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山陽電鉄乗ったり降りたり (後編) [鉄道の旅]

直通特急で直通する人はいるのか?

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▲明石海峡を臨みながら新快速と並走


■須磨、明石の巻・・・源氏物語じゃあるまいに

阪神8000系の直通特急姫路行で須磨をあとにする。六甲山系と大阪湾との間の平地はいよいよ狭まり国道2号線、JR山陽本線と絡み合うように西進する。山電は一段高い段丘上を走るので眺めは抜群である。ただし、線形はカーブが多く今一つスピードが上がらず新快速に軽く抜かれてしまう。

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▲明石海峡大橋が副名称

次に降りたのは舞子公園。副名称が明石海峡大橋前というだけにすぐ神戸寄りを明石海峡大橋の巨大な取り付け部が跨いでいる。大橋見物の利用者のお陰で特急停車駅に昇格した駅である。

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▲ホームからも橋が見渡せる

ホームからは巨大な明石海峡大橋を間近に見渡すことができる。さすがに感動ものの絶景である。


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▲こじんまりした橋上駅舎

駅舎もこぎれいな橋上駅に整備されており周囲にはマンションが目立つ。駅に隣接してタワーマンションも聳え立つ。

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▲交通の結節点でもある

すぐ南側にはJR舞子駅、空中には明石海峡大橋を経由して淡路、四国方面へと向かう高速バスの乗り場も整備されている。駅付近は地形が立体的である上、駅前再開発ビルへ直結する出入り口もあるので注意しないととんでもない場所に出てしまう。

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▲高速バス乗り場

橋桁を見上げると「高速舞子バスのりば」の表示が。空中のバス乗り場という感じである。標識に従ってエレベーターで行ってみることに。淡路、四国方面乗り場を覗いて見ると淡路交通おのころ愛ランド行と徳島バス徳島駅前行が出発するところだった。

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▲主塔を見る

本線に目をやると298mという巨大な主塔に目を見張る。さすが大阪市内からも見えるだけのことはある。
何度か通ったことはあるが、こうして間近に見るのは格別である。

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▲JR舞子駅を見下ろす

一つ下の待合室などがあるフロアに降り周囲を見渡す。風光明媚な明石海峡の風景だけになかなかのものである。直下にはJR舞子駅が見えるが、こんなに緑豊かな駅だったのだと感心する。何度となく通り過ぎている駅だが、やはり一度は降りてみないとわからないものだ。

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▲六角堂も見える

舞子駅の先には通称六角堂と呼ばれる移情閣が見える。もともと華僑の別荘だったものだが、現在は孫文記念館として活用されている。
対岸はもちろん淡路島である。

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▲長~いエスカレータ

地上へはエスカレータで降りてみる。なんと長いエスカレータだろう。地下鉄の駅などで見慣れてはいるが、鉄骨の中、空中を行くエスカレータはスリリングである。

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▲明石駅と天文科学館

舞子公園からはのんびりと普通でたどる。JRをオーバークロスし海側に移り、高架に上がると明石駅に着く。JRのホームがぴたりと並んでいる。地平時代は駅前広場を挟んで向かい合っていたが、高架化に際して完全に隣接することになった。JRへの乗り換えを促進することとなったと聞く。


■網干線を乗りつぶし

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▲山電の顔3000系で飾磨着

網干線との乗り換え駅飾磨で下車、網干線に乗ってみる。情けないことに網干線には過去乗ったかどうか記憶が定かでない。念のため乗りつぶしておこう。これで文句なく山電は全線完乗となる。
・・・その後記録を発見、昭和57年8月に乗車済みでした。

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▲網干線もご多聞にもれずワンマンである

飾磨駅は上下本線の間に網干線が入る2面3線の構造である。網干線の折り返し列車と梅田行の直特が同時に滑り込んで来る。
網干線は3両編成の列車が単線8.5キロの路線を日中15分間隔で運行している。沿線は住工混合といった風景が展開する。晩秋の陽射しに眠気を誘われ思わず居眠りしてしまう。

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▲山陽網干駅

眠気まなこで終点山陽網干に到着。駅舎は三角屋根の洒落た建物でテナントビルも併設しているが、テナント部分は空きが目立つようだ。JR網干駅とは離れているらしく駅周辺の案内図にもJR駅は載っていない。

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▲夕日を浴びて折り返し飾磨行が到着

特に見るべきものもなく次の列車で折り返す。やはりお得意さんは高校生が主体のようである。

■黄昏の姫路へ

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▲ラストランナーは5000系の直特

飾磨に戻り姫路への最終ランナーを待つ。どうやら日暮れ前に姫路にたどり着けそうだ。やって来たのは5000系の直特。5000系は山電のイメージを大きく向上させた立役者である。

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▲姫路到着前に“遺跡”が見える

姫路が近付くと沿線に奇怪な橋桁が見え隠れする。昭和49年に廃止された姫路市営モノレールの残骸である。30年以上を経た今でも市街地に残る高架は無残である。ときどき撤去をめぐる記事が新聞などに出ることがあるが具体的にはどうなっているのか。姫路市は市バスも神姫バスに運営移管することが決まっている。

