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乗りつぶし 近鉄吉野線編 [鉄道の旅]

ようやく近鉄の近畿エリア完乗

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近鉄落穂拾いの旅の続きであります。天理線を乗りつぶし、やって来たのは橿原神宮前駅。続いて吉野線乗りつぶしに着手します。次の列車まで20分ほどありますのでちょっと駅見物を。橿原線を南下して来ると近鉄の数々の合併の歴史を垣間見ることが出来ますが、ここ橿原神宮前駅はそんなモザイク近鉄の象徴ともいえる駅であります。この駅に乗り入れる橿原線と南大阪線・吉野線は同じ近鉄の路線でありながら軌間が違うのです。両者のホームももちろん分かれていて、ここまで乗って来た標準軌の橿原線が東側1~3番線を、狭軌の南大阪・吉野線が西側4~7番線を使用しています。

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▲フラップ式4連の発車標

駅本屋は両者のホームに挟まれて配置されています。橿原線側には構内踏切も。こんな大きな駅に構内踏切が、と違和感を感じますが、踏切のあるホームの南端部分は特急列車の折り返しに使われる程度なので危険はなさそうです。

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▲構内踏切から橿原線列車を見る

それでは吉野行きが発車する5番線に向かいましょう。手許には天理から720円区間の切符があります。


◆吉野線のモヤモヤを解消
(橿原神宮前13:30―急行―14:22吉野)

さて、その吉野線の踏破履歴がずーっと曖昧な状態になっておりました。幼い頃確かに乗ってはいるのですが、どこまで乗ったのか確証がなく、私の微かな記憶と家族の証言を基に橿原神宮前―壺阪山間3.9kmを暫定的に踏破認定しておりました。そんなモヤモヤした状態も今回終点吉野までズバッと乗り通すことで解消されます。

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▲狭軌の吉野線

次の吉野行きは13:30発。発車標では「各駅にとまります」と表示されていますが、大阪阿部野橋から直通の急行です。この駅から各駅停車となり吉野線内のローカル輸送に当ります。というわけでデイタイムの吉野線は特急と急行のみの運行となるわけです。
やって来たのは正調近鉄顔の4両編成。例によって形式は解りませんが、ラビットカーの末裔であることは間違いないでしょう。多くの降車客と入れ違いに乗り込んだのはわずかで各ロングシートに2・3人という状態で橿原神宮前を発車します。

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▲壺阪山でさくらライナーと出会う

吉野線は25.2kmの全線が単線ですが、休日ダイヤでは日中も特急・急行が各30分間隔(平日の特急は60分間隔)で運転されているため頻繁に行き違いが生じます。壺阪山で早速吉野特急の華「さくらライナー」と出会います。リニューアル後の姿を見るのは初めて。
列車は行き違いの度数分間停車します。その間のドア扱いは独特で、一旦全てのドアを開いた後すぐに「ご用の方は乗務員にお申し出下さい」のアナウンスが流れ全てのドアを閉め切ります。もちろん車内保温のため。発車時刻が迫ると再び全てのドアが開くという段取りです。半自動扱いが出来ないための措置のようです。

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▲近鉄、JRともにベテランが集う吉野口駅

吉野口が近付くと右手から同じ狭軌の線路が絡んで来ます。JR和歌山線です。オーシャンブルーの105系と並ぶようにして吉野口着。こちらの車両もベテランですが、あちらも負けずに老体に鞭を振るっています。
その吉野口駅はJR西日本の管理駅とあって近鉄のホームも駅名標はJR仕様。流石にJRマークは省略されています。
 

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▲車内外ともに長閑なムード

奈良のヒルズにびっくり!

車内は駅ごとに寂しくなっていつしか私の乗る先頭車は10人も乗っていない状況に。沿線風景も田舎の風情が色濃くなって行きます。乗り鉄には不向きなロングシートながら眺望抜群の近鉄車の大きな窓はせめてもの救いです。列車は右に左に大きくカーブしながら進みます。

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▲奈良のビバリーヒルズ?福神

そんなローカル線のムードに慣れてきたと思ったら前方の山の上に巨大な建物が周囲を見下ろすように建っています。ショッピングセンターと病院らしい。目を見張っていると列車は瀟洒なトンガリ屋根の橋上駅舎の下に停車。いったいここは?と駅名標を見ると「福神」(ふくがみ)とあり、「花吉野ガーデンヒルズ前」の副名称が。なんでも近鉄が開発したニュータウンなんだとか。特急も停車し、狭軌版Aceと行き違います。山奥で一瞬幻を見た思いでした。

