日本海縦貫線2012秋 ⑥秋田~弘前 [鉄道の旅]
「リゾートしらかみ」の誘惑
大阪からひたすら日本海縦貫線を北上する旅もいよいよ最終3日目であります。
▲新幹線乗り入れで一変した秋田駅
20数年ぶりに訪れた秋田の町は新幹線乗り入れですっかり様相が変わっております。今日は、昨日以上にのんびりとした出発なので、ホテルをチェックアウト後千秋城のお濠や駅前のランドマーク「アトリオン」などを見ながら駅へと向かいます。
▲気の進まない3日目のスタートは・・・・
今日は、いよいよこの旅のゴール青森を目指すというのに今ひとつ気が乗りません。青森まで3本の列車を乗り継ぐ予定ですが、何れも701系のはず。ロングシートは昨日の2時間弱だけで十分です。
そんな私を誘惑するかのように改札口の発車標には「リゾートしらかみ 11:02 弘前」の表示が。「そんな選択肢もあったのか!」とみどりの窓口へと向かいかけたのでありますが・・・・。
▲「リゾートしらかみ」の誘惑にも負けず
しか~し、「リゾートしらかみ」はご存知のとおり五能線経由であります。悔しいかな、今回の旅のテーマである「日本海縦貫線」からは外れてしまうのであります! 「そんなに堅いこといわずに」と悪魔の囁きも聞こえますが、余すところ200km弱にしてテーマを反故にするわけにはいきません。ここは涙をのみましょう。
◆第9走者 1653M(秋田~大館)
▲「こまち」と並ぶ1653M
ということで私を待っていた11:08発大館行き1653Mはもちろん701系。2両編成のN33であります。
ずいぶんとのんびりした出発ですが、青森に急ぐ必要もなく、またこの先の接続の関係もありこの時間に。試験帰りの高校生でほぼ満席となって秋田を発車。この列車はツーメン運行、秋田美人の車掌さんが乗務しています。
▲八郎潟の水田地帯
その賑わいも次の土崎まで。わずか一駅で車内はガラガラに。
この列車で私が乗り込んだのは2両目(上り方)。モーターの付いてないTcです。したがってMcと違い音も静か、加えて駅に着いてもドアが開かない(半自動)ので極めて静かであります。静まり返った車内は、皮肉にもかつての客車鈍行のムードが甦ります。
▲八郎潟・・・気になるのは隣の駅
日本離れした広大な水田地帯の中を進み八郎潟に着きます。隣の駅、「井川さくら」が気になりますな。なんか演歌歌手みたい。
▲ランチパックもどきを検証する
お昼時を迎え空腹であります。ロングシートで食事というのは気が進みませんが、背に腹は代えられません。それに周囲に人もいないし、というわけでおもむろに取り出したのがこれ! ランチパック? いやいやフレッシュランチです。この商品については以前本誌特派員がレポートしてくれております。 >>>コチラ 秋田に出かけることがあれば是非試食をしたいと思っておりましたので秋田駅のNEWDAYSで購入。食感はランチパックそのもの。ハムフライはパンとの相性も良く美味しかったです。
▲北金岡で「つがる4号」の行き違い待ち
東能代の手前北金岡で列車行き違いのためしばらく停車。車内はシーンと静まり返ります。ややあって列車接近の気配とともに姿を現したのは特急「つがる4号」。初めて見るE751系! なんだか犬みたいな顔してますな。
▲東能代で五能線と出会う
五能線を分岐する東能代駅構内に差し掛かると線路端には大勢の報道陣が。その先に現れたのはなんとC61! 何事かとネット検索すると10月20・21日に運転される「SLあきた路号」の試運転と判明しました。いやあ、驚きました。
▲鷹ノ巣での顔合わせ
鷹ノ巣では秋田内陸縦貫鉄道の気動車と出会います。この路線も魅力的ですなあ。国鉄阿仁合線時代には乗ったことがありますが、まさか延長されるとは。誘惑を振り切って北へと進みます。
▲「つがる」の待つ大館に到着
12:58、大館に到着。昨日の酒田ー秋田間とほぼ同じ2時間近い乗車でしたが、昼間のせいか短く感じました。
隣には485系の特急「つがる51号」が待っており、数人が乗り換えて行きました。
▲「つがる」と花輪線
