通過駅(枚方市、樟葉、中書島、丹波橋)利用者の不便を解消するために快速急行を6分先行する形で設定しているのであります。なお、快速急行は枚方市で洛楽を退避するダイヤになっております。
つまり、詰め込みダイヤの中で頭を押さえられ放しだった洛楽がノンストップの名に違わずノビノビと走ることができる環境が整えられたわけです。

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▲淀屋橋に並ぶ快速特急(右)と快速急行(左)

折り返し準備が整った8000系の先頭、1号車に乗り込みます。ざっと3割の座席が埋まりますが、先ほど9:00発の混雑ぶりを見ただけに肩透かしの感は免れません。まあ、勝負は京橋ですが・・・・。実際、天満橋までに約5割の席を埋めた列車は京橋でほぼ満席に。後寄りの車両は立ち客が発生しているかもわかりません。

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▲程よく席が埋まった車内

さあ、ノンストップ区間に出ました。どんどん加速していく中、車内放送が流れます。「・・・・京都への旅を楽に楽しんでいただこうと洛楽は生まれました」。「・・・・京都へのお出掛けがラクラクになるよう安全運転でお送りいたします」と猛烈に洛楽をアピールします。こんな放送も前回は聞かれませんでした。京阪の本気度が窺えます。

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▲複々線を快調に飛ばす

普通を軽く追い抜き守口市を通過。前回はこの辺りでスピードが落ち始めましたが、今回はそんな気配も感じられず。カメラの放列が敷かれた大和田を通過し、さらに普通を追い抜き萱島を通過すると複々線が終了します。

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▲寝屋川車庫を見下ろして 

見下ろす寝屋川車庫に8000系の姿は少数。写真で見る限りでは1本だけ。総動員がかかっているんでしょうか。

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▲香里園では普通が退避中

そして、前回は先行列車に頭を押さえられ停車寸前にまで追い込まれた香里園も普通を待たせて通常のスピードで通過します。なかなかいい走りっぷりです。

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▲枚方市で快速急行を追い抜く

ひらパーを右手に見て枚方市へ。ここでは淀屋橋を6分先発した快速急行を抜き去ります。ある意味新生洛楽の一番の見せ場といったところでしょう。

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▲樟葉は退避なし

左手に淀川の堤防が迫ると樟葉です。ここでは追い抜きはなし。樟葉というと先頃発表された路線価住宅地部門で近畿圏の上昇率ナンバー1になったとか。京阪による「くずはモール」リニューアルが好感されたそうです。

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▲木津川、宇治川(淀川)を相次いで渡る

大阪、京都府境に差し掛かると車窓は水と緑に彩られます。京阪の車窓にあっては珍しくほっとできる風景がしばらく展開します。そんな中で木津川、宇治川(淀川)に架かる赤いトラス橋がアクセントを添えるこの付近の車窓は私のお気に入りの一つです。

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▲宇治線乗り換えの中書島を通過

淀車庫を両側に見下ろし、京都競馬場の巨大なスタンドが迫ると真新しい高架駅淀を通過、カーブしたホームの中書島を過ぎると沿線には建物が密集し、線形もカーブが連続し速度も上がらず。近鉄乗り換えの丹波橋もゆっくり通過します。そんなのんびりした運転が続く中さらにブレーキが掛かり、前方の信号機は減速、停止を現示。どうにか停車は免れ深草に差し掛かると普通が退避中。今回唯一先行列車に頭を押さえられたシーンでした。

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▲JR奈良線をオーバークロス

鳥羽街道―東福寺間でJR奈良線をオーバークロスするとウグイスの103系と出会います。窮屈な東福寺を通過、JR新幹線、東海道本線を潜ると京都市内地下線に入り七条着、京橋から35分です。この後、京都の繁華街のど真ん中祇園四条、地下鉄東西線乗り換えの三条と進みますが、何れも思っていたほどの下車はありません。普段の特急ならこの2駅で乗客のほとんどが下車するんですが。私は三条で下りることとします。
 
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▲三条の駅名標と補助駅名標

どうやら乗客の多くは出町柳から洛北方面へと向かうようです。実は、今回の特別ダイヤから洛楽には洛北方面へのアクセスという使命が課せられております。この列車は「鞍馬・貴船連絡」と称して叡電鞍馬行きに接続。他にも比叡山連絡=叡電八瀬比叡山口行きに接続。大原連絡=京都バス大原行き特急バスに接続という具合です。ヘッドマークも各々異なったデザインのものを用意する力の入れようです。

