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特急北近畿 最後の冬を行く [鉄道の旅]

冬の山陰雪見旅

1月8日付けのmoblogで予告していながら諸般の事情で塩漬けになっていた山陰の旅の様子。遅ればせながらスタートいたします。

2011年は山陰地方の記録的豪雪で明けました。せっかくの温泉とカニのオンシーズンも旅行客のキャンセルが続出しているとか。こんな時こそ出かけて行って適切な消費活動を行うことこそ真の支援である! とばかりに山陰方面に出かけたのでありました。本音は大好きな山陰の雪景色を満喫しようってところですが・・・・・。

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▲「北近畿」のヘッドマークも見納め

大阪から山陰方面へは新装なった「はまかぜ」や3月新ダイヤで大阪乗り入れを中止する「タンゴエクスプローラー」など選択肢は様々ですが、今日は乗り継ぎの関係などで大阪12:11発の「北近畿7号」をチョイス。お名残乗車というわけではありませんが、結果的にこれが「北近畿」とのお別れとなりました。


◆カニカニシーズンは大盛況

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▲北近畿7号が出る大阪駅3・4番線(2010年11月11日撮影)

11:30頃大阪駅3・4番線に上がるとたいへんな賑わいです。12:05には「はまかぜ3号」も浜坂へ向けて発車するこのホームは3連休初日となったこの日、カニの本場へ繰り出す人たちで盛況を呈しているようです。
面白いことに「はまかぜ」、「北近畿」ともに指定席の乗車位置が賑わっており自由席の行列はほどほど。行楽列車の特徴といえるでしょう。
多くの人が群がる売店で血相変えたおばちゃんから昼食を調達し、4号車自由席の行列に加わります。
「はまかぜ」を見送った後新大阪から到着した「北近畿7号」に乗り込みます。普段は4両ですが、この日は7両に増結。これも行楽列車の特性で効率よく2人掛けの席が埋まっていき進行右側窓際に席を占め大阪を出発します。鉄道唱歌のオルゴールが旅情を演出してくれます。国鉄型の183系です。・・・・・っていうか私には485系にしか見えませんが。

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▲雪化粧した福知山城

淀川を渡ってすぐの尼崎で更に乗客を拾い、加えて宝塚でも乗車があり私の隣も埋まり満席となります。
トンネル区間を突っ走っていると後の席から「お父さん、トンネルの中に駅があった!」と子供の興奮した声が。トンネルの間の西宮名塩を通過している時でした。
12:44着の三田で早くも下車客が数人。新幹線からの乗り継ぎ客でしょうか。
トンネル区間を抜けたところで携帯から今夜の宿を手配。今夜は鳥取に泊まります。

車窓は陽光が燦燦と降り注ぎ春を思わせる光景が展開しますが、篠山口を出た辺りから雪が目につき始めます。
ところで先程来沿線には舞鶴若狭自動車道が絡まるように併走しています。高速無料化の対象になっており「北近畿」も少なからず打撃を被っているとか。
低い分水嶺を越え日本海側に抜けるとますます雪景色はボリュームを増し、高架から見下ろす福知山の町はすっかり雪に包まれています。


◆ビッグXネットワークの要 福知山

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▲福知山に到着した「北近畿7号」

13:44福知山着。
ここで6分の停車です。特急なのに悠長なと思われるかも知れませんが、ここで“北近畿ビッグXネットワーク”の見せ場が展開します。

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▲ネットワークの要福知山(左) シートカバーにもロゴマークが(右)

北近畿地区の鉄道路線は福知山駅を要に大阪、京都方面。そして、城崎温泉、天橋立方面へとX字形に展開しています。そこで各方面からの特急列車を福知山で相互に接続させるダイヤが編成されています。加えて各特急列車を福知山で乗り継ぐと特急料金も通算となるよう特例措置が設けられており“北近畿ビッグXネットワーク”と名付けられております。
まあ、近鉄特急は昔からやっていたことではありますが。

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▲「北近畿7号」の相方「タンゴディスカバリー1号」到着

この「北近畿7号」を例にとりますと・・・・・
到着4分後の13:48、京都から北近畿タンゴ鉄道経由久美浜行の「タンゴディスカバリー1号」が隣の3番線に到着、各々の方向へと向かう乗客を受け渡した後「北近畿7号」は13:50、「ダンゴ・・・」は13:52に発車していくという具合です。
この日もかなりの乗客が入れ替わり、いったん静かになった「北近畿7号」の車内にも再び賑わいが戻ります。

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▲福知山駅頭の顔もずいぶん変わりました

というわけで京都方面から城崎温泉に向かう乗客も取り込んで山陰本線へと踏み入れ一面の雪景色の中を進みます。

※平成23年3月ダイヤで「タンゴディスカバリー」は廃止となりました。


◆改造183系の楽しみ

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▲貫通路が本領発揮

さて、車内の様子も見てみましょう。
今日のように基本4両編成に増結車3両編成を連結する場合には双方の境界、4号車と5号車の間に通路が設置されます。5号車側は中間車に運転台を特設したクモハ183なので面白みはありませんが、4号車側は元クハ481を出自とする高運転台。あの貫通路を通ることができるわけです。この貴重な機会を逃す手はありません。さっそく通ってみましたが、微妙に屈折しており、かなり狭く栄養失調体型の私でも対向者と行き違うのは困難でした。舞台裏って感じです。

