SSブログ

乗りつぶし 北近畿タンゴ鉄道 宮津~豊岡編 [鉄道の旅]

特急たんごリレー81号

喫茶サイホンでの濃厚な(?)時間を過ごし宮津駅に戻って来ました。
これから11:22発、特急「たんごリレー81号」で豊岡を目指し、KTR宮津線の西側を踏破します。改札口で「ローカルフリー1回だけ特急」切符を示し、「特急に乗ります」と申告すると、券面の特急利用控え欄に「4081D」と列車番号が記入されました。

RIMG0150 (500x333).jpg
▲たんごリレーは再びKTR001

その「たんごリレー」は再びKTR001。しかも「大江山浪漫」と同じ編成とあって少々興醒め。特急なのでコイツかKTR8000の何れかになるわけですが。今度は最後尾となる増号車に再び乗り込みますが、かぶり付き席は遠慮します。アテンダントさんと向かい合わせっていうのも落ち着きません。増号車には私の他に乗客はおらず添乗の運転士だけ。隣の1号車には何人か乗っているようですが。ちなみに、この後は峰山から1名乗車、隣の車両から少年が一人かぶり付きに移って来た程度という閑散ぶり。特急料金が災いしているんでしょうか。

RIMG0153 (500x333).jpg
▲天橋立付近

次の天橋立でも増号車には動きなし。天下の景勝地天橋立ですが、さすがに豊岡方面に向かう流れは少ないようです。
列車は少しの間宮津湾に沿って海を眺めながら走ります。
こうして宮津線を乗りつぶしていますが、実はこの路線に乗るのは2度目であります。前回は昭和56年3月のことなのでもちろん国鉄宮津線の時代。記録では綾部19:55発の急行「丹後9号」に乗り、舞鶴線、宮津線を経由し豊岡に22:27に到着しています。ただ乗っただけですな。
というわけでKTRに移管後初めての宮津線を新鮮な気持ちで楽しんでおります。

RIMG0151 (267x400).jpg
▲KTR001のシート&サンルーフ

ここでKTR001の車内の様子を。座席はフリーストップのリクライニングシート。グレー系の生地にアクセントを添える2色のカバーは地元名産の丹後ちりめんです。ハイデッカー構造に加え、窓が天井にまで設置されているので眺望は抜群です。しかし、今日に限って言えば非常に暑い!走る温室ですわ。それにハイデッカーならではの弱点がバリアフリー非対応です。たまたまこの列車にも車椅子での利用があり、豊岡での降車の様子を見ておりましたが、JRの駅員が3人がかりで介助するも乗降口とホームの間のスロープはかなりの傾斜がありました。客席に行くには階段の乗降が必要なので乗車中はデッキにいらっしゃったんでしょうか。KTRのHPも車椅子での利用はタンゴディスカバリーを推奨しております。ハイデッカー構造のHiSE、RSEを早々と引退させた小田急の判断は英断だったのかも知れません。

RIMG0158 (500x375).jpg
▲ぬるそうな円山川を渡る

久美浜付近で久し振りに海をかすめるとラストコースは兵庫県に入ります。豊岡手前で渡った円山川も清涼感は全くなく、ナマズが水面付近でアップアップしておりました。
通過駅もあまりなく特急らしさの感じられない走りで12:30、豊岡着。正直これで特急料金いただきますと言われても・・・・。
ところで「たんごリレー」という列車名ですが、丹後をことごとくタンゴと表記しているKTRにあって何故かひらかな表記になっています。タンゴリレーとカナが続くのを嫌ったのでしょうか?

RIMG0159 (500x333).jpg
▲KTR豊岡駅 貧相です

豊岡ではわずか13分で折り返し。その間に最優先で片付けねばならないのが飲料の調達です。命にかかわります。新装成ったJR豊岡駅舎見学より、全但バス撮影より優先です。ところがKTRの豊岡駅はご覧のような有様で自販機なんて見当たりません。結局JR駅舎1階のKIOSKで調達完了。それにしても今日の陽射しは一段と凶暴で、まさに刺すように照り付けてきます。


◆苦役列車は行く(2234D 豊岡ー天橋立)

