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近鉄“楽”で訪ねる伊賀鉄道の旅 ~2 [鉄道の旅]

伊賀鉄道を乗りつぶし

さて、近鉄の貸切専用電車“楽”を仕立てた「立命館大学鉄道研究会50周年記念号」で伊賀神戸までやって来ました。もちろん伊賀鉄道に乗り換えます。伊賀鉄道は近鉄伊賀線時代も含めて初めての訪問であります。

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▲伊賀神戸からは200系で上野市へ

この駅での近鉄からの乗り換えは普段なら一旦改札口を出る必要があるようですが、今日は構内踏切を通って伊賀鉄道ホームに移動します。100名以上が一気に押しかけて2両編成の車内は時ならぬラッシュ状態に。怪訝な表情の一般乗客数名と我々を乗せて11:43上野市へ向けて発車します。
ゆっくりと流れ去る風景は農協倉庫あり、朽ち果てたホーム跡ありとローカルムードたっぷり。田んぼの中を細々と伸びる線路を見ながら「乗客はどこに住んでるんやろ?」と元鉄道研究会会員たちは素朴な疑問を口にします。

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▲団体様ご一行で賑わう上野市駅ホーム

そんな疑問も上野市が近付くにつれて解消していきます。沿線には密集した町並みが現れ、家々の軒先をかすめるようにして列車は進みます。ちょっと安心したところで伊賀鉄道の中心駅上野市に12:09到着。
なお、駅名は上野市駅を名乗りますが、広域合併により上野市は消滅し伊賀市になっております。

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▲上野市駅前を埋める御一行様

これ、これ! 上野市というとこの駅舎ですね! 北海道の牧場を思わせるこの駅舎、写真では何度も見ていますが、実物に対面できて感動もひとしおであります。伊賀鉄道の本社としても使用されています。
さて、本来ならここで伊賀鉄道の車庫見学となるところですが、故あってわれわれ4人組はここで離脱することに。わがまま勝手なオヤジたちであります。

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▲昭和の街並みに黄昏たオヤジが似合います(東京特派員撮影)

時刻は正午過ぎ、昼食にしようと駅前を見渡すとなんとも昭和なムードが漂っております。「新天地商店街」、「映劇ビル」なんていうネーミングもなかなか渋い! しかし、東京特派員曰く「この町はまだ望みがある・・・・」。街並みは古びているもののシャッターは開いています。加えてなにやら新しいビルも。後で調べると駅前再開発ビル「ハイトピア伊賀」で間もなくオープン予定だとか。

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▲手打ちそば「立」 特派員のオーダー肉そば¥900と、まだ呑むオヤジたち

さて、昼食ですが、伊賀というと蕎麦ということになり(根拠不明)、観光案内所で紹介された手打ちそば「立」に向かいます。駅前通に面した下駄履き住宅風の2階です。狭い階段を上がるとアパート風の佇まいの廊下が。恐る恐る暖簾を潜るとそば屋とは思えないインテリアに驚かされます。紫と黒を基調にした店内は夜のお店といった雰囲気。テーブル席に着きまずはビール!日本酒! まだ呑むか・・・・。私はおとなしくかけそば(¥700)を。麺は細め(なぜか太さはばらばら)で酔っ払いたちは満足しているようでしたが、私は濃いめの出汁が少々気になりました。ここは三重県です。

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▲貸切運用に向けスタンバイする860系

上野市駅に戻り13:02発の列車で伊賀神戸へ戻る3人組を見送ります。私は未踏区間である上野市ー伊賀上野間を乗りつぶさねばなりません。次の伊賀上野行きは13:19発です。
ホーム横にはマルーンに銀帯の860系が。この後貸切列車として伊賀神戸へ向かうためスタンバイ中であります。実はこの860系、わが鉄道研究会と同じく1961年の誕生なんだそうです。今回の記念行事にぴったりのキャスティングであります。

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▲車庫見学実施中の上野市車庫

隣接する車庫を見ると小雨の中車庫見学が行われています。展示されているのは先程の860系(マルーン)の他、同じく860系(グリーン)、200系忍者電車、その横にチラリと見えるのは搬入されたばかりの200系第5編成のようです。こいつが稼動すると自動的に860系が1本運用離脱することになります。
→結局、伊賀鉄道の全運用は200系5本で賄われることとなり、860系は全廃されました。

