冬の能勢電おもしろ電車 [鉄道の旅]
2015年乗り鉄初めは能勢電鉄へ
初詣の勢いをかり服部天神駅から阪急宝塚線の電車に乗ってやって来たのは、ここ川西能勢口であります。近場とはいえ正月3日から乗り鉄できるとは幸先のいい新年のスタートであります。
▲川西能勢口駅 阪急(左)・能勢電(右)共用ホームの駅名標
このお正月は全国的に冷え込み、亜熱帯大阪も元日、2日と吹雪きました。しかし、雪化粧するには至らず。それでは雪のある場所まで出掛けるかと新春の乗り鉄初めは能勢電を選んだわけです。能勢の山里へ分け入れば雪景色が見られるかも知れません。能勢電もいろいろやっているようだし。
▲能勢電の切符を手に妙見口行に乗車
最近のマイルールに従い乗り鉄に際してはICカードではなく切符を購入します。川西能勢口から妙見線終点の妙見口まで320円。とりあえず停車中の妙見口行に乗り込みます。1700系(元阪急2000系)4連の車内は座席がさらりと埋まる程度。能勢の妙見山への参拝客を見込んでいたのに拍子抜けであります。阪急の駅には宝塚市内の寺社の混雑状況が掲示されていましたが、妙見山はクルマが主役のようです。
▲昔ながらの阪急顔
ちょっと進んで平野で下車。能勢電の本社が置かれ、車庫も併設する要の駅でありますが、発車標フェチの私が見たかったのはこれ▼。能勢電ではここだけといわれるLED式発車標。別にどうということもない代物ですが、今もフラップ式王国の能勢電にあっては新鮮に見えますな。
▲平野駅のLED式発車標
続いて平野から乗ったのは日生中央行の1700系。初詣ヘッドマーク付がやって来ました。毎年写真に記録していた阪急の初詣マークを今年はまだ捕捉できてないのでありがたい。こいつを山下で捨て、接続する当駅始発の妙見口行を見ると「50型復刻塗装車」。乗り継ぎ客を引き取るとさっさと行ってしまいましたが、運用に就いているようなのでひと安心。妙見口から戻って来るのにそれほど時間はかからないでしょう。
▲初詣ヘッドマーク付(山下)
能勢電のハブ、山下駅でもフラップ式が活躍中。2号線には「1号線経由の日生中央行」の表示が。2号線に着いた日生中央からの区間列車がホーム対面の3号線着の川西能勢口発妙見口行からの接続客を収容後、川西能勢口方の下り本線上で折り返し、1号線で再び客扱いの後日生中央へと戻って行くというなんともマメな運用なんです。
▲2号線の備考欄には「1号線経由の日生中央行きです」の表示
お陰で日生中央に向かう乗客もホームを移動せずに乗り換えできるというわけです。
◆山下駅で2種類の復刻塗装車に遭遇
その2号線に日生中央からやって来たのは「1型復刻塗装」を纏った1500系(元阪急2100系)2連。今日は「50型」が妙見線、「1型」が日生線の各々区間列車に充当されているようです。
▲乗客を乗せたまま本線上で折り返す日生線区間列車
▲1号線で再度客扱いの後日生中央へ
この「1型復刻塗装車」は昨夏にも撮影しましたが、強烈な逆光を浴びて無惨な出来に。今回は少しはマシな作品になったかと。側面の柄は表現できませんでしたが・・・・。
◆「冬の銀河便」
▲「冬の銀河便」として活躍する「50型」
そうこうしている間に先程の「50型」が戻って来ましたので妙見線を先に進みます。前面には「冬の銀河便」のヘッドマークが。「冬の銀河便」とは能勢電による冬季限定のイルミネーションイベントで、笹部―光風台間の沿線や妙見口駅構内にイルミネーションを設置、「50型」車内にも装飾を施し夜間には当該区間で車内灯を消灯してイルミネーションを楽しんでもらおうという企画だそうです。該当列車は能勢電HPで確認できます。>>コチラ
▲車内には写真展示も
今回は昼間の乗車なので生憎イルミネーションを楽しむわけにはいきませんが、車内には沿線の様子を回顧する写真パネルが展示されており、村の古老風のおじいちゃんが「昔はこの辺りはえらい田舎やったんや・・・・」と連れの人に語っていました。
◆光風台駅
▲光風台駅での列車交換
2駅進んだ光風台で降りてみます。ここから大阪府になります。妙見線は山下から単線となり、この光風台が唯一の交換可能駅です。乗って来た列車も川西能勢口行と行き違います。線路際には雪が見えます。そういえば雪景色を見にきたんだった・・・・。
▲立体的な光風台駅周辺
駅名が示すとおり、この駅は住宅団地の開発に合わせて1978年に線路移設の上開設されました。ホームから見る限りでは山の上にマンションが建っているだけですが、地図で確認すると周囲には戸建住宅の団地が広がっているのがわかります。上段に住宅地、中段に駅舎、駅前広場、下段にホームという立体都市ですね。さらにホームの遥か下からは谷川のせせらぎが聞こえて来ます。
▲山下寄りのトンネル
辺りの険しい地形を反映するようにホームも前後をトンネルに挟まれております。山下寄りのトンネルは全長にわたって複線になっていて、ゆうに8連ぐらいなら対応できそうな有効長があります。なぜ、こんなに長い行き違い設備を作ったのでしょう?