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▲ヘッドマークにも「鞍馬・貴船連絡」の文字が 左側は鴨東線25周年記念

最近の京阪は京都地区でのネットワーク展開に力が入っているようです。洛北方面は、叡電、京都バスという自社グループ内での連携ですが、JR西日本とも東福寺駅を結節点に主として東山方面への観光客獲得を狙った連繋強化が見られます。大阪でのターミナル立地にハンディを負う京阪にとっては京都での好立地を如何に活かすのかは重要な課題なんでしょう。

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▲特別ダイヤ実施期間中の時刻表(三条駅上り) ピンク=洛楽 赤=特急

さて、ヴァージョンアップされた今秋の洛楽ですが、京都への旅を楽に楽しくというコンセプトどおりの列車になったと感じました。従来の捻じ込みダイヤと、きちんと整理された特別ダイヤとの差は歴然といったところです。使える列車になったという印象です。

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▲洛楽標準ヘッドマーク&8000系25周年記念マーク

ただ、気になるのが洛楽の設定時間帯が遅いのでは?という点です。淀屋橋発9:00~11:00という時間帯は観光客にとってはちょっと遅すぎると思います。ターゲットにしている洛北方面への観光客はもっと早く動くんじゃないでしょうか。この日見た列車も9:00発の乗車率が一番高く、後になるほど落ち着いているように見えました。全体的に1時間程度繰り上げた方がターゲットにピッタリくると思うんですが、如何なものでしょうか。

◆宇治線にも直通列車

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▲宇治線直通 おうじちゃまEXPRESS(京橋)

今回の秋の特別ダイヤのもう一つの目玉が、春期に続いて運転される淀屋橋―宇治間を直通59分で結ぶ「おうじちゃまEXPRESS」です。京橋―中書島間は樟葉のみに停車します。13000系4連ですが、京橋で見かけた宇治行きはガラガラでした。1往復のみの設定ということもあるのでしょうが、この得体の知れないネーミングにも問題があるのではないでしょうか。京阪お得意のアニメとのコラボかと思いましたが、おうじちゃまとは宇治のPRキャラだそうです。加えて列車種別が不明確なのも敬遠される要因になっているように思います。ちなみに案内表示は「臨時」でした。
ヘッドマークは列車名のものと、平等院鳳凰堂の改修落成記念マーク(10円玉類似)を掲出しています。

秋の特別ダイヤに加え、各種ヘッドマークが百花繚乱の京阪電車は話題満載です。秋の乗り鉄、撮り鉄にお薦めです!


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コメント 17

まるたろう

なるほど、通常のスジに組み込むのではなく、特別ダイヤとして
設定しているわけですね。これなら、ノンストップ特急としても
楽しめそうです。
ただ、自分が今秋、京阪に乗る事があるかといえば、今のところ
無さそうですが。
by まるたろう (2014-10-17 22:13) 

Cedar

京阪もいろいろがんばってますね。
ノンストップで50分かあ、でも昔よりは遅いんですね。
宇治線直通はネーミングがヒドイなぁ!
by Cedar (2014-10-18 08:48) 

サットン

まるたろうさん

洛楽もやっと本領を発揮できる舞台を与えられたようです。
看板に偽りなしってところです。まあ、今までが酷すぎたっていうのも
ありますが。
神戸にお住まいのまるたろうさんにとって京阪は使い難いでしょうね。
それが京阪の辛いところなんですよね。
by サットン (2014-10-18 10:52) 

サットン

Cedarさん

他社線との直通もなく、大阪のターミナルがイマイチ弱いガラパゴス状態の
京阪は知恵を出さないと選んでもらえません。鉄道業界のテレビ東京って
ところですね。
洛楽は三条まで47分とかつての特急に較べて2分ほど延びていますね。
ヘッドが詰まったせいでしょうか?

by サットン (2014-10-18 11:19) 

のり

私もこの秋ダイヤを見た瞬間、本気度を感じました。
通常の特急を洛楽に置き換えて、途中駅利用客には快速急行で補完する…。

ひょっとして通常時のデイタイムにノンストップ特急を復活させるための実験か…、と色めき立ったほどです。
京阪、やりますね。
by のり (2014-10-18 17:20) 

ヴェルデ

サットン様お元気で何よりです。
東女で関西のおまけ和歌山に流れてきたもとのしては京阪の戦略わるくないかもですよ。
京都大学周辺に行く場合は圧倒的に京阪有利ですし、私は京都に行くときは京都駅周辺でないかぎり圧倒的に京阪利用ですね。だって京都って三条、四条がメインでしょ。

by ヴェルデ (2014-10-19 03:00) 

