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日本海縦貫線2012秋 ①大阪ー金沢 [鉄道の旅]

特急「白鳥」の軌跡を追って

日本海縦貫線の旅、予告編も含めてずいぶん前置きが長くなってしまいました。そろそろ出発しないと日没前の親不知の風景が見られなくなってしまいそうです。それでは前振りのとおり大阪駅11番線に向かうとしましょう。

◆第1走者 特急サンダーバード13号(大阪~敦賀)

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▲大阪駅の発車標には「トワイライトエクスプレス」の表示も

プロローグでは「普通列車主体で」と書きましたが、11番線からということは第1走者は特急であります。10:12発の「サンダーバード13号」和倉温泉・金沢行き。かつての日本海縦貫線のクイーン特急「白鳥」が電車化された1972年当時の大阪発時刻が10:10ということで「白鳥」の面影を偲びつつ北を目指そうという趣向であります。
大阪駅改札口の発車標には「トワイライトエクスプレス」札幌行きの表示も。今や日本海縦貫線を走破する唯一の旅客列車であります。

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▲北への玄関口大阪駅11番線から

橋上駅舎の窓口で「秋の乗り放題パス」と敦賀までの乗車券、自由席特急券を購入、11番線に降り立ちます。大阪駅改修工事ですっかり様変わりした11番線ですが、今も専ら特急列車が使用するこのホームには独特の雰囲気が漂います。
「サンダーバード」は9:42に京都ー福井間ノンストップの11号が出た後とあってか13号を待つ人は僅かです。

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▲栄えある第1走者ですが・・・・

10時過ぎ、サンダーバード13号入線の放送が流れ、見慣れた681系がホームに入ります。ところが、その車体の汚いこと! 塗料の剥離が随所に見られる酷い状態です。数年前から目にするゾンビ特急がまだはびこっているようです。見えないところは大丈夫なのか?と疑ってしまいます。「白鳥」の面影もしぼんでしまいますなあ・・・・。

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▲券面に映るのはガラスの汚れ

6号車自由席(和倉温泉編成)に乗り込むと、やはり窓ガラスも汚れています。途中車窓越しに沿線風景を何カットか撮影しましたが、カメラのAF機能がガラスの汚れに反応したらしくピンボケに。
特急というとJRにとっての高額商品。しかも、「サンダーバード」はJR西日本在来線の看板列車のはず。品質管理がお粗末としか言いようがありません。

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▲空席の目立つ車内

定刻に発車した車内は10人強の入り。次の新大阪からも10人足らずが乗車しますが、空席が目立ちます。速達便の後続列車ってこんなものなのでしょうか。せっかくの和倉温泉直通ですが、月曜日とあってほとんどはビジネスマン。私の後ろの席もテーブルにPCを載せて仕事中。なんかシートを倒しにくいムードです。

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▲山科までは複々線 快速を追い越し、山科の大カーブを過ぎると湖西線に

車窓には複々線の光景が目まぐるしく展開します。高槻手前で大阪を2分先発した快速野洲行きを捉えデッドヒート。方向別複々線の醍醐味を味わえます。向日町改め、京都総合車両所構内はずいぶん寂しくなりましたが、青、赤、緑の帯を纏った683系、287系が集う風景はそれなりに楽しい眺めではあります。
週末や休日にはまとまった乗車がある京都でも今日はパラパラ程度の乗車があるのみ。車内が賑わうこともなく山科の大カーブを過ぎ、湖西線へと歩を進めます。

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▲「しらさぎ」と行き違い 北陸本線に合流

冬場には強風に悩まされる湖西線ですが、今日は順調。この間まで琵琶湖の湖面をギラギラ照らしていた太陽もすっかり秋モード。
近江今津で「トワイライト」、近江塩津手前で「しらさぎ6号」と行き違い、特急街道北陸本線に進出します。いよいよ日本海縦貫線の旅も本番突入です。

敦賀着11:33。


◆第2走者 241M(敦賀ー福井)

