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近鉄特急ちょい乗り紀行(後編) [鉄道の旅]

それでは大和八木から丹波橋へと向かうとしよう。
▲大和八木駅 大阪線から橿原線への乗り換え階段の案内表示

高架の大阪線ホームから地平の橿原線ホームに下りる。次の列車は17:53の普通西大寺行か18:01の特急京都行である。どちらにしようかと迷っているとホームに設置されている特急券販売機で乗客が次々と特急券を購入していく。結局つられて私も特急にすることにしたが、小銭を用意するのに手間取っている間に特急が到着。空いているし、次は下車予定の西大寺まで停まらないので車内で購入することとし駆け込んで空いている席に着く。車両は元スナックカーをリニューアルした車両である。どうも雰囲気が違うなと思って車内を見回すとデッキと客室の間が仕切られている。かつて、このタイプはドアを入るとすぐに客席だったので随分雰囲気が変わった。ただ、そこまで改造しながら網棚が昔ながらのネット状のままなのには驚いた。今時、通勤車両でもこんな網棚は使っていない。これでISLと料金は同じなのだからその格差の大きさに疑問を感じずにはいられない。
▲ 12200系車内 網棚に注目
車掌さんが巡回してきたので早速車内補充券を発券してもらう。乗車券は大和八木ー丹波橋間、特急券は西大寺までだから精算額は千円少々かなと思っていたら620円とのこと。間違いじゃないかと券面を見て納得した。大和八木で出場しなかったので乗車券は乗り越しの差額精算、特急券は特急相互間の乗り継ぎ割引が適用されているのだ。ソフト面でも特急を利用し易いよう工夫されている。この辺はさすがに長い年月をかけて特急網を構築してきた近鉄だけのことはある。ホームの券売機で買わなくて良かった。
▲西大寺駅の乗換案内 さすがに賑やかである 近鉄はよほどブラウン管が好きと見た
すっかり日も暮れた奈良盆地をたんたんと走り近鉄の運転上の要衝である大和西大寺が近付いてきた。ここで名物の信号待ちに引っ掛かる。奈良線、京都線、橿原線が十字に交わる上、車両基地も抱えるこの駅では宿命なのだそうだ。やっと到着したが、さすがにホーム上は多くの人で賑わっている。特急から降りた乗客も各ホームへと散っていく。ラッシュとあって奈良線には10両編成の列車も発着する。近鉄名物の「とりあえず手持ちの車両を全部繋ぎました」という感じの凸凹の編成ではあるが。

ここからは丹波橋まで急行にスイッチする。案外混んでおりしばらくは立ち席となる。けいはんな線の早期全通を訴える看板が立つ高の原、JR学研都市線祝園(ほうその)駅に隣接する新祝園と学研都市エリアから昔ながらの密集した旧市街地へと進み京阪との接続駅丹波橋に到着する。 ここでしばらく電車見物を楽しむ。驚いたのは特急の利用者が多いこと。京都行は50%にも満たないようだが、京都発の列車は概ね80%程度の乗車率である。そこに丹波橋からの乗客も重なり列車によっては立ち客もいるようだ。完全に通勤特急として定着しているようだ。「特急に乗るとついつい飲み物やらお菓子を購入してしまい特急料金だけの支出では間に合わない」とは大阪線の名張から通勤している同僚の話。


▲シリーズ21の3220系ラッピング編成 
ピンクと緑の車両が交互に連結されておりピンクは京都、緑は奈良をモチーフにした絵柄である。この車両には清水寺が描かれている。

丹波橋駅名標 近鉄(左)と京阪(右)

▲近鉄丹波橋駅の誘導標 特大サイズ ハングル併記

何年ぶりかに乗車した近鉄特急。年々カジュアル化し味気ないものになっているようにも思えるが、アーバンライナー、伊勢志摩ライナーなどのように「乗ってみたい」気にさせる魅力的な列車が存在していることも確かである。
タグ:旅行 鉄道 近鉄
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コメント 10

乗ったことがある近鉄特急というと、12200系がほとんどです。
スナックカーも悪くはないのですが、伊勢志摩ライナーも乗ってみたいなぁ。
by (2008-02-13 20:06) 

サットン

うたにさん

スナックカーの残党は徐々に影が薄くなりつつありますが、まだまだ健在です。決して嫌いな車両じゃないのですが、あの粗末な網棚には参りました。
次はアーバンライナーnextか、リニューアルして一層ハイグレードな車内になったアーバンライナーplusに乗ってみたいと考えております。
by サットン (2008-02-13 20:32) 

岸田法眼

私は団体輸送以外、近鉄特急に乗ったことがありません。

乗っていない路線も多いので、まずは名阪ノンストップ特急ですね。特にアーバンライナーは衝撃でした。今はリニューアルしておりますが、乗るんであれば、初代と心に決めています。
by 岸田法眼 (2008-02-13 23:04) 

サットン

岸田法眼さん

アーバンライナーはリニューアル前しか乗ったことがありませんが、先日、難波駅でリニューアルされたplusを見るとインテリアは一層磨きがかかったものになっていました。是非お試しあれ!
by サットン (2008-02-14 19:17) 

UZ

お疲れ様です。確かにこの設備では最新鋭の車両と比較すると格差がありますね。私なら選びますね。
12200系の蛍光灯カバーは通勤車の一部にも使用されてますね。
by UZ (2008-02-14 20:29) 

サットン

UZさん

12200系、シートなどは問題なかったのですが、天井を見上げてびっくり、文字通りの網棚、無粋なエアコン吹き出し口などなど。デッキ付ける予算があるなら網棚の素材を変えることくらいできたでしょうに。蛍光灯カバーも確かに通勤車と同一仕様のようですね。
by サットン (2008-02-15 09:37) 

京葉帝都

12200系の網棚には驚きました。ほとんど漁網で国鉄の旧型客車オハ35の車内を思い出しました。東京メトロにも網を使用した網棚の車両はありますが、ステンレスメッシュのユニットになっています。それと南大阪線系統にはまだデッキ無しの特急車が残っているのでしょうか。丹波橋に特急が停まるようになって京阪側にもメリットがあったと思います。京阪本線の京都側の駅で一番乗降客が多いのは丹波橋ではないでしょうか。
by 京葉帝都 (2008-02-16 13:36) 

サットン

京葉帝都さん

”魚網”ですか!?言い得て妙ですね。本当になぜあんな過去の遺物をそのままにしているのか不思議です。車両によっては交換しているようですが。
丹波橋は京都方の駅では際立って利用者は多いと思います。狭いホームで緩急接続を取るためいつも人で一杯というイメージですね。
近鉄南大阪線の特急ですか?こちらは何十年かご無沙汰なので、?です。
by サットン (2008-02-17 15:20) 

む〜さん

 近鉄特急の旅を楽しませていただきました。こんな記事を読んでいると、関西エリアに行きたくて、電車に乗りたくて、あの車両に会いたくて堪らなくなります。
 現役の会社人のころは、お金は何とかなっても、時間が無かった。会社が終わっちゃったら、時間は山ほどあるのに、お金が無い。先週買った何時もの『籤』も駄目でした(笑)。
by む〜さん (2008-02-24 13:21) 

サットン

む~さん

私は、お金も時間もありません(笑)。記事をご覧いただいているとおり近場ばかりでウロウロしています。その点、話題に事欠かない関西に住んでいて良かったと思います。
まもなく開業するJRおおさか東線、今秋開業予定の京阪中之島線、そして来春には阪神なんば線が開業します。是非お越し下さい。
by サットン (2008-02-24 23:24) 

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