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▲伊賀上野行きは200系第3編成

さて、伊賀上野行きの列車が到着しました。これまた200系の2連ですが、第3編成。元東急1000系の200系は2月末現在で4本が運用に就いていますが、全てラッピングが施されており、伊賀鉄道のオリジナルデザインは存在しません。また写真の車両は中間車から先頭車化されたもので独特の顔をしております。ちなみに貫通型に見えるものの貫通扉はダミーだとか。

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▲東急と京阪が競演する車内

車内はというと独特のレイアウトのセミクロスシート。クロスシートは京阪8000系のリニューアルに伴う発生品を張替えたものを方向固定で設置しています。東急と京阪の夢の競演というところですが、そもそも近鉄の子会社である伊賀鉄道が東急の中古車を使用しているのが興味深いところです。ちなみに上野市まで乗った第4編成のクロスシートは京阪9000系からの流用品でした。

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▲伊賀上野に到着 こちらは東急時代の顔

上野市を発車すると上野城の天守閣をぐるりと巻くように進みます。車窓から建物は消え再び農村風景に。途中2駅で乗降も見られず13:26、10人に満たない乗客とともに伊賀上野に到着します。
実際に乗ってみて上野市で系統分割されたダイヤにも納得です。旅客流動は上野市と伊賀神戸、伊賀上野両駅との間に集中しており、各々近鉄、JRに連絡するわけですから両線との接続を考えると上野市での分割は妥当な選択かと思われます。

ともあれ伊賀鉄道16.6km全線踏破であります!

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▲伊賀上野からはお約束のキハ120登場

乗車券を運転士に手渡しJRに間借したようなホームに降りると早速列車接近の放送が流れます。やって来た加茂行きはもちろんキハ120。しかも単行でオールロングシートの0番台ときました。
13:31発。車内は20名ほどの入り。座れはしましたが窓は曇り景色も見えず。木津川と絡むこの区間の車窓は一昨年夏に訪れた際にはいたく感動したもんですが。

というわけでテンションが急降下する中加茂、久宝寺、放出で乗り換え家路についたのでありました。

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▲記念乗車証と参加証

今回の50周年記念行事は記事でお伝えした企画内容もさることながらスムースな運営、車内でのアイデア満載のイベントなど幹事さんの奮闘ぶりが窺えるものばかりでした。参加者は皆十分に楽しめたのではないかと思います。OB会の幹事さん、現役学生諸君には頭が下がる思いです。
私は当初持病の状態が不安定なこともあり半ば諦めておりました。ところが同期たちに無理矢理背中を押され思い切って参加した次第ですが本当に楽しい一日となりました。酔っ払いたちに感謝です。


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コメント 28

やまびこ3

こんにちは。
東急の中古車、ローカル私鉄で人気がありますね。
ステンレスで長持ちするのは分からないでもないですが、大近鉄の系列会社まで購入するというのは何かわけがあるのでしょうか?
不思議です。
by やまびこ3 (2012-03-02 18:51) 

manamana

近鉄が車両を新しくしないので、
東急からかなり新しい電車を導入したのでしょうか。
名古屋線などかなり古いですから。
by manamana (2012-03-02 22:13) 

まるたろう

上野市駅も、近鉄時代に自分が行った6年前と、外観は全く
変わってないですね。
頭に、「伊賀鉄道」を付け足しているのかと思っていましたので。
by まるたろう (2012-03-02 23:30) 

サットン

やまびこ3さん

東急車と京王1000系は中古車市場の2枚看板ですよね。ステンレスボディってやっぱりメンテが楽なんでしょうか。
近鉄の連結子会社の伊賀鉄道が東急から車両を購入した経緯はどうやら車長18mという縛りが理由のようです。けいはんな線を除いて近鉄は20m車ばかりになっていますので。
by サットン (2012-03-03 15:52) 

サットン

manamanaさん

近鉄ともあろうものがグループ内で適当な中古車を調達できなかったのかと不思議に思ったんですが、伊賀鉄道は18m車が限界のようですね。
日比谷線直通運用の削減で1000系の処遇に困っていた東急にとっても良い話だったのではないでしょうか。
名古屋線にもそろそろ新車を入れて欲しいですね!
by サットン (2012-03-03 16:00) 

