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福知山線脱線事故現場を訪ねて [鉄道の旅]

4.25福知山線脱線事故現場に行ってみた。昨日で事故以来2年が経過している。あの現場は事故以来一度列車で通過しただけ。その時は「なぜ、こんなところで?」という疑問がよぎったが、列車は深く考える暇も与えずに通過して行った。

あの事故で私は家族や友人を失ったわけでもなく、けがをした者がいるわけでもない。現場が実家から近いこともあり一度この目で確かめておきたかった。
自転車で走ること一時間足らず、工場と住宅が混在する町並みの向こうにあのマンションが見えてきた。近くの踏み切りの脇に献花場入口があり、ガードマンが立っている。昨日は多くの人が訪れたのだろうが、今日は献花に来る人の姿も目に付かない。
踏み切りを渡り、線路の西側に出る。何度もテレビに出てきた光景が目の前にある。線路沿いのフェンス越しに現場を見つめる。「なぜ、こんなところで?」という疑問がわき上がる。それほど急なカーブには見えない。ここを曲がり切れずに線路から飛び出しあのマンションに激突したのか。運転士はよほど注意力を奪われていたのだろう。彼から注意力を奪った要因はいろいろと言われてはいるが。
数分後を追いかけてくる後続列車。次の停車駅尼崎での秒単位での東海道線との接続。そして、自分が犯してしまったオーバーランのこと。様々なことが高見運転士の頭の中で渦巻いていたのだろう。
この事故の直接の原因としては運転士の速度超過が言われ、そして、その背景にあるJR西日本の企業体質が批判されている。
しかし、私は思うのだ。JR西は国鉄分割民営化において最悪の貧乏くじを引かされた。その時からこの企業体質は半ば宿命付けられていたのではないかと。
次々に通過していく列車を見ながら107名の御魂の安からんことを祈るのみ。天気予報にはなかった突然の雨を浴びながら。


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僕がいつも乗っている根岸線は週に1度、
人身事故(つまり自殺)があります。
まぁ、鎌倉(大船)から埼玉(大宮)まで結ぶ、非常に長い線であることも
事故の多さの原因にもなってますが、それにしても多すぎる。
僕も2度、人を轢いた車両に乗り合わせ、にぶい感触を味わい、
若い救急隊が現場で失神してしまう姿も目撃しました。
たぶん、根岸線の運転手さんは100人以上の人が命を断つ現場を
見て、そして、理不尽な罪の意識を感じているのではないでしょうか。
ちょっと、話がズレてしまいましたが、福知山線の事故をテレビで見た時、人の死や事故について、いろんなことが去来しました。
by (2007-04-27 14:56) 

私は福知山線事故後初めて、事故を起こした207系に乗ったとき
言葉では言えない不安が目的地までよぎってましたね。
「こんな線形の悪い所で、こんなに出していいの?」と思ってました。

東西線、学研都市線を使うときは必ず事故を起こした207系に
乗るハメになります。いくら塗装変更したってやはり記憶に残りますよね。

でも、この事故で一番許せなかったのは運転士ではなく
同乗していた他の運転区の職員と、自分の運転区には関係ないと
思ったのかボーリング大会をしていた職員達ですね。
沿線の方々や救急隊の方々は必死で救命救助しているのに
当のJR職員は何やってんの?って思ってました。
by (2007-04-30 07:45) 

岸田法眼

私は事故が発生した4か月後に現場を訪れましたが、地元の人や電車に乗っているお客、乗務員は目がソワソワしてたことを覚えています。忘れられない地であることに変わりはないでしょう。

あれでJR西日本の企業体質が明るみに出たわけですが、福知山線と報道され、全国的に知れ渡ったにもかかわらず、「JR宝塚線」と名乗り続けるのはいかがなものかというのはありますね。また、大阪駅の改良工事を継続していることにも疑問があります。
by 岸田法眼 (2007-04-30 08:44) 

サットン

コールドターキーさん
根岸線でそんなに人身事故が多発しているとは驚きです。東京では東京メトロ東西線が多発路線として有名ですよね。証券街を走る路線なので株で損をしたした人や証券会社の営業マンが飛び込むなんて話を聞いたことがあります。最近女性乗務員を各社で見かける機会が多くなりましたが、心配なのは事故発生時に対応できるのかな?

