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プリンスホテルの真意は? [ホテル(その他)]

なんか妙だぞ・・・・

ホテル屋にとってはたいへん残念な事件が起こってしまった。
日教組の教研集会を受注していながら突然使用拒否に出たグランドプリンスホテル新高輪(旧新高輪プリンスホテル)が連日マスコミのバッシングを受けている。
新聞等での報道によると、日教組とホテルの間で会場使用契約が結ばれたのが昨年5月。ところが、11月になってホテル側から一方的に契約破棄の通告があり日教組は会場使用の仮処分を東京地裁に申請、地裁は日教組の主張を認めホテル側に会場を使用させるよう命令。これに対してホテル側は東京高裁に抗告したが、棄却される。
ホテルは「抗議行動でホテル周辺が騒然となり、入試時期にも当たっている近隣の学校にも迷惑が及ぶ」として命令を無視してあくまで会場使用を認めなかった。

なんか妙である。日教組の教研集会に右翼が押し寄せるのは誰もが知っていることであり、日教組からの申し込みがあった時点で十分予測されたはずである。日教組が使用者名、使用目的などを偽って申し込んだのなら別であるが。なのになぜ11月になって急遽そのことを理由に契約破棄に出たのだろうか?しかも裁判所からの二度にわたる命令を無視してまで。
ホテル側は今回の事件で大幅なイメージダウンを招き、企業倫理まで問われるであろう。これほどのリスクを冒してまで頑なに拒否し続ける理由が見当たらないのである。


昨年4月に全国紙各紙に掲載された新生プリンスの広告。
「なぜ、プリンスホテルは、変わらなくては、いけないのか」
という自らへの問いかけで始まる。

プリンスホテルというと西武の総帥堤一族が、戦後旧華族の屋敷跡などの土地を買い漁り都心に次々と展開したことで知られる他、一部政治家との密接な関係でも有名である。ところが、堤義明氏が失脚したのを機に新たなCI戦略を策定、昨年4月に「新生プリンス」を謳い再スタートを切ったはずである。このような事件が発生すると「やっぱり変わっていないのか」との印象を抱かざるを得ない。特定の人物、団体からの圧力が加わったのではないかとの疑念を断ち切れないのだ。

私はホテルは都市に不可欠な公器だと考えている。都市インフラの一つだと言っても良い。それだけ高度な公共性をおびているのである。にも関わらず今回のような不可解な事件が発生し非常に残念である。プリンスに限ったことではない。ホテル経営者自身が高度な公共性を認識できていないのだ。いつまでも水商売感覚でいる以上類似の事件が今後も再発する惧れは拭えないし、ホテル業の産業界における地位も向上しないだろう。ホテル経営者は本件を他山の石とせず自らの事業の公共性をしっかりと認識してもらいたい。


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コメント 4

Fuzzy

世情に疎いホテルではなし、高裁決定を無視してまでの拒否は、政治的な臭いが強く漂いますね。
by Fuzzy (2008-02-04 07:47) 

サットン

ファジーさん

本当にキナ臭いものを感じます。
ここまで頑なに拒否して得られるものがあるのでしょうか?失うものの方が多いと思うんですがねえ。
by サットン (2008-02-04 23:01) 

阪神カンフォーラ

 「市井の法律屋」として、
私が一番恐れてるのは「ホテル業界の対応」よりも「裁判所がいくら厳しい判決を出しても、無視すれば横車はいくらでも通せる」と国民に「周知」させてしまったという「事実」です。「裁判所はここまで無力だ」と分かってしまった以上、「裁判所」という「国家機関」がどこまで成り立つかが恐ろしくなりました。

 このことに端を発する「司法不信」の端緒を私は一番恐れています。裁判所も「督促命令」や「仮執行」などの手段が使えることを日教組側に教唆する「訴訟指揮」するべきでしたが、それすらやっていないようです。こんな「民事裁判」で大ポカをするようでは「裁判員制度」は「血まみれの制度」となることは間違いないでしょう・・・。

 「裁判所」と言えども「三権の一つ」です。もっといえば「政治権力の三分の一」であることにもっと多くの人がいい加減気付くべきでしょう。

 サットンさんは「ホテルマン」、私は「市井の木っ端役人」という違いはあれ、「ホテルは教会などと並んで、もともとパブリック・フォーラム、つまりいざというときの公器である」という認識は「憲法の常識」として持っていたいものです。でなければ「ホテルマンの制服」や「ホテルの階数の数え方」がなぜ欧米では違うのか説明できません。
by 阪神カンフォーラ (2008-02-06 20:31) 

サットン

阪神カンフォーラさん
コメント拝読いたしました。
確かに今回の一件で裁判所の及び腰な訴訟指揮には疑問を持たれた方も多いかと思います。憲法絡みとなると特に腰が引けるようですが。
「ホテル&トラベルジャーナル」におきましては編集方針をホテルと旅に焦点を合わせたものとしております。よって今回のような内容となりましたのでご理解いただければと思います。
また、ホテルの公共性という点に関しましては日本のホテルはその生成過程が欧州などとはかなり異なることからあくまでも日本のホテルの実態に対する問題提起という意味で書いております。
併せてご理解いただければ幸いです。
by サットン (2008-02-10 20:02) 

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