ホームに戻るとわずか10分ほどの間に入れ換え作業が行われ、ホームにはKTRのスタンダードKTR700が据え付けられておりました。折り返しもまたまたKTR001ではという心配も杞憂に終ったようです。

RIMG0162 (500x333).jpg
▲ようやく巡り会えたKTR700ですが・・・・

ところが車内に入ると・・・暑い!! 冷房が効いてない! 10人ほどの先客は各々窓を開け放っています。私も窓の取っ手に手をかけるも錆び付いているのかビクともしません。たまたま通りかかった運転士さんが「すみません、クーラー調子が悪くて」と言いながら開けてくれます。さらに、「カーテンも具合悪いんで括っときましょう」と慣れた手つきでカーテンを括ってくれました。ベルトで留めれば? カーテンが具合悪いって?という疑問は走り始めたら解決しました。

RIMG0165 (500x333).jpg
▲カーテンを括っておく理由は・・・・

12:43、今来た道を引き返します。ただし、今度は各駅停車、隣の駅が但馬三江であることに気付きました。「鉄道むすめ」キャラのルーツです。でも、豊岡駅の駅名標には「コウノトリの郷」メインで表記されておりましたが。
さて、カーテンの話に戻ります。上の写真は括った状態での様子です。ところが陽射しに我慢できなくなった乗客が次々とカーテンを解くと・・・・

RIMG0167 (500x333).jpg
▲カーテンを解くとこうなります

全開の窓から吹き込む風をはらんでカーテン大暴れであります。時には外に向かってはためくなどなんともワイルド。ベルトで留めただけじゃ持ちません。
しかし、熱風がいくら吹き込んだところで車内の蒸し風呂状態は解消されず、まさに苦役列車であります。この車両以外にも窓が開いた列車を見かけたことや、他の乗客の話から推測するとKTRの苦役列車は常套化している様子。330馬力エンジンに20mボディーというのが一因かも知れませんね。ちなみに特急用車両は330馬力エンジンを2機搭載しております。

RIMG0168 (500x333).jpg
▲太川陽介氏生誕の地!?

そんな中唐突ではありますが、ここでバス旅聖地巡りの番外編を。丹後大宮であります! こんな駅登場したかな? ごもっとも。この駅は番組に登場したわけではありません。かしこくもバス旅のリーダー太川陽介氏生誕の地と伝えられております。(旧中郡大宮町出身)
当初はここで下車も考えておりましたが、往路の車窓から見ても時間をつぶせそうな施設は見当たらず、今回は駅名標を撮影するに留めます。(←暇人)

RIMG0170 (500x333).jpg
▲野田川の街並み・・・加悦鉄道は何処

そんな苦役列車ですが、乗車率は上々で部活の高校生や、観光客、業界の研修会帰りといった風情のオヤジさんたちが駅々で乗り込み、いつの間にか立っている人まで。今回乗車したKTRの列車の中で唯一活気を感じる列車でした。
天橋立も近付いた野田川駅手前で右手に野田川町の町並みが見下ろせました。野田川駅というとかつての丹後山田駅、ローカル私鉄加悦鉄道が分岐していた駅であります。今じゃ知る人も少ないんでしょうね。

RIMG0171 (500x333).jpg
▲天橋立駅に到着した苦役列車 黄色い扉は更新車のはずですが・・・・

13:50、天橋立に到着。列車はこの後「タンゴ悠々4号」として西舞鶴を目指しますが、私はここで下車。なにも非冷房の苦役列車に耐えかねたというわけではありません。それどころか体が慣れてくると、これぞローカル列車の旅!というムードを感じる余裕が出てきました。全開の窓から吹き込む風、草いきれの匂い、トンネル内の冷たい風などなどしばらく忘れていた感触が次々に甦って来ました。これぞ夏の乗り鉄の醍醐味ってやつが!

