駅名標考現学 能勢電鉄編 [鉄道の旅]
2014年末にイメージ一新
鉄道会社の文字どおり看板である駅名標を見て歩く「駅名標考現学」。今回は兵庫県東部から大阪府北部を走る能勢電鉄です。
能勢電鉄では2014年末に全駅の駅名標のデザインをイラスト入りのものに一新しております。その新デザインを先日の新春乗り鉄初めの折に見て来ましたのでご紹介したいと思います。
◆デザインコンセプト
能勢電鉄のHPによると新デザインのコンセプトは 「里山などの自然あふれる沿線風景をモチーフとした緑色を基調とした意匠」だそうです。
それでは川西能勢口駅のものから見てみましょう。
▲川西能勢口
ひらかなメイン表記です。最近の傾向として「かなメイン」表記→「漢字メイン」表記に変更されるケースが目立ちますが、かなメイン表記のままとしたのは乗り入れ相手の阪急に合わせたのかも知れません。
ローマ字表記は最近の主流である頭文字のみ大文字としています。もちろん駅番号も表記されています。
そして、新デザインを特徴付けるのがイラストです。これは各駅ごとに周辺の風物をモチーフに描かれているもので、この駅は 「里山(能勢)への玄関口で、北極星(能勢妙見山)へ向かう線路をイメージしました。 ※能勢妙見山は北極星信仰の開運北辰妙見大菩薩を祀っています。」(能勢電HPより 以下各駅とも)
緑を基調にしたデザインは能勢の山里を思わせる爽やかなデザインで好感が持てますが、肝心の駅名が少々小さいのではないでしょうか。とはいえ趣向を凝らしたイラストには最近地元密着指向を強く打ち出す能勢電鉄の地元愛を感じます。
ちなみに従来の駅名標は全く異なる2種類が混在していました。
▲従来のデザイン
川西能勢口の「し」と「の」の間にスペースが取られていますが、新デザインでは詰まっています。
▲平野駅
本社所在駅平野のイラストは 「付近を流れる塩川から湧き出る鉱泉は平野水として販売され、のちに香料と甘味料を加えた「三ツ矢印の平野シャンペンサイダー」として売り出されたことから、炭酸水が湧き出る様子と当時の面影を残す三ツ矢記念塔をイメージしました。」 三ツ矢サイダーのルーツって能勢電沿線にあったんですよ!
なお、次駅表示は進行方向側にのみ駅番号が表示されています。
▲山下駅
妙見線と日生線とのジャンクション、山下は 「付近は戦国時代より多田銀銅山の製錬で栄えた町で、能勢電鉄が開業したことにより人や物が集まり、銀行や証券会社、ダンスホール、芝居小屋、カフェ、ビリヤード場などが立ち並ぶ華やかな町であったことから、往時を偲ばせる川西市郷土館と精錬所をイメージしました。」
▲光風台駅
山間のニュータウンの玄関口光風台の自立式。そのイメージは 「駅名から光と風をイメージしました。」と至ってシンプル。
▲妙見口駅
妙見線の終点妙見口は所在地が表記されています。 「日本一の里山といわれている妙見山の麓のパッチワーク景観のある里山をイメージしました。 ※今でも炭を生産し、利用されている里山の特徴としてパッチワーク景観があります。」
なお、所在地表記があるのはこの駅と、日生線終点日生中央だけですが、理由は不明です。
デザインは統一されましたが、サイズは何種類もあるのがわかります。
◆補助駅名標
柱張りの補助駅名標もご紹介しておきましょう。これらが今回のデザイン変更に合わせたものか、従来からのものかは不明です。阪急との共用ホームに設置されている川西能勢口のみ仕様が異なっています。それにしても妙見口駅の背景の長閑なこと。
というわけで、久しぶりの駅名標考現学は能勢電鉄を取り上げました。全駅コレクションしたくなる楽しい駅名標でした。
およよ。能勢電というと、ちょっと地味なイメージですが、さわやかで軽やかな駅名票に変わったのですね。CIを導入してイメチェン中といったところでしょうか。
by やまびこ3 (2015-01-15 19:39)
基本的には、阪急と同じ流れを感じますが、それをベースにしてオリジナリティーあふれる爽やかなイメージですね。
都会的なセンス(個人によって思いは様々ですが…)や近代的なものを追い求めてきた頃からくらべれば、時代が変わってきたという感じを強く感じます。