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▲下市口の街並み

吉野川の谷が広がり久し振りに町らしい町が見えて来ます。吉野線沿線随一の要衝下市口の街並みです。奈良交通バスの拠点にもなっていて昭和のムードが人気の洞川(どろかわ)温泉への玄関口にもなっています。

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▲下市口では特急、急行を待ち合わせ

下市口駅も2面3線の構内を持ち、この列車も特急、急行の2本と行き違います。この間もちろんドアは締め切り扱い。やって来た特急は狭軌版ACE。AceがいたりACEもいたりとやっぱり近鉄はややっこしい。

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▲上流には吉野川橋梁が

河岸段丘にしがみ付くように吉野川を遡って行くと上流に巨大なトラス橋が見えて来ます。吉野線きっての名所吉野川橋梁です。もちろんこの列車も渡るわけですが、かなり強引にアプローチして行くように見えます。

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▲吉野川橋梁を通過中

大和上市を出ると、やはりほぼ直角にカーブを切り橋梁に向かいます。ゆっくりとしたスピードで見下ろす吉野川の風景は単調な里山が続く車窓の絶好のアクセントになりましたが、ここまで来ると終点吉野はもうすぐ、14:22行き止まりの吉野駅に到着です。

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終点吉野駅でお約束の車止めと駅名標を

頭端式ホーム3面4線に大屋根を備え風格たっぷりの吉野駅ですが、列車から降りたのは10人足らず。屋根にすっぽり覆われて薄暗い駅構内は侘しさが募ります。桜のシーズンの賑わいなどおよそ想像もできません。

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▲乗って来た車両は6047でした

とはいえ、吉野線を完乗できました。21.3kmと久し振りに歯応えのある新規線区踏破にまずは満足、満足であります。
冒頭に記したとおり、これで近鉄の近畿地区を片付けたわけですが、言い換えれば乗り残しているのはアプローチが面倒な三重県下の枝線ばかりということになります。近鉄全線踏破はまだまだ先のことになりそうです。

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▲吉野駅駅舎

今回の成果
新規踏破区間:近鉄 吉野線 壺阪山―吉野 21.3km 
近鉄踏破率  88.900%(84.708%) 
私鉄路線踏破率  53.640%(53.355%)
 ( )は直前のデータ
乗りつぶしオンラインによる集計

歯応えありとは書いたものの未だ90%にも届かず。大近鉄は思った以上に手強い。



◆余談 吉野の茶店で癒され・・・ず

吉野線乗りつぶしも終え帰路は阿部野橋まで特急に乗ろうと思います。直近の特急は生憎狙っていた車両ではないので見送ります。ということで30分時間が出来てしまいました。駅前もやはり閑散としており5軒ほど並んだ土産物屋、食堂も開店休業の状態。こういう状況で店の暖簾をくぐるのは勇気が要りますが、寒い中時間をつぶすのも苦痛なので意を決してその中の1軒、食堂兼喫茶店風の戸を開けると・・・・

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▲吉野のコーヒー 350円也

その瞬間店内からはアンタ誰的視線が! 店の女将と村人たちで世間話に花が咲いている中に私が不躾に侵入したという構図になってしまったようです。シマッタ!と思うも引き返す勇気もなく「コーヒーお願いします」と声を絞り出しガタピシする椅子に腰掛け待つこと暫し、なみなみと注がれたコーヒーとなぜかお茶が。スプーンは艶を失い、砂糖は案の定ダマになっています。これなら缶コーヒー買って駅の待合室で飲めばよかった・・・と後悔しつつ熱いコーヒーを流し込むように飲んでいる間も他愛のない世間話は続きます。客としての私の存在は一顧だにされず。特急の発車まではまだ時間がありますが、逃げるように店を出たのでありました。



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コメント 20

Cedar

最後の余談に共感しました!似たような経験がありますよ!
by Cedar (2015-02-06 20:25) 

まるたろう

吉野といえば、奈良県の有名な観光地の一つなのに、
こういうおもてなし一つできない店があるとは、がっかりですね。
自分も、以前経験がありますので、よく分かります。
by まるたろう (2015-02-06 21:40) 