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▲クモハ183の特等席

通路が設定された際にはクモハ183の助士席側は開放されるのでご覧のような特等席が出現します。もちろん展望はききませんが、ちょっとした運転士気分は味わえます。

※平成23年3月ダイヤで183系の7連運用は消滅したようです。


◆雪の山陰本線を西へ

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▲快晴の下の雪景色、眩しいです

車窓には一面の雪景色が広がり今回の旅の目的の一つは達成され満足ではありますが、快晴の空から降り注ぐ太陽の眩しいことといったらありません。
とはいえ、雪の中を淡々と進む列車の旅はやはりいいもんです。くたびれた国鉄型のシートに身を委ね山陰本線を西へと進みます。

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▲和田山名物赤レンガ車庫と給水塔

そんな車窓にアクセントを添えてくれるのが和田山駅の構内風景です。
汽車の時代を今に伝える赤レンガ車庫と給水塔が構内に残っています。特に豊岡機関区和田山支区として使われていた赤レンガ車庫は明治時代の遺構だそうです。惜しまれつつ取り壊された糸魚川の赤レンガを思い出します。

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▲江原で「はまかぜ4号」と行き違い

山陰本線とはいえ福知山からは単線となり駅ごとに上り列車と行き違います。時刻表片手にどの駅で行き違うかを予想するのもテツ旅の醍醐味ですな。
江原では大阪行「はまかぜ4号」と行き違います。この光景も昨年11月までは国鉄型同士の交換でしたが、今や「はまかぜ」はピカピカのキハ189系。JR西日本からも国鉄型は確実に姿を消しつつあります。

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▲豊岡では「タンゴエクスプローラー」がお出迎え

14:46着の豊岡では北近畿タンゴ鉄道のKTR001形が姿を見せます。大阪を1時間早い11:10に発車し丹後半島をぐるりと回り豊岡に14:34に到着した「タンゴエクスプローラー1号」です。年末年始には不調が伝えられ、他形式車による代走を仰いでいたそうですが、今日は無事にゴールしたようです。
そんな不調が原因なのかKTR001も3月の新ダイヤではJR乗り入れから締め出されました。3セク鉄道としては意欲的な車両でしたが、なかなか活躍の場に恵まれないようです。

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▲円山川が寄り添うとゴールも間近

豊岡を出ると円山川のゆったりとした流れが現れます。終着城崎温泉も間近です。車内放送では名勝玄武洞についての案内が流れますが、実はそれどころではありません。城崎温泉で接続する普通列車浜坂行はわずか2分の連絡。しかも2両編成。乗り継ぎ客で混雑することが予想されます。
早々に席を立ちデッキに向かいます。


ご存知のとおり去る3月12日の新ダイヤより特急「北近畿」は後進「こうのとり」にその座を譲り姿を消しました。冒頭に記したとおりこれが私にとって「北近畿」最後の乗車となったのでした。
いわゆる国鉄最後のダイヤ改正といわれる昭和61年11月ダイヤで登場した「北近畿」ですが、なんとも味気ないネーミングに面食らったものです。キタキンキなんて音も悪い。当時の北近畿観光キャンペーンとタイアップしたともいわれる命名に「どうせ短命に終わるだろう」と予想したのは私だけではないはずです。よくぞ25年近くも続いたもんだと思います。
新しい「こうのとり」。入れ替わるように消えていった同じ鳥に由来する「雷鳥」の生まれ変わりと捉えるのは無理があるでしょうか。

なお、今回登場したJR西日本色の183系も3月ダイヤより運用から外されました。


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コメント 20

まるたろう

自分も「北近畿」登場時は、名前が悪いなと思っていたので、
すぐ名前の変更があると思っていたのですが、よく続きましたね。
ちなみに「北近畿」、自分は2回しか乗っていませんでした。
by まるたろう (2011-03-26 22:52) 

manamana

こちらの方はあまり縁がないので、
続きが楽しみです。
by manamana (2011-03-27 08:03) 

Cedar

私もこの方面は●十年前から縁がありません。ダイヤ改正前のルポ楽しみにいたしております。
by Cedar (2011-03-27 10:37) 

サットン

まるたろうさん

キタキンキって何とも寒々しくって事務的な響きですね。
サンダーバード、雷鳥と並ぶ大阪駅の二枚看板なのに地味な存在だったように思います。私もあまり乗った記憶がありません。
by サットン (2011-03-27 11:30) 

サットン

manamanaさん

この後は気動車三昧の旅となります。
正しいローカル線の旅をお伝えできればと思います。
by サットン (2011-03-27 11:34) 