好ましいデザインですね。
by のり (2015-01-16 06:56)
”のせでん”には特に思い出深いエピソードもなく、わりと近年、妙見ケーブルに乗りに行く下調べで存在を知ったばかりのわたしではありますが、なぜか惹かれるモノがあります。
なんでしょうねえ…大阪府とは思えないほどのどかな田園風景のなかを走る姿でしょうかねえ。
駅名標がそんな沿線風景をモチーフにしたようなデザインになってますます好感度が上がりました。
あの復刻カラーの濃緑色を撮ったり乗ったりしに行ってみようかなあ。
by nozzy (2015-01-16 12:36)
やまびこ3さん
私も能勢電のニュースリリースで新デザインを見てその斬新さに驚きました。
今回のデザイン変更はCI程の広がりは今のところないようです。能勢電の地元密着路線の象徴のように思います。
by サットン (2015-01-16 14:13)
のりさん
確かにオリジナリティ溢れる良いデザインですね。イラスト入りの駅名標は歴史の浅い地下鉄や3セクでは珍しくないと思いますが、能勢電のような老舗が導入するのは画期的じゃないかと。
しかし、デザイン担当者は苦労されたでしょうね。各駅の由来を読んでいると苦心のあとがしのばれます。
by サットン (2015-01-16 14:26)
nozzyさん
能勢電が惹き付けるのはやはり大阪周辺では貴重な牧歌的な沿線風景じゃないでしょうかねえ。能勢電もしきりに能勢の里山をPRしていますし。
特に終点妙見口の数十年前にタイムスリップしたような佇まいには魅了されます。一度終電の頃の様子を見に行きたいなと思ったり。狸や猪が宴会してるんじゃないかと…。
復刻塗装車は3年目に入りますので記録されるなら早い方がいいかも知れないですね。
by サットン (2015-01-16 14:55)
イラスト入りもそうですが、自分は特に、地名が入っている
駅名標は、注目しています。どこにいるかが、一目瞭然ですし。
やはり能勢電、今度は電車で訪問します(笑)。
by まるたろう (2015-01-16 22:19)
センスええでんなぁ!乾燥無味!?な東武線なんとかしてくださいな! ゚+.*サッスガァ━━━d(≧U≦●)━━━★*.+゚阪急です。 拍手
by 硬券屋 (2015-01-17 07:51)
ウチの長女は、自分の本(同人誌)のために
フォント作家さんから、文字を買っています。
赤字も黒字も出さないでぇ!(笑)
by hanamura (2015-01-17 12:58)
サットンさま
紆余曲折あって大阪府から泉北高速鉄道を手に入れた南海ですが、どうも自社線にする気はなく、能勢電に対する阪急のスタンスをまねようとしているみたいです。自社線にしてくれたら運賃も安くなるのに・・・。
by hideta-o (2015-01-17 22:16)
まるたろうさん
地名を表記した駅名標って少ないですね。中国語やハングルをダラダラ並べるよりも有益な情報だと思うんですが…。
能勢電、なぜ終着駅だけ表記しているのか理由が気になりますねぇ。
by サットン (2015-01-18 08:52)
硬券屋さん
このイラストは些かメルヘンチックに過ぎるかなとも感じますが、楽しいデザインですね。
東上線の機能に徹したデザインも良いのではないでしょうか。東武全駅にイラストを…というのは酷だと思いますが(笑)
by サットン (2015-01-18 09:06)
hanamuraさん
稚拙な日本語でダラダラ記事を書いてる私なんぞはお嬢さんの拘りを見習わないといけませんね。
本物の駅名標マニアの皆さんはフォントの比較まで研究されていますが、私はまだまだその域には達していません。
by サットン (2015-01-18 09:22)
hideta-oさん
今回の南海による大阪府都市開発の株式取得は子会社化が目的のようですね。泉北高速の駅名標が南海デザインになるってことはなさそうですね。
乗り継ぎ運賃はファンドが提示していたものよりかなり安くなったそうですが。
by サットン (2015-01-18 09:37)