のり

吉野線完乗おめでとうございます。

幸いにも、私は何度か終点吉野まで行っています。
初乗車は、多分小学校の林間学校だったはずです。吉野駅の威容に圧倒されたのをよく覚えています。

最後の乗車からは、もう30年以上も経つでしょうか。随分変わったのでしょうね。
あの頃の特急停車駅は、たしか「阿部野橋・高田市(一部のみ)・橿原神宮前・吉野口・下市口・大和上市・吉野神宮・吉野」だったように記憶しています。16000系2連でした。
もう遠い昔のことになりました。
by のり (2015-02-06 22:17) 

やまびこ3

橿原神宮前駅、初めて奈良観光に行ったときに、飛鳥めぐりで利用しましたが、歴史あるたたずまいに感銘をうけました。
お写真にある吉野駅のホームの突当りの天井部の意匠がなかなか素敵ですね。
沿線の町並みも、関東の安普請の住宅地と違って瓦屋根の落ち着いた家並みで、歴史を感じさせます。
by やまびこ3 (2015-02-07 07:10) 

硬券屋

吉野線...乗りました!中学生の時だったでしょうか。 遥か彼方の記憶を呼び起こしてます。叔父と従兄弟と3人大台ケ原の大峰山(弥山)を登って下山、吉野駅から大阪に向かいました。 下市口という地名おぼえてます。最近ご無沙汰してるのでわかりませんが当時の近鉄特急は乗車するとおしぼりサービスがありましたが、今はどうなってるのでしょうか? 来月は是非、北陸新幹線の取材をお願いします。
by 硬券屋 (2015-02-07 08:52) 

サットン

Cedarさん

お客さんが基本近隣住民で地域の集会所と化している飲食店、よく出会うケースですね。今回もいやな予感がしたんですが、案の定でした。
こういう時、さっと身を翻す術を身に付けたいもんです。
by サットン (2015-02-07 11:10) 

サットン

まるたろうさん

もう、おもてなし以前の問題でした!
私は奈良とは相性が悪いのか奈良の飲食店を利用する度に不快な思いをします。
「奈良に美味いもんなし」、「大仏商法」・・・いろいろな言葉が浮かんで来ました。こんな店ばかりでないことを祈ります。
by サットン (2015-02-07 11:16) 

サットン

のりさん

実は私の微かな記憶にある吉野線乗車の際乗ったのも16000系でした。なにぶん生まれて初めての有料特急ということで子供ながら舞い上がっておりました。エンジのシートに真っ白なカバーがなんとも贅沢な雰囲気でした。
その吉野特急の停車駅ですが、その後どんどん追加されたようで今では通過駅の方が断然少なくなっています。まあ、桜のシーズン以外は需要が見込めない吉野線ですからある意味得策かも知れませんが。
その他、大きく変化したと思われるのは福神駅周辺のニュータウンぐらいでしょうか。
by サットン (2015-02-07 11:30) 

サットン

やまびこ3さん

流石に橿原神宮を冠するだけあってこの駅にはどこか厳かなムードが漂っているように感じます。皇族の利用も多いんだとか。
一方、終点の吉野駅も負けずに重厚な雰囲気の駅でした。橿原神宮前駅を小さくしたような駅舎に何と言ってもホームの大屋根が貫禄たっぷりでした。それに見合う乗客がいなかったのが残念ですが。
黒瓦の産地だけあって奈良の家は立派ですね! 宮脇俊三さんも幾つかの作品の中で地方の民家に感心して、これこそ家で私の住んでいるのは住宅だ、と書いておられるのを思い出しました。
by サットン (2015-02-07 11:42) 

サットン

硬券屋さん

大台ケ原ですか! 昔から秘境好きだったんですね。私は山登りなどできませんので下市口から路線バスに乗って洞川温泉にでも行ってみたいな、と妄想しております。
近鉄特急のオシボリサービスはずいぶん前に廃止されたんではないでしょうか。帰路利用した特急でもありませんでした。そもそも車内販売も姿を消しているようで。
北陸新幹線、金沢止まりの状態では関西人としては全く萌えません。
by サットン (2015-02-07 11:54) 

