紀伊半島縦断最長路線バスの旅 ~1(助走編) [鉄道の旅]
これは新宮から大和八木まで日本最長の路線バス完乗に挑んだ物語です。
新宮特急バスに乗るのが目的の今回の旅。北上ルートを選択したので当然南側の起点である和歌山県新宮まで行かねばなりません。したがって今日はバスは出てきませんので悪しからず。
◆久々の「くろしお」で一路南下
▲南紀へのスタートは新大阪から
新宮までどうやって行くか。全く決めていません。白浜までは高速バスも出ていますが、時間はかかるし今ひとつ魅力に欠けます。結局、定番の特急くろしおでということに。
今や南紀への玄関口は天王寺というより新大阪がメインのようです。時代は変わる・・・・・。
▲下ぶくれの「くろしお」
11番線の14:03発「くろしお19号」に乗り込みます。特にこの列車に乗ろうと思ったわけではありませんが、たまたま停まっていたので。なんとなく投げやりなスタートであります。しかも中途半端な白浜行でした。
しかし、学生時代以来の紀勢本線の旅に徐々に気分は高揚して行くのであります!
ホームの放送は「きのくに特急 くろしお」というフレーズを使っています。「関空特急 はるか」なら知っていますが、きのくに特急というのは初めて聞きました。
◆貨物線を行く楽しみ
新大阪からのくろしおの楽しみは梅田貨物線からの眺めであります。非日常の車窓が展開します。
左 いつも通過する阪急の高架をくぐります。
右 工事中の大阪駅も梅田貨物駅越しに眺めます。
▲コンテナ越しに見る西梅田の高層ビル群
わずかな時間ですが、いつもとは違った視点からの景色は良いもんです。
▲今日のお伴
カフェイン中毒の私にとって缶コーヒーは欠かせないアイテムです。これがないと手は震え、冷汗が滲んでくるのです。おそろしや~・・・・・
今日のお伴はあっさり、さっぱり系のコイツです。
◆ストレスフルな阪和線
大阪環状線を経由して天王寺に到着。さすがにまとまった乗車があります。
しかし、天王寺からの阪和線はイライラの連続です。密度の高いダイヤに加え古い車両が多いので特急の前を邪魔する列車が多いんです。退避駅で追い抜いたかと思うと、すぐに次の列車が邪魔をする。そんな状況の連続です。和歌山までは実際の時間以上に長く感じました。
▲6分遅れで和歌山着
阪和線内遮断機折損事故で和歌山には6分延着となりました。乗客の過半数が下車します。和歌山なんて快速で行くものと思っていた私には意外でした。みんなリッチなんですね。
和歌山を発車し紀勢本線に入ると右側に海の眺めが展開しますが、ギンギラギンの照り返しは強烈過ぎてとても見る気にはなりません。早くもバテ気味の私です。大丈夫かいな・・・・・。
そんな海岸線に沿い右に左に傾きながらくろしおは進みます。でも、遅れはなかなか縮まらず。かなりキツイダイヤになっているようです。
▲古~いくろしおの車内
ところで、この「くろしお」さっきから妙な振動が気になります。ノッキングを起こしているような前後方向への振動が終始伝わってきます。非常にイライラします。振子機構と関係あるんでしょうか。
おまけにシートは基本的に国鉄時代のものが使われていますし、窓も汚れています。せっかくの車窓も曇りガラス越しではもったいない。
▲切目ー岩代間の海岸線
終点白浜も近づいた頃撮影名所として有名な切目ー岩代間のカーブに差し掛かります。思えば高校時代のある夏休み、電車になる前のくろしおを撮ろうと炎天下のこの地を訪れたことがありました。叢を掻き分け崖を登りの難行苦行。岩代の駅に戻った頃にはすっかり脱水状態になっていました。そんな硬波な時代もあったんですよ。
◆鈍行で行く白浜ー紀伊勝浦
▲白浜からは鈍行で(串本)
うっかり白浜行に乗ってしまったので先へは鈍行で進みます。
始発の紀伊田辺で乗り換えても良かったのですが、既に高校生がドア周辺に密集していたので白浜で待ち受けることに。それでもだめなら後続の特急にするかという感じで。
やって来たのは105系の2両編成、幸い白浜で大勢下車し席には座れました。
▲串本手前では潮岬が
それにしてもこの辺の高校生は躾ができてない。パンやコンビニのポリ袋を座席の隙間に捩じ込む、通路に車座になって座り込むとすっかり寛ぎ空間です。かなりの遠距離通学のようですが、ちょっとひどいなあ。車内には「最近車内での器物損壊が多発しています」とのポスターが貼られています。ワンマン化で車掌さんがいなくなり駅も無人化された結果なんでしょうが。