旧線時代にもこの付近には信号場があったんだそうですが。
◆流星に願いを
▲ドア横のステッカー
続いてやって来た妙見口行の側面にはこんなステッカーが。「のせでん冬物語 流星(ほし)に願いを」。すっかり能勢電の名物になった装飾電車です。
▲冬の装飾電車 お正月バージョン
3100系4連の中間2両を四季折々のデコレーションで飾るもので、冬季はさらにクリスマス、お正月、節分と移り変わっていくそうです。
▲終点妙見口に到着
賑やかな車内装飾とは裏腹に妙見口終点で降りたのはわずかに10名ほどでした。それでも前面には昨夏は確か省略されていたヘッドマークが掲出され、沿線の人々をなんとか呼び込もうとする能勢電の熱意が感じられます。
▲「流星に願いを」告知ポスター
誰もいなくなったホームには「流星に願いを」の告知ポスターが。節分には鬼の面や、豆まきをモチーフにした装飾を施すとのこと。
▲山を下る装飾電車
電車は運転士が移動するとさっさと折り返して行きます。日中でも10分ヘッドを確保するため、かなりタイトな車両運用になっているようです。
▲妙見口駅前
駅前に出てみましょう。木造駅舎と駅前食堂の取り合わせが懐かしい。昭和の頃には珍しくもなかった風景ですが。ところで期待していた雪景色はご覧のとおり。屋根にわずかに残っているだけです。さすが亜熱帯大阪! 1日前には積もっていたんでしょうけど。とはいえ、肌を刺すような冷気は下界では感じられず、ちょっと心地良かったりします。
▲レトロな駅舎にレトロなポスト
駅舎玄関には丸型郵便ポストも。駅舎、電車ともどもレトロな組み合わせですが、自動改札とLCDモニターがミスマッチですね。
こんな小さな終着駅ですが終電は0:44発、さらに最終到着列車は0:51着と意外に遅い。そんな時間に来てみたいものです。
▲「50型」がお迎えに
電車は空いているのに駅前食堂はそこそこ賑わっており、することもないので私も山を下りることにします。やって来た「50型」に乗り込み、山下までかぶり付きます。
▲念願の雪景色
沿線の雪もほとんど溶けてしまっていますが、陽の当たらない谷間には辛うじて雪景色が残っていました。これは光風台―笹部間だったかな? 山下以北には大阪近郊とは思えない山深い沿線風景が展開します。日が暮れた車窓は漆黒の闇が支配することでしょう。イルミネーションも結構ですが、都会じゃ味わえない暗闇を体験する企画も面白いんじゃないでしょうか。
▲〆は初詣マーク
山下からは初詣マーク付の1700系で川西能勢口へ。平野から山下まで乗った編成でした。
初詣を含めてわずか4時間ほどの乗り鉄初めでしたが、天気も体調も良く久しぶりにのんびりと楽しめた能勢電でありました。
楽しませていただきました。
能勢電も楽しそうですね。
初乗車は日生線建設中の頃でした。しかもそれっきりごぶさたです。
できれば阪急の小型車がひしめいていた頃に乗りたかったのですが…。
日生線の面白い運用には感服しました。
by のり (2015-01-08 20:39)
昨年末、日生中央に車で行く事があったので、帰りにときわ台と
光風台の両駅に寄ってみました。
たまたま光風台の駅舎の脇から、1型の復刻塗装車を見ました。
それにしても駅周辺に、店も何も無かったので、それもちょっと
驚きでしたけど。
by まるたろう (2015-01-09 00:15)
のりさん
お楽しみいただけたとのこと、なによりです♪
今回は特に予習して行ったわけではありませんが、次々に趣向を凝らした電車がやって来てくれました。何れも能勢電の地元愛を感じられる電車でした。
最近、能勢電というと日生線ばかりに足が向いていましたので久しぶりの妙見線の車窓は印象的でした。
日生線の折り返し、乗り継ぎ客の利便を図ってのことでしょうが、おそらく他に例がないのではないでしょうか。
by サットン (2015-01-09 10:47)
まるたろうさん
光風台駅に立ち寄られましたか! 私も次回はじっくりと訪ねてみたいと思いました。駅後方の橋から見下ろした風景はさぞ面白いだろうなあ・・・。
駅前にはバスの回転場以外は何もなさそうですね。マンション付近にはスーパーがあるようですが。でも、駅まで皆さんどうやって来られるんでしょうね? 自転車なら帰りは地獄だろうし。
by サットン (2015-01-09 10:55)
考えれば長いこと能勢電に乗ってません。
昔乗ったのは高校生のときで、当時も阪急のお古でしたが元宝塚線の320形や550形が、急カーブを車輪をきしませながら走っていました。
いったい何年のってないんでしょうか・・・(^_^;;
by hideta-o (2015-01-09 22:51)
hideta-oさん
ずいぶん長いブランクですね! 川西能勢口が高架化される前からってことになりますから。
昨年阪急から5100系の転入で話題になりましたが、どんな姿で営業運転に入るのか。転入が続くのか、気になるところです。
地域密着の能勢電に是非!
