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日経トレンディ ビジネスホテル格付けを斬る 名古屋編 [ホテル(その他)]

日経 TRENDY (トレンディ) 2008年 08月号 [雑誌]

日経 TRENDY (トレンディ) 2008年 08月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2008/07/04
  • メディア: 雑誌

名古屋はやはりホテル不毛の地だったのか

 

ページを開いて驚いた。名古屋のビジネスホテルのラインナップは正に底辺での団子状態と言ってよい。1・2位こそ60点代だが、3位以下はいきなり40点代となる。今まで斬ってきた東京、大阪、札幌、福岡ではもちろん見られなかったレベルの低さを呈している。

 

まずは名古屋を斬る!

皮肉ではなく今回の名古屋編を楽しみにしていた。名古屋はビジネスホテルのメッカであること。トレンディのWEB版次号予告でも「今一つ盛り上がらない名古屋のホテル市場・・・本当に多くを望めないのか」とやや思わせぶりともとれる内容だった。しかし、実際は文面どおりだった。
なぜ、大都市名古屋にホテルが育たないのか?記事中にもあるように一つには宿泊需要の大量発生地である首都圏、関西圏から十分日帰り可能という“立地の良さ”が裏目に出ているというのも一つだろう。

しかし、今やホテルは単なる宿泊産業ではない。宴会、レストランなど多くの機能から成立しているのだ。大都市圏のライフスタイルとして小金が貯まればホテルで食事というシーンが定着して久しいが、財布の紐が固いといわれる名古屋ではまだまだ浸透していないようだ。 
また、名古屋の閉鎖的な地域性もホテルの進出を阻害しているといえよう。かつて、東急ホテルが進出を表明した際には地元業者が反対し商工会議所が仲裁に入るという大都市では見られない事態が発生している。

良いホテルのない町は見向きもされないし、用事のある人以外は訪れない。ここに名古屋が通過都市から脱却し、トヨタ以外の情報を発信する真のメトロポリタンとなりうるヒントがあると思えるのだが。

 

格付けが低い理由
格付け上位3ホテルは①ダイワロイネットホテル名古屋駅前②リッチモンドホテル名古屋納屋橋③ザ・ビー名古屋

前述したとおり、上位2ホテルは68点、66点をマークしているものの3位は急降下して47点である。

この結果について記事では「シティホテルとビジネスホテルの空白ができている」。つまり、トレンディがいうところの“新型ホテル”の不在が原因と分析している。確かに空白地帯が生じている理由としては納得できるが、全体的なレベルの低さを説明するには不十分であろう。
私は新型ホテルの不在に加えてシティホテルの不在が全体的な水準を引き下げた要因ではないかと考える。今までの4都市では廉価で客室を販売するシティホテルが参入した結果全体の平均点を引き上げていたが、名古屋のラインナップにはシティホテルは皆無である。

シティホテル不在の裏側
名古屋だけに見られるこの明白な特性になぜ記事が言及していないのか甚だ不思議である。この格付けでホテル選択の基準となっているのが料金帯である。東京以外では5千円~1万円が基準となっている。つまり、名古屋ではこの価格帯でシティホテルは利用できないということになる。中京圏の中核である名古屋だが、都市の規模に比してホテルの選択肢は非常に限られているし、そのレベルも低い。それは利用者にとってレベルの低いホテルに高い料金で泊らされるという実態を生んでいる。そんな町に魅力を感じるだろうか?名古屋市が標榜するコンベンション都市としても大成するとは思えない。
今後は新型ホテルがぬるま湯に浸ったシティホテルをどんどん突き上げて名古屋のホテル市場を活性化してくれればよそ者にも面白い町になることと思う。

これぞビジネスホテルランキング!
今まで「ビジネスホテルランキングといいながらシティホテルが混入しているではないか」と苦言を呈してきた筆者にとって今回の名古屋編は結果的にビジネスホテルに絞り込まれており純粋に各ホテルを比較でき安心して読むことができるのである。横一線に並んだ各ホテルの客室の写真の中でルートインが快適そうに見えるのだから面白い。

