特急くろしおでパンダの街へ 上巻

温泉とパンダを求める旅

電力不足と平年以上の暑さで不快指数も上がり放しの今年の夏。久しぶりに家族で温泉でも行くかと、娘とばあちゃんに意見を聴くと口を揃えて「白浜がいい！」。二人とも大の動物好き、｢白浜アドベンチャーワールド」に惹かれたようです。
ということで今回は私にしては珍しく普通の旅。というか添乗員であります。（←頼りない）


▲「くろしお７号」はピカピカの２８７系

そんなことで今回は鈍行乗り継ぎではなく、特急しかも指定席を押さえてあります。新大阪１０：０２発の「くろしお７号」であります。梅田・大阪駅経由で新大阪に着いたのは９：３０過ぎ、ゆっくりと駅弁を選んだり飲み物を調達したりと久しぶりにゆったりした旅のプロセスを味わいます。
そこへ「阪和線内人身事故の影響によりまして特急くろしお号の一部も遅れて運転を・・・」と物騒な放送が流れます。９：０３発、くろしお３号は大幅に遅れるため７号を利用するようにと続けます。車両運用の都合で発車が前後してしまったようですが、取り敢えずは我が７号は定発とのことでひと安心、京都からやって来た２８７系に乗り込みます。まだ新車の匂いが残る車内はいかにも夏休みらしい出で立ちの乗客で７割方埋まります。

◆切符の話

今回、我々一行は３名。指定席は１１番Ｃ・Ｄと１２番Ｄ席ですが、発券時みどりの窓口氏との間でこんなやりとりが・・・・
み：３名様ですね。お席は前後で、それとも通路を挟んで横一列で・・・・。
私：向かい合わせにしたいんで前後でお願いします。
み：他のお客様乗って来られたら気まずいですけどよろしいですか？
私：その時は元に戻しますので・・・・。

ということで前後に割り振ってもらったんですが、目論見としては夏休みとはいえ平日、それほど混まないだろうと踏んでいたんです。ところが新大阪発車時点でこの盛況。次には天王寺という関門が控えており座席の回転は見送ります。
列車は新大阪こそ定時で発車したものの梅田貨物線に入ってすぐに徐行。続いて西九条手前では数分間の停車を余儀なくされ、その天王寺には１０数分遅れで到着です。
天王寺からは予想どおりまとまった乗車があり空いていた席は見事に埋まっていきます。マルスの優秀な仕事ぶりを思い知らされます。もちろん、１２番Ｃ席も埋まります。
毎度のことながら私のイカサマ予想は当りません。っていうかプロの助言には謙虚に従うべきですね。オンシーズンの行楽特急は侮れません。
ついでに切符の話をもう一題。今回の乗車券は新大阪ー白浜に加え大阪ー新大阪のものが別途発券されております。どうやら梅田貨物線は運賃計算上の経路としては存在せず、新大阪ー西九条間は東海道・環状経由で計算されるため大阪ー新大阪間は重複乗車扱いになるようです。


▲娘が撮った「くろしお」の車窓

◆列車は遅れる、雨は降る

阪和線に乗り入れると遅れはさらに増幅、日根野駅手前ではしばらく足止めを喰らい和歌山に着いた時点では３０分遅れに。おまけに雨粒が窓ガラスを叩き始めます。昨日まではカンカン照りが続いていたのに雨男復活であります。空模様は南下するにつれますます怪しくなり、山上に並ぶ風車は霞み、太平洋は鉛色に沈んでおります。
「只今、車内販売員が乗り込みました。せいぜいご利用下さい」の放送が流れたのは御坊辺りだったでしょうか。ダイヤの乱れで車販の乗務にも支障が出ているようです。せっかくの稼ぎ時なのにお気の毒です。


▲結局４０分遅れで白浜着

終着白浜を目前にした紀伊田辺で初めてまとまった下車があり、車内が少し落ち着いたかなと思ったら白浜着。１３：０５ですから結局４０分遅れ。大勢の下車客に続いて列車を下りるとばあちゃんが「ここが白浜かいな？」。無理もありません、駅の周囲は海のイメージとはほど遠い山のムードです。この付近紀勢本線は海から離れて敷かれております。


▲直後にやって来たのは「くろしお３号」

そこへやって来たのはさらに遅れた「くろしお３号」。定時なら１１：２８着ですから約１時間４０数分遅れ、もうちょっとで特急料金払い戻しですね。
「くろしお７号」の後を追う「くろしお３号」を撮るべくカメラを構えます。そこのお嬢ちゃん邪魔邪魔、と思ったらうちの娘でした。


▲白浜駅名物アロハの駅員さん

「くろしお」２本が相次いで到着しただけに白浜駅の改札口は大盛況。しかし、多くの温泉地が客足を落とす中、この賑わいぶりはどうでしょう。夏休みのかきいれ時とはいえ予想以上です。駅員さんも大忙し。白浜駅の駅員さんは夏の間アロハシャツがユニホーム。今では関西の夏の風物詩としてすっかり定着しております。