by サットン (2015-01-10 10:21)
おお~、相変わらず能勢電の装飾電車は
内装が凝っていますね~!
雪景色見たさで選んだ能勢電での乗り初め、
いいお天気のなか、
かろうじて雪が残っていてよかったですね(^^)
能勢電は乗りつぶし目的で全線を往復しただけなので、
一度じっくりと訪れてみたいものです。
by あおたけ (2015-01-10 19:21)
あおたけさん
すっかり定着した感がある能勢電の装飾電車ですが、今シーズンは途中で2度マイナーチェンジをするという凝りようです。
そもそも好天に背中を押されて出掛けながら雪を期待しているって我ながら矛盾していますね。まあ、雪の残骸を見られただけでもヨシとしましょう。
四季折々の車窓を楽しめ、最近は車両面の動きも話題の能勢電を是非お訪ね下さい!
by サットン (2015-01-11 09:30)
あけましておめでとうございます。
今年も貴ブログ楽しみにしております。
年末用あって神戸に寄りましたが、蛍池から三宮まで阪急電車で往復しました。神戸線は久々ですが相変わらず乗客も車内も品があっていいですね。この線に乗るたびに沿線に住みたいと思います。
by enchi (2015-01-12 11:41)
enchiさん
新年おめでとうございます。
本年もコメントいただければ嬉しいです!
阪急も神・宝・京各線で微妙に雰囲気が違うのが面白いところですね。今も住宅地としての人気ナンバー1は神戸線なので不動産価格もそれなりですが。
by サットン (2015-01-12 12:09)
山下の1号線経由日生中央行き、関西私鉄らしい気配りですね。平気で階段上下させたり、地下5階から地上まで上下のエスカレーターすら無い超有名建築家の駅を自慢してる関東私鉄とは大違いです。
by Cedar (2015-01-13 22:15)
Cedarさん
この山下駅といい、阪神の尼崎といい見事なアイデアだと思います。山下駅のケースは「電車がご乗客のもとにお迎えに上がります」って感じですね。
最近の高架駅や地下駅は駅に着いてから電車に行き着くまでがたいへんで私のような病人には特にこたえます。
by サットン (2015-01-14 10:14)
年末に東武船橋店で開催されていた鉄道写真家広田尚敬さんの写真展で、鬱蒼とした森の中をかき分けるように走る能勢電を横から写した作品がありました。とても貴重な光景だと思います。
能勢電は10年位前に乗車したことがありました。日没後でしたので車両(旧阪急2000系)くらいしか記憶にありません。
光風台と同名の列車交換駅が小湊鉄道にもありますね。
本年も果敢な記事を楽しみにしています。
by 京葉帝都 (2015-01-15 13:48)
京葉帝都さん
広田さんが撮られた頃の能勢電からは今の姿は想像もつかないでしょうね。もちろん光風台駅はなく前身の隧道東口信号場だった頃でしょう。
小湊の光風台駅はさらに想像できません。ローカルなイメージとニュータウン然とした駅名が結び付かなくて…。
今年もこんな調子で細々とやっていきますので引き続きご来訪いただければうれしいです!
by サットン (2015-01-15 19:30)
能勢殿にはスペシャルトレインがたくさん走っているのですね。
青白の50型は阪神と阪急の電車が合体したようで面白いです。
by やまびこ3 (2015-01-15 19:36)
やまびこ3さん
能勢電、なかなかにぎやかでしょう。50型復刻塗装は確かに阪神ジェットカーに似ていますが、やっぱり阪急顔には似合わんなぁと…。
間もなく阪急からの5100系も営業に入るようですよ。
by サットン (2015-01-15 19:53)