■またも手抜きか
かねて指摘してきたホテルの正体を明らかにすべき、つまり、リブランド、営業譲渡などで対象ホテルの属性が変わっていれば、その点を明らかにせよということである。この点については前回の「札幌・福岡編」では随分改善されていたが、今回再び手を抜かれてしまったようだ。ザ・ビー名古屋は昭和54年開業のホテルライオンズプラザ名古屋が前身であるし、ホテルコムズ名古屋は三井アーバンホテル名古屋がリブランドしたもので、さらにその前は名古屋金谷ホテル(昭和54年開業)である。他にもホテルウイングインターナショナル名古屋=サンハイツホテル名古屋(昭和59年開業)であるし、アパヴィラホテル名古屋丸の内駅前も怪しいなあ。

不満が残る調査ホテルの絞込み
これもかねがね苦言を呈していたのだが、なぜ数多あるビジネスホテルの中でこれらのホテルが選ばれたのかという点である。価格帯5千円~1万円を基準に据え、過去4年以内の開業、改装、建て替え、増築というのが選定条件とある。他方、客室選定では今まで掲げていた「改装済みの客室を優先したこともある」との但し書きが消えている。過去4年以内の開業という条件では前項の各ホテル他失格多数である。故に開業年を明記し、備考として何年名称変更という具合に必要な情報を提供する必要があると思うが無理だろうか。中には昭和48年開業のチサンイン名古屋などというビジネスホテルの化石のようなホテルまで登場する。チサンホテルからリブランドしたのは最近かも知れないが、他に幾らでもホテルはあるだろうに。それにしても、このチサンイン、デスクはあるが、椅子がないというのは如何なる理由によるものか?まったく、最初から外しておくべきだろう。晒し者、或いは受け狙いとしかいいようがない。
このような骨董品を引っ張り出す暇があるのに何故か新型ホテルの旗手であり、名古屋を本拠とするホテルトラスティがエントリーされていないし、同じく名古屋ベースのワシントンホテルプラザも入っていない。非常に疑問である。もっと丹念にホテル選びをしていれば今回のような悲惨な結果は出なかったかも知れない。全体的に今回の取材は非常に拙速な印象が否めないのだ。
また、客室選択ではホテルコムズには“アーバンルーム”と称する上級客室があり、そちらを選択していれば空白を埋めていたかも知れない。

名鉄よおまえもか
札幌・福岡編では九州を代表する企業グループである西鉄系の西鉄インを酷評してしまったが、名古屋でも名鉄が同じことをやっているようだ。名鉄インの独房のような客室、相も変らぬ10時チェックアウトなど、なにを今更古臭いビジネスホテルを展開しているのかと首を傾げてしまう。名鉄ブランドを信頼して訪れたゲストはさぞがっかりしているだろうに。

今回は、名古屋の皆さんにとってたいへん耳の痛い記事になってしまったかも知れません。ご批判があれば是非お聞かせ下さい。今後の参考とさせていただければと思います。


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コメント 4

しんりゅう

この次あたりのページにちょこんと載ってた「東京の新ホテル」の評価の方が読んでて面白かったですね。
ホテル会員の特集はあまりにあまりな感じでありましたが…
詳細なレポ、お疲れさまでした!
by しんりゅう (2008-07-07 20:49) 

サットン

しんりゅうさん

長文乱文にお付き合いいただいたようで恐縮です。

名古屋のホテル業界は元気ないですね。面白みもないです。
マリオット辺りが独走している程度ですから。

東京の新規ホテルは面白いですね。ホテルサードニクスはかつて
ホリデイインがあった場所ですが、まさか建物も再利用ということは
ないでしょうね。(笑)
by サットン (2008-07-08 09:09) 

JACK

名古屋は本当にひどいですよね。
私もCASTLE PLAZAに泊まりましたが
カネをドブに捨てた感じでした。
by JACK (2008-08-01 13:25) 

サットン

JACKさん、はじめまして!

私も本家キャッスルで二度期待外れを経験しましたよ。
通常一度期待外れがあると二度目はないんですが。(笑)

ホテルの充実度はその町の魅力のバロメータだと思います。
名古屋の皆さんがんばりましょう!
by サットン (2008-08-01 18:25) 

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