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日本海縦貫線2012秋 ④村上~酒田 [鉄道の旅]

笹川流れと謎のトンネル

大阪から日本海縦貫線で青森を目指す旅も羽越本線にコマを進めております。「いなほ」を村上で捨て、普通列車の旅に戻ります。

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「いなほ」が去って人影も消えたホームの前寄りには酒田行きの普通列車が2両編成でポツンと乗客を待っています。


◆第7走者 827D(村上~酒田)

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▲新旧新潟色のキハ47

ご覧のように気動車です。全線電化の日本海縦貫線になぜ気動車が?と疑問がもたげますが、理由はこの先村上ー間島間に交直デッドセクションが存在するためだそうです。そこを通過できる適当な交直両用電車がないため気動車を充てているというわけ。閑散区間用に高価な交直両用電車を投入する気にはならないのでしょうが、お金持ちのJR東日本にしてはセコイやり方ですね。

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▲国鉄時代のままの車内

13:40、村上を発車、この旅3度目の交直デッドセクションを通過。とはいえ気動車なので関係ないですが・・・・。
車内は閑散としており気動車ということもあってのんびりムードもひとしおであります。
走り始めるとふわりふわりとした揺れが気になります。キハ47のサスペンションはコイルバネのはず、と思い込んでいたのですが、新津所属の500番台車は豪雪対策で空気バネ台車を履いているそうです。

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▲早速日本海が 沖合いには粟島も

間島を出ると早速日本海に沿って走りはじめます。沖合いの島影は新潟県に属する粟島。案外大きな島ですね。
南に針路をとる真っ白な船影も。新日本海フェリーかな?

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▲岩壁が次々に現れると

北上するにつれて海岸にはゴツゴツした岩が目立ち始めます。景勝地「笹川流れ」に差し掛かりました。ワタシ的には日本海縦貫線一、いや日本の車窓屈指と言っても良い絶景区間であります。昭和57年、上り「きたぐに」車内から初めて見て以来のお気に入り。今回はローカル列車でじっくり眺めようとこの列車を選んだわけです。

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▲「笹川流れ」観光の拠点は桑川駅周辺

桑川駅のホームに接して「笹川流れ夕日会館」なる観光施設が設けられています。近くには遊覧船乗り場もあり、観光バスの姿も見えます。笹川流れ観光の中心は桑川駅と言いたいところですが、列車でやって来る客などごく少数なんでしょう。

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▲間もなくすると厳しい風景に変わることでしょう

今日は天気も秋晴れ、車内もガラ空きと絶好のコンディションの下車窓を満喫します。
架線下DCでのんびり行くのも良いもんですなあ♪

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▲越後寒川でフレートライナーと交換

越後寒川に到着すると入れ違いに上りのフレートライナーが発車して行きます。いつの間にか単線区間に入ったようです・・・・。
ところで、ここまで越後早川、桑川、今川と川の付く駅名が4つ連続しますが、特に目立つ川はありませんでした。

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▲勝木駅前には病院が

次の勝木(ガツギ)駅前には徳州会病院が構えています。クルマに乗らない交通弱者には嬉しい立地でしょうね。お見舞い帰りなのか、おばさんが一人乗車。

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▲真新しい上り線を見る

羽越本線の魅力は風光明媚な車窓だけではありません。鉄的魅力もたっぷりです。単線と複線が目まぐるしく入り混じる様子は駅ごとに変わると言っても良いぐらい。断続的に複線化が進められた結果でしょうが、スジ屋さんはたいへんでしょうね。後から建設された上り線は海岸線を避けてトンネルでショートカットしているようです。中には複線規格のトンネルを単線で使用しているところも。どうやら国鉄再建策の中で複線化が途中で凍結された結果のようです。

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▲田んぼの中の謎のトンネル

そんな羽越本線の歴史を象徴する光景がこれ。小岩川駅を出たところで見かけたトンネルですが、田んぼの中の入口は木の柵で塞がれています。「なんじゃこれ?」とネットで検索すると、その正体は「住吉山トンネル」であることが判明しました。内部は貫通しているものの、やはり国鉄再建のあおりで放置されてしまったそうです。今さら日の目を見るとは思えませんが、いったいどうするのでしょうか?

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▲海岸の集落

列車は既に新潟県を脱し、山形県を走っております。
海岸沿いのわずかな平地に民家が身を寄せ合うように集落を形成しています。冬場の厳しさをしのばせる風景です。

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▲ローマ字表記が気になる羽前水沢

日本海の眺めも三瀬辺りまで。後は庄内平野の穀倉地帯を進みます。

この羽前水沢のローマ字表記Uzemが気になったので調べてみるとヘボン式ローマ字ではb・m・pの前のnはmに変じるそうです。そういえば新橋もShimbashiだったような。

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▲庄内平野を行く

田んぼの中の車窓は眠気を誘います。唯一の救いが鳥海山の眺め。車窓左手に現れ、正面、そして右手と移り変わっていきます。陽のあるうちに鳥海山の裾野まで辿り着けるんでしょうか・・・・。

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▲車窓の友は・・・・

さて、線路沿いの黄色いヤツが気になります。滋賀県辺りからずーっと線路に沿って生えております。セイタカアワダチ草ですが、子供の頃はキリン草と呼んでいたような。花粉を吸うと喘息になるなんて聞きましたが、実際はどうなんでしょう?

列車は途中藤島、東酒田で高校生を拾いますが、混雑と呼ぶには程遠い状況です。

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15:57、酒田到着。

期待していた笹川流れの車窓を期待以上に堪能し、国鉄再建に翻弄された羽越本線の実態をつぶさに見ることができた2時間17分。満足、満足♪
・・・・今になって思い返せば、この付近の車窓は陰影に欠ける晴天の下よりも、グズつき気味の天気の方が似合っているように思います。時間帯も夕暮れ時の方が・・・・贅沢を言い出すときりがありません!