周参見ー見老津間の信号所で反対方向の鈍行をやり過ごし山あり海ありの紀勢本線をどんどん南下して行きます。日没間際の太陽はさすがに秋の気配、真夏ほどの勢いはありません。
潮岬らしき半島を見ると串本に到着です。
▲串本は本州最南端の駅です
ここでスーパーくろしおに道を譲るためなんと27分停車。退屈した乗客があてもなくホームに降りてはウロウロしています。さすがに27分というのは長い。
▲日も暮れる頃スーパーくろしおが到着
がらがらのスーパーくろしおが往くとようやくわが鈍行も発車します。
間際に乗って来た高校生は「なんで今日は人多いん?」と不思議がっています。多いって高校生以外は4・5人ですが。いつもなら彼らの貸し切りなんでしょう。
すっかり日も暮れた中橋杭岩を確認すると車窓も行き交う車と家明かりだけ。乗って来る人もいなくなり高校生が駅ごとに降りるだけに。時間が止まったような鈍行です。
◆勝浦の悲惨な一夜
退屈し始めた頃紀伊勝浦に到着です。
今夜は勝浦を代表するマンモスホテルである「ホテル浦島」を予約しているので送迎船の出る桟橋まで歩かねばなりません。このホテル、勝浦の沖に突き出した半島に建つので船で送迎してくれます。しかし、その前に大事なミッションが。そう、今夜の食料調達です。ホテルのレストランで一人食事をする気にはなりませんから。19時過ぎというのに人通りの途絶えた駅前を歩きつつコンビニを捜しますが全く見当たらず。少し経路から外れた場所も捜索しますが無い。コンビニどころか開いている店が無い。仕方なく酒屋でビールとポテトチップを買って送迎船「第三浦島」に乗り込みます。
▲ホテル浦島本館
敬語を全く使えないフロントの兄ちゃんにチェックイン手続きをしてもらい、くたくたになって部屋にたどり着きました。結局ビールを飲んで眠りこけてしまいました。温泉にも入らず。
「ホテル浦島宿泊記」はまた別項にて立ち上げます。「ホテル&トラベルジャーナル」ですから。
◆再び鈍行で新宮を目指す
▲桟橋付近から駅前通を見る
翌日は7時に起きたものの体調優れず朝食も摂らずに出発します。再び船で送ってもらい駅前へと続く道を歩きます。やはり人はいません。
かなり町が疲れているように見受けられます。かつては東京からのブルートレインが発着し、首都圏と四国・九州を結ぶフェリーも寄港していたのに。
▲紀伊勝浦駅
紀伊勝浦発8:54の鈍行で新宮に向かうことにします。この列車を逃すと9:54発、本日最終の新宮特急バスに乗れません。
この時間ならやんちゃな高校生もいないでしょう。
▲紀伊勝浦駅跨線橋
那智大社にちなんだのか朱塗りの跨線橋を渡ってホームに向かいます。
▲新宮行きは昨日と同じ
昨日と同じ105系2両の新宮行きはガラガラでした。新大阪行きのスーパーくろしおを待って発車します。
▲これぞ正しい鈍行なのだ
良いですな、のんびりムードいっぱいの鈍行列車。ロングシートながらきれいにリニューアルされた車内は快適です。
▲朝の太平洋です
紀勢本線は複雑な海岸線に沿って走るので山、トンネル、海が次々に現れては消えていきます。長崎本線あたりの景色を少し荒々しくした感じでしょうか。
▲窓の向こうに水平線
▲後部展望席より
せっかく良い感じの鈍行の旅ですが、30分足らずで新宮に到着です。もっと乗っていたい!
いやいや、これからが本番です!
▲新宮駅
さあ、新宮に到着しました。しかし、ここが今回の旅のスタート地点です。
いよいよ新宮特急バスに乗りますよ!!
私はGWに南紀(白浜)に行きましたが、行きも帰りも「オーシャンアロー」に乗りました。
乗車マナーが悪いのは・・・まぁ、田舎の高校生ですから。南海線では普通の光景です。
by KK-Planet (2008-09-12 23:30)
海岸沿いに走る景色は退屈しません。紀勢本線は長いのでより変化に富んでいることでしょう。長崎本線との比較が出たところはさすがです。ロングシート車から見る景色は開放感があって案外気に入っています。小学生の時に夏休みに天王寺から白浜までDC急行「きのくに」に乗車しましたが、超満員でずっと立っていました。
by 京葉帝都 (2008-09-13 03:15)
朝の新宮行きのローカル線。陽光たっぷりで車窓風景もすばらしく、楽しい雰囲気が伝わってきました。
いよいよ奈良No.285のバスの登場ですか?・・・ドキドキ
by ファジー (2008-09-13 09:09)
KK-Planetさん、はじめまして!