RIMG0172 (500x333).jpg
▲JRの183系とツーショット

乗り鉄ってアウトドアだったんですよね、そもそもは。それがいつの頃からか車両にもエアコンが完備され外界から隔絶されてまるでテレビを見るように車窓を眺めるだけになってしまった。風や匂いを感じられなくなったのが今の乗り鉄をどこか物足りないものにしてるんじゃないでしょうかねえ。たまにはエアコンオフ車両も良いもんですな。
てなことを考えるのは私のような暇人だけでしょうし、一般の乗客にとってはとんでもないことだったに違いありません。KTRには車両整備の徹底をお願いしたいものです。ちなみにこの日の最高気温は、豊岡37.5度、舞鶴37.6度でした。

RIMG0173 (500x333).jpg
▲天橋立に歓迎されました

天下の名勝地天橋立で下車したものの観光をしようという意図は全くなし。この暑さに加えて持病の諸症状がジワジワと・・・・。次の列車までの1時間20分をエアコンの効いた駅の待合室で過ごすことに。ときどき発着する列車を見たり、旅館の出迎え風景を見て天橋立の景況を想像したり、それなりに時間は経っていきます。

RIMG0174 (500x333).jpg
▲天橋立駅舎と智恵の輪のモニュメント

天橋立滞在中唯一撮ったのが駅舎の写真。観光案内所や派出所と一体になった立派な駅舎であります。駅前には智恵の文殊にちなんだ智恵の輪のモニュメントが。
一方、駅周辺はというと、お土産物屋と駅前食堂が軒を並べる古典的な観光地の駅前風景です。ただ、昼下がりということもあってか人通りも少なく、この辺りを地盤とする丹後海陸交通のバスも1台見ただけでした。

さあ、次回はいよいよKTR乗りつぶしのラストコースとなります。登場する列車は・・・・。


nice!(25)  コメント(16)  トラックバック(1) 
共通テーマ:旅行

nice! 25

コメント 16

まるたろう

猛暑の中、エアコンの無い車両の乗車、お疲れ様です。
やはり、車両の整備はしっかりと徹底してほしいものですね。
列車で熱中症に・・・なんて新聞にでも載ったら、一大事ですし。

最後の車両、自分は想像がつきますが、楽しみにしています。
by まるたろう (2012-08-26 22:00) 

Cedar

軽妙なテキストで臨場感満点!楽しい旅日記です。今年はついに遠出しなかったので、引き続き楽しませていただきます
by Cedar (2012-08-27 00:11) 

nozzy

初めてコメントさせていただきます。今後ともよろしくお願いします。

>苦役列車
列車ではありませんが、新大阪駅から舞鶴フェリーターミナルまで乗った高速バスで、冷房が故障していたことがありました。
16:00頃に出発して窓から傾いた日差しが赤く照りつけ、熱風が吹き込むバスはほぼ満員で、オバチャンのうめき声がそこかしこで上がる様は、戦時中を映像化したドキュメンタリー番組のようでした。
列車では真冬に暖房が効かなかった経験があります。
たしか夜行の快速列車だったとおもいます。
夜半過ぎに岡山から乗り込んだら、車内が真っ暗で乗客が毛布にくるまって白い息を吐いてました。
わたしも車掌から貸し出し毛布を渡されて、座席で丸くなって大阪まで過ごしましたよ。
by nozzy (2012-08-27 12:15) 

サットン

まるたろうさん

いやあ、暑かったですよ!宮津駅で耳にした「外より暑い電車」がこんな形でわが身に降り掛かるとは思ってもみませんでした。
近畿の高温地帯を行くKTR、冷房故障は致命的ですね。車内で熱中症も現実になりかねませんわ。
ラストランナーはやはりあの車両です!
by サットン (2012-08-27 13:32) 

サットン

Cedarさん

毎度のことながらどうでもいいことを長々と書いておりますが、少しでもKTRのムードを感じていただけたなら嬉しいです。
次回はいよいよラストコース。もう少しお付き合い下さい。
by サットン (2012-08-27 13:36) 

サットン

nozzyさん、いらっしゃいませ!