大館駅ホームでは青森色の485系や花輪線用のキハ110とご対面。いずれも大阪人の私には日頃縁のない車両とあって下がり気味だったテンションも上昇に転じます。花輪線も盛岡側の東北本線が3セク化されて妙な状態になっておりますな。
▲洗面台とハチ公神社
ホームで油を売っているうちに改札口が閉鎖されてしまいました。仕方なく構内をうろついているとこんなものが・・・・。
今どき稀な洗面台(タイル張りではないが・・・)と「JRハチ公神社」。いわずと知れた秋田犬の産地ですが、ハチは大館の出身だったのか。
◆第10走者 655M(大館~弘前)
▲国鉄チックな大館駅
たまたま通りかかった駅員さんを掴まえ、なんとか改札を抜け駅前に出てみました。秋田県北の主要駅も人影疎らでした。かつては「白鳥」も停車していたんですが。
駅前広場にもハチ公の像がありました。
▲最後の県境越えに向けて
結局することもなくホームに舞い戻ります。次に乗るのは13:35発の弘前行き。ついに最後の県境を越え、青森県へと進んで行きます。
▲655Mは再びN33
その655Mは先程のN33編成がそのまま変身するようです。隣の花輪線が羨ましい。
13:35、ガラガラで大館を発車。県境を跨ぐ上に沿線にこれといった町もなく、この後車内が賑わうこともなさそうです。
▲陣場駅もひっそり
山越えの閑散線区ではありますが、撮影名所としては全国的に名の知れた場所が続きます。この陣場駅と白沢駅の間にもブルトレ撮影の名所があったはず。
陣場駅発車後、ついに最後の県境を越えます。秋田・青森県境は大阪をスタートしてから9回目の府県境であります。
▲賑やかな運賃表示
とはいえ山間の車窓はこれといった見せ場もなく退屈モードであります。車内もガラ空きとあって暇つぶしにこんな写真も。ワンマンなので運賃表示も賑々しく点灯しております。バスそのもののシステム、精算時のトラブルも少なくないはずです。
▲提灯が迎える碇ヶ関
碇ヶ関駅は関所のイメージを演出してか改札口には提灯が。
今から30年前、下りの「日本海」の窓越しにこの駅を見たことを思い出します。初めての東北、その時は一面の雪景色でした。その「日本海」も今や臨時列車として細々と残るのみに・・・・。
▲長嶺ー大鰐温泉
日本海縦貫線も単線のこの付近ではずいぶんと脆弱に見えますが、この線路が大阪と東北をしっかり繋いでいることは今回の旅で実感したところ。全国に通じるネットワークをもっと活用できないものかと思いますねえ。昨今のJRグループを見ていると、「つながろう日本」なんていうキャッチフレーズが虚しく聞こえます。元々繋がっていたネットワークをズタズタに寸断しているのは誰やねん、と。
▲弘南鉄道と出会った大鰐温泉
今もスマートなボディが光る旧東急7000系の弘南鉄道に迎えられて大鰐温泉に到着。大学2回生のとき訪れたことがありますが、当時は大鰐駅でした。1991年に温泉が付いたとか。○○温泉駅は全国的な傾向のようですな。
▲弘前駅は都会だった
14:19、最後の乗り継ぎ駅弘前に到着しました。「乗り放題パス」に下車印をもらうため用もないのにいったん改札口を出ます。弘前駅のコンコースはなかなか垢抜けておりました。
さて、長々とお付き合いいただいた日本海縦貫線の旅もいよいよ次回が最終回となります。あと1本、どうか最後までお付き合い下さい!!
秋田駅前のタクシーの数がすごい。。
五能線のリゾートしらかみは、1度乗ってみたい列車の1つです。そして、普通列車のキハ40も捨てがたいなぁ〜。
大鰐温泉、一度泊まったことがあります。温泉で育てたモヤシ(とか仲居さんが言ってたかな?)が夕食に出たことを覚えています(^ ^ )
by うたに (2012-11-10 18:09)
美人車掌さんの写真は次回でしょうか? まさか、撮影してないなんて事はないでしょうね(^∧^)
by 硬券屋 (2012-11-10 18:16)
車両や発車標だけでなく駅名標も首都圏同様に近代化されてますね。LED照明を利用した駅名標は首都圏だけかと思っていたら地方ローカルの駅でも導入されていたのですね。
by UZ (2012-11-11 00:53)
こんばんは。
コメントこそ残せてませんが、毎回楽しませていただいてますよ!