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▲危険はないのだろうか

夕陽を浴びる残骸はなんとも表現し難いものがある。劣化もかなり進んでいるようだ。

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▲終点山陽姫路着 山電の両雄が並ぶ

無事に終点山陽姫路着。4面4線のホームに系列の山陽百貨店を従えた立派なターミナルである。規模の割には活気がないのが気になるところではあるが。

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▲3000系リニューアル車

山電の主力車両である3000系も登場から約40年が経過しており近年大規模なリニューアル工事が実施されている。主な変更点は車端部窓を固定式の1枚ガラスに取り換え、その他の側窓のブラックサッシへの変更、客室化粧板の交換などである。
まだまだがんばる3000系である。

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▲西播磨の足 神姫バス(日野ノンステップ)

梅田に折り返す前に燃料補給をすべくいったん下車する。
ついでに神姫バスにも挨拶を。兵庫県を代表するバス会社で一般路線車は長らくオレンジ色のデザインを堅持しておりノスタルジーを感じる。


■直通特急で梅田へ直通

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▲山陽姫路駅発車標

発車標はLED式だが、周囲に見える屋根の構造などは古めかしさを感じる。

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▲再び直特で梅田に帰還 種別幕の色が往路のものと違うのは停車駅の違い

17:40発の梅田行直特で引き返す。車両はスタート時と同じ阪神8000系のリニューアル車。今回はクロスシートに席を占める。硬めのクッションが心地よい。
夕方のラッシュ時だが乗客の入りはいま一つ。わずかな立ち客が出た程度で発車。
私は梅田まで直通するが、興味があるのが同じように梅田まで利用する乗客がどの程度いるのかだ。周囲の何人かの乗客をマークしておく。
飾磨で案外まとまった乗車があり通路まで混雑する。網干線沿線の工場群からの帰宅客だろうか。しかし、その賑わいもすぐに落ち着いてしまう。乗客の大半は短距離利用のようである。
大塩では神戸方面行のみ後部1両がドアカットとなる。
神戸高速線内から混雑を見せ始め阪神線内では停車駅ごとに出入りが激しく姫路から約1時間半で阪神梅田着。発車時にマークしていた乗客は全滅している。

梅田ー姫路間約1時間30分、運賃1250円。対するJR新快速だと所要時間でほぼ3分の2、運賃は1450円。200円高いものの新快速の圧倒的な速さにはかなわない。しかも大阪、神戸、明石、姫路といった主要拠点でことごとく駅が近接しているだけにこの差は厳しい。
来年3月20日には阪神なんば線開業により大阪ミナミ、奈良へとフィールドが広がるものの直通区間は三宮までなので山電へのインパクトはいま一つだろう。近鉄特急の姫路乗り入れでどのような変化が生じるのか気になるところである。
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コメント 14

のり

学生時代以来、山陽電車とはご無沙汰です。垂水から大蔵谷あたりまで、明石海峡を望む風景が素敵でした。移情閣も、明石海峡の風景に良く似合っていますね。

拙ブログにて30年前の朝霧付近の山陽電車を記事にしております。
http://205-161-205.at.webry.info/200807/article_1.html

地上時代の明石駅は、そのアナウンスが大変ユニークだったのを覚えています。駅員さんの放送に、全くイントネーションがなかったのです。あんな放送は、ほかに聞いたことがありません。
直通特急での大阪・姫路は、ちょっと長いですね。通しのお客さんは、やはりほとんどおられないのでしょうね。

by のり (2008-12-01 21:59) 

UZ

取材お疲れ様です。

この直通特急は全線乗られる方は少ないのではないでしょうか。確かに運賃面ではJRの方が高いのですが,速度面では圧倒的にJRの方が優位ですので、新快速が常に混んでいても直通特急は閑散としているときの方が多いはずです。

山陽本線が混むのが高砂等JRと並行していない区間から明石くらいまでですね。明石でJRに乗り換える人が多いとのことです。

私も姫路までならJRを選びますね。
by UZ (2008-12-02 07:01) 

サットン

のりさん

ブログ拝見しました。かつての阪神ジェットカーに似てるけどちょっと違う旧デザイン懐かしいです。いつの間にか今のデザインになっていたようで。
朝霧付近の風景もすっかり変わってしまいましたね。
直通特急は需要はともかく、梅田に繋がっていること自体重要なのかも知れませんね。
by サットン (2008-12-02 11:22) 

サットン

UZさん

直特に通しで乗ったのは2回目ですが、やはり通し客は目につきませんでした。新快速に真っ向勝負を挑んでも勝ち目はなさそうで何かウリを打ち出さないといけないのかも。
by サットン (2008-12-02 11:28) 

