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ザ・ウインザーホテル洞爺というホテル [ホテル(その他)]

ウィンザーホテル洞爺夢のホテル (小学館文庫 く 4-1)

ウィンザーホテル洞爺夢のホテル (小学館文庫 く 4-1)

  • 作者: 窪山 哲雄
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/05/08
  • メディア: 文庫

洞爺湖サミットの会場となったザ・ウインザーホテル洞爺、連日すごい露出ですな。広告費換算でいったい如何ほどになるのか見当もつきません。
それではザ・ウインザーホテル洞爺とはいかなるホテルなのか?それを紐解くにはこの本が一番でしょう。

■ホテリエのいるホテル
ホテリエ(hotelier)とは単にホテルで働く人ではなく、ホテル経営者を指すのでありますが、それも単に数字だけを見ている人ではなく、ホテルを、その土地を知り尽くしている人にこそ冠せられる言葉であろうと私は理解しております。
そういう意味ではこの本の著者で、株式会社ザ・ウインザーホテルインターナショナル社長の窪山哲雄氏こそわが国では希少なホテリエでありましょう。金融業や電鉄業から天下りしたホテル経営者は数多いらっしゃるが、ホテリエといえる人がこの国に何人いるでしょう?

窪山氏はニューヨークの名門”ウオルドルフ・アストリア”他、内外のホテルの要職を歴任した純粋なホテリエであります。氏の名を一躍有名にしたのはハウステンボスのホテルを経営する”NHVホテルズインターナショナル”社長時に成し遂げた数多くの奇跡とも言える偉業でしょう。”ホテルヨーロッパ”を開業1年でLeading Hotels of the World(LHW)に加盟させると同時に客室単価日本一の高級リゾートホテルに育て上げたというのは象徴的な一例です。
その時の部下が氏を慕い長崎から洞爺まで何人も付いて来たといいます。現在の総支配人もそのお一人だそうですよ。

■ドラマチックなホテル
このホテル、実はこれまで順風満帆でやって来たわけではなく、波乱に満ちた歴史を持つのであります。
1993年、ホテルエイペックス洞爺の名で開業したこのホテルには600億円余りの巨費が投じられたそうです。
この当時、広報を担当していた私は、たまたまこのホテルの内見会から帰って来たばかりの業界誌の幹部であるA氏とお会いする機会がありました。その時のA氏の興奮した表情を今もはっきりと覚えております。「サットンさん、エイペックスって凄いホテルだよ!金懸けてるよ。それにスタッフの笑顔が素晴らしいね!先日お邪魔したお宅のホテルのスタッフ、ちょっと疲れてたけど・・・・・」。
なにごとも歯に衣着せずに意見するA氏の言葉だけに説得力がありました。ウチのホテルに対するコメントも的を得ていましたが・・・・。

そのエイペックスも巨額の投資が裏目に出て、融資元の北海道拓殖銀行の破綻に巻きこまれていきます。洞爺湖を見下ろすように立つその姿はバブルの塔として一時期頻繁にマスコミに登場したので今でもザ・ウインザーホテルというよりエイペックスの方が通りが良いかも知れません。
バブルが破綻したころには安い料金で大安売り、ゲストが客室にコンロを持ち込み鍋を突付いていたこともあるっていうから驚きです。
そのエイペックスを引き継いだのが、窪山氏率いるザ・ウインザーホテルなのであります。
この辺の詳しいことはこの本をお読みいただくこととしましょう。
そのバブルの塔が、今や客単価5万円超、稼働率85%だというのですから再び奇跡が起こったというわけですね。

今後、窪山氏にホテル運営を託す企業が数多く現れることでしょう。しかし、氏の哲学を理解できるオーナーが果たしてどれだけいるか。札束で横っ面を張るようなオーナーは氏のお眼鏡に適わないでしょう。

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コメント 4

しんりゅう

まぁ、スパという名がついているだけに、いつかは行かなきゃ、ということなんでしょうね~
ただ、寒さが苦手で夏は暑いとこへ行きたいという南国系の自分だと、どうしても優先順位が後になってしまいそうです^^;
サービスがどれ程のものか、見てみたくはありますが…
by しんりゅう (2008-07-10 19:31) 

ファジー

とても勉強になりました。
内部の方の意見がとても真実味を帯びてます。
スタッフのご苦労も推察されます。
by ファジー (2008-07-10 23:13) 

サットン

しんりゅうさん

いつかは行かないとだめですよ!(笑)
私は当面行けそうもありませんので、しんりゅうさんの
鋭いレポートを今から楽しみにしています。
by サットン (2008-07-16 10:38) 

サットン

ファジーさん

これまでのスタッフの方々の苦労は如何ばかりかと。
でも、サミット開催ホテルとしての重役を担えるなんて
ホテルに身を置くものとしては代え難い経験だと思います。
今回のスタッフの中から将来のホテリエが育ってくれるものと
期待しています。

by サットン (2008-07-16 11:03) 

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