サットン

まるたろうさん

私としては上野市駅舎は伊賀鉄道のシンボル的存在です。開業時からのものなんでしょうかね。
伊賀鉄道って自治体主導の3セクかと思っていたら近鉄が98%出資してるんですね。道理で社紋が近鉄そっくりなはずです。

by サットン (2012-03-03 16:07) 

UZ

VVVFインバーター車も他社へ転用されると聞き、時代も変わったなと思いました。でもメンテナンスも比較的しやすい車両こそ、このような鉄道会社に必要な車両ではないでしょうか。

by UZ (2012-03-03 22:30) 

hanamura

うぃぃ私も酔っ払いだぉ…感謝してちょ~。
伊賀ですね~。伊賀いいですねぇ。(ホントに酔ってます。)
by hanamura (2012-03-04 16:17) 

ドラもん

伊賀鉄道200系の座席配置、興味深いです。ラッシュ時の対応はこの座席配置で対応できるのでしょうか?上高地線電車にもクロスシートが欲しいところです。
by ドラもん (2012-03-05 09:55) 

ちんくろ2級

合併の推進で地名が消えてしまうのは、その地域の歴史が人々の記憶から消えてしまうことにつながるのではないかと思うことがあります。上野市・・・せめて駅には長く名を留めていただきたいですね。
by ちんくろ2級 (2012-03-05 11:27) 

サットン

UZさん

この1000系の転用は東急にとっても、伊賀鉄道にとっても渡りに舟だったんじゃないでしょうか。
当の車両たちは若くして伊賀盆地で第二の人生を送ることになろうとは思ってもみなかったかも知れませんね。
by サットン (2012-03-05 13:24) 

サットン

hanamuraさん

小雨に煙る伊賀盆地の情景はなかなか良かったですよ。
呑み過ぎにはくれぐれもご注意を!
by サットン (2012-03-05 13:27) 

サットン

ドラもんさん

ラッシュを見たわけじゃありませんが、沿線の環境からして多分対応できていると思います。クロスシートは4脚だけですし。
上高地線にクロスシート車がないのが不思議です。観光客だけじゃなく地元の利用者にも歓迎されると思うんですが。
中古クロスシートのご用命は京阪電鉄へ!?
by サットン (2012-03-05 13:34) 

サットン

ちんくろ2級さん

最近の地名は私も気になります。特に濫発傾向にあるひらか地名ってどうなんでしょうね。親しみ易いなど大義名分はあるんでしょうが、漢字で表記してこその意味があると思うんですよね。
by サットン (2012-03-05 13:40) 

うたに

伊賀鉄道200系は、何とも賑やかな感じですね。
東急1000系は目蒲線や日比谷線直通車でよく乗りましたが、東洋電機製VVVFインバータの音が好きだったなぁ。。
車内の椅子がずいぶん変わっていてびっくりです!
by うたに (2012-03-05 14:17) 

サットン

うたにさん

200系は皆こんな様子です。第5編成がどのような姿になるのか楽しみではありますが。
ロングシートの仕切り板が東急時代をしのばせますが、それ以外には。忍者電車なんて車内にも装飾が施されていますし。
by サットン (2012-03-05 17:59) 

てんぽく

三重の名張あたりがうどんとそばの出汁の境界線で、同じ地域で関東、関西の出汁が混在しているんですよ。

榛原に住んでいる友人が、名張に行ってそば食べて驚いていました。
当然、カップうどんとそばも、関東、関西両方売ってあります。

ってのが数年前の情報なのだけれど、今はどうなんかなぁ。
by てんぽく (2012-03-06 00:15) 

サットン

てんぽくさん

三重県って各地に東西文化の境界線が存在するようですね。おにぎりの海苔を焼き海苔にするか味付け海苔にするかの境界線は亀山付近、ってテレビで調査していました。
この店の出汁は明らかに関東風でした。若い頃は出汁の違いなんて気にもしませんでしたが・・・・。
by サットン (2012-03-06 19:01) 

仕掛け人

当日はご乗車くださいましてありがとうございました。
ちなみに、全く関係ないカップラーメンですが、いが、名張地区では、関西資本のスーパー(オークワなど)は関西味、中部資本のスーパー(アピタ等)では関東味のものが売られているようです。
by 仕掛け人 (2012-03-06 22:41) 

サットン

仕掛け人さん、いらっしゃいませ!
ところで仕掛け人さんって??? 特定できかねております。ヒント下さい!