Cedar

その昔、橿原神宮前は『橿原神宮駅』という駅名でしたね。
バス停が『橿原神宮駅駅前』だったかどうかは知りません。

by Cedar (2015-02-07 20:18) 

サットン

Cedarさん

駅名改称の件、この記事を書くに当たってwikiを見て知った次第です。1970年のことだそうですね。
奈良交通のバス停は今も「橿原神宮駅」だそうです。
by サットン (2015-02-08 11:56) 

あおたけ

近畿エリアの近鉄完乗おめでとうございます(^^)
近鉄吉野線、私は過去二回の訪問はいずれも特急列車で
一気に乗り通してしまいましたが、
のんびりと普通列車に揺られるのもいいですね~。
半自動の無い扉の独特な扱いなど、
普通列車ならではの体験ですよね。

地元の方が集まる地方のお店の話、
私もよく飲み屋で経験します。
でもこういう経験も旅の醍醐味だと思います。
良し悪しは別として、缶コーヒーを飲むよりは、
印象に残ったことでしょう(笑)
by あおたけ (2015-02-08 14:48) 

サットン

あおたけさん

やっとのことで近鉄に一矢を報いたことになりますが、例によって乗り難い路線ばかりが残ってしまったわけで・・・。完乗を達成された緒先輩方の偉大さを改めて痛感しております。
今回新規踏破となる往路は鈍行でのんびりと攻めてみました。空いた車内でヒーターに当りながら吉野川沿いをゆっくり進むのも楽しかったですよ。まあ、吉野線内に限れば特急もほとんどの駅に停まるわけですが(笑)。
この手の店はハズレが多くって・・・。世間話の内容もたいていの場合耳障りのよくない悪口の場合が多いですし。あおたけさんの記事に登場する店は居心地の良さそうな店が多いように感じますが、なにか選択のコツでもあるんでしょうか。
by サットン (2015-02-09 10:34) 

Lionbass

吉野は一度だけ行ったことあります。(仕事で!)
旅館に泊まったのですが、突然の予約・遅い到着で食事なしでの利用でしたが、応対は悪くはありませんでした。
やっぱり桜の季節に行きたいですね。(^_^)
by Lionbass (2015-02-09 15:13) 

サットン

Lionbassさん

お仕事で吉野とは珍しいですね。やっぱり吉野は桜のシーズンに行きたい所かと。
今回取り上げた店も千客万来、活気のある中では、また接客も違っていたかも知れませんね。
by サットン (2015-02-10 14:26) 

ドラもん

大変ご無沙汰しております。本年もよろしくお願いいたします。近鉄線は、アーバンライナーと伊勢志摩ライナー、それにお伊勢参りに行く際乗車した特急と、全て特急にしか乗車したことがありません。
by ドラもん (2015-02-10 22:15) 

サットン

ドラもんさん

こちらこそご無沙汰しております。コメントいただき嬉しいです♪
私鉄とはいえ近鉄ほどの規模になると特急にしか・・・・という方は少なくないでしょうね。その特急だけでも多種多様でなかなか全車種制覇も難しいですね。
by サットン (2015-02-11 10:43) 

京葉帝都

吉野線乗車お疲れでした。吉野線は開通した区間の順序からして和歌山線の支線のような役割もあるのかな、一時思いました。ただ本数は近鉄のほうが多いのでその逆も成り立ちそうです。吉野口駅では両線の行き違いでピークには4本の列車で賑わうのでしょうか。静かな田舎の駅が一時的に華やかになるシーンは、中湧別(北海道、廃止)、今泉(山形県)、吉田(新潟県)、粟生(兵庫県)、備後落合(広島県)などで見ました。
by 京葉帝都 (2015-02-14 20:41) 

サットン

京葉帝都さん

吉野口駅がJR管理という点からJRが主、近鉄が従という時代があったのかも知れないですね。しかし、現状は逆転しているとしか思えません。基本的にローカル線である和歌山線に対して、仮にも吉野線は大阪に直結していますし、なんと言っても指定席の特急が走っていますから!
私が通ったタイミングでは両社4本の列車が揃っていました。単線同士のなせる業でしょうか。
今は亡き中湧別駅、懐かしいです! 30数年前のこの時期に訪ねました。複数のキハ22が顔を揃えていましたね・・・・。
by サットン (2015-02-15 11:39) 

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