やっぱ、平日の旅は羨ましいほど空いてますね…。
18きっぷシーズンの土日とか連休しか機会のない僕の旅では
ほぼ考えられない展開です。
っていうか、次回もう最終回ですか!?No~~~!もっと続けて下さい(笑)。
あと、復路をどうされたのか気になってます。
by Kyo-to (2012-11-11 01:27)
うたにさん
秋田駅前はタクシーもバスも凄かったですよ。特にバスは頻繁に発着していて壮観でした。
「リゾートしらかみ」の誘惑は強烈なものがあり、本当に指定券を買いに窓口に向かいかけましたが、なんとか思いとどまった次第です。
私が大鰐で泊ったのは国民宿舎だったと思いますが、なにぶん30年近く前のことなので記憶も曖昧です。
by サットン (2012-11-11 12:33)
硬券屋さん
残念ながらその手の写真はございません!肖像権やらプライバシー保護とかややっこしいので。制服を纏った秋田美人を自由にご想像下さい。
by サットン (2012-11-11 12:37)
UZさん
長らくJR西管内に引き篭もっていた私にとって車両のみならず発車標、駅名標など見るもの全て目新しかったです。
特に新旧入り混じる駅名標は面白いですね。秋田・青森といった拠点駅が旧タイプなのにローカル駅に新タイプが導入されていたり興味深かったです。
by サットン (2012-11-11 12:44)
Kyo-toさん
幸か不幸か日程は全く自由に組める私であります。今回は平日であることに加え、たまたま中間試験の時期に当ったので高校生のラッシュにも遭わず終始のんびりムードで旅ができました。
ゴールまで辿り着いたからには戻って来なければなりませんね。さて、どうして戻りましょうか・・・・。
by サットン (2012-11-11 13:42)
旅先はやはりロングシートよりもクロスシートで車窓を楽しみたいですねぇ。
先日の奥多摩ハイキングで実感しました。
帰りに見た快速「むさしの」のスカ色113系は風情があって良かったなぁ。
by nozzy (2012-11-11 19:50)
大館駅はどっしりして、安心感がありますね。
改札前の1番線が健在なのもうれしいです。駅前の秋田犬の確か群像も好きです。
by やまびこ3 (2012-11-11 21:55)
運賃表の¥4310って凄いですねぇ~
更に整理番号も「119」番って・・・
by ミスター仙台 (2012-11-12 00:11)
大学のサイクリングで五所川原・弘前を回ったことと、大鰐温泉には、バブルの頃、藤田観光系の超豪華なホテルに職場の旅行で泊まった事がありました。それ以外は、この区域はほとんど記憶がありません。貴重なレポート楽しませていただいています。
by ファジー (2012-11-12 08:02)
「リゾートしらかみ」、自分も気になる列車ではありますね。
五能線はおろか、秋田県内の鉄道は乗った事が無いので、
それを絡めて、乗車しにいきたいです。
by まるたろう (2012-11-12 08:21)
大館で下車されたならば、ぜひ名物駅弁の「鶏めし」を
食べていただきたいところでしたが、
ロングの701系ではあまり駅弁を食べるような
気分にはならないですよね。。。
by あおたけ (2012-11-13 15:19)
リゾートしらかみは品川駅臨時ホームで展示されたこともあり、積極的にPRされています。
C61を見られましたか。2月に内房線を走りましたが、大型のSLには惚れ惚れします。
ロングシートでも空いていると前後左右の眺めがよく見えますね。
by 京葉帝都 (2012-11-13 16:06)
nozzyさん
ロングシートの連続で首が凝りました。景色の良いところだけに残念ですね。
せめて115系並みのセミクロスシートだったら…と悔やむことしきりでありました。
by サットン (2012-11-13 18:28)
やまびこ3さん
大館駅舎、由緒正しき国鉄の主要駅という佇まいですね。橋上駅全盛の昨今では貴重になりつつあるかと。
秋田犬の群像確かにありましたね。親子と思われるほほえましい銅像でした。
by サットン (2012-11-13 18:39)
ミスター仙台さん
4310円!! さすがに現金で支払うケースは稀でしょうね。
昨夏乗った山陰本線では精算トラブルが相次ぎ、そのたびに列車が停まってしまいました。
by サットン (2012-11-13 18:47)
ファジーさん
大鰐温泉をはじめ東北地方には若い頃には頻繁に訪れているんですが、気が付けば20数年のご無沙汰でした。
それにしても大鰐温泉まで遠征とはずいぶん豪勢な職場旅行ですね!
by サットン (2012-11-13 18:58)
まるたろうさん
リゾートしらかみと五能線の誘惑は強烈なものがありました。五能線には冬場に乗ったことがあるんですが、リンゴの実るこの時期も良いでしょうね。
by サットン (2012-11-13 19:05)
あおたけさん
大館の鶏飯は学生時代に食べたことがあります!確か包装紙も保存しているかと。
でも、さすがにロングシートじゃあねぇ。おまけに車内が静かでパンの袋を破るのさえ気を遣う始末でした。
by サットン (2012-11-13 19:19)
京葉帝都さん
JR東は新車を投入するなどリゾート列車の展開に熱心ですねぇ。西の住民としては羨ましいですよ。
C61には驚きました!まったくノーマークでしたから。煙を上げる大型蒸機は迫力まんてんでした。
空いていたのでロングシートの割には楽でしたが、首は疲れました…。
by サットン (2012-11-13 19:33)