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山陽電鉄乗ったり降りたり (前編) [鉄道の旅]

梅田ー姫路直通特急運転10周年記念

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どことなく国鉄顔の山陽電鉄3000系(飾磨)


■中川家のCMに誘われて

このところ漫才師中川家を起用した山陽電鉄のCMを時々目にする。三宮ー姫路間1日フリーの「三宮・姫路1dayチケット」をPRしている。
山電は神戸電鉄と同じく兵庫県内に路線を展開するいわゆる準大手に分類される民鉄線だが、JR新快速が全線にわたって並行しているためなかなか利用する機会がない。それだけに趣味的には気になるのだ。
中川家に誘われて久し振りに山電を訪ねることにした。


■阪神梅田からスタート

この1dayチケットを発売する最東端の駅は阪神三宮なのでそこまでは素直に阪神電車を利用する。
京阪、地下鉄御堂筋線を乗り継ぎ梅田に着いたのは11時前である。絶好の晴天である。

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▲「ベンガル」のビーフカレーとカウンター越しの絶景

少し早いが、腹ごしらえをすることに。阪神梅田には鉄道ファンにお奨めの店がある。
阪神百貨店地下2階のフードテリアにあるカレーの店「ベンガル」である。カウンター式の店だが位置によってはガラス越しにホームが目の前に展開するという絶景を誇る店である。次々に発着する阪神電車を見ながらのカレーは最高である。もちろん味もよろしい。ビーフカレー520円也。

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▲阪神梅田駅の売店

それではいざ出陣!
この駅で面白いのは正面の改札口を抜けた正面にある新聞、雑誌を中心にした売店である。確かに最高の立地条件で立ち寄る人も後を絶たないが、発車標が真上にあり、それを見る人も重なって動線を阻害しているように思えるのだが。

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▲阪神梅田駅に発着する顔も随分かわった

次の先発は11:30発の直通特急姫路行だが山電の5000系である。今日は山電三昧のつもりなのだが他社線からいきなり山電の車両では節操がなさすぎるので見送る。10分後には次の直特が出るので焦らずに待つ。

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▲最初のランナーは阪神8000系リニューアル車

幸い?次にやって来たのは阪神の8000系リニューアル車である。直特運転開始で乗り入れて来た山電5000系に触発され阪神が久々に送り出したクロスシート車9300系にならって改造されたものだが、6両編成のうちクロス車は2両だけで残りはロングシートである。
写真を撮ってから乗り込むとさすがにクロスシートは埋まっておりロングシートに落ち着く。ロング車も茶系をベースにした落ち着いたインテリアでなかなか良い感じである。

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▲阪神三宮駅改造計画の図

途中試運転中の近鉄車両とすれ違う。阪神の車両に比べさすがに大柄である。
なんば線延伸の近いことを実感しつつ三宮着。
雑然としたこの駅も近鉄との相互乗り入れを機にようやく改造工事が始まった。現在の4面3線を2面3線に整理し、折り返し線を海側から中央に移設するようだ。ただし、完成は平成25年という気の長い話。
いったん下車して駅長室で1dayチケットを購入する。

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▲今回のトクトクキップ

この乗車券は前述したとおり山陽線内と阪神・阪急三宮ー西代間がフリー乗降区間となっており1400円というお得な乗車券である。

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▲三宮からは姫路行普通 新開地で阪急と出会う

三宮からは姫路行普通を利用する。やって来たのは山電5000系である。4両編成で直特用の編成とは区別されている。車内もクロスシートながら製造当時からの固定式のままである。


■いよいよ山陽電鉄へ

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▲西代に到着

神戸高速の地下線を進み西代で下車する。
西代といっても今では一途中駅に過ぎないが、この駅こそが山陽電鉄の起点である。神戸高速との乗り入れに伴い地下化されターミナル的な様相は全く失われている。なにしろ自社の特急すら通過してしまうのだ。(阪神からの特急は他社線内各駅停車となり停車する)
※訂正:西代駅が地下化されたのは阪神大震災後の平成7年6月である。(wikipedia)

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▲西代駅入り口

黙って通り過ぎるのも礼を失するのでいったん下車し地上の様子を見てみる。ご覧のように県道21号線が通っているのと県立文化体育館が近所にあるだけで駅のありそうなムードではない。かつてはここを起点にするだけの何かがあったのだろうか?
※訂正:元々の起点は兵庫駅。神戸高速乗り入れに伴い兵庫ー西代間廃止。(wikipedia)

