「つるぎ」に乗って北陸新幹線を考える 2022夏の富山旅⑧ [鉄道の旅]
◆特急「つるぎ717号」(富山13:43ー14:06金沢)
城端線と富山地方鉄道の乗りつぶしを果たして、そろそろ今回の富山旅も終盤に入ります。最後のお楽しみである北陸新幹線お試し乗車を実行します。世間では西九州新幹線が良くも悪くも話題をさらっていますが、私はやっと北陸新幹線です。
▲富山駅新幹線改札口(LEDが派手に飛んでおります)
乗車するのはもちろん金沢まで。つまみ食い乗車です。大阪に帰る私にとっては新幹線というよりも「サンダーバードリレー号」という感覚です。
▲つるぎ717号 13:43 金沢と表示されているはず
今回は乗るなら「つるぎ」と決めていました。理由は、東京から来る「かがやき」、「はくたか」の出来上がった車内の空気を敬遠したことと、金沢ー富山間という短区間を走る「つるぎ」の実態がどんなものか実際に確かめたかったからです。
▲最後に出会えたJR西版富山駅駅名標
時刻は13時過ぎ、「つるぎ」は概ね1時間に1本の間隔で運転されているようです。次の発車は13:43発の「つるぎ717号」。13:30頃14番線に上がると列車は既に客扱いを始めています。「つるぎ」は12両編成のうち1~7号車と11号車(グリーン車)のみ乗車可能という態勢をとっており需要の程が窺えます。
▲JR東日本持ちでした
しかし、一部車両を締め切り扱いにはするものの律儀に指定席、グリーン車の設定をしているというのは解せません。オール自由席が妥当なところだと思いますが、企業や役所のエライさんの出張対応でしょうか?
私はもちろん自由席、3号車に陣取ります。ちなみにこの列車はJR東日本のE7系が充当されていました。
▲見事にガラ空きの車内
車内に入るとお馴染みの柄のシートが並んでいますが、人影がありません。結局3号車には私を含め2人を乗せただけで富山を発車したのでした。定員83席に対し乗車率なんと2.4%! 空いているだろうとは思っていましたが、ここまでとは! 朝夕にはもう少し需要があるのでしょうが、これが「つるぎ」のデイタイムの実態と見ても大きく外れてはいないと思います。JRから事実上の三くだり半を突き付けられているローカル線の沿線住民が見たら複雑な思いでしょうね。
列車は新幹線特有のサウンドを響かせて走ります。思えば久しぶりの新幹線。10年前に新青森ー新大阪を「はやて」と「のぞみ」で突っ走って以来かも。
▲高岡市街地を望む
やがて車窓からは高岡市街が遠くに見えてきます。写真中央の大きなビルがある辺りに在来線の高岡駅があります。新幹線を高岡駅を通すか、新駅を設置するか、いろいろあって新駅案に決まったそうですが、果たしてそれが正解だったのかどうか・・・。
この列車唯一の途中停車駅新高岡で乗降ともに気配はありませんでした。「はくたか」の場合にはまた事情が違うと思われますが。
まさに空気輸送という状況のまま終点金沢に到着、わずか23分の新幹線の旅が終わります。
◆特急「サンダーバード28号」(金沢14:20ー17:00新大阪)
さあ、乗り換えです。大阪に帰るにはここで乗り換えなければなりません。接続時間は14分と十分ではありますが、やはり乗り換えにはストレスが伴います。
▲まもなく金沢駅では大阪の表示も名古屋の表示も見られなくなる
特に混雑時の自由席利用者にとっては再び座席争奪戦への参戦を強いられることになるのですから。・・・そんな事態を避けるためにJR西は自由席廃止を進めているのでしょうか? 知らんけど・・・。
1回の乗り換えによる心理的負担を時間に換算すると約30分に相当するそうです。新幹線の速達効果など相殺されそうですね。いずれにせよ間もなくここ金沢との往来には関西からも東海からも乗り換えを強いられるわけです。
▲サンダーバード28号
乗り継ぐ先は勝手知ったる北陸本線。おなじみの特急「サンダーバード」であります。見慣れた683系といいたいところですが、リニューアル編成に乗るのは初めてです。車内は特段変わったところは見当たりませんが。
▲乗車券と自由席特急券
「サンダーバード28号」は座席の6・7割を埋めて金沢を後にします。後は新大阪まで座席に身を預けてぐだーっとしているのみです。とはいえ、新大阪から能勢の自宅に向かう乗り継ぎプランの結論が出ていないのでスマホとのにらめっこが続きます。
長い長い北陸トンネルを抜け、敦賀に到着すると・・・
城端線と富山地方鉄道の乗りつぶしを果たして、そろそろ今回の富山旅も終盤に入ります。最後のお楽しみである北陸新幹線お試し乗車を実行します。世間では西九州新幹線が良くも悪くも話題をさらっていますが、私はやっと北陸新幹線です。
▲富山駅新幹線改札口(LEDが派手に飛んでおります)
乗車するのはもちろん金沢まで。つまみ食い乗車です。大阪に帰る私にとっては新幹線というよりも「サンダーバードリレー号」という感覚です。
▲つるぎ717号 13:43 金沢と表示されているはず
今回は乗るなら「つるぎ」と決めていました。理由は、東京から来る「かがやき」、「はくたか」の出来上がった車内の空気を敬遠したことと、金沢ー富山間という短区間を走る「つるぎ」の実態がどんなものか実際に確かめたかったからです。
▲最後に出会えたJR西版富山駅駅名標
時刻は13時過ぎ、「つるぎ」は概ね1時間に1本の間隔で運転されているようです。次の発車は13:43発の「つるぎ717号」。13:30頃14番線に上がると列車は既に客扱いを始めています。「つるぎ」は12両編成のうち1~7号車と11号車(グリーン車)のみ乗車可能という態勢をとっており需要の程が窺えます。
▲JR東日本持ちでした
しかし、一部車両を締め切り扱いにはするものの律儀に指定席、グリーン車の設定をしているというのは解せません。オール自由席が妥当なところだと思いますが、企業や役所のエライさんの出張対応でしょうか?
