能勢電の復刻塗装車 [鉄道の旅]
5年ぶりの100周年を記念して
風鈴電車に揺られてやって来た能勢電鉄日生線の終点日生中央駅。その名のとおり日生ニュータウンの玄関口であります。朝夕のラッシュ時には阪急から特急「日生エクスプレス」が8連で乗り入れて来るため長いホームを備えております。
その日生中央駅に現れたのは2両編成のこの電車 ↓
▲旧50型をイメージした1560F
◆50型バージョン
昔の大阪市営地下鉄か、阪神ジェットカー(少々色褪せていますが)を思わせる青とクリームのツートンカラーに阪急顔の電車は阪急2100系を出自とする1500系。ウソ電かと思えるような違和感ありありの電車ですが、これこそ今回のもう一つのターゲット、能勢電の開業100周年を記念して昨春登場した復刻塗装車50型バージョンなんです。
▲側面の様子(山下)
そういえばこのカラーには見覚えがあります。昭和56年に廃止された川西国鉄前線(川西能勢口―川西国鉄前間)で使用されていたのが50型。路面電車然とした小型の車両でした。残念ながら乗ることはありませんでしたが、川西池田駅前にちょこんと停車している姿を目にしたことがあります。
▲車内には沿線の風景写真(上)と50型の解説(下)が
車内の設えも特別仕様です。網棚が撤去され窓の上には沿線の四季を写した風景写真と50型の来歴を記したパネルが並んでいます。さながら動くギャラリーというところでしょうか。
▲阪急マホガニーとはイメージの異なる木目パネル
そして、内装も一風変っています。能勢電の車両は全て阪急からの譲渡車で占められており、内外装ともに一部を除いて阪急時代のままになっています。ところが、この車両の内装は阪急のツヤ出しマホガニー調からツヤ消しの木目調に改められています。山小屋風という感じです。落ち着いたムードはいい感じです。
▲日生中央へ折り返す1560F(山下)
この日の運用は山下―日生中央の1駅間を往復する日生線の区間運用。山下に到着すると幽霊列車となって1号線を経由して日生中央へと引き返して行きました。この山下での奇妙な折り返し運転については こちらをご覧下さい。
◆1型バージョン
そして、100周年記念復刻塗装車というと50型バージョンの他に、1型バージョンがあります。幸いこの日は山下―妙見口間の妙見線区間運用に就いておりました。
▲1550Fの1型バージョン
1型というのは、その名のとおり能勢電の開業当初に活躍した車両で、今も1号車が阪急正雀工場に保存されているそうです。グリーンブルーという独特のカラーが良くも悪くも印象的であります。こちらは流石に現役時代の姿は存じません。
▲お見苦しいですが側面の様子
側面のデザインを記録しようとカメラを向けますが、7月の猛烈な西日が照り付けご覧の有様です。それでも唐草模様、木製を模した窓枠の様子はお分かりいただけるかと。
ところで「能勢電100周年」に因んだ記事は2008年7月にもアップしております。(こちら) その時も2種類の復刻塗装車が話題になりましたが、その記事をご記憶の方は「あれ?」と思われたのではないでしょうか。「能勢電ってなぜ2度も100周年があるのか?」。実は、2008年は能勢電の“会社設立”100周年に当り、今回(2013年)は“開業”から数えて100周年というわけなんです。冒頭の「5年ぶりの100周年」というのは、そういう意味なのでした。
(この復刻塗装車は2013年の開業100周年に合わせて昨春に登場しております。)
というわけで、開業100周年記念復刻塗装車は登場から1年以上が経過しており、元のマルーンに戻されるのも、そんなに先のことではないと思われます。ご対面は近い方が良いでしょう。
2編成とも2連なので通常は山下以遠の区間列車が活躍の舞台になっており、川西能勢口には顔を出さないのでご注意下さい。
能勢電、次は新車5100系が登場したら訪ねてみたいと思っています。
このカラー、私も川西能勢口―川西国鉄前間の支線で見かけた記憶があります。結局乗らずじまいでしたが、このカラーが能勢電鉄の正式カラーだった時代があるのでしょうか?
なかなかすっきりしたいい塗り分けだと思います。
by やまびこ3 (2014-07-23 21:08)
能勢電というと、阪急の“子分”という感じがしますので、
なんかこの色は、違和感がありますね(笑)。
自分も見る事ができるか、微妙なところです。
by まるたろう (2014-07-23 21:34)
やまびこさん
川西国鉄前線…今の川西能勢口駅周辺の様子からは、こんなところを電車が走っていたなんて俄には信じられないですねぇ。
私の場合、いつでも乗りに行けたんですが、今にして思えば惜しいことをしたもんです。
by サットン (2014-07-24 08:49)
まるたろうさん
おっしゃるとおり、能勢電は完全に阪急の子分状態ですね。車両のオーバーホールも阪急の正雀工場に委託しているそうです。
復刻塗装がいつまで続くのかわかりませんが、特に1型は一見の価値ありだと思います。
by サットン (2014-07-24 09:02)
おっと、前記事のコメントで
フライングしちゃいましたね。。。(^^;)
能勢電の復刻色車、健在だったのですね〜。
私は能勢電には疎くて、
過去にこのようなカラーの電車が走っていた事は知らないのですが、
こうやって記念行事で復刻してくれると、
少しでも能勢電の歴史が垣間見えたように思います。
by あおたけ (2014-07-24 13:18)
あおたけさん
この復刻塗装は1年以上前に登場していますので、もうとっくに元に戻ったんじゃ、と思われても仕方ないですねぇ。
能勢電はかつて塗装デザインについて試行錯誤を重ねていた時期がありますが、今は阪急マルーンに落ち着いているようです。やっぱり阪急顔の電車にはマルーンですね!
by サットン (2014-07-24 16:34)
30年ほど前出張で、うろちょろしていた頃は休鉄時期だったんですね。
当時は出張先で休みを取ったりもしていたんです。乗り鉄で京都まで行ってぶらぶらなどはしていたんですけれど・・・私鉄めぐりもしておけばよかったなぁ~
by suzuran6 (2014-07-24 21:25)
この塗装の50形は妙見口の側線で撮影しました。
初めての関西訪問で阪急320形や木造車に乗車できたのは貴重な体験でした。木造車の車体がギシギシ軋んで、柱の直角が歪むのが目で見えました、そんなことを思い出しました。
by Cedar (2014-07-25 10:46)
suzuran6さん
私も休鉄とまではいきませんが、乗り鉄には出撃しながら記録も写真も残してない時期が5年程あります。今になって空白の5年を埋めるべく記憶を手繰っていますが、思うにまかせません。写真の1枚でも撮っていればと後悔しきりであります。
by サットン (2014-07-25 19:03)
Cedarさん
まだ能勢電軌だった頃ですね。今も阪急のお古ばかりの能勢電ですが、それを思えば発展したもんです。
何両も連なった古い小型車がコンクリートで固められた真新しい線路を行くミスマッチな光景を思い出します。
by サットン (2014-07-25 19:24)
開業当時の塗装は気に入っています。Bodyの色と窓枠の色が違うところ(当時の南海も同様だったのでは)が歴史を伝えています。
by 京葉帝都 (2014-07-30 11:05)
京葉帝都さん
1型塗装、なかなか強烈でした。現役車両でこんな色調のものはありませんから。
窓枠塗装は当時の木製の窓枠を再現しているそうで、この復刻車が運転開始後に追加で塗装を施したとか。ボディと窓枠のカラーリングでいい味を出しているのはなんと言っても阪急じゃないでしょうか。
by サットン (2014-07-30 17:31)