▲白浜はパンダとクエで売っております

その人気の秘密はやはりパンダでしょう！　アドベンチャーワールドではジャイアントパンダが飼育されていて人気を集めております。しかも、８月１０日には９頭目が誕生し先日公開が始まったばかりというタイミング。今や白浜を訪れる人の多くはパンダ目当てと言っても良いでしょう。さらに脇役のクエの存在も。白身が珍重される高級魚ですが、町なかの至る所に「クエ鍋あります」、「クエを喰え！」って看板や幟が。
さて、予定ではばあちゃんと娘はそのアドベンチャーワールドに向かい私は宿に先乗りするつもりでしたが、生憎の天候でパンダは明日に持ち越し全員宿に直行することになりました。


▲湯快リゾート　ホテル千畳

タクシーで向かった先はここ、ホテル千畳であります。♪温泉、７８００円・・・のＣＭは関西ではおなじみ、湯快リゾートのグル－プホテルです。１泊２食で７８００円という破格の値段設定はもちろん、他にも様々な常識を覆すサービスを展開する湯快リゾート、元ホテル屋としてはかねてから興味津々だったのです。実は今回の旅ははじめに湯快ありきだったりします。
宿泊記は例によって別稿に譲ります。


▲千畳敷海岸から見た太平洋

宿に着いたのは１３時半過ぎにも拘らずすんなりチェックイン。
夕食まで何の予定もないので館内のカラオケボックスで金切り声を張り上げたり、部屋でゴロゴロしたり。夕方になり雨も上がったので娘は海を見に。宿の名のとおり付近の海岸は千畳敷と呼ばれる景勝の地であります。これぞ太平洋って感じですね。
さて、このまま天気は回復してくれるんでしょうか・・・・。

タグ：白浜 くろしお 紀勢本線 和歌山 ＪＲ西日本

コメント 10

以前、青春18で紀伊半島を一周した時、白浜には日が暮れて
到着したんで、その時は雰囲気が分からなかったのですが、
確かに山の雰囲気ですね。
by まるたろう (2012-09-07 22:24) 

381系引退したのかしら？と思っていたら、まだ走っている～(^ ^ )
上野ではパンダの赤ちゃんが死んでしまいましたが、白浜では無事育っているようですね。もっとニュースになってもいいのに、東京では小さな扱いになってました・・・。

2年前の冬に行ったとき、白浜でクエ鍋食べました(^-^)/
by うたに (2012-09-08 15:00) 

まるたろうさん

駅だけ見てると海の雰囲気なんて全く感じないですよね。紀勢本線は半島の付け根を突っ切ってるので仕方ないんですが。今回、はじめて見た白浜の海景色はそれだけに新鮮でした。写真で見たとおり♪
by サットン (2012-09-08 15:45) 

うたにさん

くろしおの３８１系はパノラマグリーン車編成だけが定期運用を持っているようです。かなりくたびれてますけどね。
パンダの話はおっしゃるとおりかと。日本の歪んだ情報の流れを見る思いです。上野のパンダフィーバーのニュース、関西では連日しらけて受け止めていました。
クエを食えましたか！私は逃しました・・・。
by サットン (2012-09-08 15:59) 

家族旅行の添乗員役ごくろうさまです。
白浜や城崎は大阪から程よい距離にある温泉地ゆえに、旅行した気分が味わえるので家族旅行には最適だと小生も思っています。
ただ今年はムスメが小学校の臨海学舎で白浜に参りましたので、彼の地は候補地から落ちました。
by ファジー (2012-09-09 21:09) 

｢くろしお7号｣、前面真っ白なんですね！
白浜へは、10年程前に一度行ったことがあります。
その時は｢くろしお号｣のプレートを初めて生でみたのが嬉しかったです（波とくろしおの文字）。
by いそしぎ (2012-09-09 21:20) 

ファジーさん

運賃計算のルールも知らない添乗員です。
私としては山の中の温泉を想定していましたが、パンダに負けて白浜に相成りました。初めての白浜でしたが、なかなか活気がありましたよ。
臨海学校が白浜ですか。私の小学校(高槻）の林間学校なんて京都洛西の宿坊でした。
by サットン (2012-09-10 11:20) 

いそしぎさん

実は同行のばあちゃんが「くろしお」を見るなり「運転してる人、前みえてんねやろか」と狼狽しておりました。２階の運転席に気付かず真っ白な正面を見て、運転席に窓がない！と思ったようです。とうとう来るべきものが来たかなと・・・。
イラスト入りのヘッドマークは旅情を演出してくれますよね。でも、この新型特急には付いていません。もう少しオシャレしてやればいいのにと思ってしまいます。
by サットン (2012-09-10 11:33) 

貨物線を通る運賃計算は難しいですよね。
梅田貨物線は乗り潰しだけのために「はるか」を
京都から天王寺まで乗りました。。。(^^;)

白浜、個人的にはパンダよりもクエの方に惹かれます。

by あおたけ (2012-09-12 20:03) 

あおたけさん

私が初めて梅田貨物を通ったのは奈良シルクロード博の臨時快速でした。今まで一般人締め出しの貨物線からの眺めは格別でした。それが今や開かずの踏み切り問題を起こすまでに成長しようとは。
「はるか」といえば京都口でも妙な線路を走りますよね。
今回は残念ながらクエは食えず。冬場にでも再訪してクエ鍋でも突っつきたいですね♪
by サットン (2012-09-13 10:37)