次回はのんびり、ゆったりの気動車鈍行とは打って変わってドライなあいつで秋田を目指します。


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コメント 12

うたに

いい車窓ですね〜。。昨日友人があけぼので青森へ行ったのですが、ここを通って行ったんだなぁ…なんてことを思いながら拝見しました。
住吉山トンネルは、たいていの穴には入ってしまう、あの"山行が"(山さ行がねが)で読んだことがあります。あんなに立派なトンネルを作ったまま使わないとは、何とももったいないですね。。
by うたに (2012-11-04 21:08) 

UZ

13年前の冬に私も笹川流れを通ったことがあります。降り止まない雪の中での旅となりましたが、それでも風情を感じることが出来ました。
住吉山トンネルは「いなほ」の高速化が検討されていた時分に使用を検討されたことがありましたが、それでも費用対効果の面で対した効果がなかったようで放置されることとなりました。北陸新幹線開業後は上越新幹線の高崎以北の地位が低下するのは必至なので、新潟駅での同一ホームでの乗り換えに加えて検討してほしかったですね。
by UZ (2012-11-04 23:32) 

まるたろう

自分は羽越本線、まだ未乗車ですが、風光明媚な車窓ですね。
ローマ字表記の件、難波もそうですが、そういう理由だったんですね。
よく分かりました。
by まるたろう (2012-11-05 07:46) 

サットン

うたにさん

今回はお天気にも恵まれと書きましたが、本当はもう少し陰影を含んだ方がそれらしいかなと思ったりしています。
「あけぼの」だとこの付近は夜中の通過ですね。トンネル内の警報音が音の風景を演出してくれたのではないでしょうか。
「山行が」、凄いサイトですね!私には真似できません。
未成トンネルもどこかで切り捨てないといけないのは分かりますが、ここまでできているものを放置するのもねえ。ミニ八ツ場ダムってところでしょうかね。
by サットン (2012-11-05 09:47) 

サットン

UZさん

雪の中の笹川流れも良いですね♪ 絵葉書の風景のように晴れ渡った今回はちょっと情緒に欠けるかな、と贅沢な感想を抱いております。
未成トンネルは住吉山の他もう1本あるようですが、ここまでできているものを見捨ててしまうのもどうなんでしょうね。まあ、今となっては恩恵に与るのは貨物ばかり。「いなほ」もブルトレもダイヤ改訂の度に痩せ細る現状ではキノコの栽培ぐらいしか出番がないんでしょうかねえ。
by サットン (2012-11-05 09:56) 

サットン

まるたろうさん

例によってザンネンな写真で羽越本線の車窓を十分にお伝えできたかどうか甚だ心許ないんですが、現地に行っていただければ必ず満足していただけるかと。鈍行がお奨めですよ!
Shimbashi、Nambaは分かるんですが、Uzemは違和感ありですねえ・・・。
by サットン (2012-11-05 10:05) 

あおたけ

羽越本線デッドセクションを走るDC、
理由はちょっとセコい気がしますが、
笹川流れの絶景を楽しむには、
のんびりと走るDCくらいの速度が
ちょうどいいように思います。(^^)
701系のような電車でカッ飛ばされちゃうと
味気ないですしね〜。
by あおたけ (2012-11-05 19:35) 

やまびこ3

羽越本線の下り線を普通列車で旅したサットンさんならではの旅行記です。目まぐるしく写りゆく車窓の観察大変だったことでしょう。
DCのもう1両はロングシートではなかったでしょうか?結構フルロングシートのDCがありますが、これじゃあ、長距離はつらいですね。
勝木駅の駅舎は陸側にあるのですが、徳洲会側にけもの道ができていました。
by やまびこ3 (2012-11-05 20:49) 

サットン

あおたけさん

確かに車窓を楽しむにはキハ47は適役でした。エアサスの揺れも心地良かったですよ。時々山陰本線かと錯覚しそうになりましたが・・・。
この後、もちろん701系にもお世話になりましたが、走りっぷりの良さには恐れ入りました。
by サットン (2012-11-06 10:18) 

サットン

やまびこ3さん

羽越本線の車窓は本当に目を離せませんでした。はじめは海側ばかりを注目していましたが、気が付けば山側の上り線が妙なことに。空いているのを良いことに右に左に席を変わりながら見ていました。
このキハ47は幸い(?)2両ともセミクロスでした。ロングシートだったら羽越本線の印象も違っていたでしょうね。
勝木駅の改札は山側なんですね。流石は撮影でこの付近を歩いていらっしゃるやまびこ3さん、詳しいですね!
by サットン (2012-11-06 10:31) 

debuken

はじめまして!! 村上⇔酒田区間 特に海岸の笹川流れは綺麗ですね^^

自分はクルマ、いなほ で会社入社以来数え切れないだけ走ってますが全然あきません。

夏の穏やかな青い海、冬の日本海、どれも味があって いい風景です。

冬の車の走行は波のしぶきで車が白くなっちゃうのには参りますけどね!!


by debuken (2012-11-06 17:09) 

サットン

debukenさん、いらっしゃいませ!

羨ましいですね!この風景を何度もご覧になっているとは。
今回はたまたま秋晴れの下、穏やかな日本海の表情でしたが、車窓を見ながら冬場はさぞ厳しいんだろうなあと想像していました。
この辺をクルマで走ると傷みが早いんでしょうね。
by サットン (2012-11-06 19:12) 

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