私はもちろん自由席、3号車に陣取ります。ちなみにこの列車はJR東日本のE7系が充当されていました。
▲見事にガラ空きの車内
車内に入るとお馴染みの柄のシートが並んでいますが、人影がありません。結局3号車には私を含め2人を乗せただけで富山を発車したのでした。定員83席に対し乗車率なんと2.4%! 空いているだろうとは思っていましたが、ここまでとは! 朝夕にはもう少し需要があるのでしょうが、これが「つるぎ」のデイタイムの実態と見ても大きく外れてはいないと思います。JRから事実上の三くだり半を突き付けられているローカル線の沿線住民が見たら複雑な思いでしょうね。
列車は新幹線特有のサウンドを響かせて走ります。思えば久しぶりの新幹線。10年前に新青森ー新大阪を「はやて」と「のぞみ」で突っ走って以来かも。
▲高岡市街地を望む
やがて車窓からは高岡市街が遠くに見えてきます。写真中央の大きなビルがある辺りに在来線の高岡駅があります。新幹線を高岡駅を通すか、新駅を設置するか、いろいろあって新駅案に決まったそうですが、果たしてそれが正解だったのかどうか・・・。
この列車唯一の途中停車駅新高岡で乗降ともに気配はありませんでした。「はくたか」の場合にはまた事情が違うと思われますが。
まさに空気輸送という状況のまま終点金沢に到着、わずか23分の新幹線の旅が終わります。
◆特急「サンダーバード28号」(金沢14:20ー17:00新大阪)
さあ、乗り換えです。大阪に帰るにはここで乗り換えなければなりません。接続時間は14分と十分ではありますが、やはり乗り換えにはストレスが伴います。
▲まもなく金沢駅では大阪の表示も名古屋の表示も見られなくなる
特に混雑時の自由席利用者にとっては再び座席争奪戦への参戦を強いられることになるのですから。・・・そんな事態を避けるためにJR西は自由席廃止を進めているのでしょうか? 知らんけど・・・。
1回の乗り換えによる心理的負担を時間に換算すると約30分に相当するそうです。新幹線の速達効果など相殺されそうですね。いずれにせよ間もなくここ金沢との往来には関西からも東海からも乗り換えを強いられるわけです。
▲サンダーバード28号
乗り継ぐ先は勝手知ったる北陸本線。おなじみの特急「サンダーバード」であります。見慣れた683系といいたいところですが、リニューアル編成に乗るのは初めてです。車内は特段変わったところは見当たりませんが。
▲乗車券と自由席特急券
「サンダーバード28号」は座席の6・7割を埋めて金沢を後にします。後は新大阪まで座席に身を預けてぐだーっとしているのみです。とはいえ、新大阪から能勢の自宅に向かう乗り継ぎプランの結論が出ていないのでスマホとのにらめっこが続きます。
長い長い北陸トンネルを抜け、敦賀に到着すると・・・
▲敦賀大要塞出現!