なるほど!スーパーの系列で仕入れが異なるんですね。ケンミンショーのネタになりそう。今度三重県に行ったら是非確認してみます。
by サットン (2012-03-07 11:35) 

仕掛け人

この度は楽にご乗車いただきましてありがとうございました。
カップラーメンは伊賀市から通勤の部下の情報です。
ということで特定できますよね!
by 仕掛け人 (2012-03-07 20:52) 

サットン

仕掛け人さん

わかりました!楽のオーナー会社のYさんですよね。
その節はお世話になりました。楽しませていただきました。復路も乗りたかったです。
伊賀市からとはずいぶん長距離通勤ですね。もちろん特急通勤OKなんでしょうね。
by サットン (2012-03-08 15:02) 

労軽好人

サットンさん、こんにちは。先日はイベントで久々にお会いできましたね。でもあまりゆっくりお話ができなかったと思ったら、別の場所でお食事、乗りつぶしに行かれてたのですね。酔っぱらいのオッサンたちと...(目消しは正解です(笑))
帰路の楽車内では私の店の前を通過する時、上記の「仕掛人さん」による車内放送でご案内いただきました。「左手に見えて参りましたのはOBの●●さんのお店です!」車内爆笑であったのは言うまでもありません。ともかく楽しい一日でした。
私もブログしてます。また、ご覧下さい。
えっ?私が特定できない??ここの伊賀鉄道の一番目の写真に後ろ姿が写ってます。わかった??
by 労軽好人 (2012-03-10 14:04) 

サットン

労軽好人さん、いらっしゃいませ!

ブログにお邪魔してどなたか判明いたしました。その節は失礼いたしました。記憶が衰えていること、持病で少々声を出し辛いこと等々でお声を掛けそびれてしまいました。
加えて途中離脱という勝手をいたしまして・・・。実はこの日、偶然にも61年卒の同期会がございまして酔っ払い3名は上野市より会場に向かいました。私はというと体調のこともあり記事のとおりの行動と相成りました。
ブログは読者登録させていただきます。今後ともよろしくお願いいたします!
by サットン (2012-03-10 15:13) 

14系きたぐに

こんばんは。
先日は、久々にお会いできましたね。
少しだけでしたが、お話もできて良かったです。
あのあと、上野市からてっきり酔っぱらい3名の方と一緒に行かれたのかと思っておりました。(失礼しました。)
また、ゆっくりお会いしたいですね。
それでは、また、お邪魔させていただきます。

by 14系きたぐに (2012-03-10 23:33) 

サットン

14系きたぐにさん、いらっしゃいませ!

先日は楽しかったですね♪ 参加してよかったです。
繰り返し念を押しておきますが、私は酔っ払い軍団とは違います。一滴も口にしておりません!
正しい乗り鉄に徹しておりましたよ。
気まぐれ更新ですが、また遊びに来てください。
by サットン (2012-03-11 10:39) 

あおたけ

貸切の「楽」で伊賀鉄道を訪れるとは、
さすが鉄道研究部らしいツウな行程ですね〜。
私が訪れた時は閑散としていた上野市駅が大賑わいとは、
ちょっとびっくりです(笑)。
それにしても旧東急の1000系、広告収入が入るのはいいけれど、
すべてラッピング車でオリジナルがないというのは、
どうなんでしょうね。。。
by あおたけ (2012-03-12 18:49) 

サットン

あおたけさん

このツウな企画、幹事さんの予想を大幅に超える反響だったようです。特に現役組よりOBの参加が多かったのは嬉しいところです。たまたま近鉄に会のOBがいたことも大きかったと思います。伊賀市の地域経済にも貢献?できましたし。
200系のラッピングは全てが広告でもないようですが、現在整備中の第5編成がどんなデザインになるのか気になります。いっそマルーン一色というのもインパクトあるかも知れませんね。
by サットン (2012-03-13 11:08) 

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