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湯快リゾート体験記 ~ホテル千畳(白浜)の巻 [宿泊記(関西)]

♪おんせん7800えん~の実力は!?

おんせん7800えん~のCMソング、関西地区にお住まいの方にはすっかりお馴染みですね。そう!格安温泉旅館チェーン「湯快リゾート」のキャッチフレーズを織り込んだCMソングです。
それでは湯快リゾートとは何ぞや? 「日本の温泉を身近にする」をポリシーに北陸、中部、南紀、山陰地区を中心に約20の温泉旅館を展開する新興の宿泊業者です。そのポリシーを実現するため、数々の省力化を実施し、キャッチのとおり1泊2食付ひとり7800円(1室2名以上、税サ込)という驚異の格安料金を実現しているのです。さらに特筆すべきはこの7800円が通年で適用されるという点です。通常リゾート地の宿泊施設というと週末をはじめオンシーズンは料金が跳ね上がるのが定番ですが・・・故に“水商売”の謗りを免れない・・・湯快は基本的にGWでも夏休みでも7800円が適用されるのです。
これは正に今までの宿泊産業の常識を打ち破った価格設定であります。元ホテル屋が気にならないはずがありません。というわけで湯快リゾートのサービスを体感して来た話しです。・・・・1年前のことですが。

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▲今回お世話になった南紀白浜「ホテル千畳」 景勝地千畳敷は徒歩数分


◆目的地決定~予約完了まで

予約を入れる前に湯快リゾートのサービスポリシーを押さえておきましょう。

・チェックイン後の客室への案内は無し
・チェックイン時客室の布団は敷かれている
・食事はレストランにて基本的にブッフェ

湯快を利用する際にはこれらの対応を了解しておく必要があります。

われわれ一行はこれらの条件を納得の上、8月下旬(平成24年)、1室3名という条件の下、行先選定に入りますが、結論は即決。ばあちゃんと娘が強烈に白浜を押します。もちろんパンダが目当てであります。
行き先が決まれば次は施設の選定。湯快は白浜に「白浜御苑」、「ホテル千畳」の2軒を展開しています。湯快のWEBサイトでは全施設の空室状況が一括検索できますので簡単に絞込みはできますが、さすが夏休みとあって、こちらの都合の良い日程では空室がなく、結局「ホテル千畳」のランクアッププラン(ひとり9800円)で妥結します。レギュラープランよりも客室が広く、眺望も良いとのこと。7800円を試すという当初の目的は果たせなくなりましたが、夏休みの比較的直前の予約ということだったので致し方ないでしょう。

ということで ホテル千畳 平成24年8月29日(水)~1泊 ランクアッププラン(ひとり9800円) にて簡単にWEB予約完了。(7月19日予約)

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▲玄関周り


◆驚きのチェックイン

さて、宿泊当日、特急くろしおで白浜駅に着いたのが13時頃。生憎の雨模様とあって、アドベンチャーワールドのパンダ見物は翌日に持ち越し、タクシーで宿に直行します。普通温泉旅館の客室使用時間は15時頃~翌10時というのが相場ですが、湯快は安心! チェックイン・アウトともに正午を謳っています。今どき高級都市型ホテルでもかなわない客室の24時間利用です。とはいえ理論的に破綻しており、ましてや繁忙期でもあり待たされることは覚悟していましたが・・・・。
思いのほか立派な車寄せでタクシーを降ります。ところがロビーは汚れてる・・・・。大理石(?)貼りの床からはザラザラした感触が伝わって来ます。かつては高級路線だったんだろうことを窺わせるガラスの壁面も曇っています。格安だから・・・・自分に言い聞かせながらフロントへ向かいます。
フロントクラークに名前を告げるとフルネーム、諸条件の確認の後、夕食時間の選択、館内の説明を受けキーを受け取ります。待たされるのでは・・・は杞憂に終りました。それよりも驚いたのはチェックイン時レジカードの記入を求められなかったこと。サイン一つしませんでした! 前金もなし。一見の客には寛大過ぎる対応に驚きます。無駄なものは徹底的に省くという湯快のポリシーを痛感するチェックインでありました。
フロント横で好みの浴衣を選び客室へと向かいます。