ずいぶん過酷な経験を乗り越えて来られたんですね!それに較べると我が人生のなんと平坦だったことか。神様に感謝せねばなりません。
暖房故障って戦後のことでしょうか? 毛布を配布なんて初めて聞きました。特急の冷房が故障して氷柱を積んだなんていう話は聞いたことがありますが。
実はこの後高速バスで大阪に帰ったんですが、私の席は西側でカーテン越しにジリジリと西日に焼かれながらの道中でした。エアコンが効いていてもこれですから呻き声を上げるオバチャンの気持ちは痛いほどわかります。
by サットン (2012-08-27 13:50) 

あおたけ

この暑いさなか冷房が故障とは、大変な旅でしたね〜!
故障していても代替車が無く、そのまま運用を続ける
KTRのキビシさも感じてしまいました・・・。
でも今の時代、窓を開放して外の風を楽しむ列車は
少なくなってきているので、いい経験だった・・・かも?(^^;)
by あおたけ (2012-08-28 09:43) 

ファジー

9/1豊岡→久美浜および9/2久美浜→西舞鶴を利用する予定です。
冷房装置は、さてさてどうなっているやら・・・ハズレであってもそれはそれで旅情豊かでいいと思いますが、テツでない仲間は何と思うでしょうかねぇ。
このルートは昨年同次期に予定していた旅行なんですが、あの台風のために中止になりました。今年はリベンジ旅行なので、なんとしても台風だけは勘弁してもらいたいのです~祈
by ファジー (2012-08-28 16:35) 

サットン

あおたけさん

よりにもよって最高気温37度超の日にえらい目に遭いました。激しく汚れた車両が多い中、私が乗ったKTR700は更新工事を受けて間がないのか車体はきれいだったんですが。
ホント、最後はトロッコ列車気分で吹き込む風を存分に浴びていました。懐かしい感覚が甦ってきましたよ。
by サットン (2012-08-28 20:15) 

サットン

ファジーさん

リベンジ旅行、無事に挙行されることをお祈りしております。今のところ台風の心配はなさそうですが、冷房故障は如何なものでしょうか。万全の対策をお奨めいたします。
豊岡から西舞鶴へと辿られるんですね。車窓がクライマックスを迎える頃には皆さん出来上がっていらっしゃるのではと危惧いたしております。
by サットン (2012-08-28 20:22) 

UZ

酷暑の中お疲れ様でした。

いくら第3セクター企業であっても最低限の整備がおぼつかないなんて企業失格です。乗客をナメているとしか思えません。
この甘えこそが乗客減少につながっているのではないでしょうか。



by UZ (2012-08-29 06:19) 

サットン

UZさん

暑かったですよ!さすがに近畿きっての灼熱地帯だけありました。
それだけに冷房故障というのは洒落ではすみません。KTRは様々な集客策を展開し、現場の社員さんからも一生懸命さが伝わって来るだけに残念です。まあ、私はトロッコ列車気分で半ば楽しんでいましたが。
by サットン (2012-08-31 10:37) 

うたに

天橋立、今年5月に行きたかったのですが、宿が取れずに断念したんです。。
それにしてもいい車窓ですね。いつか行きたいと思っています。
最近は夏におおっぴらに窓を開けて乗れるなんてことも無いので、暑いながらも乗り鉄的には面白い経験になりましたね!(^ ^ )
by うたに (2012-09-01 11:22) 

サットン

うたにさん

天橋立の駅に1時間少々いた印象では夏休みの割には静かだなというものでした。GWには混むんですね。ちょっと安心。機会があれば是非リベンジしてみて下さい。
風を浴びながらの乗り鉄って実に久し振りでした。夏の匂いを満喫できましたよ。トロッコ列車みたいなものかなと。ただし、飲み物を忘れるとたいへんですけどね。
by サットン (2012-09-01 18:20) 

ファジー

KTR行ってまいりました。あの車輌の草臥れ様は尋常ではないですね。冷房の故障した「苦役列車」にも乗ってきましたが、弱冷房の車輌より外気強制冷房のほうが、ずっと涼しかったです。その車輌の中で観光案内をしていたうら若きアテンダントさんがなんとも爽やかでした♪
内容は近日公開、乞ご期待!
by ファジー (2012-09-04 08:02) 

サットン

ファジーさん、お帰りなさい。

2年越しの丹後の旅はいかがでしたか?
苦役列車はどうやら毎日運転状態のようですね。車体の汚れっぷりからしても尋常じゃないってことは窺えますが。
KTRは形勢逆転を狙って水戸岡デザインを導入するとか。例によって窓側を向いた席を配置してリニューアルするそうです。
旅の詳細は記事にて楽しませていただきます。
by サットン (2012-09-04 11:01) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。