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敦賀での乗り継ぎは4分接続と今日のスケジュールでは最もタイト。同じホームの両面接続なので乗り遅れる心配はありませんが、相手はキャパの小さな521系2両とあって混み具合が気になります。

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▲長浜ー敦賀間開業130周年記念ヘッドマーク付き

乗り移った241Mはクロスシートが6割ほど埋まっている状態。おとなしくロングシートに着席します。
ヘッドマークにあるように北陸本線長浜ー敦賀間は開業130周年を迎えるとのこと。険しい山越えの区間が早くに開業していることには感心しますが、明治の土木技術で建設された区間の多くは大量高速輸送には適さず後年新線への付け替えを余儀なくされます。敦賀以北も同様、北陸トンネル経由の新線に移行しています。

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▲陸橋が姿を見せた敦賀駅

旧態依然とした敦賀駅ですが、昨年敦賀市が主体となり改良工事が始まり、既にホームを跨ぐ陸橋が出来上がりつつあります。敦賀市のHPによると9月現在での進捗率は約80%とのこと。北陸新幹線の敦賀延伸も決定し、さらなる変化が予想されます。

11:37定刻に敦賀を発車、この旅最初の交直デッドセクションを通過し、長~い北陸トンネルを抜けた南今庄でのこと、男性客が降りようとしますが、半自動ドアの操作に手こずりドアが開かず。運転士が気付いて発車を待ち2分延発。このドアスイッチ、かなり押し込まないと反応してくれないので要注意です。
途中武生で若干乗客が入れ替わりますが、福井に向けて乗車率が上昇し最後は立ち客も出た状態で高架の福井駅に12:26着。


◆第3走者 333M(福井ー金沢)

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▲福井駅 発車標も特急主体

福井では18分接続ですが、隣のホームに移らねばなりません。のんびりしていると333Mは既に入線済み。この間に「サンダーバード15号」が発車して行きます。正に特急街道ですな。

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▲高校生が三々五々乗り込んで

333Mの車内はお昼過ぎだというのに高校生の姿が目立ちます。中間テストの時期に当ったようです。これが思わぬラッキーをもたらすことに・・・・。私も詰襟姿の高校生の隣に着席します。
12:44に発車、次の森田でいきなりまとまった下車があり、立ち客も解消します。隣の詰襟クンは芦原温泉で下車。

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▲こんな状態で県境を越える

山間の牛ノ谷を出ると福井・石川の県境を越えますが、車内はこんな様子。半分以上の座席が塞がっています。普通県境を挟んだ区間というと極端に乗車率が落ちることを考えると異例の賑わいといえるでしょう。2年前に金沢発敦賀行の普通列車に乗ったときも同様でした。県境を跨いで行き来する乗客が多いのに驚きます。

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▲レディーカガは何処・・・・

黄金の巨大観音像が見えると加賀温泉着。北陸特急の需要の多くを占めるのが沿線の温泉への観光客です。ところが、この温泉地の集客がこのところ激減しているそうです。先日も山代温泉を代表する旅館「百万石」が閉館したばかり。危機感を抱いた地元観光業者が「レディーカガ」なんていうキャンペーンを張り注目されましたが、その後どうなったのやら。国鉄時代には「雷鳥」にお座敷グリーン車「だんらん」を連結するなど鉄道も積極的な集客策を打っていましたが、今の「サンダーバード」はビジネスライクに過ぎるように感じます。

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▲姿を現した新幹線白山総合車両基地と高架橋

松任が近付くと右手に巨大な鉄骨建屋が姿を現します。北陸新幹線の白山総合車両基地です。管理棟らしき建物の工事も進んでいるようです。そして、金沢駅に向けては高架がほぼ立ち上がっています。あと2年半もすればここをW7系、E7系が走ることになります。

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▲北陸の中心金沢に到着

終着金沢に向け車内は賑わいを増し、ビル街が現れると14:08、北陸の中心金沢に到着です。

次回はノスタルジックな鈍行列車で北陸本線の終点までご案内します。


さて、「日本海縦貫線2012秋 プロローグ」には多くのコメントをいただきありがとうございます。驚いたのはどのコメントも何時もより長文であること。皆さん日本海縦貫線の魅力や「白鳥」の想い出を熱く語っていただいたようです。激しく頷きながら拝読いたしました。ありがとうございました!!