HIROOUJI

明石海峡を望み山陽電鉄の旅、写真の良だけで圧倒されました
丁寧な説明記事でなにか旅行してる気持ちになれました
明石大橋は電車の窓でしか見たことなくいつも左窓車窓で見ていました
いまは電車でGO 通勤高速編で夜のきれいな姿見ています。
僕が関西に出張していた頃は3600形が主流だったように覚えています
それ以後の車両はたしか阪神大震災で石津(屋)川?車庫が倒壊してそれ以後新製されたと思うのですが
どうもありがとうございました
by HIROOUJI (2008-12-03 09:46) 

うたに

東京だと東急田園都市線・メトロ半蔵門線・東武伊勢崎線が直通していても、両端の会社線から乗り通す人はあまりいないのと同じ感じでしょうか。。

大阪辺りから四国へは、明石海峡大橋を通る高速バスが最速?なのかな。高松へ行った会社の先輩も、安くて良かったと言ってました。
でも、ウチは電車が好きなので、たとえ遠回りでも岡山からマリンライナーを使うかな(笑)
by うたに (2008-12-03 12:34) 

Sanohpy

私は毎週月曜、阪神芦屋~山陽姫路までを
直通特急を利用しています。やはり停車駅が多いのが
一番ネックですが、姫路へ向かう時間帯は
板宿から学生がたくさん乗車しますね。

また明石から西はJR線と競合しないので
山陽が機能を発揮するのは明石から西ではないかと
思いますね。海沿いを走りますんでね。

高速舞子BTの画像も懐かしかったです。
7回のみの臨時稼働でしたが、淡路島への仕事もありました。
とても素直で明るくて真面目な女の子で、今でも記憶にあります。
最後の日は、お互い辛かったですね。

神姫バス、つい最近まで週4回は必ず利用していましたが
稼働体系の減便により週2回の利用となってしまいました。
私が主に担当する東播磨地区や数か月行っていた北摂地区も
神姫バスのエリアですね。

神戸発の都市間高速バスの半分以上は
神姫バスが運行していますね。
兵庫県北部をカバーする全但バスもカバーしているし。
by Sanohpy (2008-12-03 17:16) 

サットン

HIROOUJIさん

あれっ、ハンドルネーム変えられたんですね。
明石海峡大橋、私も今回初めてじっくりと眺めました。淡路島との間に橋が架かっているなんてあらためて日本の技術力を認識しました。
山電の車両は震災でもそれほど被災しなかったように思います。阪神は高架の石屋川車庫が倒壊しかなりの車両が再起不能になりましたが。
今の山電はクロス車の5000,5020系と3000系で占められています。加えて阪神から1000,8000,9000,9300系が乗り入れ賑やかです。
by サットン (2008-12-06 11:03) 

サットン

うたにさん

そうですねえ、メトロとの相直はあくまで都心志向。片や山電ー阪神は都市間連絡と少し性格が違うかも知れません。とはいえ現状はJRの媒体になってしまっているようです。明石なんて京成船橋状態です。
四国連絡のバスは各社入り乱れて凄い本数が設定されています。ちなみに南海系の高松線は「フットバス」を名乗っています。JRを吹っ飛ばすという意味も込められているのかも。(笑)
by サットン (2008-12-06 11:12) 

サットン

Sanohpyさん

やはり直特で直通する人は稀みたいですね。神戸高速を早く阪急・阪神HDに売却し運賃を引き下げ、停車駅を絞り込むなどの策を講じないともったいないと思います。明石以西は沿線開発がJRよりも遅れているように見受けました。山陽自ら沿線開発に乗り出し利用者を創出する手も必要かも。

神姫バスのエリアは本当に広いですね。さらに姫路市バスも移管されるとのことでより巨大なネットワークが構築されそうです。
by サットン (2008-12-06 11:22) 

YOO

こんにちわ、サットンさん。
姫路に行く時に、直通特急に乗ってはみたいのですが、JRの新快速に比べて、所要時間の差にくらべて、運賃の差が薄いのが致命的ですね。ビジネス利用だと、どうしても新快速になってしまいます。
神戸高速だけでなく、山電も買収してしまわないですかね!
姫路モノレールの軌道、まだあるんですね!保存というわけでもなさそうですね。。

by YOO (2008-12-06 13:01) 

サットン

YOOさん

姫路へは通常私も新快速利用です。直特は前回は姫路で乗り継ぐ姫新線の時間が空いていたので時間潰し半分で利用しました。(山電さん失礼!)
とにかく各停同然の神戸高速線内が実際の所要時間以上にストレスを感じますね。

by サットン (2008-12-08 10:54) 

manamana

所要時間が3分の2のJRとの戦いはつらいですね。
でも、めずらしい光景をたくさん拝見して、
一緒に試乗したような気分です。
by manamana (2008-12-14 17:19) 

サットン

manamanaさん

御用とお急ぎでない時には山陽電鉄お薦めです。
ちょっと裏街道的なところが渋いですよ。
5000系を投入した前向きな姿勢は素晴らしいです。
by サットン (2008-12-16 13:46) 

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