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▲フロント付近


◆ランクアップルーム

フロントから長い通路を通り、エレベータで3階に上がります。アサインされたのはランクアップルームとあってか角部屋です。ちなみに廊下は空調が効いておらず暑いのなんの。
格安だから、いやランクアップだから、と不安と期待が交錯する中ドアを開けます。入ると2・3畳の前室と浴室、トイレ、洗面台。そして、8畳(だったかな)の主室となりますが、お約束どおり布団が延べられております。ここまでは想定内。しかし、痛んでる! 襖、障子は滲みだらけ。どうしたらこんな所まで?と思う上の方まで濃い滲みが浮いています。布団を撤去して現れた畳も焼け放題。格安だからも今度は空回り。これは商品としてはNGやろ、って思います。
温泉旅館の標準装備である広縁になんとか居場所を見出します。熊野灘の眺めが良い感じですが、建物がV字型をしているため対面の客室の様子も窺えます。
テレビはメーカー不詳の液晶タイプ(32型?)。冷蔵庫は空っぽ。館内に自販機があります。お茶菓子セットも完備。夏場には気になる空調ですが、古めかしい床置き型。しかし、機能に問題はなし。
玄関ドアはオートロックではありませんので施錠はお忘れなく。

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▲ランクアップルーム一例


◆食 事

♪食事はなんでも好きなだけ~ は前述のCMソングの続きです。謳っているとおり夕・朝食ともにブッフェ形式での提供です。もちろんここでも格安だから、の呪文を唱えねばなりません。

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▲食事会場

夕食は1.5時間の入れ換え制でチェックイン時に3つの時間帯から選べます。メニューはというと、もうこれ以上親しみのあるものはないという料理のオンパレード。唐揚げ、春巻きetc。ホテル屋時代、予算のない立食パーティーで何度となく対面したメニューです。握り寿司もありますが、いかにも急速解凍しました風のネタに食指も進まず。ただ、唐揚げ大好物の娘はご満悦の様子でした。なお、ソフトドリンクもフリーです。

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▲夕食メニュー一例(ビールは別途注文)

朝食は和洋のオーソドックスなメニューを食べ放題。パンの中にはスーパーでお馴染みでは?と思わせるものも。娘はクロワッサンが美味しかったと大絶賛。
どうやら食事は若い者向けにアレンジされているとみました。まあ、土地の名物料理などは期待せず、空腹を満たすには十分なメニュー構成といって良いと思います。施設ごとに料理をグレードアップしたオプショナルプランも設定されていますのでHPで確認してみて下さい。

◆温 泉

さて、肝心の温泉であります。「日本の温泉を身近なものに」が湯快のモットーですから。
ここ「ホテル千畳」には大浴場と露天風呂が用意されております。まずは露天風呂を目指しますが、途中で断念。客室から遠く離れている上にかなり急な階段で斜面を下りねばならず、足を傷めている私にはとても辿り着けそうもありませんでした。なんとか辿り着いたばあちゃんは「掛け湯をする場所もなく使い勝手が悪い。遠くていかにも後から取って付けた感じ」。娘は「海が見えて気持ちよかった」とのこと。大浴場は特に個性のない造りですが、沖を往く船の灯りを見ながら足を伸ばしての入浴はやはり格別ではあります。

◆その他サービス

湯快の共通サービスとして、カラオケルーム・コミックコーナー・卓球台の利用無料というのがあります。今回はカラオケを利用しましたが、かなり古いシステムでした。電話帳数冊分はあるインデックスもボロボロ。それでも唄うには不自由はありません。なんといっても無料ですから! そうそう、湯快リゾートの親会社はカラオケルームをチェーン展開するジャンボカラオケです。
また、湯快の各施設は京阪神などからの格安シャトルバスを運行しています。ちなみに白浜へは京阪神各地から往復3000円で利用可能です。

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▲熊野灘を望むロビー


◆雑 感

フロントクラークはビジネスライクながらテキパキと仕事をこなしている様子。チェックイン・アウト時ともに待たされることはありませんでした。周辺の路線バスに関する質問にも的確に答えてくれました。
先述しましたが、客室の24時間利用が看板倒れに終ってないことには感心します。チェックイン正午は難しいとは思いますが、いまだにチェックアウト10時を標榜している温泉旅館、リゾートホテルには見習って欲しいところです。
同様に通年同一料金も称賛に値するでしょう。最近関西にも進出している格安旅館チェーンに大江戸温泉物語がありますが、売り物の格安料金は原則平日のみで週末など多客期は料金がアップする従来どおりの水商売感覚を踏襲しています。

