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富山地鉄アルプスエキスプレスに期待する!・・・も [鉄道の旅]

北陸初の水戸岡デザイン登場

映画「RAILWAYS 2」の舞台になり注目を浴びる富山地方鉄道に昨年12月23日から観光列車「アルプスエキスプレス」が登場しました。もともと地鉄は沿線に立山、宇奈月温泉などを擁する観光路線としての性格の強い路線ではありますが、残念ながら近年は観光バスに需要を取られ専らローカル輸送に徹する状態が続いていたようです。その地鉄が映画の人気を追い風に乾坤一擲世に送り出したのがこのアルプスエキスプレスであります。

◆アルプスエキスプレスとは

この列車は沿線の風光明媚な車窓を楽しみながら観光地へのゆったりとした移動空間を提供すべく登場しました。ベースは西武鉄道より移籍したレッドアローこと地鉄16010系の第2編成で、輸送力過剰として編成から外されていた中間車を復帰させ車内を大改装し指定席車としたうえ、両先頭車も指定席車との整合性を考慮してマイナーチェンジが加えられています。
デザインを手がけたのはJR九州、両備グループなどで数々の実績を挙げている水戸岡鋭治氏であります。指定席車、自由席車の改装内容はざっと次のとおりです。

[指定席車~②号車]
・温もりのあるインテリア・・・木目を多用した内張、暖簾、本棚の設置など判で押したような水戸岡ワールドが展開しております。
・バリエーション豊かなシート配置・・・水戸岡デザインの真骨頂とも言うべき手法で、ソファ席、カウンター席、セミコンパートメント席などが配されています。
・カウンターの設置・・・アテンダントが乗務し、軽食や喫茶の提供を行います。

[自由席車~①③号車]
・シートの刷新・・・従来のシート生地を張替え、アームレストに木目カバーを装着。
・セミコンパート席の設置・・・端部の座席を簡易間仕切りを用いた4人用セミコンパートメントに改装。

指定席料金は210円とし、指定券はアテンダントが販売する。
指定席車は土曜・休日のみの連結とし、平日は自由席車のみ2両編成での運転とする。
貸切列車としても積極的に販売する。

外観は従来どおりレッドアロー時代のデザインを残し、随所にロゴタイプ、ロゴマークを配する。

アルプスエキスプレスの特徴をまとめると以上のようになります。
写真がないのが残念ですが、実際に乗車された方々のブログを拝見するとなかなか良い感じに仕上がっているようです。私も富山まで出掛けて乗ってみたい!と感じました。立山、宇奈月、さらにはアルペンルートへの観光客で賑わうのを期待したいところです。

※アルプスエキスプレスの内外装についてはH.SUWAさんのHP「北陸の私鉄」に詳細画像が掲載されています。
http://www.atw.ne.jp/~suwa_h/TITETU/16010.html

ただ、そのためには幾つかの問題があるように思います。アルプスエキスプレスが広く認知され定着することを願って以下に問題点を挙げておきたいと思います。

chitetsu.jpg
▲アルプスエキスプレスのベースとなった16010系第2編成(右)


◆PRの充実を

アルプスエキスプレスが運転を開始して20日ほど経過しますが、皆さんはこの列車をご存知だったでしょうか。実は私も数日前にあるブログでたまたま知りました。詳しい情報を得ようと地鉄のサイトにアクセスしましたが、トップページにはアルプスエキスプレスのアイコン一つ見当たりません。唯一の手掛かりは二十数項目あるwhat's newの中の「観光列車アルプスエキスプレス運転開始のお知らせ」の1行だけ。そこをクリックするとニュースリリースらしきページに飛びますが、その内容が要領を得ません。仕方なくネット検索するとマスメディアの記事が並びますが、リリースをベースにしているだけに役に立たず。結局この列車の概要を的確に教えてくれたのは数少ない個人発信のブログでした。
ブログといえば公式サイトのトップに「鉄道アテンダントブログ」なるアイコンを見つけました。アルプスエキスプレスのために新たに導入されたアテンダントが書いているようです。せめて「アルプスエキスプレスアテンダントの・・・」とできないものでしょうか。さらにブログを読んでいくと「お客さん」という呼称が。ウソでもお客様とすべきでしょう。JR九州の唐池社長の言葉を借りればサービス業において「お客さん」は失格です。なんだか地鉄の接客姿勢を垣間見たような気がします。
せっかくの観光列車デビューもそのPRでは残念ながら躓いてしまっているように感じます。本気でPRする気があるのかって感じです。もったいない!
まずはWEBサイトのトップから簡単にアルプスエキスプレスの情報にアクセスできるよう早急に改善を願いたいものです。

◆座席指定券の問題

この列車の座席指定券は前述のとおりアテンダントが販売しています。それも乗客の希望を聞きつつキチンと座席を割り振っているようです。指定席の定員は40名、ピーク時に対応可能なのでしょうか。実際に乗った方のブログを拝見するとやはりイライラするほど待たされたそうです。ここで思い出したのが南海電鉄「天空」の当日券の発券方法。ホーム上での販売ですが、やはり人数等を聞きながらの手売です。こちらも時間がかかり締め切り時間に間に合わないことも。
なぜ座席指定に拘るのか不明ですが、この方法なら定員制の着席整理券で良いのではないでしょうか。浮いた時間でアテンダントには乗客に手厚いサービスを提供してもらいたいものです。