くろしおに使用されている381系があんなに状態が悪いとは思いませんでした。素直にオーシャンアローにすればよかったと反省しきりです。
by サットン (2008-09-13 22:05)
京葉帝都さん
紀勢本線の車窓は変化に富んでいて楽しいものでした。でも、太平洋に面しているので津波が発生したらたいへんでしょうね。
オフシーズンだったので白浜駅も人気がありませんでしたが、週末ごとに渋滞している阪和道などを見ていると今も集客力があるんでしょうね。
by サットン (2008-09-13 22:10)
ファジーさん
紀伊勝浦からの電車は空いていてやかましい客もおらず、わずかな時間でしたが楽しめました。
次回はお待たせのバスが登場しますので乞うご期待!
by サットン (2008-09-13 22:13)
お疲れ様です。
きのくに線の381系もそろそろ置き換えでしょうね。新大阪ー和歌山間は新幹線の乗り継ぎ等もあって意外と利用率はあるそうです。しかし、あの車両ならオーシャンアローを迷わず選びますね。
でもきのくに線の景色はいいですね。
by UZ (2008-09-14 12:51)
UZさん
381の状態の悪さにはがっかりでした。
せっかくの車窓風景もベネシャンブラインドを外した後の窓ガラスの汚れが激しく台無しでした。105の窓の方がよほどきれいでしたよ。
by サットン (2008-09-15 11:59)
私は白浜へ行く時に"くろしお"に乗り、柿の葉すしを頬張りながら、車窓を眺めていました。
その時も、和歌山までの利用者が結構いましたね~。
紀勢線沿いを車で旅しましたが、温暖でいい所でした。
by うたに (2008-09-15 16:50)
381系の荒れたかんじと、
勝浦の疲れた感じが、
なんだか符丁します。
ほんとうなら、素敵な旅行になるはずが、
なんだかなぁ、の旅になってしまいますね。
by manamana (2008-09-15 19:29)
スーパーくろしおに比べくろしおのダサかわいい顔が味ですね。
周参見駅にイセエビと電車見に行ったとき、スーパーくろしおの通過ばっかりでつまらなかった記憶が。。。
海の車窓はステキですね!!電車の窓枠が額縁のようです^^
by かもみーる (2008-09-15 22:28)
いやぁ。
朝の海を見ながらの鈍行列車ってすごい贅沢な気分になりますよね。
今日も一日がんばるぞって感じがします。
by undo (2008-09-16 00:59)
うたにさん
実に久し振りの紀勢本線でした。車窓の風景はあまり変わってなかったですね。くろしおもカラーと座席がちょっと変わった程度で。
柿の葉寿司ですか。私は新宮でめはり寿司を買ってバスで食べましたよ。
by サットン (2008-09-16 10:16)
manamanaさん
勝浦の凋落ぶりは予想以上でした。でも、ホテル浦島は平日にもかかわらず団体さんで賑わっていました。
いろいろ文句もありましたが、終わってみると楽しかった。旅って不思議ですね。
by サットン (2008-09-16 10:19)
かもみーるさん
くろしおの顔は雷鳥に似ていますが、屋根が低い分ご覧のようなお多福になっています。しかし、乗り心地の悪さは何とかしてくれと言いたいです。JR東海ならとっくに取り換えてるでしょうね。
海の眺めは絶品です。真夏はちょっときついかも。
by サットン (2008-09-16 10:24)
undoさん
車窓に展開する海の景色、なにか得をしたような気がします。地元の人々には珍しくもないのでしょうが。地元民と余所者の反応の違いが面白かったです。
by サットン (2008-09-16 10:28)
くろしお、いいですねーー。
新大阪から、そうですね、それが普通なんですね。
紀伊半島はちょっと行きづらいって感じがするんですが、
くろしおに乗れば、ちょっとは楽チンなんでしょうねーー。
by keroro (2008-09-19 02:04)
keroroさん
旅の名人にお越しいただき光栄です!
今回の旅に赴く前、keroroさんの「てくてくてく♪和歌山とか旅行記」も拝見しましたよ。
南紀に行かれるならオーシャンアローを利用しましょう。くろしおはダメだ、くたびれてます。あれで特急料金同じとは・・・・。
by サットン (2008-09-19 09:22)