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▲山陽電鉄本社とロゴマーク

周囲を歩くと唯一山電の発祥の地らしきものを見つけた。山陽電鉄本社ビルである。それほど大きなビルではないが、それなりに重厚なデザインの建物である。

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▲阪神9000系近鉄対応車(東須磨)

さあ、ここからが本当の意味での山電三昧である。
最初の下車駅は東須磨。車両基地があるのでなにか面白いものが見られるかと思ったのだが、特に何もなし。写真の阪神9000系近鉄対応車に初めて対面した程度である。これを見るなら梅田駅にいれば良いのだが。

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▲続いては山陽3000系の普通(山陽須磨)

すぐに続いてやって来た姫路行普通に乗り継ぐ。山陽3000系アルミボディ車だが、車内は2000系から改造された中間車1両以外はクロスシートになっている。

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▲3000系クロス車の車内と固定式クロスシート

転換式に取り換えられた5000系から転用したもののようだ。中央のドアから前後に向いてシートを配した集団離反式という構成である。逆向きに座る場合はつらいが、シートはむしろ心地よい。
六甲山系が海に落ちる辺りの斜面上をカーブしながら走る。密集した住宅の向こうにちらちらと海が見え始めたころ須磨で下車する。

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▲須磨駅改札口

海水浴客もいないこの時期、静かなムードが漂う。トンネルのような地下道を抜け改札口へと向かう。線路が海岸段丘上にあるため立体的な構造になっている。湖西線近江塩津駅を思わせる。

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▲須磨駅駅舎

駅を出るといきなり2号線脇の歩道である。わずかな広場もない。
駅舎はペンション風のコジャレた建物だが周囲の商店に溶け込んでしまい全く存在感がない。隣の「すき家」の方がよほど目立っている。

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▲JR須磨駅

ここで降りた理由はこれ。
2号線を渡った所にJR須磨駅がある。

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▲コンコースの向こうは

橋上駅の階段を上りコンコースの向こうを見渡すと大阪湾が広がる。

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▲明石、淡路島方向を見る

すぐ目の前が砂浜、そして海である。明石海峡へ向かう船が列をなして航行している。
浜辺は人影もまばらで海水浴シーズンの賑わいが嘘のようである。

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▲砂浜の上に建つJR須磨駅舎

海に近い駅というと信越本線青海川や鶴見線海芝浦がよく紹介されるが、須磨も決して負けてはいない。階段を下りるといきなり砂浜なんて駅は希少だろう。娘が小さかった頃はお手軽な海水浴場として時々訪れたことがある。だが、オフシーズンの今、こちら側に用のある人はどんな人なのか気になる。という私は何なのか?

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▲JR須磨駅は日本で唯一ドレスコードのある駅

駅に戻るときこんな張り紙を見つけた。なんと“ドレスコード”(服装基準)が明記されている。今時ホテルのレストランでもドレスコードを設定している店はごく僅かである。日本中の駅でもここだけだろう。

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▲須磨のネコ

須磨のネコはちょっとニヒルな表情である。


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▲阪神8000系の直特でさらに西進する

あまり長居もしていられない。秋の陽は釣瓶落としである。
山陽須磨駅に戻って再び姫路を目指す。やって来たのは阪神8000系の直特である。同じ8000系でも梅田から乗ったリニューアル車とはずいぶん様子が違う。

前編は須磨までとして次回は明石海峡大橋や飾磨線の様子をお届けします。
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コメント 14

manamana

阪神の9000系、装いも新たに、
東の京阪同様、
新線に賭ける意気込みを感じます。
by manamana (2008-11-29 06:53) 

のり

学生時代には、毎日のように眺めていた山陽電車ですが、最近はトンとご無沙汰です。阪神梅田駅に姿を現す5000を見るにつけ、「最近は変わったんやろうなぁ」と思いを寄せています。3000が固定クロスになっているのには驚きました。あの低いロングシートが懐かしいですね
阪神三宮駅の改造工事は、乗降客が多い駅ですので、時間がかかるのでしょう。遠大な計画です。阪神・近鉄の相互乗入は、「関西の鉄道地図を大きく変える」という点では、京阪中之島線よりもインパクトは強いですね。
須磨駅の表示、なぜか「銀河鉄道999」の、「乗車を拒否される」という場面を思い出しました。
by のり (2008-11-29 08:34) 

hankyu8200

レポートおつかれさまです。
須磨…なつかしいですねぇ^^
by hankyu8200 (2008-11-29 10:32) 

