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昭和60年9月 大阪~鳥取往復鈍行の旅 往路編 [鉄道の旅]

回想 長距離鈍行の旅

唐突ですが、今日はみなさんを昭和60年(1985年)9月の福知山線、山陰本線の旅にお招きいたしましょう。・・・例の緊急事態宣言が案の定延長されました。好調なスタートを切ったスルッとKANSAIバス印ラリーも塩漬け状態であります。不要不急の外出はならぬ、とのことで新ネタも見つからず。そこで昔話でも聴いていただこうかということで時を戻すのであります。まあ、昭和のオヤジの思い出話だと思ってお付合いいただければ幸いです。

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▲今も昔もテツ旅の強い味方

時は昭和60年9月10日であります。この日は今も36年前も夏の「青春18きっぷ」の有効期限であります。この年私は1日分を使い残しておりどう消化しようか思案に暮れておりました。そこへテツ友E君から「鳥取まで鈍行で往復しないか?」とのお誘いが。渡りに舟とばかりに二つ返事で便乗させてもらったのでありました。
E君から提示されたスケジュールは・・・大阪5:49(鈍行721レ)14:50鳥取15:00(鈍行528レ)19:38福知山 以降大阪まで福知山線経由、または山陰本線経由かはその場の気分で選択、というものです。それにしても鳥取で10分の折り返しって何かの罰ゲームか。

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▲なぜか和田山だけ下車印が もっともらっておけばよかった

ちょっと朝早いのが不安ですが・・・はい、そのとおり。寝坊してしまいました。しかし、そこは阪急宝塚線民だった地の利を生かし阪急で721レを追いかけ無事宝塚で捕まえることができました。

◆721レの行き先は・・・
E君とも無事合流し、6:29宝塚を発車します。ところでこの721レの行き先はどこだと思います? なんと、出雲市ですよ、出雲市!! 大阪から出雲市まで鈍行がダイレクトに結んでいた、そんな時代がわずか三十数年前まであったんですなあ。
さて、列車は武庫川渓谷に沿って走ります。宮脇俊三さんが「最長片道切符の旅」の中でも絶賛しておられた車窓ですが、翌年、福知山線全線電化に併せて新線に切り替えられ役目を終えます。この福知山線の電化工事は、翌年(1986年)11月の国鉄最後のダイヤ改正に間に合わせるべく急ピッチで工事が進められており、この時点でも既に線路沿いには架線柱が立ち並んでいました。

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▲堂々「出雲市」の行き先表示(広野)
 ※画像中人物ブログアップ許諾済み(以下同じ)

◆冷房完備の鈍行で快適な旅
一方、車内の様子ですが、快適であります。なんといっても冷房完備というのがありがたい! そうなんです。この列車には当時福知山線、山陰本線の鈍行列車の定番であった雑客(雑形客車の略)ではなく12系客車が充当されているんです。当時ダブついていた12系をローカル用に転用する例は各地で見られたようですが、ここ福知山線では1985年(時期不明)、つまりこの年に投入されたそうですから12系が活躍する姿を見られたのは電化までの1年少々の短期間ということになります。

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▲12系客車で快適、快適(篠山口)

大阪行きホームが通勤客であふれる三田を出ると沿線風景はすっかり鄙びたムードになりますが、それでも各駅の反対側ホームには通勤客の長い列が。みなさん遠距離通勤ご苦労様です。電化が完成すれば快適通勤が実現しますからね。・・・ところが翌年11月のダイヤ改正は赤字国鉄最後の改正とあって車両も満足に揃えられない超ケチケチの悲惨な内容となったのでありました。
それに比べるとこちらは長閑なムードです。各駅から高校生が乗って来るものの篠山口でどっと降りてしまいガラガラになって9:01福知山に到着です。

◆停車時間の方が長い?
ここで29分間の停車時間があるので散歩がてら朝食を手配しに改札を抜け駅前をうろうろ。結局マクドでテイクアウトします。(この駅前のマクドは閉店したようです)。
それにしてもこの列車、頻繁に長時間停車が設定されています。福知山での29分間を筆頭に主要駅だけでも、篠山口 12分、和田山 16分、豊岡 21分、香住 20分、浜坂 20分という具合。走っている時間より停車している時間の方が長いんじゃないか、と思うぐらいです。一般乗客には甚だ迷惑なことでしょうね。でも、乗り鉄にとってはこの長時間停車こそが鈍行旅の醍醐味なんですなあ。

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▲長い停車時間を利用して記念撮影に勤しむ(豊岡/城崎)

◆特急「はまかぜ」の誘惑
浜坂が近付いた頃、時刻表を見ていたE君が一計を案じます。もし浜坂で後続の特急「はまかぜ1号」にスイッチすると¥1200の課金で鳥取での滞在時間が10分から1時間12分に拡大できるが如何と。このまま計画どおり鈍行に乗り続けたい気もするし、かといってわずか10分で折り返すのもキツイしなあ・・・と思案の結果こうなりました。

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▲特急の誘惑に負けた

根性なしのわれわれは鳥取を目前にした浜坂で、そそくさと特急に寝返ったのでありました。
13:48鳥取着。大阪を出ておよそ8時間が経過しております。721レに乗り続けていれば後1時間遅くなっているところ。投資効果抜群の特急スイッチ技でありました。
ちなみに721レの終着出雲市到着は19:08、なんと大阪から13時間19分! もし今こんな列車が走っていたら絶対乗りに行くのに、と浜坂で挫折した根性なしが申しております。

さて、¥1200で買った鳥取での1時間、駅前の鳥取大丸館内レストランでのランチタイムであっという間に過ぎたのでありました。

それでは折り返し大阪へ向けて「復路編」に続きます。

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コメント 6

硬券屋

もうこういう長閑な時代には戻らないんでしょうね…よくも悪くも
by 硬券屋 (2021-09-20 16:24) 

サットン

硬券屋さん

瑞風やななつぼしは料金を払えば乗れますが、こんな長距離鈍行は今や幾ら札束を積んでも乗れませんからねえ。まあ、当時は当時で言いたいことは山ほどあったんですが。
by サットン (2021-09-21 17:09) 

けっ太

はまかぜのガラガラ状態に驚いております。
by けっ太 (2021-09-21 19:33) 

サットン

けっ太さん

おっしゃるとおり見事にガラガラ、貸切状態でした。
カニかにシーズン以外のはまかぜの需要ってこんなものなのかも知れません。
by サットン (2021-09-21 20:01) 

ハイマン

18きっぷの懐かしいこと
by ハイマン (2021-09-24 14:48) 

サットン

ハイマンさん

懐かしいですね。シンプルながらワクワクさせるデザインだと思います。
今のマルス発券は味気ないですね。
by サットン (2021-09-24 19:37) 

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