ダイヤの問題

土曜・休日の3両フル編成時のダイヤを見ると本線、立山線のみならず不二越・上滝線でも運用されています。加えて電鉄富山ー上市間の区間列車にも。なぜ、観光客の期待できない支線や区間列車に充当しているのか謎です。当面は全線でお披露目し地元客の認知を広めようとの作戦かも知れませんが、観光列車をコンセプトとしている以上やはり本線、立山線を中心に運用し、観光客が利用できるチャンスを拡大すべきだと思います。コンセプトのブレが心配です。

お正月早々偉そうなことをダラダラ並べてしまいましたが、私自身がアルプスエキスプレスに強烈に惹かれあれこれと調べた結果浮かんできたものです。久し振りに観光輸送に打って出た地鉄も試行錯誤の状態にあるのかも知れません。あくまでもこの列車の成功を祈ってのこととご理解いただければ幸いです。
それではいつの日にか「アルプスエキスプレス体験乗車」なる記事をアップできる日が来ることを願いつつ・・・・・。


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コメント 12

うたに

アルプスエキスプレス、全く知りませんでした。
運用見直しするのが面倒なので、とりあえず単純に増結するだけで行ってみよう・・・みたいな感じなのかしら。
せっかくアコモデーションを改善したのですから、有効に活用して欲しいものですね。
by うたに (2012-01-16 12:43) 

サットン

うたにさん

地鉄の情報発信力の弱さを感じました。せっかくのトピックなのに本当にもったいないですね。地元では賑々しく出発式を開催していたようですが。
観光列車としての運用はくまなく全線に分け入っていますので専用の運用を組んでいるようです。ターゲットを明確にして有効に運用して欲しいもんですね。
by サットン (2012-01-16 13:51) 

あおたけ

「アルプスエキスプレス」、私も雑誌等で写真を拝見しました。
車内はまさに「水戸岡ワールド」全開といった趣ですが、
外観はほぼ「レッドアロー」のままというのが嬉しいですね。
「本家」では「レッドアロークラッシック」なるものが走っていますが、
やはり「本物」の「レッドアロー」とは貫禄が違います(笑)。
by あおたけ (2012-01-16 16:39) 

まるたろう

地鉄の、鉄道アテンダントのブログを見ました。
これは一度、乗りにいかないといけませんね(笑)。
by まるたろう (2012-01-17 00:24) 

てんぽく

改造前の電車には乗ったことがあります。
当日にならないと、指定席の枚数が分からないので、一応前日に人数言って予約したことがあります。
自由席満席だと、普通に立たないといけないので、特急ベースの車両だと結構大変なんですよね。

リニューアルしてどう変わったのか気になります。
by てんぽく (2012-01-17 02:42) 

サットン

あおたけさん

雑誌掲載ありましたか。DJかな?
最近少々食傷気味の水戸岡ワールドですが、この列車には強く惹かれるものがあります。乗ってみたい!
レッドアロークラシック、側面は先代の面影を色濃く反映しているように感じますが、丸顔の正面がどうも・・・・。実車はどんな感じなんでしょうね。
by サットン (2012-01-17 09:45) 

サットン

まるたろうさん

アテンダントのユニフォームもJR九州にそっくりみたいですよ。是非一度ご乗車の上専門家としての評価を聞かせていただければと思います。
私も雪が溶けた頃に乗りに行きたいです。
by サットン (2012-01-17 09:51) 

サットン

てんぽくさん

私も特急うなづきには乗りましたが、指定席は無人でした。その指定席のお守りをするために専任の乗務員が乗っていたりずいぶん無駄なことをしてるなと首を傾げたもんです。
車内の様子は本文リンク先をご覧下さい。見事な水戸岡ワールドです。これなら210円は高くないかな。ただ、地鉄は運賃がベラボーに高いですけどね。
by サットン (2012-01-17 10:02) 

やまびこ3

こんにちは
レッドアローがほとんどそのままの外観で活躍しているのはうれしいですが、指定席の発売方法には課題がありそうですね。
富山市の交通政策の中で富山地鉄の役割がかなり期待されているので、がなばってほしいところです。
by やまびこ3 (2012-01-23 22:00) 

サットン

やまびこ3さん

富山市の先進的で積極的な交通政策は一躍全国の注目を集めるところとなりましたね。鉄道をどんどん活用して欲しいものです。
指定券については混雑時にアテンダントが発券作業に忙殺されてしまい本来の役割を果たせていないとの感想を見かけました。試行錯誤中なんでしょうね。
レッドアローのデザインを踏襲したのは私も正解だと思います。カボチャ色にでもなっていたら目も当てられません。
by サットン (2012-01-24 19:11) 

としゆき

はじめまして。現在は富山在住のとしゆきといいます。実家は和歌山で、予備校時代には、南海のサザンを和歌山市~なんばの通学に使ってました。昨日、アルプスエキスプレスに初めて乗りました。よかったですね(空いてましたが…)。

さて、富山はみなさん住むにはいい町と地元の方が考えてらっしゃるのは確かな一方、情報発信が苦手なんでしょうね。

先日、北陸新幹線の新駅が発表されましたが、仮称「新黒部」が「黒部宇奈月温泉」に正式決定されたあたりも、何とか、宇奈月に観光客を呼び込みたい思いがあるのでしょうね。
by としゆき (2013-06-09 07:47) 

サットン

としゆきさん、いらっしゃいませ!

和歌山から難波まで通学されてたんですか! 時間もさることながら、定期代もかなりの額ではなかったのかと・・・。
アルプスエキスプレス、乗られたんですね。やはり空いていましたか・・・・。ネット上でも「賑わっていました」との感想はほとんどなく、他人事ながら気になっています。
北陸新幹線の新駅名は長いものが目立ちますね。新幹線も第3セクターのように駅名で集客しなければならない時代になったんでしょうか。
by サットン (2013-06-10 11:38) 

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