サットン

Cedarさん

●十年前ですか!それではこの沿線も激変しているのではないでしょうか。
今回の新ダイヤでもかなり改変があり、一旦記事を書いてから注釈を付けるのがたいへんでした。
by サットン (2011-03-27 11:42) 

undo

朝の4号に三田から何度か乗ってました。7両でほとんど自由席なのに空席わずかなのにはいつも驚きでした。JR東みたく50キロ以内ワンコインなら乗りやすいんですが・・・・。
KTRは遊んだ帰りに夜便で乗りました。次の快速を並ぶのがしんどい冬場は特に・・・。

いずれも今となっては懐かしい話です。
by undo (2011-03-27 17:32) 

UZ

お疲れ様でした。
223系5500番台が篠山口以北で運行を開始してからは「ぼったくり特急」のイメージが強くなりました。私も数回利用したことがありますが、あの内装で料金をとっているのかと思うと遺憾に感じていました。

来月以降部品調達がしづらくなることから、こうのとりの編成減が行われます。そんなことなら前倒しして287系を投入すればなと思わずに入られません。
by UZ (2011-03-27 21:48) 

あーちゃん&父

はまかぜもこうのとりも新車いれて、気合入ってますねぇ、ビッグばってんネットワーク(違う
特等席、嬉しいですよねw南海のサザンの自由席でよくやってました(^_^;)
山陰の旅、楽しそうですねぇ。僕は去年の7月に鈍行で延々と京都から鳥取まで乗り継ぎしましたw山陰は何回行っても飽きません。
by あーちゃん&父 (2011-03-28 09:43) 

Lionbass

神戸に住んでいたころ、城崎までカニを食べに行ったことがあるのですが、車でした…。
但馬方面行きの特急というと、やはり「はまかぜ」や「まつかぜ」が浮かびます。
by Lionbass (2011-03-28 11:39) 

サットン

undoさん

私としては北近畿は何時も空いてる列車というイメージなんですが、通勤時間帯には混雑するんですね。見直しました!
KTRは高速道路の攻勢に晒され、JRからは締め出され踏んだり蹴ったりの感があります。存廃論議も浮上しているようです。
by サットン (2011-03-28 11:44) 

サットン

UZさん

特急とはいえくたびれたアコモデーションにのろのろダイヤ、利用が振るわないのも仕方がないのかも。
思えば中古車両の寄せ集めでスタートした北近畿は最後まで不遇だったように思います。一部とはいえ新車投入で誕生したこうのとりにはイメージを刷新して欲しいものです。
by サットン (2011-03-28 11:53) 

サットン

あーちゃん&父さん

はまかぜも北近畿も車両は限界まで使い込んでいましたからね。
ビッグXと聞くとマンガを思い浮かべる昭和のオヤジです。
今時京都から鳥取まで鈍行とは気合入ってますね。かつては乗り継ぐこともなくラクラクと行けたもんですが。今回も安易に特急を利用しました。
by サットン (2011-03-28 12:01) 

サットン

Lionbassさん

私も大阪から山陰方面というと特急なら「まつかぜ」、「はまかぜ」。急行なら「だいせん」、「丹波」をイメージします。登場から25年、「北近畿」には馴染めず仕舞いでした。
「こうのとり」には大いに羽ばたいて欲しいところです。
by サットン (2011-03-28 13:23) 

飛んでモアイ

まだ国鉄色の183系が走っているを見ましたよ!!
ヘッドマークは、「こうのとり」と書き換えられた「北近畿」の絵柄・・・。
どうせなら、絵柄を変えて欲しかったです・・・。
by 飛んでモアイ (2011-03-28 23:51) 

サットン

飛んでモアイさん

183系、(準)国鉄色が残り、JR西色が運用から外れたようですよ。
「こうのとり」のヘッドマーク、私も新デザインを期待していましたが、他のビッグX特急とのイメージ統一を優先したんでしょうか。


by サットン (2011-03-29 00:17) 

京葉帝都

和田山の煉瓦車庫が残っていたのには驚きました。見学はできるのでしょうか。
タンゴディスカバリー、タンゴエクスプローラーと個性的な車両で惹かれます。
特急連絡で賑やかな福知山駅のシーンを見ると、Xネットワークをもっと知ってもらいたいですね。
普段は閑散としている越後線の吉田駅で夕方に4列車が一度に到着・発車し乗り換え連絡をしているシーンを思い出しました。
by 京葉帝都 (2011-03-30 01:55) 

サットン

京葉帝都さん

赤レンガ車庫、確認したわけではありませんが、周囲の雰囲気からして公開しているようには見えませんでした。町興しの材料にでも活用してくれればと思いますが。
ビッグX・・・はJRとしては力が入っているようですが、利用者に伝わり切っていないように感じます。KTRとの連携縮小といい戦意喪失気味なのは残念です。JRからの流れを断たれるとKTRにとっては死活問題ですから。
by サットン (2011-03-31 11:19) 

いそしぎ

あ、「こうのとり」の前身(?)なんですね。ヘッドマーク、ほとんど一緒ですね。

by いそしぎ (2011-04-04 23:58) 

サットン

いそしぎさん

北近畿ビッグXネットワーク関連の特急列車のヘッドマークデザインは統一されているようです。列車ごとに色を変えてはいますが。それで文字だけ入れ替えた印象ですが、ちょっと寂しいですね。
by サットン (2011-04-06 12:14) 

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