湯快の狙いは徹底した低料金を提示することで、例えば従来年に1度だった温泉旅行を2度、3度と頻度をアップしてもらい需要を拡大することにあるようです。確かに1泊7800円という料金設定は魅力的でインパクトがあります。おまけにアクセスまで面倒見てくれるとは手軽さを求める一部の旅行者層には強烈にアピールしていると思われます。
その典型としてウチの娘を例に挙げておきましょう。彼女は白浜に出かけて1年のうちに友人と粟津温泉、恵那峡、鳥羽に出かけております。いずれも湯快利用です。というか、目的地選定には先ず湯快ありき、です。アクセスもシャトルバス利用とどっぷり湯快の戦略に嵌っております。不自由なく1泊できる客室、好きなものをお腹一杯食べられる食事、温泉、カラオケを楽しめて学生でも手の届く低料金。さらには宿まで乗り換えに煩わされずに済むアクセス。一つの旅のスタイルとして確立されたものを見る思いです。
恐るべし湯快戦略!

繰り返しますが、この体験記は平成24年8月の宿泊をもとに書いています。
湯快リゾートの最新情報については同社WEBサイトでご確認下さい。http://yukai-r.jp/

 


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ファジー

各地の名門ホテルが、湯快リゾートホテルになっていると聞き及んでいます。旧経営者の、時代に沿った運営が出来なかったことが身売りの要因とはいえ、なんとも切なく感じてしまいます。
安価に宿泊できるのは好しとしても、我々の世代に合った楽しみ方を提供して欲しいものですね。
by ファジー (2013-09-24 22:01) 

サットン

ファジーさん

えっ!ここも?と次々に老舗旅館が湯快に買収されていく様子を見ていると温泉ブームの恩恵を受けている旅館なんてごく一部だなと思います。平日なんてどうやって集客してるんだろうと他人事ながら心配してしまいます。ここもかつては高級路線だったんでしょうが、汚れたロビーの床を見ていると切なくなりました。
どうやら我々世代は湯快のターゲットではないようですね。
by サットン (2013-09-25 10:06) 

あおたけ

へ〜、関東人には馴染みの無いホテルチェーンですが、
たしかに温泉で一泊二食付き7800円は格安ですね〜。
家族連れや、若いグループにはいいのかもしれませんね。
でも、個人的にせっかく白浜へ行くなら、
食事にバイキングは遠慮したいなぁ・・・(^^;)

by あおたけ (2013-09-25 17:48) 

suzuran6

若者及び常に金欠病の私にはいいなぁ~と、素直に感じてしまいますね。
こう言う所と、ちょっと良い所を組み合わせて(呪文は練習して)家族旅行などと言うのも、いい教育になるのでは・・・
by suzuran6 (2013-09-25 18:03) 

やまびこ3

この手の施設では四季倶楽部と大江戸に泊まったことがありますが。前者は会社保養所上りが多く、どうも当たり外れがある感じ。後者は1か所だけですが、格安というほどではなく、そこそこ清潔で使えると感じました。
星野リゾートのいうように、海外のように価格レンジが大きく広がってゆくのでしょうね。
by やまびこ3 (2013-09-26 05:48) 

サットン

あおたけさん

湯快は今のところ関西・中部が守備範囲ですが、名だたる老舗旅館が次々に湯快の軍門に下る姿を見ていると将来鬼怒川や伊豆辺りの旅館も湯快の看板を揚げているのでは、と妄想してしまいます。
私も基本的にバイキングは好きじゃありません。自分で取りに行くのってやっぱり面倒くさくって。
by サットン (2013-09-26 09:42) 

サットン

suzuran6さん

確かに利用者層は小さな子供を連れた若手のファミリー層が圧倒的でした。価格とサービス面の折り合いを付けられればそこそこ快適かもしれません。呪文は必須ですが。
ウチの娘は手軽さだけを学んだようです。プロセスに拘る親父は内心忸怩たる思いであります。
by サットン (2013-09-26 09:50) 

サットン

やまびこ3さん

四季倶楽部はテレ東の番組で見ました。価格は魅力的ですが、確かにハードはムラがありそうですね。
大江戸は最近大阪・箕面にも登場して一気に親近感が沸いてきました。おり込みチラシをよく見ると売り物の格安料金は平日だけと分かり湯快とはポリシーが異なるようです。
国民宿舎やYHが衰退した分、こういった施設が低価格帯をカバーしていくんでしょうね。
by サットン (2013-09-26 10:01) 

nozzy

わたしは何年か前に「アネックス箱根」に泊まってがっかりした思い出があります。
素泊まりシングルで15,000円と、けっして安くはない気がしますが、これでも閑散期のディスカウントレートだそうです。
木製調度品は擦れてハゲチョビン、ソファーやカーペットはシミだらけ、天井にもなにやら大きなシミがありました。
テレビなんか1985年製の14インチブラウン管でしたよ。
芦ノ湖のほとりの露天風呂だけが取り柄でした。
by nozzy (2013-09-26 10:04) 