サットン

のりさん

この特別ダイヤ、洛楽だけじゃなく急行、準急などにも亘り、ほぼ白紙に近いダイヤ改訂を行なったようです。京阪、本気ですね!
平日への適用ですか。なるほどアリかもしれませんね。この内容なら十分通用すると思います。私としては今のダイヤよりベターかなと。
by サットン (2014-10-19 10:18) 

サットン

ヴェルデさん

お陰様で病人ながらそれなりに元気にしております。
おまけですか?和歌山。イオンモールもできたし賑わっているようじゃありませんか。高島屋は閉店しましたが・・・。
京都でのロケーションは京阪が一歩リードしていますよね♪ 繁華街を南北に貫いていて便利です。私が言うのもなんですが、今後とも京阪電車をご贔屓に!
by サットン (2014-10-19 10:27) 

あおたけ

京阪の快速特急「洛楽」、ダイヤ修正などによって、
ようやくノンストップの本領発揮ですね~!
秋の京都は書き入れ時ですので、
それに対する京阪の意気込みが感じられます。
ダブルヘッドマーク、
関東ではまず見られないスタイルなので、
スゴクかっこよく見えます(^^)
by あおたけ (2014-10-19 19:21) 

やまびこ3

迫真のレポートお疲れ様です。期間限定の臨時ダイヤでノンストップ特急運転とは本気モードが感じられますね。特急マークにダブルヘッドマークとはしびれました。
お気軽にクロスシート車両にのれるのが羨ましいです。
by やまびこ3 (2014-10-19 21:53) 

UZ

阪急やJRに負けないように誕生した快速特急ですが、健闘しているなと思います。外国人観光客にも人気があるとも言われている8000系エレガントサルーンの使用が大きいですね。


by UZ (2014-10-19 23:39) 

サットン

あおたけさん

今回のダイヤで「ノンストップ」、「快速特急」の看板に偽りのない列車になりました。
このところ元気のないパナソニック王国を沿線に抱える京阪にとっては京都への観光輸送は取りこぼしなく獲得したいところだと思います。
ダブルヘッドマークはライバル阪急京都線の2800系特急を思い出させます。
by サットン (2014-10-20 09:27) 

サットン

やまびこ3さん

愛読している鉄道ジャーナルを意識して書いてみましたが、どうも上手くいきません。
このダイヤ、単に臨時列車を増発するに止まらず、ほぼ白紙状態から引き直したように窺えます。まさに本気で勝負に出たってところかと思います。
ダブルヘッドマークに鳩マーク、加えてノンストップの副標と満艦飾状態です。
by サットン (2014-10-20 09:34) 

サットン

UZさん

従来の鈍足特急とは違って新生洛楽は健闘してくれると思いますよ。ライバルJR、阪急が刺激を受けてサービス競争が活発化すれば面白いですね。
京阪間ノンストップ運転で2ドア車8000系の真価が発揮できているように感じます。
by サットン (2014-10-20 09:42) 

hideta-o

サットンさま
 昨日、カミさんと京都国立博物館で開催されている鳥獣人物戯画展を見に行くために洛楽に乗りました。京橋を出た時点で座席はほぼ満席でしたが立っているお客さんはなく、きわめて快適に京都まで行くことができました。
 ただ、普通の特急と乗り間違えたお客さんもちらほら見受けられました。
 洛楽の宣伝がまだ広く世の中に行き渡っていないためかとも思われますが、あまり世の中に知られすぎても混んでしまうし・・・。
by hideta-o (2014-10-26 15:30) 

サットン

hideta-oさん

乗られたんですね!洛楽。国立博物館だとやはり京阪がベストかと。
乗り間違い客は2年前に乗ったときはブツブツ言いながら京橋で降りる人を見かけましたが、今回は見なかったので認知度が上がったのかなという印象でしたが・・・・。
ホームの放送もくどいほど「停車駅をご確認下さい」と繰り返していましたが、聞いてない人は聞いてないですからね。赤い電車=特急という掟が災いしているのかも知れません。
by サットン (2014-10-26 18:28) 

匿名

久々の投稿です!淀屋橋~出町柳50分は出来るだけ昔の所要時間に近ずけてる京阪の意気込みを感じますね!定期特急で56~58分かかるし、なかなかのものです!春、秋特別ダイヤは、次回ダイヤ改正の試行ダイヤだと思いますよ!ズバリダイヤ改正は2015秋でないかと?新型ATS使用開始、深草拡張工事など。
by 匿名 (2015-05-25 04:13) 

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