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コメント 20

まるたろう

列車も、窓が汚れていると、せっかくの景色も台無しですね。
「サンダーバード」も、一応JR西の看板列車の一つなんですから、
メンテ等もしっかりやってもらわないと困りますよね。

さて自分も、時刻表を手元に置きながら、今後も読ませて頂きますね。


by まるたろう (2012-10-23 21:30) 

nozzy

北陸本線もしばらく乗っていないですねぇ。
なんの機会だったかは忘れてしまいましたが、419系に乗ったときは天井の高さと窓の小ささに異様な雰囲気を感じてしまいました。

いまは、わたしが生まれる以前に旧路線となった道路を走って楽しんでいます。
by nozzy (2012-10-23 22:41) 

サットン

まるたろうさん

せっかく湖西線の風光明媚な区間を走るのに汚れのお蔭でげんなりでした。旅立ちのテンションも下がり気味でした。
汚れたサンダーバードは今回が初めてではなく、こんな商品を平気で提供している姿勢に疑問を感じました。
次回は国鉄型に乗りますよ♪
by サットン (2012-10-24 11:00) 

サットン

nozzyさん

移動は専らクルマ、バイクをご利用でしょうか。公共交通もよろしくです!
今は見られなくなった419系ですが、確かにゲテモノ感まんてんの珍車でしたね。でもあまりに無理な改造が祟ってしまったようで・・・。
旧北陸本線、北陸道で経験しましたが、杉津付近の風景は見事でした。


by サットン (2012-10-24 11:10) 

うたに

はくたかもサンダーバードも、なんでJR西の681系はあんなにも外装がボロいんでしょう? うちも気になってました。
錆が出てたり塗装が剥げてたり…北陸特急の顔なのにあんまりです(´・ω・`)
南今庄で降りるとはマニアックな人ですね。。駅ヲタ…いや違うか(^^;;
by うたに (2012-10-24 12:52) 

Kyo-to

こんばんは。
いよいよ始まりましたね~サットンさんの旅レポ!
やっぱツボをおさえたサットンさんの文章は読み応えあって面白いです。
写真は、コンデジでは窓ピントの件とか瞬時の対応は難しい面もあるので
次回は僕がカメラマンとして随行します!(だったら楽しいだろうなぁ・笑)

「白鳥」の大阪発時刻が10:10、というくだりを読んで、
ハッ!と気付いたことがありました。乗ったことがあった!
高校の同級生で当時、山形の鶴岡で大学生をしていた友人を訪ねて、
友人がとってくれた切符で乗車したんでした。
京都発が早朝とかじゃない、
結構のんびりした時間帯だったのを思い出したんです。
その頃はデンシャ旅とかまったく興味なかったんですが、
初めての長時間乗車だったにも関わらず楽しかったのも憶えてます。
新潟で進行方向が変わってビックリしたのも思い出しました。
いま考えたら貴重な経験だったんですね…。
by Kyo-to (2012-10-25 03:17) 

サットン

うたにさん

ペンキが褪色してるとか汚れてるとかのレベルならともかく、下塗りまでガッツリ剥げ落ちてる酷い状態でした。以前、山陰線の221系でも同様の例をご紹介しましたが、こうなると足回りのメンテも手抜きじゃないかと勘ぐってしまいます。
南今庄の下車客は一般人とお見受けしました。
by サットン (2012-10-25 09:50) 

サットン

Kyo-toさん

カメラマンとして同行していただけるんですか!楽しそうですね。私には見えないものが見えてきそうで。旅費は自前ですよね?でも、プロローグで書いたように次回の予定は難しいかもです。
白鳥に乗られたんですね。一般人にとって京都ー鶴岡間っていうのはさぞ苦しかったのではないかと思いますが、楽しまれたんですね。きっとその頃から「鉄」の因子が潜んでいたんでしょう。
白鳥の大阪発はその後10:18、10:20と変遷しますが、青森着は23:50で固定されていたように思います。青函連絡船深夜便との接続の関係でしょうかね。
by サットン (2012-10-25 10:06) 