サットン

nozzyさん

同じような経験をされた方は多いと思いますよ。私も含めて。
名所、温泉地の立地だけを拠り所に法外な料金で商売を続けてきた。その報いで多くの温泉地は閑古鳥が鳴き、ゴーストタウンと化したのではないかと。
湯快が手を差し伸べた施設はまだラッキーなのかも知れませんね。
by サットン (2013-09-26 11:57) 

Cedar

格安温泉。一度行って見ようかと思ってましたが、ためらうなあ。
by Cedar (2013-09-27 07:03) 

硬券屋

ふ~ん、知りませんでした。名前はどこかで見たような。私の行く秘境では経営成り立たないのでないのかなぁ!? 確かに温泉は廃虚旅館多いですね。夜は不気味の一言です。JR特急停車駅の温泉で、運動がてら夕食後散歩にでても夜の9時頃なのに歩いているのは私だけとか・・・右も左も売り出し中の旅館。 サットンさんのチカラでなんとかしてくださいな。オフ会とか!?
by 硬券屋 (2013-09-27 21:40) 

yogawa隼

ビジホやシティホテルに慣れていると、純然とした旅館に唖然としたことがあります。
仕事の都合で遅くなりそうなので、その旨電話を入れると、急に先方が怒りだしたのです。
それで21時ころになりそうと言ったら、電話を向こうからガチャンと切りました。
私にとって旅館は初めてで、知人から勧められたので、一度泊ってもいいかなぁくらいの軽い気持ちだったのです。
後でわかったのですが、夕食準備の都合があったようです。
ビジホ・シティホテルでは夕食無しが当たり前だったので、そのあたりを理解していなかった私にも非が有ります。
良い勉強になったと同時に、いやな思い出となっています。
先方の、もっと適切な対応があってもいいんじゃないかとも思っています。
約20年前、ネット予約も携帯電話も無い時代の話でした。
by yogawa隼 (2013-09-28 10:45) 

サットン

Cedarさん

格安にはやはりそれなりの理由があるようです。それを許容できればお値打ちなんでしょうが、中高年にはちょっとムリかもしれません。
by サットン (2013-09-28 13:23) 

サットン

硬券屋さん

稼働率を限りなく100%に近付けることを求められるこの種のビジネスモデルは秘境では難しいでしょうね。でも関西出張の際にCMはご覧になっているかもしれませんね。まあ、硬券屋さんのお好みには合わないかと思いますが。
温泉ブームと言われて久しいですが、元気な温泉地というと湯布院ぐらいしか思いあたりません。元気にするには非力な私よりも人気者のアベちゃんにでも依頼されてはいかがでしょう
by サットン (2013-09-29 09:54) 

サットン

yogawa隼さん

本当にホテルに慣れてしまうと旅館のあまりの対応に唖然とさせられることはしばしばですね。私も食事絡みで不快な思いをしたことは何度もあります。到着時に食事の希望時間を聞きながら、こちらの希望が叶えられたことはまずありませんでした。早く片付けてしまいたいという旅館側の都合がみえみえなんですよね。本当に商売気がありません。旅館の多くが家族経営から脱却できてないのが原因だと思いますが、おもてなしとは程遠い接客は残念ですね。
by サットン (2013-09-29 10:29) 

あっと

まだ一度も利用したことはありませんが、参考になります。
これだけ稼働率の高い旅館もないのでは?アクセスの利便性が優先で、空調や障子の染みなどのハード面はある程度は後回しという方針なのでしょう。
これだけ稼働率も高く人気があるということは、十分許容範囲であり、それどころかお得感を得られているからということでしょうね。

ちなみに関西だけでなく東海地方などでもCMはされていますよ。
by あっと (2013-10-07 01:18) 

サットン

あっとさん

参考になりましたら幸いです。私も今回が湯快初体験でしたが、高度にシステム化された湯快のこと、どちらを利用されても大きな違いはないのでは、と思います。まあ、他店の露天風呂はもう少し使い勝手が良いのでは?と想像しますが。
確かに料金とサービスの折り合いを付けられればこの価格は魅力ですね。週末を押さえようと思えばかなり早目の予約が必要ですが。
東海地区でもCM流れているんですね。湯快の布陣を考えれば納得です。ご教示いただきありがとうございます!
by サットン (2013-10-11 09:52) 

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