構内には巨大な北陸新幹線の駅舎が立ち上がっています。まるで要塞のよう。新幹線が敦賀まで延伸された暁にはこの駅が在来線との結節点になるわけですが、当初の計画ではフリーゲージトレイン(FGT)を導入し大阪方面と直通させるはずでした。ところがFGT開発が頓挫したため、ここで乗り換えることとなり、その旅客動線を最短化するため新幹線ホーム直下に在来線ホームを潜り込ませ上下移動だけで済むように設計変更が行われました。その結果新在重層構造の巨大駅舎となったようです。お陰で大阪からは当たり前のように直通で往来できていた北陸方面に乗り換えが発生してしまうことになったのです。迷惑な話です。
▲高架下へと続く在来線の新ルート
米原方の様子。高架直下のコンクリート壁上に線路が敷かれているようです。
▲米原方には車両基地
北陸新幹線が敦賀まで到達し、大阪・名古屋からの特急が敦賀止まりとなるのは既に決定事項であり、その現実から逃れることはできません。しかし、大阪から福井にすら直通で行けなくなるという状況は受け止め難いんです。なんとかFGTの開発を継続できないものでしょうか。新幹線の大阪延伸には巨額の費用と京阪間の人口密集地帯に線路を敷設するという難題が待ち受けます。工期もどの位かかるか見当もつきません。それほどのリスクを冒すのならせっかくここまでこぎ着けたFGTの開発を完結させる方が現実的だと思います。日本の技術で無理なら世界からアイデアを募るという手もあります。中途半端な西九州新幹線の問題もクリアできるでしょう。いつまでも高度成長期に描かれた青写真に従う必要はないでしょう。今の日本の身の丈に合ったものにすべきです。
▲新大阪での特急共演
そんなことを考えているうちに列車はその北陸新幹線の終着駅になるといわれる新大阪に17:00定時到着です。あと一駅で終点大阪ですが、梅田の混雑を避けるためここで降りるとします。
隣には5分後を追いかける特急「こうのとり17号」豊岡行がスタンバイ。在来線ホームが一瞬華やぎます。
▲サンダーバードを見送る
これにて夏の富山旅は全巻の終わりであります。今回は片道クルマ利用という変則パターンの行程でしたが、お陰で秘境を行く「世界遺産バス」に乗車するなどフレキシブルなスケジュールを組むことができました。
最後に散々悩んだ新大阪からの帰路ですが、地下鉄で千里中央へ向かい、そこから1日6便の自宅最寄バス停直通の阪急バスを無事摑まえることができました。
帰宅後大きな忘れ物が発覚。富山県内の鉄道全線完乗と思っていましたが、万葉線の高岡駅への延伸線を忘れていたのです。嗚呼、マヌケな自分に失笑しかありません。
自分が以前「つるぎ」乗った時も空席が目立っていましたけど、
同じような状況はまだ続いているんですね。
これでしたら、一部列車でも「サンダーバード」を富山まで
走らせる方がいいと思いました。
by まるたろう (2022-11-06 11:57)
いわゆる「整備新幹線」には「並行在来線」の問題が必ずついてきますが、本当に地元のことを考えた制度なのか甚だ疑問です。
北海道新幹線札幌延伸に際し、新幹線の恩恵を受けることなく、しかも鉄道から見放されることになった余市町がとても不憫です。これからも同様のことが起こってくるはずです。並行在来線を切り離す際に、引き受け手となるはずの自治体から「いらない」といわれた場合の対処方をよく考えていなかったのでしょう。煩わしいことは極力避けて通る…、JRの体質なのでしょうね。
残念ながらやっぱりJRは好きになれません。
by のり (2022-11-06 21:03)
こんばんは。
「つるぎ」は空いているの前提での運行だと思ってますが、第3セクター側の最初の希望通り、サンダーバードの一部を富山まで残してくれるとよかったと思います。それでも、新幹線の方がトータルのコストが低かったのでしょうかね。
by やまびこ3 (2022-11-06 21:22)
まるたろうさん
おそらく「つるぎ」が満席になることってないんでしょうね。
本当にサンダーバード、しらさぎは一部を並行在来線区間に残しておいて欲しかったですね。沿線自治体もJRに陳情を繰り返していたのに聞き届けられませんでした。新在二股をかける余裕はないとJRは言いますが・・・。
by サットン (2022-11-08 16:39)
のりさん
整備新幹線の陰の部分である並行在来線の問題、罪は重いと思います。三沢、小諸、阿久根などに加え、ひつこく取り上げた高岡のようなケースを含めると新幹線に活力を奪われた例は全国にたくさんありますから。
北海道新幹線、沿線自治体から見捨てられた並行在来線区間を走る貨物列車をどうするのか注目です。
by サットン (2022-11-08 16:54)
やまびこ3さん
沿線自治体は土壇場まで並行在来線区間に特急の一部を残すよう要望していましたね。JRは終始拒否していましたが。
JRにとって新幹線は本当にメリットがあるんですかね? 北海道新幹線などJR北海道の経営をさらに圧迫しているようにしか見えないんですが。
by サットン (2022-11-08 17:04)
北陸も東に引っ張られ関西中部との関係は益々低下していくのでしょうね。
by H.E (2022-12-17 06:47)
H.Eさん
そのとおりだと思います。
本気で東京一極集中の是正だとか、国土の均衡ある発展を考えるのであれば北陸新幹線は西から着工すべきだったと思います。
こうなった以上は一刻も早く関西と北陸を再度直結すべくフル規格新幹線よりもFGTの開発に注力すべきです。
by サットン (2022-12-20 23:01)