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平成最後の18旅 ①/新快速Aシート体験乗車 [鉄道の旅]

京阪神快速グリーン車の再来なるか

世の中、令和初のお正月ということで新春ムードもひとしおですが、時が止まっていた当ブログはまだまだ平成を引き摺っております。この記事はそんな平成最後の春のことですので時差にご留意いただきながらお付き合いいただければと思います。

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◆旅のきっかけ

平成31年(2019年)春、私は体調も絶好調というわけでウキウキしておりました。そこへ当ブログ東京特派員から「今度大阪出張があるから新大阪辺りで一杯やろう」との誘いが。断る理由はありません。なにせ絶好調ですから♪
その席で特派員から残り1回分を余した「18きっぷ」を只同然で譲り受けたのでありました。1回なら私にも使いこなせます。久々の18きっぷを手に気分が高まります。
 

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▲東京駅発券の18きっぷ

さて、どこに行こう。ちょうどJRグループ春の新ダイヤ導入直後です。わがJR西日本エリアもおおさか東線の全線開業、奈良・和歌山地区への227系投入など話題は豊富。そんな中私が興味を惹かれたのは「新快速にAシート導入」です。かつての京阪神快速のグリーン車以来の有料座席車に興味津々だったのであります。長らく囁かれ続けたある都市伝説の顛末を確認する意味もありますし・・・・。


◆新快速3449A(新大阪~姫路)

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▲発車標にも「Aシート」の表示(新大阪)

というわけで、春の18きっぷシーズンも最終日となった4月9日、青空の下福知山線川西池田駅で18きっぷに改札印を受け11:22発普通高槻行きに乗り込みます。
Aシート導入とはいえ、まだまだ試行段階なのか連結されているのは数多ある新快速のうち僅か4列車に限られます。そのうち平日の大阪をデイタイムに発車するのは12:00発姫路行き(3449A)のみとあって選択肢はありません。その3449Aを大阪ではなく新大阪で迎え撃つ作戦です。登場後20数日が経っているとはいえまだまだお試し乗車で混雑していることも考えられます。新大阪から乗れば、最悪次の大阪で乗客が入れ替わるタイミングで着席できるだろう、という魂胆です。

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▲大阪発車直後の車内

そんな新大阪ではわずかに2分接続、人混みを掻き分けAシート乗車位置(9号車)にたどり着くと同時にドアが開くという有様。息を切らせて乗り込むとやはりなかなかの盛況。窓側は全て埋まり、通路側も7割の入り。中程まで進み通路側の席にひとまず座ります。

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▲Aシート乗車整理券 3476Mって?

まずは着席できたものの、やはり窓側席を占めたいところ。そんなとき、このAシート乗車整理券が頼もしい味方になってくれます。主のいる座席の背面ポケットに差し込まれた整理券には下車駅が一際大きく表示されています。次の停車駅でどの席が空くか一目瞭然。早速大阪下車の席をマークします。ちなみに私が見た範囲では大阪と姫路が多数を占めていました。

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▲どこで空くかわかります

ということで、乗客の過半数が入れ替わった大阪で無事窓側席に移動、あらためて車内の様子を見てみます。7・8割の座席が埋まった状況。昼時とあって通路を挟んだ反対側では男性2人組が豪勢なお弁当とビールで宴もたけなわ。 一方、前の席ではスーツ姿のビジネスマンがPC開いて仕事に余念がありません。いずれも大型の背面テーブルが良い仕事をしています。

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▲シートカバーにもAシートのロゴ

気になる座席ですが、これはもう毎度おなじみの特急サンダーバード用683系4000番代車が装備しているのとほぼ同一と言って良いでしょう。細かい点ではアームテーブルが省かれ充電用コンセントが設置されています。とはいえ、特急用に較べ車内の造りがガチャガチャしている分、座席が引き立って見えるのは気のせいでしょうか。その他目立つところといえば、木目調に改められた内装と吊革がなくなりすっきりした天井ぐらいです。