黄昏の線路

姫路方面に行く時、JRの新快速ではなく、
せっかくなんで、あえて山陽電鉄利用していました。
JR須磨駅は降りたらすぐ砂浜なんですね。知らなかったです。
海と砂浜の景色が好きなので、降りてみたいです。

by 黄昏の線路 (2008-11-29 12:52) 

サットン

manamanaさん

阪神からは1000系と改9000系が近鉄に乗り入れるそうです。
どちらがお好みでしょうか。
by サットン (2008-11-29 15:06) 

サットン

のりさん

3000系のクロス車、私も驚きました。リニューアル改造車も含めてほとんどはロングのままですが。
近鉄との乗り入れは楽しみですね。阪神線内で見る近鉄車はずいぶん大きく見えました。
須磨駅の注意書き、夏場には駅のコンビニが水着の客で占拠されるので必要なのでしょうが笑ってしまいます。


by サットン (2008-11-29 15:16) 

サットン

hankyu8200さん

須磨周辺のムードって独特で良いですね。
山陽須磨駅西側山手のマンションに憧れます。
by サットン (2008-11-29 15:30) 

サットン

黄昏の線路さん

JRと山電じゃ残念ながら時間的にも料金的にも勝負にならないのでは。
帰りには直特を梅田まで乗り通しましたが、短距離利用の人ばかりでした。神戸高速線内の通過駅をもう少し絞れないものかと思います。
by サットン (2008-11-29 15:43) 

ファジー

ドレスコード笑っちゃいました。

×上着なし・・・だなんて名門のゴルフ場みたいですね。
山陽電車はTシャツ一枚だと乗ってはいけないとは存じませんでした。

正しくは、×上半身着衣なし・・・でしょうね。

エロ電といわれた江ノ電ではどうしているのでしょうか?

by ファジー (2008-12-01 11:42) 

サットン

ファジーさん

ドレスコードがあるのはJRの方です。説明不足ですみません。
というわけで須磨駅へはジャケット着用でお越しください。(笑) 海水浴シーズンには駅のコンビニが半裸のお客で埋まりますから仕方ないんでしょうけど。オフシーズンには取っておけば良いのに。

江ノ電てそんな風に呼ばれてたんですか!?勉強になりました。
by サットン (2008-12-02 11:09) 

keroro

最初の電車の車体の白の感じがいいなーって。
山陽電鉄、まだ乗ったことがありません。
太平洋側だから陽なんですよねー。
どうしてもあの辺りのたくさんの電車とごっちゃごちゃになって。。。
勉強します。。。
by keroro (2008-12-13 01:49) 

サットン

keroroさん

山電は以前上が濃いクリーム、下が紺という渋いカラ―でした。
なにぶんにもJRの陰に隠れて存在感はイマイチですね。地域の足というやつですかね。時間があれば梅田から姫路まで乗ってみて下さい。
山陽と名付けたのは岡山まで延伸する構想があったからだと思われます。
by サットン (2008-12-13 12:55) 

ラジオネームFAM

サットンさん
亀レスごめんなさい。
私が大学に入るまで、ホントこの須磨駅(山陽・JRともに)をよく利用していました。
西代駅が地下に潜る前当然地平を走っていたわけですが、昔の山陽兵庫駅が起点だった名残が少しだけ残っていました。また隣の山陽板宿駅では急カーブ上の駅で、何度となく転落事故が起き、ホームとレールの間に転落防止マットが敷かれていました。また板宿駅の大阪方面のホームには、かつて行灯式の行き先表示板があり、幼心に見飽きることなく眺めていました。
懐かしい思い出ばかりです。
by ラジオネームFAM (2009-07-03 00:02) 

サットン

ラジオネームFAMさん

とんでもないです。バックナンバーもご覧いただき嬉しいですよ。
海水浴シーズン以外の須磨駅は特急停車駅にしてはのんびりとした独特のムードがいいですね。
以前の線形はずいぶんひどかったんですね。今でもかなりなものですが、JRと勝負をする上では大きなネックですね。
by サットン (2009-07-04 11:34) 

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