sanohpyさん
207系は事故以来「ブルーのラインを見ると当時のことを思い出す」という被災者の意見を反映してご指摘のとおりラインの色を変えてしまいましたね。好きな車両だっただけに事故の象徴として見られているのは残念です。
ご指摘の他部署の社員の神経には驚かされます。私もあの事故は高見運転士だけが責められる事故では決してないと思います。慰霊式典などでは今も彼は外されたままですが、遺族の方々の感情は理解できるものの何か腑に落ちないものを感じます。

岸田法眼さん
確かにJR西は収益優先に偏重した体質であることが明るみになりました。しかし、この体質は民営化以来JR各社に共通した体質だと思います。ドキュメンタリー番組でJR九州のある部署の朝礼で「稼いで稼いでまた稼ぐ!」と大声で唱和しているシーンを見たことがあります。見ていて気持ちの良いものではないですね。そんなJR各社の中でも西日本は東日本や東海に匹適する収益源を持たないのになぜか遥か遠方のローカル線を多数割り振られました。大糸線や高山線の北側がなぜ西の管轄になったのか不思議でなりません。どう考えても東海か東日本の守備範囲だと思うんですが。そのことが事故の言い訳になるとは思いませんが、分割民営化のデメリットが露呈した端的な例だと思います。JALも似たようなもんですね。
by サットン (2007-04-30 18:19) 

shinabamorotomo

事故の前年'04年に、JRが環境保護イベントや、講演会、見本市で「ブレーキや(車輪と車体の間の)コイルばねやダンパーやエアパックを小型化、(材料・原

料の)少量化に務め、益々CO2の削減に貢献します」と、
複数回発表していたのをしっていますか?
コイルばねを小型化し鋼材を細くし、素材を変更、H型ダンパーも細いもので素材の違う物に変更、エアバックも小型化、ゴム厚を薄いものに換え、軽量化。
肝心なのがブレーキも縮小型化、まさつを出す部分を縮小化,素材も変更、摩擦部分に力を伝える部品を細く小さく物質も変更、

環境イベントで講演をきいた人々は、事故後の検証で、「あれっ?専門家の指摘した原因とCO2削減イベントでのJRの宣伝が、一致してない?」と、気付い

たかもしれません。

環境保護と言いつつ安い材料で作って,安い運行費で走らせたかっただけじゃないの

トリアージとか悲惨なことを言い始めてるのに、本当に今後が心配

by shinabamorotomo (2009-03-15 17:27) 

袋田の住職

わたしも、先日宝塚での研修に参加した時、
福知山線に乗って尼崎まで行きました。
事故現場の地かうでは椅子から立ち上がり
手を合わせて御冥福をお祈り致しました。
そこまでかなり高速運転していた電車が
そこではかなり減速した感じがしました。
by 袋田の住職 (2009-03-15 22:05) 

サットン

GUESTさん

人命を顧みずにCO2削減を謳っているとしたら本末転倒もいいところですね。最近の鉄道車両はデザインを重視するあまり強度面を犠牲にしているのでは、とは車両メーカーに勤める友人のことばです。
by サットン (2009-03-16 12:01) 

サットン

袋田の住職さん

本当に「なぜ、こんな場所で?」と思わせる現場でした。
周囲では人々の日常の生活が営まれています。なぜか
不思議に感じました。
by サットン (2009-03-16 12:05) 

勇者超特急

この事故現場、わざわざ見に行ったなー。千葉県民なのに。

この事故の一番の被害者は運転士・・・
主悪の根源はJRの企業体質。儲け主義の役人体質の、官民の悪いトコ取り。もう、JRは要らない!国鉄当時の事はあまりよく知らないが、やっぱり国鉄の時代の方がましだったのかもしれない。そう考えると、国鉄の分割民営化は失敗だったのかも・・・・・
せめて、民営化する時に、当時の役人体質の幹部全員を追放して民営化していれば、もっとましな健全企業に成っていたかもね・・・
by 勇者超特急 (2010-12-26 07:43) 

サットン

勇者超特急さん
国鉄時代を知る私としては国鉄が良かったとは決して思わないですね。労使ともにホント酷かった。民営化で官民のいいトコ取りになるはずがご指摘のとおり悪いトコ取りになったのかもしれないですね…。
古い記事までご覧いただきありがとうございます。私も久しぶりに読み返しました。
by サットン (2010-12-28 11:15) 

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