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▲春霞に浮かぶ明石海峡大橋を横目に

尼崎が近付いた頃ようやく客室乗務員が回って来て乗車整理券の発券を受けます。500円也。この日は発券・精算専任の客室乗務員が2名と他に本社の背広組らしき男性が1名添乗していましたが、このアナログ感まんてんの精算システムをどうするかが今後のAシート展開の鍵を握る課題の一つでしょう。


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▲姫路到着前の車内

列車は三ノ宮、神戸で多少の入れ替わりを見せた後は降車客がパラパラとあった程度の乗り具合で終点姫路を目指してラストコースを辿ります。


◆京阪神快速グリーン車のこと


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▲終着姫路に到着

リクライニングシートに身を預け播州平野を走っていると、かつて京阪神快速に連結されていたグリーン車のことを思い出します。快速用113系のうち高槻電車区・宮原電車区配置の基本編成8連に1両グリーン車が連結されていました。(網干区の基本編成はグリーン車抜きの7連)。私も当時は未成年ながら岡山の祖父母宅への往来で何度か利用したことがあります。
車両はというと終末期に113系純正グリーン車サロ113が投入されたのを除き主に急行用から格下げされたサロ110、サロ112が充当されていましたが、前者が非リクライニングなのに対し、後者はフルリクライニングと大きな格差がありました。当然私はサロ112贔屓でサロ110には乗らず仕舞いに終わりました。


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▲‘70年代半ば頃の普通列車用グリーン券(車内補充券)
姫路~大阪でも300円だった

そんなグリーン車も乗車率は散々で、日中は空気輸送、ラッシュ時にそこそこ賑わうという程度でした。お陰で数百円の投資で贅沢な空間を楽しめたのですが。
結局快速のグリーン車は国鉄時代の1980年に廃止されてしまいました。

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▲Aシート車外観(姫路)

時は流れて国鉄はJRとなり、質量共に拡充された新快速に人気が集中し混雑が常態化していきます。その頃から「新快速にグリーン車が連結されるらしい」という情報が流れ始めます。時には鉄ちゃんの噂として、またある時には大手メディアの記事として。しかし一向に具体的な動きがないままこの件は都市伝説と化していたのでした。


◆どうなるAシート


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▲乗車位置にもロゴマーク

13:02姫路到着。新大阪から68分の快適な旅も終わりです。Aシートの乗車率は姫路到着時でも50%近くあり、なかなか堅調な需要が窺えます。

それではAシートの今後はどう展開するのでしょうか。2020年春のダイヤ改訂では動きはなさそうですが、JR西日本としては今回の試験導入はもちろん本格実施を前提としてのものと考えているのでしょう。Aシート連結列車の列車番号をMではなくAとして区分しているのも本気度が窺えます。反面、人力頼りの精算システムや予約対応ができないなど大きなハードルを克服する必要もあるでしょう。

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▲Aシート告知ポスター(姫路)

そんな疑問に応えてくれる記事を見付けました。‘20年1月1日付け神戸新聞NEXTによると、JR西日本の長谷川社長がインタービューに応じ「Aシートは、ラッシュ時9割、昼間でも6割とニーズの高さを示しており今後はより多くの新快速に設けたい」と語っています。しかし、そのためには「技術開発による省力化の実現が条件」と、やはり新たな発券・精算システムの構築が課題となっているようです。つまり、今日、明日に答を出せる課題ではないと読み取れます。どうやら「新快速に有料座席車」という都市伝説に最終的な決着が付くのはしばらく先になるようです。


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▲姫路駅名物まねきの「駅そば」

姫路に着きました。相変わらず体調は絶好調、時間はまだ13時過ぎ。遅めの昼食としましょう。姫路駅といえば駅そばですね! 構内営業を担当するまねき食品の名物メニューで和風だしと中華麺を合体させた変わりだね。きつね駅そば、380円也をインバウンド観光客と並んでいただきました。


さて、この後18きっぷでどこに向かいましょうか。

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