あおたけ

681系、北陸本線という過酷な状況を考えるとある程度の汚れは
仕方ないのかもしれませんが、白いボディなだけに余計汚れが
目立っちゃうのは残念ですね。せめて窓拭きくらいはして欲しい・・・。
でも外観はともかく、ピッチの広いシートと暖かみのある照明の色で
個人的には好感の持てる車両です。

by あおたけ (2012-10-25 18:34) 

やまびこ3

ほくほく線にくるやつもそうなんですが、681系電車のボディの塗装の浮きやはがれが結構見られるんですよね。
確かに看板列車の窓の清掃ぐらいちゃんとやってほしいですね。
by やまびこ3 (2012-10-25 20:46) 

UZ

681系は鋼製のため、塗装の剥がれで車体の一部分が錆びている事も少なくありません。北陸特急のエース級の車両なのですから日々しっかり手入れをしてほしいものです。
まあアーバン線区で運行されている221系や223系でもガムテープで補修している事もありますので、この種の汚れ等は珍しくないと私は思ってますが、それでは情けない限りです。
by UZ (2012-10-25 22:24) 

飛んでモアイ

運用がキツキツなんですね。
清掃に掛ける時間もそんなに無いし・・・。
運用に余裕の有る編成数が有れば・・・。
by 飛んでモアイ (2012-10-26 00:25) 

サットン

あおたけさん

まるで末期の九州ブルトレを見る思いでした。北陸本線とはいえサンダーバードが走る区間は潮風の直撃もないと思うんですが。
私もJR西のインテリアデザインは好きですねえ。電球色の照明は良いですね♪ でも、遊びの部分がないのが寂しいです。
by サットン (2012-10-26 10:32) 

サットン

やまびこ3さん

「はくたか」用の681系も痛んでいますか。ちょっと看過できない状況ですね。
窓ガラスも汚れてるんですよ。水滴の痕がそのままそのまま白くなって残ってる・・・。せっかくの北へ向かう旅情もザンネンなものに。
by サットン (2012-10-26 10:39) 

サットン

UZさん

221系も嵯峨野線でゾンビ状態のものを見かけました。剥離した跡にテープを貼って適当に色を付けるっていうのも酷いですね。余計に痛々しいですわ。
681系もそろそろ経年劣化が気になる頃ですが、お客の前に出すならそれなりの状態は保って欲しいものです。車内がきれいだったのはせめてもの救いです。
by サットン (2012-10-26 10:48) 

サットン

飛んでモアイさん

いろいろと貧乏くじを引かされてるJR西の台所事情は察することができますが、この状態は一線を越えてると感じました。少なくとも商品として提供できるレベルではないと。
by サットン (2012-10-26 10:53) 

京葉帝都

福井県、石川県はかつては繊維工業が盛んで車窓からは鋸型の屋根の工場が頻繁に見えました。小松駅が高架になったとたんにに東側の機械工場が整地されました。鯖江の眼鏡産業も厳しいと聞いています。活気を取り戻してもらいところです。

by 京葉帝都 (2012-10-27 01:21) 

サットン

京葉帝都さん

車窓風景からも沿線の栄枯盛衰のようなものが感じられますねえ。小松には2年前に降り立ちましたが、コマツの工場跡のだだっ広い空地が淋しげでした。鯖江付近のメガネの看板もずいぶん数が減ったように思います。
そんな風景を見ながら往くのも乗り鉄の醍醐味かと。
by サットン (2012-10-27 10:00) 

プント

475系、随分と大事に使われているのですね~
広島の115系ハガムテープで補修してあるし。。
えらい違いです。
by プント (2012-10-27 18:52) 

サットン

プントさん

115系もガムテープですか。サンダーバードも同じくです。もはやJR西日本のお家芸ですね。
475系は不思議と酷い痛みは目に付きませんでした。海沿いの過酷な区間を走るのに不思議ですね。
by サットン (2012-10-28 11:32) 

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